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<東京怪談・PCゲームノベル>


INNOCENCE スカウト

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OPENING

異界の辺境、廃墟が並ぶ不気味な地域。
魔物の出現が頻繁な、物騒地。
異界の住人でも、好き好んで寄り付く者はいないであろう、この地に存在する、
美しき白亜の館。
その館から、今。
一人の少年が、姿を現した。
「はぁ〜。ひっさしぶりだよな。スカウト!腕が鳴るぜ〜」
伸びをしながら、サクサクと歩く、何とも楽しそうな表情の少年。
そんな少年の後ろを、小柄な少女が、ゆっくりと付いて行く。
少女は、少年の背中に忠告を突き刺した。
「…誰でも良いわけじゃないんだからね」
「わ〜かってるよ」
ケラケラと笑いつつ返す少年。
無邪気な少年に、少女は溜息を落とす。

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(ふふ。久しぶりに良い買い物をしましたわ)
御機嫌で異界辺境を歩いているアレーヌ。
彼女が御機嫌な理由、それは入手した剣にある。
少し値は張ったものの、デザインといい重さといい、
何もかもがアレーヌ好みだったのだ。
一刻も早くサーカステントに戻り、団員に自慢しなくては。
大満足なアレーヌの足取りは軽い。
だが、そんな彼女に牙を剥く魔物がいた。
機嫌が良いからといって手加減してくれるわけではない。
寧ろ、良い武器を手に入れたのだ。
それを存分に試す機会となる。
それすなわち、容赦なく斬り刻まれるということ。
けれど魔物は、そんなところにまで頭が回らない。
『ガァァァァッ!!』
気配を絶ちつつアレーヌに近づき、
一気に背後から噛み付こうと大きな口を開けて襲い掛かる魔物。
アレーヌはフッと口元に笑みを浮かべ、
指を弾いて、入手したお気に入りの剣を出現させる。
「はぁっ!」
振り返ると同時に一歩踏み込み、ブンッと剣を振るアレーヌ。
弓状に赤い残像が残る。
そして、三秒後。
魔物は不気味な青い液体を撒き散らし、真っ二つに。
ビチャビチャと青い液体が周囲に飛び散る中、
アレーヌは剣を光にかざし、ウットリ。
(いい…いいですわ…ふふ…)
どうやら、使い勝手も良いようだ。
これで、この剣はアレーヌの宝物の一つと化した。
グチャグチャになった魔物を放置し、再び歩きだすアレーヌ。
赤い剣は、まるで炎の如し。
刃にはミステリアスな紋章がタトゥーのように刻まれている。
この紋章が威力を増加させる、一種の魔剣の類であろう。
剣を眺めつつ満足そうに微笑み歩くアレーヌ。
だが、酔いしれる至福の時間を邪魔する者が現れる。
魔物を倒し、再び帰路に着き始めて早々、気付いていた気配。
偶々、あの場に居合わせて見物していたのだろうと思っていたが、
どうやら、そうでもないらしい。
気配は、ずっと後をついてきているのだ。
垂れ流しにされている気配。
全くもって気配を消そうとしていないことから、
敵意はないものだと判断できるが…尾行られて良い気分なわけがない。
アレーヌは剣を持ったまま、クルリと振り返る。
「そこにいるのは解っておりますのよっ!潔く出てきたらどうですのっ!」
アレーヌが叫ぶと同時に、ザァッと辺りに吹きすさぶ春一番。
纏う赤いドレスと、その上に羽織っているロングコートの裾がヒラヒラと蝶のように揺れた。
大声に応じ、尾行ていた者が姿を現す。
茂みから現れたのは少年と少女…おそらく、まだ二十歳そこらであろう。
「やっと声かけてくれたー。ずーっとシカトされんのかと思ったよ」
ハハハッと笑う少年。
黒いパーカーに黒いニット帽、黒のカーゴパンツ。
上から下まで真っ黒。黒尽くめな少年は、とてつもなく無邪気な笑顔だ。
「声をかけるタイミングを伺っていたんですけど…すみません。結果的に失礼になってしまいましたね」
そう言ってペコリと頭を下げるのは少女。
白いシャツに赤チェックのネクタイ、七分丈の黒のカーゴパンツ…。
一見可愛らしいが、こちらの少女は、どことなく表情に影がある。
「何の用ですの」
フゥ、と息を吐きつつ尋ねるアレーヌ。
すると少年と少女は何やらヒソヒソと話し合いを始め、ウン、と互いに頷く。
「………」
質問に答えなさいよ、と不愉快そうなアレーヌ。
と、次の瞬間。
少年は、腰元から銃を抜き、チャッと銃口をアレーヌに向けて構えた。
不思議な形の銃…見たことのない型だ。
銃口を向けられつつも、冷静に、そんなことを思っていたアレーヌ。
けれど、少年が発砲した途端、アレーヌは大きく目を見開いた。
ドッと放たれた銃弾が…炎だったのだ。

飛んでくる炎をサッと避け、アレーヌは不敵に微笑んだ。
どういうつもりなのかは知らないが、
自身と同じ炎属性の武器を扱う少年は、格好の相手だ。
愛でていた新しい武器を、フッと息を吹きかけて消し、
アレーヌはベストフェイバリットウェポンである、灼熱のレイピアを手元に出現させた。
※↑アレーヌ命名:一番お気に入りの武器…?
「おっ!お揃い属性っ?よろしくっ」
少年はニコニコと微笑みながら、間合いを保ちつつ発砲を繰り返す。
少女の方は…見物しているだけのようで、
加勢してくる気配は感じられない。
アレーヌは飛んでくる炎をレイピアの炎で相殺吸収しつつ、
少年と同じように、とりあえず冷静に間合いを保つ。
相殺吸収していくことで、
アレーヌのレイピアが纏う炎は豪炎と化していった。
「やぁっ!」
一気に間合いを詰めてブンッとレイピアを振るアレーヌ。
周囲の草木が薙ぎ払われて炭と化す。
忍者のような身のこなしで、
アレーヌの一撃をかわした少年は上空。
どういうわけか、空中に浮いている。
アレーヌはキッと見上げ少年を睨みつけた。
すると少年はハハッと笑い、空中で一回転すると、
その勢いのまま、左足で空を蹴った。
ブワッ―
「!!」
一気に至近距離へと間合いを詰めた少年。
アレーヌは小さく舌打ちをしつつ、武器を接近に特化したものへ変えようと指を弾いた。
アレーヌが指を弾くと同時に、少年はニッと笑いアレーヌの頬に触れ、
「可愛い顔してんね?」
そう言って、再び空を蹴り、ギュンと遠く間合いを取った。
「いきなり触れるなんて、無礼ですわ」
不気味な笑みを浮かべ、無数の投げナイフを躍らせるアレーヌ。
その表情に、何だかマズそうだ…と感じたのだろう。
少年はケラケラと笑いつつ、逃亡した。
「逃がしませんわっ!」
ヒュヒュンと投げナイフを放つアレーヌ。
その腕前は見事なものだ。
放った投げナイフは、的確な箇所にカカッと突き刺さる。
「うへー。マジかよ」
ナイフは少年の衣服に突き刺さり、そのまま少年を大木に拘束した。
追い詰められる少年。
アレーヌは、ふふんと鼻で笑いツカツカと少年に歩み寄っていく。
「マジかー。こーゆープレイが好きなの?キミって」
「なっ…何、言ってますのっ!?」
「俺、こーゆーのはちょっと苦手なんだけどー」
「あ、あなたねぇ…」
ケラケラと笑う少年と、それに呆れるアレーヌ。
そこへ少女がやってきて、クスクス笑いつつ言った。
「そこまで、よ」


突然襲い掛かってきた理由。
それを聞いて、アレーヌはキョトンとした。
彼等は、INNOCENCEという組織のエージェントで、
アレーヌを組織にスカウトしたいのだという。
事前に情報を収集しており、二人はアレーヌの後を尾行ていた。
アレーヌが剣を買ったときも傍にいたらしい。
剣に夢中になりすぎていて、アレーヌは気付いていなかったのだろう。
イノセンスは、近頃何かと評判の組織。
IO2とライバル関係にあるとか、本部が豪邸だとか、
異界各所で本当なのか嘘なのかわからない様々な噂を耳にする。
実際に手合わせしてみた結果、
少年と少女はアレーヌの才能と実力を高く評価。
是非、加入して欲しいとのことだ。
「加入…って言われましても、わたくしはもう…」
「あ、うん。知ってる知ってる、サーカスでしょ?」
「ご存知ですのね」
「うん。色々調べさせてもらったからね」
「…悪趣味ですこと」
「ははっ。でもさ、問題ないよ。かけもちとかオッケーだし」
「そうなんですの?」
「うん。実際、そーゆーエージェント結構いるしね」
「ふぅん…」
少年いわく、イノセンスはかなりフリーな組織らしく、
他組織とのかけもちも容認しているとのこと。
実際、本業・本職があって、
エージェントとしての活動を副業にしている者も多いそうだ。
必要としたときは、率先して協力して欲しいけれど、
それ以外で拘束することはないとのこと。
加えて、仕事に困ることもなく、
入る依頼の報酬は、美味しいものばかりだとも言う。
好条件過ぎて逆に怪しくもあるが…。
アレーヌはしばらく考えたあと、ウンと頷き告げた。
「わかりましたわ。じゃあ、早速…その本部とやらに案内していただけます?」
「オッケーィ!よろしくな、アレーヌ!」
「わたくしの名前…あぁ、調べたんですのね」
「うん。あ、俺は海斗ね。よろしく! で、こっちが…」
「梨乃と申します。よろしくお願いします。アレーヌさん」
満面の笑みで名乗る少年と、礼儀正しく名乗る少女。
アレーヌは二人の握手に応じ、イノセンス本部へと向かう。

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■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

6813 / アレーヌ・ルシフェル / ♀ / 17歳 / サーカスの団員・退魔剣士(?)
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント
NPC / 白尾・梨乃 (しらお・りの) / ♀ / 18歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ THANKS ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは! いらっしゃいませ!('∀'*)ノ
ゲームノベル”INNOCENCE”への参加・発注ありがとうございます。
発注・参加 心から感謝申し上げます。 気に入って頂ければ幸いです。
INNOCENCEは、関連シナリオが幾つもありますので、
是非。また、ご参加下さいませ^^

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2008.03.28 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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