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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


IO2 vs INNOCENCE (猫探し)

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OPENING

「よっしゃ…行くかっ!」
パンと両手を合わせ、意を決した表情で言う海斗。
その隣で梨乃は、コクリと頷く。
二人は揃って、異界森へ…。

「よし…行くか。時間だ」
煙草を踏み消し、フゥと息を吐いて言うディテクター。
その隣でレイレイは、コクリと頷く。
二人は揃って、異界森へ…。

異界森の入口。バッタリと遭遇する両者。
両者は互いに不敵な笑みを浮かべた後、
ザッと森の中へと入り、反対方向へと駆けて行く。
両者の目的は同じ。子猫を見つけ、保護すること。
IO2とINNOCENCE、ほぼ同時に両組織に舞い込んだ仕事だ。
どちらが先に子猫を見つけ、任務を完了するか。
誰が言い出したわけでもなく、勃発するささやかなバトル。
子猫を探す…という、とても和やかな任務なのに。
両者は本気。やる気満々である。

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INNOCENCE本部がある異界森。
退屈しのぎに顔を出してみようかと本部に向かっていた蓮。
その途中、一生懸命…必死に何かを探している海斗と梨乃を発見。
海斗は網のようなものを持っており、梨乃はカラー軍手をはめている。
ガッサガサと茂みを漁っている二人…蓮は二人に歩み寄って尋ねる。
「何してるの。楽しそうだね?」
声に反応し、パッと顔を上げる海斗と梨乃。
二人は体中に小枝やら葉っぱをつけている。
とても可愛らしく、それでいて滑稽な二人の様にプッと笑う蓮。
「楽しくねーよー!つか、手伝ってよ、蓮〜」
ブルブルと頭を振って、葉っぱを落としつつ言う海斗。
話を聞いてみると…二人は子猫を探しているのだという。
解決すれば報酬がもらえる、組織に入った一種のれっきとした任務。
和やかな内容なのにも関わらず二人が必死に作業していたのには、
ライバル組織であるIO2のメンバーと、
どちらが先に見つけられるか勝負をしているかららしい。
自分らの本部がある異界森は、彼等にとっては庭のようなもの。
すぐに見つけられるだろうと、タカをくくっていたのだが…。
捜索は難航しているようだ。
「はは。そういうことか。いいよ、協力してあげる。暇だしね」
梨乃の鼻についた泥を指で拭ってやりながら言う蓮。
海斗は百人力だぜー!と大喜びだ。
蓮に触れられ、すみませんありがとうございますと照れつつ感謝を述べる梨乃。
そんな梨乃を見て、またもやピーンと…蓮の悪戯心に火がつく。
「ねぇ、梨乃ちゃん。俺達も勝負しない?」
「え?」
「どっちが先に猫を見つけられるか」
「えっ…」
「俺が勝ったら、キスかデートね」
「えぇっ!?」
驚き頬を染める梨乃。
海斗はケラッケラと笑い、勝負しろよーと促した。
そんな海斗に蓮は言う。
「俺が勝ったら海斗くんが選んでね」
「は?何を?」
「キスかデートか」
「はっ?何で俺が選ぶんだよ?」
「そのほうがキミも楽しいでしょ」
「た…楽しいかなー?」
「ふふ。梨乃ちゃん、キミが勝ったら、どちらか好きなほうをキミが選んでいいからね」
「あ、あの…」
両方を拒んで、別のことに…という選択肢はないらしい。
結局、どちらが勝っても蓮が美味しい思いをするという内容である。
断ろうとはするものの、蓮はノリノリ。断りきれそうにもない…。
海斗の催促もあって、梨乃はやむなく勝負を受けることにした。
蓮は、自分は一人で探すから、梨乃と海斗はペアで探していいよと言った。
随分と自信があるようだ…。
蓮は二手に分かれて猫の捜索を開始する前に、こんなことも言った。
「IO2が先に見つけちゃった場合…俺、INNOCENCEを辞めるよ」
無論、いつもの冗談である。
だが、蓮の巧みな演技にまんまとダマされ疑わなかった海斗と梨乃は、それは嫌だな…と顔を見合わせて苦笑した。
「そんじゃ、頑張ってね〜〜」
ヒラリと手を振り、蓮は二人と別れて猫の捜索を開始。



捜索開始…。
蓮はスッと両手を躍らせて、使い魔の鎌鼬を複数呼び出す。
白いオコジョ姿の鎌鼬は、蓮の「よろしく」の一言で、
サーッと四方八方に地散り、周辺の調査と捜索を開始した。
「さて…」
蓮は、というとテクテクと森を歩くだけ。
とはいえ、精神を集中させ、風の流れを読みつつ…。
自然な風の流れに異変があれば、すぐにわかる。
木の枝にリスが止まっていれば、風の流れは少しうねる。
リスは木の一部ではなく、本来そこにあるべきものではないから。
森林浴は蓮の趣味の一つだ。
木々の間を抜ける風の流れの癖は把握済み。
のんびりと散歩をしているように見えるが、
蓮は実に効率的に捜索をしている。

さて、一方。海斗と梨乃はどうしているかと言うと…。
「ちょっと…真面目に探す気ある?」
「あるよー」
「ないでしょ」
「あるってー」
「………」
蓮が捜索している方向とは反対側で猫を捜索しているのだが、
必死に捜索しているのは梨乃のみ。海斗は網をブンブン振り回して遊んでいるだけだ。
蓮が捜索に協力してくれたイコール蓮が見つけてくれる。
海斗の中で成立した方程式。おまけに、蓮が勝った場合面白いものも見れる?
海斗がサボるのは、当然のことである。
梨乃はプンスカと頬を膨らませ、一生懸命猫を探す。
どう足掻いても自分は蓮が喜ぶ奉仕をしなくてはならないのに…。
それを理解した上で、梨乃は捜索している。もはやヤケクソなのだろう。
海斗は網で梨乃の頭を捉えて邪魔したりしつつケラケラ笑う。
「ちょっと!邪魔しないでよぉっ」
「あっはっはっはっ」

海斗と梨乃の会話は、蓮に筒抜けである。
風で声を拾っている為、二人の遣り取りが目に浮かぶようだ。
クスクスと笑いつつ捜索する蓮。
と、そのとき…風の流れがおかしい箇所を感じ取る。
同時に捜索にあたっていた鎌鼬達もタターッと蓮の元へ戻ってきた。
鎌鼬から得る情報と、自身が感じ取った風の流れの異変。
それらを併せた結果…。
「はは。見つけた」
木の上で昼寝をしている猫を発見。
かなり高い位置で眠っている為、普通に探して見つけるのは大変だっただろう。
蓮はフワリと風を操り、眠っている猫を木の上から下ろし腕に抱く。
猫はキョトン…としていたが、逃げ出すことなく蓮に捕獲された。



「さて。どっちにする?」
猫を抱いたまま微笑んで言う蓮。
蓮vs梨乃…勝者は蓮。ということで、蓮は海斗に選択を迫った。
梨乃が自分とキスをするかデートをするか、どっちがいい?と。
「だからさ、何で俺が選ぶんだよ」
苦笑しつつ言う海斗。選択を迫られるものの、彼はなかなか返答しない。
自分が勝ったんだから、自分が選べばいいだろーと言っているのだが、
何だか…海斗の笑顔は曇っているかのように…見えなくもないような?
海斗の表情を存分に楽しんだ蓮はクスクスと笑って言った。
「じゃあ俺が決めるよ。そうだなぁ…じゃ、キスで」
ニコッと微笑み、ツカツカと梨乃に歩み寄る蓮。
「ぅ…」
梨乃は一歩退き、頬を真っ赤に染めている。
はい、どうぞ?とばかりに目を伏せる蓮。
梨乃はたじろぎ、海斗に困惑の眼差しを向ける。
どうすればいいの、助けてよ〜という梨乃の眼差し。
だが海斗は一言「すればいーじゃん。ほら、ささっと」そう言うだけ。
どことなく素っ気無い言い方である。…何か、不機嫌?
(う〜〜〜…)
梨乃は散々悩み戸惑った後、意を決して…蓮の頬にキスしようと唇を近づける。
あと五ミリほどでキス、という時にバチッと目を開く蓮。
そして、蓮は楽しそうに笑って言った。
「あははは。冗談だよ、冗談」
いつもの冗談だとわかって、ホッとしたのか、
梨乃は、その場にヘタリと座り込んでしまう。
「ぷぷぷーっ!!蓮、からかいすぎ!」
お腹を抱えて笑う海斗。梨乃はキッと海斗を睨みつけた。
海斗が、心のどこかでホッとしているとも知らずに…?

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■

7433 / 白月・蓮 (しらつき・れん) / ♂ / 21歳 / 退魔師
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは!(^ー^* )
発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
このプレイングは…楽しすぎです(笑)
蓮くんは本気じゃなくネタなのでしょうが、妙な三角関係が成立しつつあります(笑)
というか、櫻井の中で成立していた 『海斗が隠してる気持ち』を、
まさかこんな早くに露呈することになるとは…。
さすがですね、蓮くん(笑)お見事でした!
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします^^

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2008.03.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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