なつきたっ!SOS〜大自然に囲まれて〜
忙しいあの人に休暇が出来たと聞きつけて
ダメもとで頼んだドライブはすぐにOKされた
男を見せることができるかどうかよりも、今はあの人を楽しませたい
〜まずは買出しから〜
「食べたいものとかあります?」
「まずは缶ビールを一ケースは欲しいわ。一日中フリーなんて久しぶりだもの」
ショッピングセンターで買出しをする奉丈・遮那がリネーア・ベリィルンドに尋ねると一秒も待たずに答えが返ってくる。
なお、買出しは二人でありバーベキューをするのも二人だ。
ちなみに遮那はアルコールがダメな体質であることも付け加えておく。
「そうですか‥‥牛肉やソーセージ、たまねぎにジャガイモなど定番のものは買っておきますから何かあれば入れてください」
籠に野菜や肉を入れていきながらも遮那はリネーアの姿を目で追いかけ続けた。
今日のリネーアはハーフパンツにチューブトップ、上に軽くシャツを羽織るくらいの露出の高めの姿である。
「クーラーボックスはもっているわよね?」
「あ‥‥はい、食材を冷やすためにもってきていますが」
いつもと違う姿に心奪われていた遮那は突然持ちかけられた質問に戸惑いつつも答えた。
「サイズが大きければいいけど、全部入る?」
「‥‥クーラーボックスも追加で買いましょう」
「宜しくね、あ‥‥こっちも新しいビールがあるわ。もう一ケース追加よ」
リネーアの言う全部がこれから買うビールのことを指していることに気づき、遮那は冷や汗をたらす。
車をビールがたくさん詰めるものをレンタルしてきたまではよかったが、冷やすことまで頭の回らなかった遮那だった。
〜小さな宴〜
「んー、気持ちいいわ。ラストホープの外に出るのも久しぶりね」
リネーアがぐっと両手を組みながら背筋を伸ばすと、豊満な胸が自己主張を始める。
遮那が忙しいリネーアのことを気づかい、本当の大自然のあるスポットへと飛び出してきていた。
川のせせらぎを聞いているだけで涼しくもなってくる。
「喜んでもらえて何よりですよ。今日はこんなものを用意してきました」
喜んでいるリネーアを眺める遮那の頬も自然と揺んだ。
遮那は車の中から七輪を取り出すと川原に置く。
「七輪ね、キノコはまだ旬じゃないけど何を焼くのかしら?」
「肉も七輪でやくと美味しいのがあるんですよ。ホルモンとか買ってますから」
「ホルモンいいわね、ビールに凄くあうから好きよ」
今日のためというわけではないが、家で練習してきた遮那は七輪と炭を用意し手際よく準備にかかった。
「温まる前にはじめの乾杯といきましょうか?」
「そうですね。缶ジュースで申し訳ないですが、お付き合いさせていただきます」
リネーアは金色の缶ビールを持ち、遮那はオレンジ色でマスコットが描かれた缶ジュースを持つと軽くぶつけ合う。
コンと鈍い音で乾杯を終え、中身を二人は同時に飲みだした。
「ぷはーッ! この一杯のために生きているといっても過言ではないわ」
「リネーアさんは本当にそう見えますよ。お酒を飲んでいるとき楽しそうですから」
クーラーボックスで冷えた缶ビールを味わうと、リネーアは拳を握り締めて感動を訴えている。
リネーアのリラックスした姿に遮那は喜んだ。
二人が飲みものを味わっていると七輪で焼いているホルモンが香ばしい香りを放ちだす。
「そろそろよさそうですね」
「ふふふ、そうみたいね。焦げないうちに食べましょうか? いただきます」
肉汁を垂らして丸まりだす肉を箸で摘んだリネーアは煙たつホルモンをパクリと口にいれたのだった。
〜話いろいろ〜
「リネーアさんは将来とか何か予定があったりしますか?」
鉄板で野菜などを焼き、そのまま摘んで食べるという形で進む小さな宴の最中に遮那はリネーアに話を持ちかける。
「将来か‥‥今は妹が平和に暮らしてくれることを願い、そのために尽力することが一番ね」
何本目かわからない缶ビールを空にし、次の缶ビールをプシュっとあけたリネーアは静かに呟いた。
「妹さんですか‥‥」
「そう、可愛い可愛い妹よ‥‥」
「だとしますとリネーアさん自身はどうなのですか? 妹さんのためではなくてもう少し自分を大切にされた方がよいと思います」
リネーアがビールを飲んでいると、遮那が眼鏡を直しながらリネーアに声をかける。
遮那としてはリネーアが酷く自分を追い込んでいるように見えたのだ。
「僕としましてはリネーアさんが自分を大切にしてもらえることの方が嬉しいですし、妹さんもきっとそう思っていますよ」
「そうかしら? ‥‥ううん、そうかもしれないわね‥‥」
思い当たる節があったのか反論しようとしたリネーアは体育座りをしながら、思いを巡らせる。
UPC本部では見られない本当のリネーアの姿を遮那は見たような気がした。
「僕でよければ愚痴だってききますから、気軽に話してください‥‥その、友‥‥達ですから」
最後はもう少しかっこいい事を言おうとしたが、その一歩が踏み出せずに無難な路線に遮那は収まる。
我ながら気障な話をしているなと振り返り、ジュースをグビッと飲み干した。
「あ、もう野菜も焼けているわ。もったいないから全部食べてしまいましょう」
リネーアは遮那の言葉に答えず、缶ビールとバーベキューを摘んで食べ続ける。
遮那もあえて言及はせずに食事を済ませた。
片付けも終えて、車で帰りの道を進むとき、助手席のリネーアは前触れもなく遮那に向かって微笑む。
「今日はありがとう‥‥いろんな意味でね」
「どういたしまして」
その言葉を聴けただけで、遮那は誘ってよかったと心の底から思うのだった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス 】
ga0352 /奉丈・遮那/ 男 / 31 /スナイパー
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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改めまして橘真斗です。
このたびは発注ありがとうございました。
遮那さんとリネーアの関係はどういったものか悩みましたが、友達以上になるかならないかとそんな微妙なラインということで書かせていただきました。
個人でのノベルが書けるとNPCとPC同士の交流に深みがでますのでこちらとしてもありがたいです。
夏の思い出としてリネーアの心に刻まれたことと思います。
それでは運命の交錯するときまでごきげんよう。
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