「う〜さむさむ……」
外は木枯らしが吹きぬけ、今年一番の冷え込みを見せていた。
つけっぱなしのテレビはクリスマスににぎわう町並みの様子を映し出している。
「クリスマスねぇ」
一人身の親父としては、とんと縁のない話であった。
「ちょっと、透。テーブルの上片付けてよ!」
料理が置けないでしょ。
コタツにもぐりこんでいた魔皇をセイレーンの少年が容赦なく踏みつける。
「お?随分と豪勢だな」
足蹴にされながらも当の主はのそのそと、コタツから這い出して静流の手の中の料理に目を細めた。
「だって今日はクリスマスイブだからね」
といって、魔に属する者に神の子の聖誕祭など関係ない話なのだが………
何かに理由をかこつけて騒ぎたくなるのは、魔皇も人間も関係ない。
「そうか……クリスマスか……」
「うちのサンタは何にもくれないの?」
「あん?俺にそんな余裕あると思うか?」
「聞くんじゃなかった……」
神保家の財布を預かる主夫は、家の実情を嫌になるほど知っていた。
特別な夜の特別な時間は……直ぐ其処までせまっている、今日という日を貴方は誰と何処で過ごしますか……?
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