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<東京怪談・PCゲームノベル>


 時狩 -tokigari-

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「ちょっと。聞いてるの? ヒヨリ」
「聞いてる聞いてる。聞いてるって」
「じゃあ、今、私が説明したこと。もう一度説明してみて」
「…………」
 ちゃんと聞いてるっつうの。まったく。いちいちウルセェな、お前は。
 あー……と。アレだろ? 要するに、妙な奴らが、この辺りを徘徊してて。
 そいつらの目的が、俺達。時守だっつうんだろ?
 この空間をどうにかしようだとか、その辺りを策略してそうだけど。
 はっきりしたことは言えない、と。ただ、奴等が俺達を狙っているのは間違いない、と。
 とっ捕まりでもすりゃあ、ロクなことになんねぇから、気を付けろ、と。
「そういうことだろ?」
「……だいぶ、ざっくばらんになってるけど。まぁ、そんなところね」
「だーから、聞いてるっつったろ。で? お前は、どうすんだ?」
「勿論、調査するわよ。誰かが捕まりでもしたら、大変だもの」
「捕まったら捕まったで、そいつらの目的がハッキリするだろうから、いいんじゃねぇか?」
「何言ってるのよ。駄目に決まってるでしょ。何されるか、わかったもんじゃないんだから」
「捕まったら助けりゃいい。そんだけだろ」
「……あなたは、危機感というものが欠落しすぎているわ」
「そりゃあ、どうも」
「褒めてないわよ」

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 覚えているのは、背後から妙な香りを嗅がせられたこと。
 煙草の匂いに、何となく似ていたような。そんな記憶がある。
 後ろから羽交い絞めにして、黒装束の謎の集団は、灯を捕獲。
 黒装束の連中は、不気味にクスクスと笑いながら、灯を連行していった。
 ふっと目を開いて理解するのは、黒い檻の中。囚われている、その事実。
 目を開けた灯を確認した黒装束の連中。
 その中の一人が、クスクス笑いながら言った。
「やぁ……。お目覚めかな? よく眠っていたね」
 低い声だ。男の声。闇に溶け込んでいる為に表情を読み取ることは出来ないけれど。
 十中八九、今、声をかけた、この人物は男だろう。
 黒い檻の隅で、蹲るようにして座る灯。
 両手両足は、黒いロープのようなもので拘束されていた。
(…………)
 言葉を発することなく、檻の外、取り囲むようにして立っている黒装束の連中を見やる灯。
 事態を把握しようと試みている、そんな灯の姿に、黒装束の男は笑った。
「手荒な真似をして申し訳ない。けれど、こうするより他になくてね」
 檻の隅で座る灯に歩み寄り、その顎をツィッと指で上げて言った黒装束の男。
 至近距離で確認し、ようやく。その顔が明らかになった。
 随分と落ち着いた声で喋るけれど、この男、かなり若い。
 おそらく、二十歳そこらだろう。
 全身を包み込むような黒装束の隙間から見えた男の顔。
 見覚えは……ないはず。おそらく、初見だ。
 男は、ジッと自分を見やる灯に笑い、
 逃げるように灯から離れ、黒装束を更に深く被って、顔を覆い隠した。
「さて。事態は把握できたかな?」
 クスリと笑って言った男。
 今、自分がどのような状態にあるのか。
 それを、理解できたかと男は尋ねている。
 男の言葉に、灯はコクリと。小さく、一度だけ頷いた。
「そうかい。じゃあ、本題といこうか……」
 満足そうに笑み、男が詳細を明らかにしようとした矢先のことだ。
 灯の身体を拘束していた黒いロープが、音もなく、ハラリと解ける。
「……おや?」
 不可解な光景に、男は顔を顰めた。
 理解できずにいる男へ、身を持って丁寧な説明を。
 灯は、ゆっくりと立ち上がり、解放された手足をパタパタと動かして言った。
「さっきの、なぁに……? とっても臭かった。何の匂いかな……?」
 連中が灯に嗅がせたのは、独自配合の香水。
 クロノクロイツの各所に、何の前触れもなく咲く『ビオナ』という花が主成分。
 僅かでも吸い込めば、身体の自由は失われ、元に戻るのには半日ほどを要する。
 加えて、意識が朦朧とする為に、まるで廃人かのような姿と化す。……はずだ。
 それなのに、どういうことか。
 灯は、何とも軽快に、普通に動き、喋っているではないか。
 ロープもまた、特殊な成分で構成されている。
 こちらが解かない限り、解放されることはないはずなのだ。
 理解できない、目の前の光景に驚きを隠せない黒装束の連中。
 だが、彼等はすぐに平常心を取り戻した。
 何のことはない。
 簡単なことだ。
 灯が、演技をしていただけのこと。
 気を失ったフリをしていただけのこと。
 それを理解した黒装束の男は、拍手で灯を称えた。
「ははは。なるほど。お見事だ。我等を騙すとは……さすがじゃないか」
 男の発言から、とある事実と可能性が垣間見える。
 誰でも良かったわけじゃない。彼等は、ターゲットを決めていた。
 灯という人物を、捕らえる。その必要があった。
 どうして? それは、まだ理解らない。それは、これから明らかにしていくこと。
「お腹すいたから……灯、帰りたいの。用件は、なぁに……?」
 訊ねた灯の瞳は、キラキラと輝いていた。
 口調や雰囲気は、いつもと変わらず、無機質なものだけれど。
 囚われて、囲まれて。普通に考えれば、この状況は、よろしくないものだ。
 けれど、そのスリル。包囲され、獲らんとされる、その状況に覚えるスリル。
 連中の目的が明確になっていないこともまた、灯をワクワクさせる要因の一つ。
 何度も。過去にも、こんな状況に陥ったことがあった。
 その度に、灯は目を輝かせた。
 まずい……だなんて焦ったことは、ただの一度もない。
 楽しくて仕方なかった。追い詰められる、その状況が、楽しくて仕方なかった。
 そうして楽しいと思えるのは、揺ぎ無き自信の賜物。
 追い詰められているように見えて、実はそうじゃない。
 逆に、追い詰められているのは相手のほうだと。そう確信できるがゆえに。
 現状に屈する様子がないばかりか、現状を楽しんでいる。
 それらを汲み取ることのできる灯の表情。
 黒装束の男は、クックッと肩を揺らして笑った。
 なるほど。これは確かに。
 あいつらが大切にしているのも頷ける。
 随分と楽しそうに、嬉しそうな表情を浮かべているね。
 けれど、それは、こちらとて同じことさ。
 ゾクゾクして、堪らないよ。
 キミの、その顔。自信に満ちた、その顔。
 その顔を、歪ませることが出来たなら。
 俺は、究極のエクスタシーを覚えることだろう。
 あぁ、堪らない。考えただけで、どうにかなってしまいそうだ。
 ……あぁ、いけないね。落ち着かなくては。我を忘れかけていた。俺らしくもない。
 肩を揺らして笑うことを止め、男は目的を口にしていく。
「灯。キミの名前。間違いはないね?」
「……うん。灯は、灯だよ」
「オーケー。灯。じゃあ、本題といこうか」
「……どうぞ?」
「キミが欲している"時" それを、我々が取り戻してあげようと思うんだ」
「……時間?」
「そうさ。欲して止まぬ、時。キミには、それがあるだろう?」
 喉から手が出るほど。キミは、それを欲しているはずだ。
 その銀色の懐中時計が、何よりの証拠さ。
 時を刻まぬ、その時計。
 どうして、キミは、それを持ち続けているんだい?
 いつか、誓ったことはないか?
 取り戻してみせると。そう、誓ったはずだよ。キミは。
 そうだな……この空間で適所といえば。あの銀色の時計台付近か。
 思い出してごらんよ。キミは、いつか、そこで決意しなかったか?
 失われた時を、必ず、この手で。取り戻してみせると。
 思い当たる節が、ないわけではなかった。
 男の言葉の端々に、ハッとさせられる箇所があったのも事実だ。
 けれど、灯は理解できずにいた。
 時を取り戻す。取り戻さねばならない時間が、自分にある。
 それが事実なのか、そうじゃないのか。そこを理解できずにいた。
 男の言葉に、若干の戸惑いを覚えたものの、灯はすぐ、我に返る。
 例え、それが事実だったとしても。
 自分の目的が、時の奪還だったとしても。
 それを、誰かに叶えてもらうなんて御免だ。
 目的は、自分の力で。自分で果たすからこそ、意味がある。
 楽をして手に入れても、意味がない。何事も、何物も。
「ただ一つ。条件がある」
「……条件?」
「そう。キミは、我等に命を捧げねばならない」
「…………」
「我等はキミが求む時を、必ず取り戻す。約束しよう」
 手を差し伸べ、淡く微笑む黒装束の男。
 灯は、その差し伸べられた手を……パシンと叩き落とした。
「……や〜だ。灯が死んだら、三月ちゃんが悲しむもん」
 叩き落とされた手を見やり、灯の返答を耳にして。
 男はフッと笑い、右手を指揮者のように闇へ揺らした。
 男の合図に応じ、檻を囲っていた連中が、一斉に動き出す。
 どこからともなく出現させた剣や槍を、躊躇うことなく、檻へと差し込んだ。
 真横を掠めた剣。ハラリと落ちた、黒い髪。
 腕を掠めた槍の先端からは、紅い血がツーッと垂れた。
 今更。今更、身体に傷がつくことを嫌がったりはしない。
 もう、数え切れぬほどに、自分の身体には傷が刻まれているから。
 腕にスッと伸びた傷。そこから垂れる血。また一つ、傷が増えただけのこと。
 怒りを覚えることはない。覚えるのは、怒りなんかじゃなくて。
 そう……高揚感。
 腕から垂れる血を指で拭いながら、灯は目を伏せて淡く微笑んだ。
 不気味でありつつも美しい。その姿に、黒装束の男は興奮を覚える。
「ふふ……。いいね、その顔。あの日のままだ」
 男が発した言葉に、灯は目を伏せたまま尋ねた。
「灯は……あなたに会ったこと、ないはずだけど」
「はは。酷いな。本当に、忘れてしまったんだね」
「……ん。何のことかなぁ……?」
「わかった。そうか、そうか。キミの記憶を戻すのが先ってことだね」
「何、言ってるの……? 灯、わかんない……」
 言ってる意味が理解らない。当然だ。何を言ってるんだろう、この男は。
 首を傾げている灯に、黒装束の男は、スッと手を伸ばした。
 灯の頭に、男の手が触れようとした。その時。
 バシュッ―
「……おやおや。無粋な御人だ」
 黒装束の男の手が、バッサリと切断された。
 コロリと、闇に転がる、男の切断された手。
 その手は、フワリと闇に舞い、再び男の腕へと戻っていく。
 手品のような光景に、キョトンとしている灯。
 ふと見上げれば、檻の上で、ヒヨリが大きな黒い鎌を揺らしていた。
「どっちが無粋だ。殺すぞ、てめぇ」
 苦笑しながら言って、黒い檻を、大鎌で裂いたヒヨリ。
 いとも容易く、バラバラと崩れた檻。
 自由に身動きが取れるようになった灯を背に庇うようにして、ヒヨリは黒装束の男を睨み付けた。
「相変わらず、目付きが悪いな。キミは」
「お前に言われたくねぇよ」
 対峙し、睨み合うヒヨリと黒装束の男。
 その雰囲気から、二人の間に何らかの因縁があることを感じ取る。
 普通に考えれば、見出せる答えは単純明快なものだ。
 自分を捕獲したことに加え、意味のわからない提案の後、命を捧げろとまで言い。
 仕舞いには、忘れてしまったんだね、などと、まるで知り合いであるかのようなことを言った。
 意味がわからない。とにかく、意味がわからない。故に。
 この黒装束の連中が、敵対すべき存在であることを理解するのは容易いことだ。
「灯。大丈夫か? 遅くなって悪い……あっ」
 背に庇う灯へ声を掛けた、その途中。ヒヨリはハッとした。
 服の裾をキュッと掴んでいる灯の髪が……みるみる、蒼くなっていく、その様に。
 あぁ。駄目か。間に合わなかったか。
 まぁ、しゃあないわな。こうなっちまった以上は。
 留めるなんて俺には出来ねぇし。誰にも出来ねぇし。
 ハァと大きな溜息を落とし、ヒヨリは黒装束の連中に告げる。
「自業自得だからな。お前ら」
 そう告げた後、ヒヨリはそそくさと、逃げるように、その場を離れた。
 灯の髪は、どんどん、どんどん蒼くなっていく。
 フワリフワリと、灯の身体を包み込む、優しく柔らかな光。
 それを目にして、黒装束の男はニヤリと不敵に笑う。

 髪が、すべて蒼く染まった。次の瞬間。
 灯は、どこからともなく、鉄扇を二つ出現させ、それを構える。
 桃色のその鉄扇は、とても可愛らしいものとして目に映る。だが。
 フッと。突然、灯の姿が消えた。
 いや、正確には、消えたわけではない。
 目で捉えられぬほどに、高速で移動しているのだ。
「……ふふ。いいね」
 黒装束の男は、身動きせずに、その場に立ち尽くしたまま、目を伏せて淡く微笑んだ。
 刹那の舞。微笑む男の周りで、金属音のようなものが鳴り響く。
 その音がピタリと止めば、次の瞬間には、破壊の音が響く。
 目にも止まらぬ動きの中で繰り出される、鉄扇の舞。
 黒装束の男だけ、ただ一人を残して、灯は他の連中を次々と始末していった。
 仕留めた。その感触を覚えた瞬間、黒装束の連中は、煙となって消える。
 そもそも、存在なんてしていない。蜃気楼のようなものなのだろう。
 連中の、その正体が明らかになったのなら、するべきことは一つだ。
 本体を。これらを生み出している、本体を潰せ。
 クルリと反転し、闇をウサギのように飛び跳ねて、灯は狙いを定める。
 黒装束の男の喉元へ宛がう、鉄扇。
 そのまま、斜めに振り下ろすようにして……切り裂く。
「……死んじゃえ♪」
 キャハハッと笑い、灯は黒装束の男の喉を鉄扇で掻き捌いた。
 バシャリと、バケツを引っくり返したかのように、飛散する血液。
 身に浴びた、その血をゴシゴシと拭いながら、
 灯は、闇に伏せた黒装束の男に馬乗りになって、何度も何度も鉄扇を振り下ろした。
 ザクリ、ザクリと。鉄扇が刺さる度、男の背中から、鮮やかな赤が飛び跳ねる。
「……死んじゃえ♪ ……死んじゃえ♪」
 鉄扇を振り下ろす、そのリズムに合わせて歌うように笑う灯。
 浴びた返り血で、灯の身体は、真っ赤に染まっている。
 狂気。
 それに支配されたかのような灯の姿に、ヒヨリは苦笑を浮かべた。
 しばらく、そのまま成り行きを眺めて。やがて、ヒヨリは灯の腕をガシッと掴む。
「灯。もういいだろ」
「……や〜よ。まだ、まだ遊ぶんだか……」
 腕を掴むヒヨリを見上げて、頬を膨らまし不満を露わにした灯だったが。
 襲い来る脱力感と、眠気に歯向かうことが出来ず。パタリと、その場に寝転んでしまった。
 灯が眠ると同時に、彼女が手に持っていた鉄扇も、ふっと消える。
 すやすやと心地良さそうな寝息を立てる灯を抱き上げ、ヒヨリは笑って言った。
「ご愁傷さま」
 ヒヨリの言葉に、黒装束の男はクックッと笑う。
 全身を裂かれ、もはや原型を留めていなかったというのに。
 ゆっくりと起き上がると、男の身体は何事もなかったかのように元に戻った。
「いやはや。相変わらず、素晴らしい潜在能力だ」
 拍手しながら、満足そうに笑って言った男。
 ヒヨリは、灯を抱き上げて、男に背を向け、忠告を飛ばす。
「焦ったところで、どうにかなるもんじゃねぇんだぞ。J」
「ふふ……。焦っているように見えるかい?」
「あぁ、見えるね。カッコ悪いよ、お前」
「構うもんか。美しさを象っただけの愛情なんて、意味がないだろう?」
「愛情、ねぇ……?」
「そうさ。俺は愛してるんだ。灯のことも、勿論。お前のことも……」
「ははっ。残念だけど。俺は、お前が大嫌いです」
「ふふ。釣れないね」
「そういうことだから。もう二度と、灯に手ぇ出すなよ」
「おやおや。お前に、そんなこという権利があるのかい?」
「…………。一応、忠告はしたぞ」
「ふふふ……。ありがとう。またね。ヒヨリ、灯……」

 出来うることならば。もう二度と、会いたくない。会わせたくない。
 けれど、いつかは。会ってしまう。それは、理解ってる。
 惹かれ合う、その運命には逆らうことなんて出来やしない。
 でもな。まだ。まだ、早いと思うんだ。
 どうしてだ。どうして、そんなに焦る? 焦る理由は何だ?
 あぁ、そうか。俺達の気持ち。それが理由か。
 どうしようもないだろう? 大切に思っているんだ。
 仲間だから。灯は、俺達の仲間だから。
 取り戻したいと願う。お前の、その気持ちが理解できないわけじゃないんだ。
 お前にとっても、灯は仲間で。かけがえのない存在なんだから。理解ってるさ。
 けどな。もう、どうしようもないんだよ。
 俺達は。灯をこのまま、自分達の傍に。ずっと置いておきたいと思ってる。
 もっとわかりやすく言おうか。
 返したくないんだ。
 灯を、お前に返す。その意思が、俺達には、もう、ないんだ。
 いつから? そんなの、もう忘れたよ。
 J。お前はお前で、お前の目的の為に生きていけばいい。
 その目的を果たす為に、灯が必要なことも知ってる。
 知っているからこそ、俺達は、それを阻むんだ。
 ルール違反じゃないかって? あぁ、そうだな。そのとおりだ。
 何、お前と一緒さ。俺達も、愛しているんだ。大切に、想っているんだ。
 だから。狩らせない。狩らせるわけには、いかねぇんだ。
 灯が失った時を、お前が狩ったら。お前は満たされる。
 でも、俺達は失うんだ。お前の至福と引き換えに、かけがえのない時間と存在を。
 狩らせないさ。狩らせるものか。
 例え、灯が、自ら狩られることを望む……その日が来たとしても。

 深い深い、眠りの中。灯は聞いた。
 心の声を、聞いた。誰の心かは、理解らないけれど。
 それは、とても温かく柔らかで、優しくて。
 このままずっと、包まれていたいと……そう思った。
 優しい気持ち。温かい気持ち。包まれるそれらに反応するかのように、
 蒼く染まっていた灯の髪が、ゆっくりと元に戻っていった。
 耳の奥、頭のずっと奥の方。
 聞こえた鐘の音は、どこで鳴り響いていたのだろう。

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 ■■■■■ CAST ■■■■■■■■■■■■■

 7764 / 月白・灯 / ♀ / 14歳 / 元暗殺者
 NPC / ヒヨリ / ♂ / 26歳 / 時守 -トキモリ-
 NPC / J / ♂ / ??歳 / 時狩 -トキガリ-

 シナリオ『時狩 -tokigari-』への御参加、ありがとうございます。
 灯ちゃんと、灯ちゃんを捕らえた男、Jは……顔見知りのようです。
 それも、ただの顔見知りではなくて。もっと、もっと深い何かが。
 全てが明らかになるのは、まだまだ先の御話。どうぞ、お付き合い下さいませ。
 以上です。不束者ですが、是非また宜しくお願い致します。
 参加、ありがとうございました^^
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 2008.11.05 / 櫻井かのと (Kanoto Sakurai)
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