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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


合同花見!2008!

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OPENING

今年もやって参りました、花見の季節。
異界に咲く桜は現実世界と異なり、うっすらと紫色。
かといって不気味ではなく、とても神秘的に咲き誇ります。
満開の桜の下、いそいそと準備を進めている一行…。
IO2エージェントと、INNOCENCEエージェントの面々。
今年から合同で花見を行うことになったそうで。
二つの組織は仲が悪いと噂されているけれど、実際は全然。
じゃなきゃ、合同花見なんて催すわけがありません。
さてさて、酒やら馳走やら、準備は滞りなく進んでいる模様。
開宴まで、あと僅か…。

今年も楽しい花見になりますように。

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『花見 ((o( ̄ー ̄)o)) やるぞ』
十五分前、海斗から届いたメール…例によって、重要なことが記されていない。
どこで、いつ、花見をやるのか。このメールだけでは理解らない。
宗真は梨乃に連絡を入れ、詳細をキッチリと聞き出した。
梨乃は「ごめんなさい…」と申し訳なさそうに何度も言っていた。
悪いのは梨乃じゃなくて、お馬鹿な海斗である。
宗真は支度をしつつ大きな溜息を落とす。
これから海斗からメールがある度に、梨乃に確認しなくてはならないのか…と。
物凄い二度手間だ。面倒だし、時間の無駄遣い…。
海斗がハッキリと要点を記したメールをよこしてくれれば良いのだが…。
(言っても…無駄だろうな)
宗真はヤレヤレと肩を竦め、和服を纏って花見会場へと向かった。

花見開催のメールは先程届いたばかり。
IO2という組織との共同開催らしいが、随分と急だ。
普通は、もっと念入りに準備をしたりして、何日か前に連絡するだろう。
宗真は会場へ向かいつつ、この花見は『ノリ』で開催されるものなのではと疑う。
ご名答である。この花見は、ノリと勢いだけで開催が決定した。
言いだしっぺは…そう、ご想像通り、海斗。
まぁ、海斗はIO2との共同開催には反対したようだが…。
会場に到着し、宗真は咲き誇る桜に一瞬見惚れてしまう。
異界の桜は、うっすらと紫色で、とても神秘的だ。
それらが一斉に咲き乱れ、そしてハラハラと落ちる様は、とても美しい。
桜に見惚れる宗真を発見した海斗。
「遅刻だぞー宗真ー!」
海斗は、テテテと駆け寄り、宗真の手を引っ張って行く。
今日も元気そうで何よりだ。


本来、宗真は桜を楽しみつつ、ゆったりと…チビチビ酒を味わうのが好きだ。
けれど、この状況、この面子では、そうもいかない。
INNOCENCE、IO2両組織のエージェント達は、
酒を浴びるように飲んで、すっかり出来上がってしまっている。
そこらでヨダレを垂らして眠っている者や、
小躍りしている者、ナンパしている者、吐いている者…などなど。
会場は開宴から、ほんの一時間で滅茶苦茶な無法地帯と化した。
「すみません。うるさくて」
苦笑しつつ、宗真の杯に酌をする梨乃。
宗真は酌を有り難く受け、苦笑して返す。
「いえ。宴は…こうあるべきでしょう」
桜の下、クィッと酒を飲む宗真の姿。
とても絵になる、その様につい、梨乃はポーッとしてしまう。
「どうしました?」
「はっ…あ、い、いえ。何だか絵になるなぁって」
「はは。服装の所為ですかね?」
「そうかもしれませんね。すごく、素敵です」
「ありがとうございます」
桜を楽しむということで纏ってきた和服。
柳家の家紋がさりげなく飾られている和服は、とても宗真に似合っている。
どことなく艶っぽく、それでいて貫禄のようなものも感じるのだ。
和服の男性なんて滅多に見る機会がない梨乃にとって、
今日の宗真は、すごく魅力的で大人っぽい。
自分の隣でケラケラ笑い転げながら下ネタ話をしている海斗とは大違いである。
「はぁ…下品なんだから、もう…」
呆れつつ団子にパクッと食らいつく梨乃。
宗真は苦笑し、目を伏せて美酒を味わう。

桜の下での宴は大いに盛り上がり、
盛り上がりすぎて、おかしな雰囲気になりつつある。
海斗は宗真の和服をカッコイイな!と言って脱がそうとしたり、
梨乃とキスしろよ、勢いで!と意味のわからないことを言ったり…。
酒は飲んでいないはずなのだが、かなりテンションがおかしい。
楽しい雰囲気に酔いすぎて、パッパラパーになっているのだろう。
宗真はハァ、と溜息を落としつつ苦笑し、スッと腕を伸ばす。
スルリと露わになる宗真の細く白い腕。
梨乃はキョトンとした顔で尋ねた。
「何…するんですか?」
「うーん、そうですね。何と言えばいいか…気配り、ですかね?」
「…?」
キョトンとしたままの梨乃。
宗真は腕を伸ばしたまま、指先を躍らせた。
「うぉぅっ!?」
突如、ガクンとその場に膝をつく海斗。
梨乃は、瞬時に「あっ」と悟りクスクスと笑った。
「…宗真くん?」
膝をついたままクルリと振り返り、
ひきつった笑顔を浮かべて言う海斗。
海斗が感じた嫌な予感は、見事に的中する。
宗真が指を躍らせる度、海斗が何とも滑稽に踊り出すのだ。
宗真が梨乃に尋ねられて『気配り』だと返したのは、
IO2に対してライバル意識というか、
あまり良い印象を持っていない海斗を、
IO2の面々に馴染ませる、ということを意味している。
折角の合同開催だというのに、海斗だけはIO2メンバーと接触していなかった。
それに気付いていた宗真の、粋なはからいである。
「ちょ、宗真っ。やめて、やめてぇぇぇぇ」
一枚、また一枚と衣服を脱いでいく…いや、脱がされていく海斗。
パンツ一丁になった海斗は、団子の乗っていた御盆を使って、
それはもう、見事な阿波踊りを始める。
海斗のハジけっぷりにIO2の面々はケラケラと笑っている。
良い雰囲気だ。…海斗には苦痛だろうけれど。
「宗真っ、てめっ…後で覚えてろよ!」
阿波踊りをしながら、海斗は頬を真っ赤に染めて叫んだ。
この時既に、宗真は気配りというより楽しんでいただけだったり…。


桜の花びらと海斗を魔糸で繋ぐことにより、
宗真自身が操らなくとも、舞う花びらの動きに合わせて海斗は踊る。一種のオートマである。
その傍らで梨乃に酌され、美酒を飲みつつ桜を楽しむ宗真。
「この団子は、梨乃さんが作ったんですか?」
「あ、はい。どうですか?」
「美味しいです、とても。料理、お上手なんですね」
ほのぼのと言葉を交わす宗真と梨乃。
と、そこへ魔糸を気合で千切ったパンツ一丁の海斗が駆け寄ってくる。
「宗真っ、てめぇ〜〜〜!」
「何ですか、ちょっと…折角の風景が汚れますから…」苦笑しつつ言う宗真。
海斗は宗真の首に腕を巻きつけ、チョークスリーパーをキめつつ笑う。
「ちょ…やめてください…ごほごほっ…」
笑顔溢れる桜の宴。宴は、延々と続く。
全員が酔いつぶれ、あるいははしゃぎ疲れて眠るまで…。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

7416 / 柳・宗真 (やなぎ・そうま) / ♂ / 20歳 / 退魔師・ドールマスター・人形師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです。
和服宗真さんに梨乃が見惚れるというシーンを、
どうしてもやりたかった確信犯、櫻井です(笑)
ちょこちょこと色っぽさを表現する描写があるのも、
感謝と愛ゆえに…御了承下さい(笑) 海斗を操るプレイングも、ご馳走様でした!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.16 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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