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■零の誕生パーティ■

滝照直樹
【0759】【海塚・要】【魔王】
【データ修復中】
零の誕生パーティ

1.魔王の海塚・要
何処で誕生日のことを聞きつけたのか分からないが、海塚・要も参加表明するようだ。
草間に電話をかけて大声で
「ふはは!草間よ!『義妹の誕生日!お兄ちゃんドキドキ奮戦大活躍っ☆』暑く!濃厚にサポートしてやろうではないか!」
と叫ぶ。受話器のスピーカが僅かに破けた感じだ。
「いらぬおせわだ」
知ってしまったのはしょうがない。断っても何かしてくる。というより、あれから全然懲りていないのは何故ですか?と、疑問をもつ草間だった。疑問を持っても要はアホだからどうしようもない。
「プレゼントは汗水垂らして稼いだお金で買う物だ!然るに、吾輩が計画したバイト作戦をファクッスで送ってやろう!」
ジーコ、ジー…とファックスから紙が出てくる。
「こっちの本業はどうするんだよ」
「そんなモノは知らぬ!」
神速で回答。
「ではまずは、深夜の道路工事でいい汗を…って何者だ!ぐはぁ!」
ツーツー
いきなり切れた要の電話。
草間は善良な正義の味方が、アレを始末してくれたと思い、安堵の溜息をつき受話器を置いた。

2.尾行する夏紀・復活する魔王
まずは1匹葬った。次はどこから来るか分からない…。
しかし、相手は異常再生する魔王だ。はっきり言って不死身である。
平凡に暮らす草間を尾行するも、萌え者の気配はなく、少し拍子抜けする。
しかし、頭の上に赤い猫をのせて散歩というのはどうしたモノか…。猫が頭の上を気に入っているなら其れは其れで仕方有るまい。
夏紀はそんなどうでも良いようなことを思いながら、尾行する。
案の定、ビルの上から復活している魔王・要が飛び降りようとしている。メイド服を着込んだ最悪の状態だ。
飛び降りる魔王、駆け寄る夏紀
先制権は夏紀にあった。
居合い宜しく、光刃で魔王を切り裂いた。言葉を出せずに霧散する魔王。そのままダッシュで彼方に消え去る夏紀。
その6秒も満たない瞬間を草間は知るよしもない。
霧散し肉体の再構築をしている魔王はこう叫んだ。
「誰だ!吾輩の計画を邪魔する愚か者は!」
愚か者は、あんただと言いたい。

3.魔王退治
あやかし荘で、パーティが開かれる午前…。庭では要と夏紀が対峙していた。
怪しいオーラ爆発寸前であり、夏紀もやる気満々である。
のんびりと縁側でお茶をすする嬉璃と綾、エルハンド。毎度の事ながら、此処でどたばた事件が絶えることはない。
「お主か!吾輩の至高なる計画を邪魔する奴は!」
「要!お前には前に踏みつぶされたことがあるからな!それに全てお前の所為だ!草間さんは普通だ!」
「愚か者!あの男は『妹萌え』のキング・オブ・キングス!其れを分からないで何をほざくか!」
「勘違いしているだけじゃないのか!似非魔王!」
「なに!似非!吾輩は本当に魔王だ!」
どんな会話をしているのか全く分からない。
「平和だな」
剣客は一言呟いた。
「そうぢゃの」
「そうやねぇ」
嬉璃と綾は縁側で剣客の言葉に同意した。
「おっと、私は時間だ。もしもの時は時音を呼べば片が付くだろう」
「さよか、そうすることにする」
エルハンドは、ゆるりとたちあがり、自室に戻っていった。
相変わらず、謎の口論が続けられる。
小一時間…
いい加減、この二人の漫才を見飽きたので、綾が時音を呼んで事のあらましを告げた。
聞いた彼は眉一つ動かさず、
「任してください」
といった。
「たのむで〜」
綾が見送る中、時音は不毛な言い争いの中に静かに入る。
「おお!和服お姉さん萌えの風野!あの馬鹿者に萌えのなんたるかを叩きつけるのだ!」
要の挨拶は勘弁して欲しいと時音は思った。
「風野さん、あなたも萌え者だったのですか!」
「だから二人とも違うって…」
勘違い善良者にもほとほと困る。
「話の内容を聞けば、草間さんが妹萌えとかどうたらというらしいけど…そんなこと関係ないのではないか?」
「関係ある!」
時音の意見を真っ向から反対する魔王。
「要、あんたはそれでいいよ。中身が「萌え」だけという生き物だし…」
「お褒めにあずかり恐悦至極!」
勘違いしているようだ。すごく喜んでいる。
「水瀬といったね?要の作戦を邪魔していたらしいけど?」
「そうだよ?悪い?」
「其れは賛同している。しかし、会場前でするのは宜しくないな」
「そうだよな〜でも場所を変えようにも、この魔王が動かないんだ」
「そうだな」
二人して溜息をついた。
「要、君が計画した作戦を訊ねたいが?」
「風野さん!?」
「いいから…」
夏紀を制止して要に聞いた。
「ふはははは!よくぞ吾輩の作戦に興味を持つとは、流石萌え者の一人!話が分かるではないか!」
やはり馬鹿だ、と時音は溜息をつく。しかし、こっちは勝てる要素があるので「神格」の解放もしなくて済む。
彼が濃厚に草間にバイトをして零にプレゼントを贈る計画を話してくれた。確かに、それは(一応)良い兄を演じるには都合が良いだろう。
「ふー」
時音は溜息をついて、口を開いた
「要、君は一つ間違いをおこしている。その作戦が成功していると仮定していても、敗北している事を気が付かず」
「なに?」
「普通なら、最高のライバルと決めている「彼」がこの場にいない」
「!」
「そうすると、すでに彼には情報が入っているわけだ。未来を知っているかのように」
といって、時音は魔王にむかって封筒を投げた。受け取る要。
「ライバルからの返答だ。何故僕の手元に来たのか分からないけどね」
要は、恐る恐る封を開けて読んだ…。しばらくして彼は泣きながら(ありもしない)夕日に向かって走り出した。
「おのれ〜!またしても、またしても!」
と、敗北宣言ともいえる捨てぜりふを残し…。
夏紀は何が書いているのか気になったので、落ちている手紙をみた。
『ダメダメだね、要っち♪最後の極め!『微妙に足りないバイト代!足りない分は『お兄ちゃんっ☆』の愛情でフォロー』がないよ!』
沈黙する夏紀…。これ一枚で撃退したのか…と。
「あんな類に本気に相手していたら、身が持たないよ。僕も其れで苦労したから」
時音は夏紀の肩を軽く叩いて何事もなかったように立ち去った。

番外編?:要の末路
息切れしながら、逃げて来た要。その前に立ちふさがったのは、何処かで見たような人物だった。
「貴様は!」
向こうは何も答えない。要も誰なのか思い出せない。
手には、なにやら本がある。
その本は『萌えを理解する666の方法』。相手はニコリと笑って其れをひらひらさせた。
「其れは伝説の書籍!吾輩に譲ってくれるぬか!否譲るべきだ!吾輩が持つことこそふさわしい!」
相手は、只であげるわけにはいかないといった態度を取る。
流石の要も、力づくで奪い取るのは大人げないと思った。
あの本さえ手に入れれば、ライバルも倒せる…そう確実に。
「貴様の望みは何なのだ?」
こうして、海塚要は謎の人物と交渉することにした。

草間たちを萌え者にするために…。

End?

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0759 / 海塚・要 / 男 / 999 / 魔王】
【1109 / 水瀬・夏紀 / 男 / 17 /若き退魔剣使い】
【1219 / 風野・時音 / 男 / 17 / 時空跳躍者】
【1252 / 海原・みなも/ 女 / 13 / 中学生】
【1305 / 白里・焔寿 / 女 / 17 /天翼の巫女】

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■         ライター通信          ■
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こんばんは
滝照直樹です。
『零の誕生パーティ』に参加してくださりありがとうございます。

また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝