『神様の初詣』

 除夜の鐘がなり始め、一年が終わろうとしていくころ。
神様たちは目覚めます。
 夜が明けたら人間たちは新年の挨拶に自分たちの所へやってくるのですから。
「新しい服はどこへやったのかのぉ?」
「あー、女神様禊を済まさないと失礼ですよー」
 そんな声が聞こえてくるなか日は昇り、人々も目覚め始めます。
 新しい年を新しい気持ちで迎えるために…家族や、恋人と共に神社への道を寒さをこらえつつ歩いてきます。
「皆のもの準備はいいかの?」
 長老という言葉がぴったり似合うおじいさんの神様が使いの者たちをまとめます。人間たちが鳥居をくぐって、社(やしろ)へ来たからです。
「準備OKです」
 そういうと、神様たちは社の中から人間たちと対面します。
『パンパン』
 と手を叩き。
『今年もいい年でありますように』
 と人間も神様たちも祈る。
 そんなからりと晴れた冬の空。曇りのない気持ちで新年を迎えてください。




■橘真斗■