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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


合同花見!2008!

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OPENING

今年もやって参りました、花見の季節。
異界に咲く桜は現実世界と異なり、うっすらと紫色。
かといって不気味ではなく、とても神秘的に咲き誇ります。
満開の桜の下、いそいそと準備を進めている一行…。
IO2エージェントと、INNOCENCEエージェントの面々。
今年から合同で花見を行うことになったそうで。
二つの組織は仲が悪いと噂されているけれど、実際は全然。
じゃなきゃ、合同花見なんて催すわけがありません。
さてさて、酒やら馳走やら、準備は滞りなく進んでいる模様。
開宴まで、あと僅か…。

今年も楽しい花見になりますように。

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「あっ、凍夜さん」
ディテクターに酌をしつつ微笑んで迎える梨乃。
「おっせぇー!おっせぇーぞ、凍夜!」
その隣で、むっしゃむしゃと団子を頬張っているのは海斗。
凍夜はフッと笑い、すまないと一言謝罪し、ストンと腰を下ろす。
合同花見。今年から催されることになった この花見は、
IO2とINNOCENCE、二組織が合同で行う花見。
まとめて一緒にやった方が、費用もかさまないのではないかと、
両組織のトップが言い出し、間もなく合同開催が決まった。
異界の桜は、うっすらと紫色。
それらが一斉に咲き乱れる様は、とても神秘的だ。
開宴から、ほんの二十分。
桜の下は、もはや、どんちゃん騒ぎ。
酔っ払った各組織のエージェントが、
他愛ない話をしつつ、ケラケラと笑っている。
「レイレイは?」
凍夜が尋ねる。見回してもレイレイの姿が見当たらないのだ。
ディテクターはクィーッと酒を飲み、至福!といった表情で返す。
「酒の補充に行ってるよ」
「………」
辺りには空になった酒瓶がゴロゴロと転がっている。
エージェントの数より、何十倍もある。
皆、かなりのハイペースなようだ。
凍夜は苦笑しつつ警告を飛ばす。
「一応言っておくぞ。お前、タダ飯タダ酒だからって、あまりはしゃぎすぎるなよ」
「はしゃいでねぇよ〜」
ケラッと笑うディテクター。…出来上がりかけている。
梨乃に酌された酒を受け取り、凍夜は続けた。
「花見の席で喚いてる酔っ払い親父みたいになったら、周りの評判ガタ落ちになるぞ」
「あぁ…それは、ちょっと痛いな」
クックッと笑うディテクター。
とはいえ、周囲には気心の知れた仲間ばかり。
雰囲気的に控え目にするのは、なかなか難しい。
ディテクターいわく、可愛い子に酌されたら、飲まないわけには…だそうで。
普段は絶対に言わないであろう、軽口。
ディテクターのそれに、梨乃は笑い、凍夜はやれやれ…と肩を竦める。


「うぃっす〜。おぉ、盛り上がってるな」
微笑み、そう言って、よっこらせっと腰を下ろすのは藤二。
途中でレイレイと合流したようで、酒瓶が詰まった箱を抱えていた。
ドドンと箱を置き、さっそく杯を持って梨乃に微笑みかける藤二。
梨乃は「はいはい」と言って笑い、酌に応じた。
レイレイはディテクターの隣に座り、飲みすぎですよと小言を飛ばす。
桜の木の下は、もはや無法地帯。
転がって眠るエージェントや、小躍りしているエージェント、
どさくさに紛れてイチャつくカップルエージェントなど…もう滅茶苦茶だ。
「…酷い有様だな」
苦笑して言う凍夜。
「まぁまぁ、今日くらい、いいじゃねぇか。弾けたってよ」
空になった凍夜の杯に片手でザーッと酌しつつ言うディテクター。
いつしか藤二の姿が消えている。…まぁ当然、ナンパしているわけだが。
「ねぇ、キミさ。ウチに移らない?」
「えぇ〜?冗談ばっかぁ〜」
「いやいや、マジで。キミが移ってきたら、もう大変だよ、俺」
「きゃはは。何が大変なのぉ〜?」
「こう、毎晩…。ね?」
「やぁだぁ〜エッチ〜〜」
INNOCENCEエージェントは、ほぼ制覇している為、
藤二はもっぱら、IO2エージェントの女性ばかりを狙っている。
本気ではないだろうが、酒の所為で…相手も、まんざらじゃない御様子だ。
そんな藤二を叱るのは梨乃。
他組織の女性には手を出しちゃダメ!とキツく言われているのに、
その約束を破ったが為、藤二は梨乃に、こっぴどく怒られている。
良い大人が少女に叱られている様は、ひどく滑稽である。
何というか…海斗だけでなく藤二の世話、
そこらに転がっているエージェントの介抱など、梨乃は大変そうだ。
日々の苦労が、ここでも垣間見える。
まぁ、今日はレイレイがあれこれ手伝いをしているので、普段よりは楽そうだが。
「何つぅか…大変だな、梨乃もレイレイも」
クックと笑って言う凍夜。ディテクターはグィーッと酒を飲み干し言う。
「まぁ、ああいう面倒見の良い奴ってのは、組織に一人は必要だよなぁ」
「お前…妹に、その役目を負わせるなよ」
「いいんだよ。妹ってのは、兄に逆らえないしな」
「そうか…?」
「そう。っていうか、あいつブラコンだしな。くっく…」
「逆だろ。お前がシスコンなんだろ?くく…」
仲良く会話する凍夜とディテクター。
とても砕けた会話だ。凍夜の表情も、普段とは比べ物にならないほど柔らかい。
見たことのない凍夜の表情に、海斗は、ずーっと不満顔。
自分の前では、いつでもクールで素っ気無いのに、
ディテクターと話しているときの凍夜は、物凄く自然。
(普通に笑えんじゃん…)
凍夜の、無邪気な笑顔を見たことがない海斗にとって、
ディテクターと話しているときの凍夜は、もはや別人である。
じーっと凍夜を見やっている海斗に気付いたディテクターは、
凍夜の腕をツンツンと叩いて言う。
「くく…随分と懐かれてるみてぇじゃねぇか」
「ん?あぁ…何か、よくわからんがな」
「あんま冷たくしてやるなよ。遊んでやれって、たまにはさ」
「遊ぶってお前…何して遊べってんだ、あいつと」
「鬼ごっことか…?ぷっ」
「絶対やらねぇ…くっく…」


初開催となった合同花見は、見事な盛り上がり。
ちょっと皆、揃って弾け過ぎた部分もあるが…。
全体的には楽しく、とても良い雰囲気だったと思われる。
ハラハラと紫色の花びらが舞う、桜の木の下。
飲み疲れ、あるいは、はしゃぎ過ぎて、ぐっすりと眠るエージェント達。
重なり合うようにしてスヤスヤと眠る、
凍夜、ディテクター、藤二、海斗の四人。
四人にブランケットを掛け、梨乃とレイレイは顔を見合わせてクスクスと笑う。
「何か…男の人の寝顔って、可愛いですよね」
「そうですねぇ。いくつになっても子供…みたいな感じですかね」
「あはは。そんな感じですね」

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

7403 / 黒城・凍夜 (こくじょう・とうや) / ♂ / 23歳 / 退魔師・殺し屋・魔術師
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)
NPC / レイレイ(草間・零) / ♀ / ??歳 / IO2:エージェント (草間興信所の探偵見習い・武彦の妹)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 赤坂・藤二 (あかさか・とうじ) / ♂ / 30歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです。
この後、凍夜さんは寝相の悪いディテクターと海斗に、
ボスッ(×2)と蹴りをもらって起きる…とか、そういう…(笑)
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.16 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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