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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


仮装祭り(モンスター扮装)

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OPENING

仮装祭り・モンスター扮装に関しての御連絡―
仮装祭りへの参加表明、ありがとうございます。
以下に会場詳細等を記しますので御確認下さい。
素敵な夜となりますよう、ご協力を御願い申し上げます。
イベント名:仮装祭り・モンスター扮装
会場:異界B−35地区 特設広場
開催:2008年3月19日
参加資格:本イベントに興味のある方
扮装:当日はモンスター仮装で会場に起こし下さい。

「…参加表明してねぇし」
届いた招待状を見やりつつボヤくディテクター。
そんなディテクターを見てクスクス笑い、レイレイは言った。
「あ、私です。表明出したの」
「…わかってるよ。つか、何でだよ」
「楽しそうだからです」
ニコリと微笑むレイレイ。
屈託のないその笑顔に、ディテクターは乾いた笑みを返した。

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ドラキュラに扮装したディテクターと、
可愛い魔女に扮装したレイレイ。
何度も溜息を落とすディテクターだが、かなり似合っている。
レイレイは勿論、とても可愛い。
二人はテクテクと会場を歩く。
「結構いますね。参加者」
「…そうだな」
溜息混じりに煙草を咥えて火をつけようとするディテクター。
レイレイはダメッ!と煙草を取り上げる。
「おい…何でだよ」
「ドラキュラさんは煙草を吸わないんです」
「今時のドラキュラはな、愛煙家が多いんだぞ」
「嘘ついても駄目です。ドラキュラさんは大人しく血だけを吸うんです」
「お前なぁ…俺に吸血スキルはねぇよ」

何やら騒がしい…。
魔界から異界に遊びに来ていたゼン・ダークネスは、
異界B−35地区の騒がしさに興味を抱き、上空から様子を伺う。
人間が、あらゆるモンスターに扮装して楽しそうに会話をしている…。
変わったパーティだな、などと思いつつも、
ちょっと楽しそうだ、とゼンはススーッと降りて人混みに紛れた。
異界B−35地区にて現在催されている『仮装祭り』
一回目となる今回は、モンスター扮装での参加が条件。
参加者は各々会話を楽しんだり、写真を撮りあったりして過ごしている。
(ふむ…我も、一応翼を出しておこうか)
モンスターに扮装している参加者の中で浮かないように、と翼を出すゼン。
扮装ではなく、それは本物の翼である。悪魔の翼。
ゼン・ダークネスは正真正銘の高位悪魔であり、
また、黒城・凍夜と契約を結んだ悪魔でもある。
悪魔といっても、身の毛もよだつ存在というわけではなく、
割と気さくな性格をしており、好奇心も旺盛。
だが高位であることは事実。宿す戦闘力は半端ないものだし、
魔界では配下に数々の悪魔共を従え、彼等に崇められている。
配下の者に対しては厳格に応じており、
ゼンに逆らうことは滅死を意味すると配下の者達は肝に銘じている。
(何をすべきなのだろうか…?)
人々に紛れ込んだものの、何をどうすればよいのかわからないゼン。
ゼンはクルリと周囲を見回した。と、そこで とある二人が目に留まる。
吸血鬼と…魔女だろうか。扮装した二人は何やら小さな巻物(←煙草)に関して言い合いをしているようだ。
ゼンはスス…と二人に歩み寄って声をかけた。
「そこの子連れの幸薄そうな父親の方。一つ尋ねたいのだが」
ツッこみどころ満載なゼンの発言に、ディテクターは即座に反応。
「父親じゃねぇし、幸も薄くねぇ!」
ガーッと牙を剥きだすディテクター。
本物のドラキュラと酒飲み友達であるゼンは、
ディテクターのあまりの迫力のなさに呆れ返った。
「ふむ。まぁ、よい。この宴に参加するには、どうすればよいのか教えてくれぬか」
仮装祭りに、どう参加し、どうあるべきなのかを尋ねるゼン。
レイレイは、うわぁー…と目を輝かせつつ言った。
「ただ御話とかを楽しめばいいんですよ。というか…すごくリアルな翼ですねぇ」
「そうなのか。単純なのだな」
バサリと翼を揺らして言うゼン。レイレイは凄い凄い!と大喜びだ。
「………」
ディテクターが、ジッと見やる。
視線に奇怪な表情を返すゼン。
「む…何だ…?」
「いや。何でもねぇ。悪ぃ」
フィッと目を逸らして煙草を取り出すディテクター。
「あっ!ダメッ!ダメですよっ!禁止ー!」
レイレイに、またも煙草を取り上げられる…。
ハァ、と溜息を落としつつ、ディテクターはチラリと再びゼンを見やった。
ディテクターは気付いている。ゼンは、扮装などしていない…本物だということに。
互いに名乗り、各々を適度に理解した三人。
レイレイはゼンに対して『凄いコスプレイヤーさん』というイメージが固定され、
彼が悪魔であることに気付く気配はまったくない。
(随分と社交的な悪魔だな)
キョロキョロと辺りを伺っているゼンを見つつ、理解に及んでいるディテクターは苦笑した。


何やらザワザワと騒々しくなる会場。
「む…何だ?」
何が始まるのかと尋ねると、ディテクターは溜息。
レイレイは嬉しそうに微笑んで言った。
「鬼ごっこですよ。みんなで鬼ごっこするんです」
「オニゴッコ…?」
首を傾げるゼン。知らなくて当然である。
レイレイはゼンに、鬼ごっこの楽しみ方を説明してあげた。
開始される鬼ごっこ。このイベントは祭りのラストを飾るもので、
参加者全員で鬼ごっこをする、という何とも意味のわからないものだ。
はじめの鬼は開催者である女性が担当するらしい。
女性は不気味な魔女に扮装しており、なかなか完成度が高い。
(ふむ。あやつは上出来だな)
鬼ごっこが開始され、参加者全員が散り散りに逃げ回っているというのに、
ゼンは腕を組み、冷静に主催者の扮装を評価している。
黙って突っ立ち、動く気配のないゼンは、格好の餌食。
鬼である主催者は「ヒーッヒッヒッ!」と笑ってゼンに…タッチ。
「む?」
触れられ、首を傾げるゼン。
だが、すぐにレイレイから受けた説明を思い出す。
(捕まえればよいのだったな)
バサリと翼を揺らして標的を定めるゼン。
(よし、あの女にするか)
とある女性を標的として捉えたゼンは、
フワリと空に舞い上がり、物凄いスピードで女性目掛けて急降下。
「キャァァァァァァ!!!!???」
急降下してくるゼンに爽快な悲鳴を上げる女性。
ゼンは、ポンと女性の頭に手を乗せ言う。
「こちらの世界の女の声は耳鳴りを伴うな。少し不快だ…」
タッチ。…ということで、次は女性が鬼。
以降も鬼ごっこは大盛り上がり。
良い歳した大の大人も、子供達と一緒にギャーギャーと逃げ回り、楽しむ。
だが、ゼンが鬼になったのは最初の一度だけ。
自慢の翼でビュンビュンと飛び回るゼンを、捕まえられるわけがなかった。

「はは。実に愉快だった」
満足そうに笑うゼン。
逃げ疲れて、その場に座り込んでいるディテクターとレイレイ。
まったくもって呼吸の乱れていないゼンに、レイレイは感心した。
「はぁ…はぁ…すごいですね…ゼンさんって…はぁ…はぁ…」
「何だ、まだ呼吸を乱しておるのか。だらしないぞ」
クックッと笑うゼンに、ディテクターは苦笑を浮かべて呟く。
「お前と…一緒にすんなっての…はぁ、はぁ…」
疲労をと呼吸の乱れを伴う出会い。
これが、ディテクターとレイレイにとって記念すべき『高位悪魔』との出会いだった。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■

7425 / ゼン・ダークネス / ♂ / 999歳 / 高位悪魔
NPC / ディテクター(草間・武彦) / ♂ / 30歳 / IO2:エージェント(草間興信所の所長)
NPC / レイレイ(草間・零) / ♀ / ??歳 / IO2:エージェント (草間興信所の探偵見習い・武彦の妹)

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! 毎度さまです。(^ー^* ) ゼンさんカッコイイ…!
気に入って頂ければ幸いです。 是非また、御参加下さいませ。

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2008.03.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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