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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


呼ぶので


「桔梗が呼ぶので」
 彼女はそれしか話さなかった。かれこれ数十分、一つ話題を出せばこの結論に辿り着くと言う不毛な会話が続いている。
 桂(けい)がこの女性を見つけたのは数日前だ。何時ものように遅刻寸前の出勤中、時計の力を使おうと立ち止まった所で、ふと目に入ったベンチに座っているのをちらりと見かけた。その後帰り道同じ場所を通ってみれば、彼女も同じようにベンチに腰掛けている。次の日少し早めに出勤すれば、黙ったままの彼女がそこに座っている。そして今日まで、ずっと同じままだったのだ。
 飲まず食わずのままずっとベンチに座っている女性。何かあるのだろうと、桂は彼女に声をかけた、と言う訳である。

「それで、……桔梗が呼んでいる、と言うのは、なんなんですか」
「そのままです。桔梗が呼んでいるのです」
「それが、あのベンチにずっと座っている理由だと?」
「はい。水色の桔梗が呼ぶので」

 白い肌に黒い長い髪、茶色い瞳の女性。二十代に届くか届かないか、と言った外見である。桂はふうと溜息をつき、細い指で頭を掻いた。こちらから何かを聞こうとしなければ決して何も答えない彼女の、発言の行く先を知りたい。もしかしたら記事になるかもしれないし、……ならないかもしれない。
 しかし、ずっとこうしてやりとりを続けているわけにもいかない。何と言っても、今も既に遅刻寸前であるからだ。とりあえず、今は出勤しよう。そして、後に調査をしてくれる人々を集め、結果を報告してもらおう。

「桔梗が呼ぶ限り、あなたはここにいらっしゃるのですね?」
「はい。水色の桔梗が呼ぶので」
 予想通りの答えが返ってきたことに、桂は苦笑した。



 翌日、花壇の前のベンチ、つまりあの女性の目の前に現れたのは、歌川・百合子(うたがわ・ゆりこ)であった。ロマンチックな出来事を求めてアトラス編集部の近辺をうろついていたところに、桂が気付いて声をかけたのである。桔梗に呼ばれている女性と聞いただけで、百合子はその話と女性の神秘的な魅力に惹き付けられてしまったようで、依頼を二つ返事で了承した。自分の雇い主である兎月原・正嗣(うつきはら・まさつぐ)にも手伝いの許可を貰い、うきうきと女性のもとへやって来たのだ。
 話に聞いたとおり、女性はぽつんとベンチに座っていた。都会の公園の真ん中でじっと佇んでいるその様子は、目に留めさえしなければ自然なままであるのだが、気付いてしまうとそこだけ時間が止まっているかのような妙な雰囲気を持っている。
 百合子が近づいても、彼女は顔を上げることさえしなかった。目の前で手を振ると、かろうじて視線をこちらに向けた。

「こんにちは」
 百合子が小さく会釈をして話し掛ける。女性は短い瞬きをしてそれに応えた。
「少し、お話してもいいですか?」
「はい」
 起伏の無い、淡々とした声だ。表情も殆ど変えることなく、呼吸から心臓の鼓動までゆっくりとしているような、静かな印象を与える。風の吹かない湖畔とか、雲が一つも無い空とか、まるで写真の中の風景の様。あくまで写実的で現実味を帯びた存在は、寧ろ活気を感じさせない程に動きの無い、くっきりしすぎている影に似ている。どこかのここではない時代の流れから、彼女だけが置き忘れられてしまったのではないだろうかと言うくらい。

「どうして、ここに居るんですか?」
「桔梗が呼ぶので」
「ご飯は食べないんですか?」
「はい。桔梗が呼ぶので」
「桔梗が望むのなら、ここから動く事もありますか?」
「はい、桔梗が呼ぶのなら」

 一見何の意味も成さないような会話だが、百合子は言葉をひとつひとつ拾っては、宝物を見つけたかのようにうんうんと頷いていた。桂から話を聞いた時に彼女なりに思い浮かんだ女性のイメージを言葉でなぞっているのだ。
「桔梗って、あなたの内側に居るんですか? それとも、外ですか」
「……。どちらにも、居ます」
 その解答に、百合子はうーんと呟くと腕を組んで、小さく首を傾げた。
「内側からも、外側からもですか」
 少なくとも、今女性の傍に居る自分には、桔梗の声らしきものは聞こえない。しかし彼女は外側からも声がすると言う。桔梗の声に興味を持ち、自分にも聞こえないかと思っていた百合子にとっては残念なことであったが……実際に聞こえる『音としての声』とは違う、と言う事は解った。
「桔梗の声、綺麗です?」
「ええ、とても」
 少しがっかりした気持ちを抱きながらも、女性へ尋ねる。声を思い出すように目を閉じた女性は、答える時僅かに微笑んだ様に見えた。

「いいなあ、綺麗な声なんだ」
 桔梗の花びらが開き、そこから囁くような声がする所を想像してみた。それは例えるなら風の音だろうか、それとも鳥の歌だろうか。雨音かもしれないし、さざなみの音にも近いのかもしれない。もしかしたら、呼吸や心臓の音かも。言葉の形を取っていない、ただの音だったとしても、それはそれでとても美しい。
 女性がここから動かないのであれば、『呼んでいる』限り、命令のような厳しい物言いではないに違いない。綺麗な声で延々と歌を歌う桔梗と、その声を聞きながらずっと何かを待っている女性。童話のワンシーンのようだ。
 百合子は目を瞑り、細く長い呼吸をした。空気が肺を満たすイメージ。見えない流れが体中を駆け巡るのだ。ここに来る前に予想していたこと……この女性の中に桔梗が植わっているのかもしれない、と言うのも、あながち間違いではないのかもしれない。目に見えるもしくは目に見えない形で女性の中に咲く桔梗が、外側からやってきた声に返事をしているのでは。

「どこに呼ばれているか、解りますか」
「どこなのでしょう……。ただ、私の名前を呼んでいる、のです」
 座ったままの女性の茶色い瞳を見つめ、視線を合わせるように少し屈んだ。
「桔梗とあなたは、何を望んでいるのでしょう」
「何なのでしょう……」
「呼ぶということは、出会い? それとも、別の何か?」
「解りません。ですが、一つ浮かぶ影は……ぼんやりと、悲しみのような幸せに、見えます」
 女性はほんの少しだけ視線を逸らしたが、それでも真っ直ぐに百合子の瞳を見つめ返した。百合子は小さく頷き、形作られていく物語の輪郭を、撫でるように確かめていた。



 その頃である。百合子が女性のもとへと向かった後、その報告を受けた卯月原は、ベンチのある公園とその周辺で起きた過去の出来事を調べていた。『水色の桔梗』と言うキーワードから瞬時に思い浮かんだのは、明智光秀の家紋である。反して、桔梗の花言葉は、裏切りの色を見せない単語ばかりだ。
 何か、不吉な出来事に関わる事にならなければ良いのだが……。妙な不安を抱えたまま、それでも黙々と資料に目を走らせていた。聞いた情報によれば、女性の年齢は二十歳前後である。彼女がいたと思われる時期から少し過去の時代まで、不自然な事件は無いだろうか。女性がベンチに座っている事から、公園に関連する出来事である可能性は否めない。公園が出来た前後から現在までの資料を見るべきだろう。調べる資料の時期に見当をつけて、『桔梗』や『呼ぶ』、女性の外見などを思い起こさせるような記述が無いか、隅から隅まで視線を流す。

(出来れば一度、女性にも会ってみたほうがいいかもしれないな。危険が無いとは言い切れない)
 依頼を受けたのはあくまで百合子であるから、彼女の行動に支障が無い程度にしなければならないが。
(しかし、女性は何故今まで見つからなかったのか……やはり、霊的なものだと考えるのが妥当だろうか?)
 読み終えた資料の束を机から下ろし、次の束へと手を伸ばす。

 公園自体が最近出来たものらしく、資料の数はそこまで多くは無かった。しかし、小さな事件から大きな事件まで、万が一のことを考えて目を通さなければならない。事務ならば百合子の方が得意なのだが、彼女は直接女性に会いに行ってしまっている。まずは情報を集めるのが先だと教えておけば良かっただろうか。その方が仕事も進みやすいし、自分の負担も軽くなる。しかし、日常的にロマンを求める百合子は、女性の話を聞いた途端目を輝かせてほわほわと辺りを飛び回りそうな程この出来事が含んでいるロマンに心を奪われてしまったらしい。彼女にとっては、植物からの声が聞こえるなんて、どんなにケーキを並べられても味わう事も出来ない程の甘味なのだろう。

 この仕事が終わったら、この資料の束の倍以上の事務仕事を押し付けてやろうか。そんなことを考えながら、さてと次の資料へ手を伸ばす。時計は午後二時を廻り、太陽も高く昇っていた。


 どこか遠くの病室、開け放された窓の傍で、風鈴がちりんと鳴る。吹き込む風に薄いカーテンが揺れて、ほんの少し空いた隙間から太陽の光が差し込んだ。白い部屋。聞こえるのは細い呼吸と風鈴の音。鈴の表面には、二輪の桔梗がひっそりと咲いていた。気配の無い部屋。鈴の音は時の訪れを示すかのように響く。水面に投げられた小石の作る波紋。その音が辿り着くのは、誰もが気付いてながら見つめる事のない場所。手を差し伸べているのは、未来か、それとも自分か。歩き疲れた者の下にも道はある。耳を澄ませば、見えない誰かの足音さえ聞こえてきそうな、眠りと暗闇の世界。……白い部屋。愛と愛に勝ち負けは付かない。ただしくしく痛む心が、どの場所で泣くのを望んでいるのかだ。
 人は大抵問題に突き当たるものである。しかも、どう転んでも後悔するであろう問題ばかりだ。


 ベンチの前でぼうっと女性を見つめている百合子。二人の間には、あれからも沢山の言葉のやりとりがあった。今は小休止とでも言った所であろうか。ずっと喋りっぱなしと言うのも疲れるし、しかし聞きたいことは山ほどある。次は何を聞こうかと、頭の中で質問をあれこれ考えていた。
 不意にこちらへ向かってくる足音に気付く。雑踏から離れてゆっくりと公園のレンガを踏みしめる足音。顔を上げて振り返れば、それは見知った顔であった。
「あれ、兎月原さん」
 百合子の声に、兎月原は片手をひらひらと振って応えた。それに微笑む百合子だが、何かにはっと気付いて口元に手を当てる。
「仕事、ちゃんとやってるよ。わ、忘れてないよ、目的。話の内容もしっかり覚えてるから!」
 大方、自分の仕事の進み具合を調べに来たのだろう。丁度休憩している時に現れた雇い主に向かって、サボってた訳じゃないんだよ! と両手を振って状況を説明しようとする百合子。それでも、どれだけ仕事が進んでいるのか説明しようとして、えーと、とか、その、とか、口篭もってばかりであったが。

「いやいや、そうじゃなくて」
 わたわたと落ち着かない百合子を笑顔と手振りで優しく制する兎月原。
「こっちでも、色々調べたんだ。そうしたら、過去ここで起きた事件に引っかかった」
 一枚の資料を取り出して、それを突付く。見る限りそれは新しいもので、数ヶ月から数年前のものであることは安易に想像がついた。
「冬。ここで待ち合わせをしていた男性が通り魔に刺されて死亡。死体は毎年桔梗の花が咲く花壇の中にあった」
 ベンチの裏の花壇を指差し、そこに桔梗が植わっていたころの写真を見せる。今はまだ茶色い土を覆うように、淡い花を開いた桔梗。
「男性と会うはずだった女性は錯乱して自殺未遂。今は病院で昏睡状態」
 百合子は瞬きをした。ベンチに座っている女性は取り乱しこそはしなかったが、ぴくりと指を動かしたように見えた。
「真実がここにあるのだとすれば。……あなたは、誰だ?」
 資料を持った手を下げて、兎月原はじっと女性を見つめた。殺意も信頼も無い視線。他に桔梗が関連している事件は無かった、と付け足す。この事件に関わる人物であるにしろないにしろ、返答は何かしらの情報になる。

「ただ、桔梗が咲くのを待ってたのよ」
 一瞬の沈黙を破り、百合子は顔を綻ばせた。
「桔梗に呼ばれていたんだもの。そうですよね」
「はい」
 俯いた女性を見ながら、くりくりとした黒い瞳を細め、頷く百合子。

「男性を刺したのは、本来結ばれるはずだった花嫁」
 兎月原が目を瞑り、駆け落ちようとした恋人達の片方へ声をかける。
「水色の桔梗は、あなたとあなたを呼んでいる人そのものだった」
 だから、ふたつの呼び声がするのだろう。歩んでいた道を戻るべきか、ゆくべきか。迷う間にも時間は流れる。真っ暗な道。桔梗の形をしたランプ。足元を照らしてみても、来た道もゆく道も見えるはずはないのだけれど。それでも声は聞こえるのだ。こっちへおいで、帰っておいで、と。

「自分からも、想っている人からも呼ばれているんだ」
 百合子の言葉に、女性は目を伏せた。
「どちらにいきたいですか。……迷っていたから、ここに居たんですよね?」
 例えるなら、相手の両手を自分の両手で包み込むような。そんな声。
「あたしは見守ります。どんな結末も、受け入れたい」
 あなたを救えるのはあなただけ。百合子の声は、背中を押しもしないし、灯りを消す事も無い。ただ、足元に影があることを、優しい歌声で気付かせる。

「わかりました」
 目をほんの少しだけ開き、女性は膝の上で手を組んだ。
「明日には。明日には……答えを出しておきますから」
 どこへ向かうか、帰るか。百合子はゆっくり立ち上がる。兎月原は資料を仕舞い、小さく頷いた。

 どこかで風鈴が鳴ったのは、偶然ではなかったであろう。吹く風は様々なものを奪い去り、時には伝え、終点へと導く。ゆくべき場所を知っているのは、風だけでは無い筈なのだ。辿り着く場所全てが運命。選択する答え全てが正解。未来に立てば、過去に望んだ事なんてもうなくなる。数々の後悔を拾い集めながら、人はひとつの道だけを歩んでいく。人々が運命など無いことこそ運命であったと気付くのはいつだろう。ガラスの桔梗が揺れる。りいんりいんと音がする。今にも砕けて割れてしまいそうな、透き通った音色。



「百合子は、どんな結末を望んでいたんだい?」
「ロマンチックなものなら、と」
 見守る者とはつまり無力な存在であり、決して手を出さないと誓うべき者である。あるべきものをあるべき形として置いておき、向かうべき方向へと向かうことを望む。それはある種の力ではあるのだが、他の力が働けば湖の月の様にたちまち崩れてしまう。またそれを力と思えるのならば、全てを包み込む空気にすらなることが出来るのであろう。檻は、外に求めるものが生まれて初めて檻となる。さて、二人の場合はどうだったのだろう。言葉とは不完全なものであり、人の気持ちとは解りえないものである。たとえどんな言葉がそこに咲こうとも、地に張った根の美しさと力強さ、そしてそれの伝えんとしている物語は、各々以外に知ることはそうそう出来ない。
「そうか」
 真の幸福然り、心の痛み然り。“えがかれたもの”以上の叫びを読み取る事は、絵画にとって雑音であるか否か。創り出した者の手を離れた作品は他人のものであると言うが、それでも創り出した者の心は宿っていないと言い切るのは忍びない。想いのある物には魂が芽生えると言う。時間すらも超えるそれは何を語るのだろう。
 百合子はどんな表情をしていたのだろうか。兎月原は彼女の肩越しに空を見ていた。

 “最善の選択”など、どこにも無い。
 後ろ手に手を組んで歩く百合子と、その後をゆっくりと追う兎月原。
「さて、桂さんにどんな報告をしよう」
「報告するべきだと思うことをある程度纏めてからの方がいいだろう。直接伝えようとすると、いつも関係ない方向に話が進むからな。勿論、あの女性との会話をしっかりと覚えているのならば、だけれど?」
「うううー、がんばる……。うん、がんばるよ……」
 事務の仕事は慣れているとは言え、気を抜けば椅子に座っていてもほわんと半分夢を見てしまう百合子のことだ。ここまで事が進んだが、最後の最後で失敗してしまっては大変である。ほんの少し俯いて頭を捻り、ついには腕を組んでうーんと唸り。書きたいことは沢山あるけれど、仕事なんだから簡潔にまとめたほうがいい。でも、相手は編集部。ネタになるかもしれないし、なるべく多くの情報を書いておくべきか……そうすると、関係ないことまで書いてしまいそう。
 お腹がすいたときの様に黙りこくってしまった百合子を見て、兎月原は苦笑した。女性が悪霊の類であったのならば危険と判断し、念のために公園まで出向いたのだが、幸いにも別段危ないと感じることは起こらなかったし、報告さえ上手くいけば依頼も成功するだろう。ある意味で、この報告が一番危ないかもしれないが。彼女の性格がら、ひょっとしたら読書感想文のようになってしまうかもしれない。これは、翌日までに終わるかどうか。
 水色の桔梗の女性がどちらの答えを出したかは、明日になれば解るだろう。これは解り次第最後に一文を書き添えるだけで済む。
 太陽が傾く。人もまばらな歩道に伸びる長い影。二人分の後姿が遠ざかっていく。あのベンチの裏でひっそりと息をしていたつぼみは、確かに色づいてきていた。目指すべきものを見つけたかのように。


 翌日。あのベンチから女性がいなくなったのは、当然のことの様に思われた。どこへ帰ったのか、何に呼ばれていたのか。
 桂はまたもや遅刻確実の通勤をしていた。時計を片手に、レンガの道を走り抜ける。昨日の夜、依頼を受けた百合子から連絡があったのだ。例の女性について、調べた結果を報告できると言う。記事になるかならないかは、自分がその報告を受け、再び纏めてから考えてみることにする。今は遅刻しないように努力しなければ。立ち止まり、時計の力を使おうと魔力を込めた。

 桂が時空の狭間に消えたすぐ隣。……花壇。桔梗が咲いている。淡い紫の花が、ふいと吹く風に揺れている。歩道を歩く人々の足は、そこはかとなく急いでいる様に見えた。桔梗には目もくれず。そこに植わっていた過去の根を知っているのか知らないのか。こうして今年も桔梗は芽吹くのだが、それを思い出す者は数えるほどであろう。注意して見れば、ほんの少し色の違う花が二輪咲いているのに気付く。水色の桔梗。雑踏を遠くから見つめる二輪の桔梗。すぐそばのベンチには、もう誰も居ない。桔梗と桔梗が風に揺れ、微かに触れ合い……ちりんと音がした気がしたのは、まぼろしでは無かったのかもしれない。
 梅雨の明けた夏の事であった。



おしまい

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登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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PC/歌川・百合子(うたがわ・ゆりこ)/女性/29歳/パートアルバイター(現在:某所で雑用係)
PC/兎月原・正嗣(うつきはら・まさつぐ)/男性/33歳/出張ホスト兼経営者

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ライター通信
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お届けが大変遅くなってしまい、申し訳ございません。北嶋です。
「呼ぶので」にご参加くださいましてありがとうございます!
桔梗が呼ぶというキーワードからいろいろなプレイングを書いていただき
これは綺麗なお話が書けるかもしれない、とわくわくしていました。
実際の出来は……どうだったでしょう。
一瞬でも「いいな」と思っていただけたのなら幸い、と思っています。
では、ありがとうございました!またお会いできましたら嬉しいです。