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■剣客の下宿6 神の剣 序幕 可愛い巫女さん■

滝照直樹
【1252】【海原・みなも】【女学生】
「こんにちわ〜エルハンド〜おられますか〜」
トーンの高い女の子の声があやかし荘に響いた。
長谷・茜。高校生で神社の巫女である。
エルハンドとはかなり長いつきあいらしいのは管理人の恵美も知っているし、エルハンドがここに住むことが出来るのも彼女のお陰なのだ。
「お久しぶりね、今なら居るわ」
そう今なら…。
そう、エルハンドは彼女が苦手なのだ。
今回は、彼の未来視が外れたらしい。

「-------げ」
「なによ〜会ってからそのリアクション」
エルハンドの反応に不平を言う茜。
「また厄介なことを持ち出してきたのか?義昭が悪いことをしたのか?」
「まったく〜疫病神はこっちって言うの?」
「あたり」
「ふーん、でもエルハンドのことだから、お願い聞いてくれるよね」
強制だろ?と問いたいが…。彼女の頼み事は何故か反故に出来ないのだ…。エルハンド自信でも分からない。生理的に逆らえないという感じだ。
「で、また『神格憑き』か?」
「そう、コレで6件目…」
「おおいな…」
真剣に考える剣客。確かにこのところ『神格暴走』(制御不能)の手前『神格憑き』(覚醒直前)で苦しむ人間が多い。
「前に、神格暴走者を止めたが…原因を調べる必要があるな?」
「私も手伝うよ」
「…義昭が戦いでダウンしている以上はな…しかたない」
「きまりね」

茜はエルハンドの手を引っ張った。


ライターより
探索とシリアス、バトルです。多少冗句が入ります。
参加人数は5人であります。
草間興信所・調査依頼『神の剣 序幕 神格暴走者』の後の話となります。
NPCの長谷・茜についてはVSN説明ページ等を参照してください。
あやかし荘奇譚 剣客の下宿6 神の剣 序幕 可愛い巫女さん

●序:天薙撫子と海原みなも、そして五降臨時雨
エルハンドと茜の二人は、まず神社に向かった。神格憑きを落とすため(鎮めるため)だ。
大広間に12歳ぐらいの患者がおり、神主の長谷・平八郎が結界を張って一時的にせよ緩和して貰っている。
しかし、うめき声や発汗からして重度の憑き物に見える…。
「おお、間に合ったか。エルハンドさんいつものように」
「分かった」
エルハンドは短剣を抜き、患者に向かって六芒星を描く…そして患者の心臓を突いた。
患者の神格とエルハンドの神格がぶつかり合う。
「解…滅……封…」
神格のぶつかる光が収まると患者は血を流すことなく倒れ込んだ〜勿論傷跡もなく。
「6人目…あとはゆっくり養生しないと行けないな…ここから先は医者の仕事だ」
「家族に連絡してくるね…」
茜はパタパタと部屋から出る。
溜息をつくエルハンド…。ここのところ異常なほど『神格憑き』がいるのは誰かが干渉しているとも考え得る…。神格覚醒することは非常に希だからだ。今回殆どの患者は神格覚醒する素質はない…。只死ぬだけ…。
「暴走者に成る可能性も低いというのに…」
「エルハンド〜おきゃくさん〜」
「え?」
茜の声に、首を傾げる剣客だった。

神社に居たのは、暴走者事件で一緒に戦った天薙・撫子と、深淵の巫女の妹海原・みなもだった。
「こんにちは」
「こんにちは、お久しぶりです」
二人は深々とお辞儀をする
「どうして此処と?」
「あやかし荘に向かったのですけど、恵美さんから聞きましたので。…其れと織田君の様子は?」
「義昭は『天空剣奥義 七門封斬』を使ったから、全身筋肉痛で泣きながら学校に行っているよ」
それぐらいの怪我だけだから問題ないという。確か栞の墓参りも彼は1歩動くごとに激痛で泣いていた顔をしていた。
「ところで、君が海原みなもだね。姉上の様子は?」
エルハンドは目線が合う様にかがんで、みなもを見つめた。
「ええ、大丈夫です…力を使いすぎたのだと思います」
「そうか、迷惑をかけた。…此処ではなんだ、奥で話そう」
そう言って、3人は長谷家の家に入っていった。
「簡単に言えば…神格は勝手に覚醒しない。誰かの手によって無理矢理覚醒されていると言っても良い。魔器…神器とかの力を借りる訳だが…」
「誰か分からないし目的も…」
撫子の言葉にそうだ…と頷くエルハンド。
「私たちは、その5人の『憑いた』人たちと話をしたいのですが…手がかりが有れば」
と、みなもはいう。
「そうだな…君はその手の情報収集に強いみたいだからな。草間をこき使ってでも調べてくれるとありがたい」
「はい、がんばります」
「姉妹そろってがんばってるな」
「いえ、そんな…」
微笑むエルハンド、それに頬を染めるみなも。
(アレがぞっこんになるのが分かるな)
神は彼女の姿をみてそう言った。

小一時間ほど作戦を練った後、神社を出る時、4人は吃驚した。
猫がいっぱいいる。にゃーにゃーにゃーにゃー。
「ここって猫のたまり場じゃ…ないわよ?」
「あの男か?」
エルハンドが指さした。其処には7尺ちょっともある大きな布袋を肩にかけている長身の男が猫に埋まっているように神社の鳥居に座っているのだ。猫達はよほどこの男が好きらしい。
男は、ふらりと立ち上がると、長いだけあり、鳥居に引っ掛かってそこからじたばたしている。
「アレは…長刀だな…何でまた」
「おかしな人ですよね…」
何とか、鳥居を抜けた男は深々と一行に一礼する
「ぼく…はなし…この子…たちから…聞いた」
「な?」
茜たちは吃驚するが、エルハンドは
「動物会話か?」
と平然と訊く。頷く男。
「聞いた以上…死ぬ覚悟は出来ているか?」
「大丈夫…」
「なら…名前を聞こう。猫に全て聞いているならこっちは何もいわん」
「五降臨…時雨…長刀使い…」
奇妙な男が参加することになった。


●破:
まず5人の『神格憑き』に成るまでのいきさつを…。6人目は疲労で会話出来る状態ではないので除外される。
みなもはエルハンドから患者の個人情報を聞いた。
「年齢が10代〜30代。今、共通項として分かるのは…『自分は変わりたい』と思っていることと、引きこもりか。今の世の中に自分の生きる道を見いだせない者が多い…」
「…引きこもり…今会える人はいますか?」
みなもはエルハンドに訊いた。
「神主の親戚が医者でね、そこの病院に入院して貰っている。5人とも順調に回復しているから問題ないはずだ」
「お話を聞きたいです」
「分かった」
病院に着いた。精神科病棟のある大きな病院だ。
近くに公園があって子供達が遊んでいる。五降臨を見つけるやいなや集まって懐いている。
「ぼく…は…子供達と…」
「ああ、いいぞ」
エルハンドは彼の意図を分かったのか…素っ気ない返事をした。
剣客はあまり彼を信用していない…なぜなら…血の臭いがきついからだ。中に居る修羅…。
「封印対象でもあるな」
そう呟きながら、みなもと撫子、茜で病院に入っていった。

カウンセリングも終わってロビーで雑談をしている元・神格憑き患者達は、茜やエルハンドを見て
「お久しぶりです」
と挨拶した。
前までは閉鎖病棟に居たが、今では開放病棟に移ったほど回復している。
しかし、人見知りが激しいのか、引きこもりの状態がまだ続いているのか、見知らぬ二人を見ておびえる。
「こんにちは、はじめまして天薙撫子です」
「はじめまして、海原みなもといいます」
「は、はいはじめまして」
撫子やみなもの笑みに、すこし、患者達は心がゆるんだ。
そのあと、談話室で他愛のない世間話をしばらくしてから、みなもがこう訊いた。
「神格憑きに成る前に何か遭ったのでしょうか?」
そうすると…皆黙ってしまう。
剣客にせよ茜にせよ…この話を持ち出すこと黙るのを知っていた。しかし、みなもならと期待していたのだが…。
「大事なことなんです…辛いことかも知れませんが…教えてください…今日もあなた達と同じような人が…その苦しみを知っているなら…教えてください…お願いします」
「……」
沈黙が支配する。
「あの…」
一人が口を開いた。
「アングラ系サイトで…自分を変えてみないか?またつまらない世の中を変えてみないか?という自己啓発サイトがあるのです…」
「僕もそうだった」
「私は、ふらっと徘徊した時に、皆と同じような自己啓発の誘いを…」
と徐々に喋り始めた。
「自己啓発…URL等分かります?」
「はい…覚えています」
みなもの問いに、サイトで見た事のある一人がURLのメモを渡した。
「ありがとうございます」
「…あの…6人目の人…大丈夫ですか?」
と患者が訊いた。
茜が優しくいう。
「大丈夫よ。エルハンドがちゃんと祓ってくれたから」
「よかった…」
患者達の心の傷は深い。皆、そこからこの情報を聞き出すのは辛かった。忘れたい事の一つなのだから。
しかし、勇気を出して話してくれた彼らのためにも、がんばらなくてはならない。
「原因を元から絶つからね、ゆっくり此処で傷を癒してね…」
と茜が患者達に言った。
病院からでたあと子供達と遊んでいる五降臨を呼んで、一行はネットフェに向かう。
そのとき、エルハンドの携帯が鳴った。
茜と織田が無理矢理買わせたものだ。しょっちゅう何処かに行く男だからである。
「もしもし…ん?時音か…ああ、わかった詳細が分かったら教える。そっちはそっちでがんばれ」
「時音さん?」
撫子が訊いた。
「ああ、また目覚めたみたいだ。前回よりかは大丈夫だろう」
「はい」

ネットカフェに着く。そのときにも五降臨はネットカフェに入る前に、犬に集られている。
「エルハンド…こわいよ」
「私も知らない」
茜は冷や汗をかくが、エルハンドは肩を竦める。
啓発サイト名は「天国の扉」。アングラサイトという割には、普通なレイアウトだった。念のために剣客は精神耐性を皆にかける。
「サブリミナル効果等で、覚醒する可能性を考えてだ」
みなもはじっと目をこらしてサイトを閲覧する。
撫子も、文面などを気にしながら読んでみた。
「あ…」
撫子がなにか心に触れられた感じがした…。まるで無理矢理心の奥に眠る『何か』を引っ張るように。
しかし、精神耐性呪で割れる音と共にその感覚は無くなった。
その部分をプリントアウトせず、皆を呼んだ。
「此処ですわ…」
「ぁ…あぶない…」
「この画面まで行くと…覚醒させるための魔法陣を深層心理に描く様になってる…。そして、そのまま催眠誘導魔術…この文の先は…」
エルハンドが画面をスクロールさせる。隠しリンクが小さくあった…。
「ここをクリックすれば…啓発希望メールフォームにたどり着く…かなり手の込んだというか…催眠誘導は分かるだろうが、この神格覚醒魔術は文献には存在しない。魔器の知識を取り入れたな…」
「私が…コンタクト取ってみます」
みなもが言った。
「いいのか?危険だぞ」
「分かってます」
ささっと、みなもはメールを送った。
数分もしないで、彼女の携帯にメールが着信。
見ると…啓発セミナーの案内と場所が送られてきた。
「…住所からすごく怪しいなぁ」
アングラだからそうなんだろうと皆で納得…時間が夜中、場所が廃屋ビルということだからだ。
エルハンドは時音にすぐ場所を教えた。遠方会話の超圧縮で行った。
「魔器を奪って、時音達が仕掛けた場所に相手をおびき寄せる。それで良いかな?」
エルハンドの言葉に全員が同意した。

深夜〜廃屋
一人みなもが歩いている
「まっていたよ」
「ひゃっ」
「驚かして悪かった…君が海原みなもだね?」
オーバーシャツにデニムパンツ、髪の短い眼鏡の男が立っていた。
「ええ」
「自分を変えたいという事に偽りはない…ふむそれは良いことだ」
「貴方はいったい誰です?」
「私か…あのサイトに書いてあるだろう?天国の扉と…。其れは些細なこと…さて、自分を変えるには色々人の話を聞かなければならない。其れは実際おっくうだ。でも、私のやり方を実践すれば…簡単に自分を変えられる」
「どういう事ですか?」
男は、6尺の杖を取り出した。先端には意味不明の文字が刻まれ、そして青い宝石が埋め込まれている。
「なぁに…私が持っている杖の宝石を触ればいい。そうすれば数日後には己のすばらしい世界観に目覚めることだろう。少し苦しむけどね…」
「…」
「どうした?触らぬのか?」
一行に動かないみなもに男が訊ねた。
「質問です…それで人生が変わった人って居ますか?…」
「変わったよ…其れは不運に病院に行く者も居るだろうが…魔術師になったり…暗殺者になったりね…」
「…そうですか…」
みなもがそれに触る瞬間…空を切るように…糸が杖に絡みつく。
驚く男に水面は懇親の力で相手の手を蹴り上げた。杖はそのまま糸によって引っ張られる。撫子の妖斬鋼糸だ。
「ほう」
男は感心したように、すぐに目を光らせる。
「ばれていたのは承知の上…私自身は…深層心理に眠る力を得るだけだからね…相手がどういう事になろうと知ったことではないのだ」
ぼうっと青白いオーラを纏う男…。神格保持者独特のオーラだ。
みなもは後ずさりするときにマントが、彼女をさらった。
「エルハンドさん」
「五降臨!」
「アレが本当の神!」
廃ビルの壁が綺麗な切り口と共に崩れ落ちる。そのまま男が生き埋めとなった。
「走るぞ!彼奴は…神格保持者だ。しかも魔器からあらゆる魔術を取り込んでいる!」
「はい、あちらに向かいます」
「五降臨も逃げるんだ……っておい!」
がれきから傷一つ無く起きあがる男。その前に立ちふさがる五降臨…。
「6人目…子供……殺す…」
「やってみろ…生兵法では私を倒す事は出来ない。上には上が居るんだ」
五降臨の顔はは血化粧になった。常人では不可能な踏み込み…そして200回もの長刀の斬撃をはなった。しかし…男には傷一つ無い…いや…ただ一寸した切りキスだ。廃ビルが崩れ去るなか悠然と立っている。
「血の臭いがしてもあんた…「能力者」とは戦ったとしても…「超越者」とは戦ったこと無いだろ?」
「な…何故?何故?なぜ?」
血化粧の麻痺も効いていない…得体の知れない相手をしていると本能で感じた五降臨…。
「幾ら人間より素早くても…斬撃が鋭くても…大事なことが欠けている…よける防ぐ…そして、何においても慎重に行動することだよ…暗殺者…。たとえば魔法も超越者は…これだけで発動出来るんだよ…」
男がすっと指さした。指先は暗殺者の心臓。五降臨はそのまま呻くように倒れた。
「さて、杖を取り戻さないと…」
男は…五降臨の屍を踏み越え…杖を取り戻しに向かった。ゆっくりと歩いているようにみえて…徐々に杖を持つ撫子の差を縮めていた。

「来たみたいです」
時音が、エルハンドの気を感じ取り、歩にいった
「よし、丁度出来た」
彼らが居るのは林。遊撃するには隠れやすく、そして飛び道具が扱いにくいところが良いのだ。
敵と落ち合う廃ビルとの距離は十分。完全に歩の領域である。
「エルハンドはすでに木の上でみなもちゃんを抱えているわ…」
すでに合流している茜が言った。
「流石先生だ」
「感心しているのは今の内だぞ…」
あの男の「神格」が近づいてくる…。
「あの馬鹿、己の力を過信したか」
エルハンドが地に降り、みなもを降ろした。
「五降臨が殺された」
みなもと時音は驚く。歩だけは溜息をつく。
「神格のなんたるかを聞いたくせに…抑えていた情に流された所為だ」
歩はそう言い切った。
「君の言っていることはもっともだな…撫子が来た」
エルハンドが林から道路を見る。息を切らしながら、杖を持って撫子が現れた。
「皆さん!コレを!」
と叫んで杖を投げた。上手くつかむ時音。
「では…作戦通りに」
「とどめは…神の力を一瞬でも行使出来る3人に任せるよ」
それぞれが配置につくため散った。

「天国の扉」はゆっくりと林に足を踏み入れる。杖を持って奪った女は…この中に隠れている。
しかし、氷のように冷たい殺気。罠が幾ら覚醒はしていても先が読めないほど張っている。
「…面白い…」
この緊張感は心地よい…すでに…あの杖で『神格憑き』になり死んだ者の「神格」を吸収している。長時間は使うことは出来ないが…あの本当の『神』以外なら…殺せる…。
あの杖を拾ったのは幸運だ、つまらない世の中、只歯車のような毎日。「能力者」ではなく「超越者」に成れば、人間として居る必要はない…。枠から出て思いのままなのだ。はじめに、馬鹿にした奴らを殺した。あのとき少しは罪悪感があったが…、今となっては関係ない…。むしろ心地よい。『神』に成れば…其れさえも超越出来る。

一歩踏み出す。まずは聖別された矢の嵐。流石に術を施されたものは神格障壁を破る。一気に衝撃破で落とすも…先を読まれた様に木が倒れてくる。何本か体に刺さった。そのまま下敷きになる。
気で倒木をはじき飛ばし…先を進む…
「なかなかやる…」
少し焦り…神に近い存在なっても…まだ人間の感情があるのか?
次は、万物分解の光刃。何とかよける、魔法を使ってはじくか「転化」する。
目の前に…目的の杖があった…。しかし…。
「石橋を叩いて渡る…其れが安全だ…」
神格解放…リミッター解除…。
一層神格のオーラが激しくなる…すでに青白くなく…赤黒い…悪魔のような焔だった…。
気を探る…。3つ?4つ?罠にも…。
罠に…一つ…穴を見つけた。
よし!
一瞬男の周りから光が発したと思うと…杖は地面に落ちていた。その場には…「天国の扉」が倒れており…エルハンドと時音…そして撫子が囲んでいた。


●急
「天国の扉」は時間停止を念じたのだ。しかし…時間を司る神はもとより、神格保持者の時音と…『神を斬る力』をもつ撫子には時間停止の影響はない。撫子が動けるのは『あやかし荘武術大会』時から証明済みである。
「なぜ!」
驚く男。
「あの杖に取扱説明書は無いからな。時間停止の限界を知ることはないだろう?」
上からエルハンドの声。
一斉に、若き剣客の攻撃が左右から来た。障壁を破る時音、そこに『神斬』で延髄に峰打ちする撫子。
「生半可なのはお前と言うことだ…。」
エルハンドが意識を失う男に言った科白だった。

いっぽう、五降臨の死体を見にいく茜。其処には自分が何をしていたかさっぱり分からない顔をしている幽霊が居た。
「はぁ、五降臨?聞こえてる?」
「あ…僕…どうしたのかな?…ふたり…僕…がいる…」
「えーっとね…あなた死んだの?」
「死んだ?どうして?」
「神の戦いをね…甘く見ていたのよ」
「…そうなのか…僕の力…役に」
「ん〜落ち込むことはないけど…でもね…暗殺とかさ、止めていた方が良いとおもうけど?」
「…ん…」
「全ての人の痛みを知らないと、あの天国の扉みたいに馬鹿な奴になるよ。この世界…いつ自分が死んでもおかしくないんだから…特に…常識はずれの力を持つ人ほどね…」
茜は、五降臨の霊に優しく説教を言った。
「…でも僕…これしか仕事無い…」
「そうなの…動物と子供に好かれるのに…もったいない…」
と茜はなにか思い出したように、死体をみた。
外傷はない…心臓に空気の固まりがめり込んで圧迫している。
「空気弾か…これはきついよね…」
茜はポケットから数珠を取りだし何かを念じると、陰陽師の霊を召還した。
「…??」
五降臨の霊は首を傾げる。
「空気の固まりを取れば…息を吹き返すかも…あの天国の扉もまだ詰めが甘かったみたいで助かったわ」
陰陽師の霊を操る茜。それにより空気弾は消滅したあと…、茜が取り出した物に、流石のノンビリな五降臨も慌てた…。
神様御用達ハリセン…「起きましょうマイハニー」で五降臨の霊と肉体を思いっきり殴られたのだから…。


「天国の扉」は神格を封の技で奪われ、且つエルハンドの「暗黒天空剣・心の技・心壊」にて、天国の扉を再起不能にした。何処かに放っておき、一応救急車を呼ぶ。
例の杖については、常人が壊すことは出来ないのでエルハンドに一任された。
「この杖は、ネルディの杖という。相手の神格を奪い吸収するのだ。無理矢理覚醒させて生け贄にする事によく利用される。私や父の力の付け方も、天空剣封の技で相手の力を宝石にして其れを吸収することだから…似たような物だな。」
苦笑するエルハンド。
頭痛で呻いている五降臨、仕事が終わったのでそそくさと帰る歩。まだ神格について聞き足りない事が山積みなので撫子とみなもはじーっとエルハンドを見ている。時音はまた夢遊病みたいにぼけーっとしていた。
様々な顔を眺めるエルハンド…ガマ口財布を取り出して…財布の中身を見る…。多少は大丈夫だ。
「つもる話もあるみたいだな…、近くの24時間ファミレスで食事をしながらで良いだろう」
(茜…お前からもいくらか払え…)
(え〜…)
(依頼料…)
(ちぇ)
「何二人でブツブツ言ってるのですか?」
「「いや…何でもないです」」
みなもの質問に茜とエルハンドはハモって答えた。


神の剣 序幕 可愛い巫女さん 終 本編へ…



CAST

0328 天薙・撫子 19 大学生

1106 静波・歩 36 遊撃退魔剣士

1219 風野・時音 17 時空跳躍者(正当神格保持者)

1252 海原・みなも 13 中学生

1521 五降臨・時雨 25 殺し屋


SPECIAL NPC

1399 長谷・茜 17 高校生・巫女

1400 エルハンド・ダークライツ 999 正当神格保持者・剣聖・大魔技



ライター通信

滝照直樹です。
『神の剣 序幕 可愛い巫女さん』に参加していただきありがとうございます。
冗句ありというのはまぁ…エルハンドと茜の関係が、漫才みたいになるので…。彼らは至って真面目に会話しているのですけどね…。

茜「あ〜!」
エル「なんだ?」
茜「おいしいお蕎麦屋、君に聞いてないよ。エルハンド〜早く教えて〜」
エル「もう皆に奢ってスッカラカンだ」
茜「うそだ〜。家の中に異空間倉庫作って、へそくりしているの分かってるんだから!」
エル「何!いつ気づいた!」
茜「このノベルの受注窓の内容で」
エル「…恐るべし女だ…」

とこんな感じです(ぉぃ

では、機会があればまたお会いしましょう

滝照直樹拝