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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


虹色の小石

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OPENING

(こりゃまた妙な…)
煙草を買いに来た武彦が、自動販売機の傍で発見したもの。
それは、光の加減で美しく虹色に輝く小石。
どこから見ても普通の石ではなく、不思議な石だ。
「高く売れそうだな…」
思わずポツリと呟く武彦。
確かに、こういう品を好む者はいる。
というか、こういう品を求めている物好きな女を武彦は知っている。
そう。アンティークショップの店主だ。
虹色の小石をジーッと見つつ、
どのくらいで買い取って貰えるだろうか…と考える武彦。
と、その時。
背後から、けたたましい声が飛んできた。
それは聞き覚えのありすぎる声。
振り返ると、そこには、全身 黒尽くめの少年がいた。

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暖かい春風を頬に、公園のベンチでクレープを頬張る吉良乃。
闇の世界に生きる彼女も、たまにはこうして日の光を浴びて骨休め。
良い天気ね。ん…美味しいわ、このクレープ。
吉良乃が買ったのは、ラズベリーソースたっぷりのクレープ。
新商品だよ、と店員に進められ、じゃあそれで良いわと購入。
予想外の美味しさだ。思わず顔が綻ぶ。
クールにキメている彼女も、女の子。
甘くて美味しいスイーツが嫌いなわけがないのだ。
はむはむ…とクレープを食べていると、
何やら騒がしい二つの声が近付いてきた。
「返せよー!返せー!」
「うるせぇなぁ、お前は〜」
「てめーが、返さねーからだろー!」
「いいか、海斗。よく聞け。こいつはな…かなり高値で売れるぞ?」
「知るかー!返せー!」
ディテクター…いや、こちらでは草間、か。
隣にいるのは…誰だろう。見たことのない少年だ。
クレープを食べ終え、腕を組んで二人を見やる吉良乃。
必死に何度も飛び跳ね、武彦から何かを取り戻そうとしている海斗。
よっぽど大切なものなのだろう。
海斗の必死さ加減に、そう把握した吉良乃は、
武彦に、盗ったもの(なのかは知らないけれど)を返させようと、ゆっくりと立ち上がる。
詳しいことはわからないけれど、
どう考えても、非は武彦にある。
子供相手に…何を大人気ないことをやってるんだか。
呆れつつ、ツカツカと二人に歩み寄る吉良乃。
だがしかし…。
「てめ、いー加減にしろよなー!にゃろー!」
「うぉっ。ちょ、おま…」
思いっきりタックルした海斗。
その勢いに、グラッとよろめく武彦。
嫌な予感…それを感じ取った瞬間、惨事は起きた。
ドォンッ―
よろめいた拍子に手から落ち、カシャンと砕け散った小石。
砕けると同時に、小石は爆音を立てて爆発した。
小石は海斗の宝物。
最近、彼が所属している組織で流行っている "魔石"
自身の魔力を、半透明の石の中に封入するというもの。
その身に炎を宿していれば、球中では紅い炎が。
水を宿していれば、球中では葵い水が揺れる…といった仕組みだ。
光の当て具合により、虹色にも輝くこの小石。
半透明の不思議な石は、異界にしかないもので、
性質は、ガラスにとてもよく似ている。
故に、激しい衝撃を加えれば…割れて当然だ。

*

「げほーっ!げほっげほっ!」
「ごほ…」
爆発煙に咳き込む海斗と武彦。
次第に晴れていく煙。
何してくれるんだ、てめー!と掴みかかろうとした海斗だが、
目の前の武彦を見て、怒りの感情がフッ飛んでしまった。
「あ…ははははははははははははははは!」
武彦を指差してゲラゲラ笑う海斗。
爆発により、武彦の髪はアフロヘアーに。
楽しそうに笑っているが、海斗も見事なアフロだ。
そして、二人に歩み寄っていた吉良乃も…。
「………」
ボーンと爆発した髪。
いつも丁寧にセットしているのに。時間を掛けて。
懐から取り出した手鏡に映る自分の無残な髪に、わなわな…。
吉良乃は眉間にシワを寄せて デザートイーグルを腰元から抜き、
チャッと構えると、問答無用とばかりに乱射した。
もとはといえば、武彦が拾ったものを返さなかったから。
というわけで、乱射は、武彦の足元へ。
「ちょ、ま…き、吉良乃っ。待っ……」
華麗なステップで弾丸を避ける武彦。
カキン、カキンと地に跳ねる弾丸と、それらを必死に避ける武彦。
まるでタップダンスを踊っているかのようだ。
武彦の滑稽な姿に、海斗は更にゲラゲラ笑う。
弾切れ。静まり返る公園。
吉良乃は、ラズベリーソースがついていた親指をペロッと舐めると、
「後は任せるわ。坊や」
そう言い残して、スタスタと立ち去って行った。

「あいつ…酷すぎるわ…」
ぺたん、と座り込み苦笑する武彦。
海斗は尋ねる。
「知り合いなのか?」
「あぁ、向こうで仕事を手伝ってもらったり…な」
「ふーん……」
「どうした?もしかしてタイプか?」
「ちげーよ。そーじゃなくてさ…何つーか…」
「ん?」
去って行く吉良乃の背中を見つつ、むー?と首を傾げる海斗。
吉良乃は、"誰か" に似ているような気がする。
それも、かなり親しい人に。
その "誰か" を必死に思い出そうとする海斗。
だが、思い出せない。どういうわけか、繋がらない。
すぐにでも思い出せそうな気はするのに、記憶を繋ぎ合わせられない。
(誰だっけ…あー…もやもやするなー…)
思い出そうと必死になるも、一向に思い出せない。
その状態に、海斗は顔をしかめた。
何だか神妙な面持ちだが…アフロだからなぁ。微妙…。

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■■■■■ THE CAST ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

7293 / 黒崎・吉良乃 (くろさき・きらの) / ♀ / 23歳 / 暗殺者
NPC / 草間・武彦 (くさま・たけひこ) / ♂ / 30歳 / 草間興信所所長、探偵
NPC / 黒崎・海斗 (くろさき・かいと) / ♂ / 19歳 / INNOCENCE:エージェント

■■■■■ ONE TALK ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは。発注ありがとうございます。心から感謝申し上げます。
気に入って頂ければ幸いです。また、どうぞ宜しく御願いします^^

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2008.05.19 / 櫻井 くろ (Kuro Sakurai)
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