■海だ!夏だ!草間兄妹の海水浴 2日目■
滝照直樹 |
【1252】【海原・みなも】【女学生】 |
海辺はオジサン達には目の保養となる。草間もそう言った意味では其れ扱い。
「まて!俺はハードボイルドだぞ。」
では零ちゃん達の水着姿ばかり追いかけているのは何故ですか?
「…いやそれはなぁ…」
さて冗談はさておき…(武彦「まてよ」)
焔がくいくいと草間を引っ張るのに気づく。
「なに?用事があるのか?」
コクリと頷く猫。付いてこいという仕草で歩き始める。
焔について行くと…洞窟があり…奥には綺麗な祠があった。
「ほほう…」
やはりこのシチュエーションでは…肝試しも良いだろう。
零達に良い思い出を作るのは良いことだ。
「肝試しするか…」
と言った草間、焔はブンブン首を振る。
(ちがうにゃ!ちがうにゃ!此処はあぶないのにゃ!)
「良いところを教えてくれてありがとう。焔」
(だから違うってー!)
昼ご飯頃に肝試しをしないかと皆に言った。
(…考えてみれば肝試しって効果にゃい気もするにゃ)
…焔ちゃんの意見は尤もです。
ライターより
海水浴 2日目です。
タイムスケジュールでは日中は自由に遊べます。
肝試しは当然夜に行われます。
日中のプレイングと肝試しのプレイングを書いて下さい
5〜8人追加する状態もあります。
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夏だ!海だ!草間兄妹の海水浴 2日目
■2日目午前
朝、涼しい風に起こされ、朝食を取って自由行動になった。
海で遊ぶのは時音と零、草間ぐらいらしい。
それぞれ、思っている所を散策するそうだ。
「いってらっしゃいませ」
夏美が笑顔で皆を送り出していった。
●お土産を買うみなも
涼しい内に、姉妹やアトラスの碇、滞納で悪名高い枢機卿の為に土産店を見て回った。
妹や碇達には温泉饅頭、伯爵様にはサブレ。姉には民話の小冊子を買う。駅にスタンプが置いていることを思い出し、思い出としてメモ帳に押す。
都会で見ることが出来ない、オニヤンマにギンヤンマが、空高く飛んでいた。海の反対側は山、遠くから鳶の鳴き声も聞こえる。
蝉の鳴き声、遠くに見える入道雲。
日の光は優しく、心地よい。
…まだこんなに自然が生きてる…
みなもは感動すら覚えた。
広い田園…そこにひとりの少女。
まだ緑色の稲穂が風に揺れる中に一輪の蒼い花。
風が彼女の青い髪を撫でる。
海岸の賑やかさと違い、静寂と美が支配していた。
■肝試し報告と昼間
「肝試ししないか?」
深淵に一度帰って昼食中に草間は皆に言った。
「丁度良い洞窟があってな。奥に祠がある。焔が教えてくれた」
草間の頭に乗っている紅い猫が不安げな声でにゃーと鳴く。
「面白そうですわ」
亜真知はうきうきしているが、焔の様子がおかしいと気づいていた。
「もしかして…」
撫子は今朝のことを思い出す。あの洞窟かしら…と。
「鯨の神様『鯨さま』を祀ってる所かしら…?紅葉さん?」
シュラインは紅葉に訊くと彼女は頷いた。
「夏江達やこの地域の皆さんによって祀られていますから問題はないですよ」
と、紅葉は皆に麦茶を淹れて答えてくれた。
「では問題ないな。ルールは後で話す」
草間は決まりと言わんばかりに食事を再開する。
「わたしは肝試しの準備をするわ」
シュラインは昼の日程を決めた。
みなもや焔寿も七式も昼は何をしようか考えているようだ。
●それいけ美少女探検隊
みなもと亜真知、零は海に出かける。沖まで泳ぐことが出来るし、人魚の末裔であるみなもがいれば危険は少なくなる。鮫も攻撃してこないだろう。
壊れた白いウクレレを見つけたが、無視する方向である地点まで3人は泳いだ。
遠くでこの地域の人魚が様子を見ている。彼女らの「領域」まで来たようだ
みなもは人魚独特の合図で「挨拶」を交わすと…。向こうからやって来た。
「はじめまして、空鯨の海にようこそ人魚の末裔の方」
「はじめまして、海原みなもといいます。此方は零さんに亜真知ちゃんです」
「「はじめまして」」
と、零と亜真知は挨拶する。人魚は微笑みながら
「ここは、のんびり出来ますよ、一緒に海中都市に…」
人魚に導かれ、海底にある人魚の都に案内された。
「みなもさん…」
零が少し不安そうにみなもに尋ねた。
「どうしました?」
「浦島太郎のように…時間軸が異なるって事はないですよね?」
「大丈夫ですよ。時間は陸と変わりませんから」
「よかった」
零は笑顔を取り戻す。
この都市はギリシャ神話の神殿を彷彿とさせるゴシック調であり、サンゴの庭園、イソギンチャクの花園、喋る海の生き物たちで溢れていた。
「先ほど空鯨とおっしゃいましたよね?」
と亜真知が案内してくれている人魚に訊いた。
「ええ、昔空を飛ぶ鯨がこの地域全体の生き物に知恵を与えてくださったのです。なので一部の生き物は人の言葉を喋るとこが出来ます」
と、優しく答えた。
「私たち人魚と陸の人間達が争いになった時に、空鯨は仲介に入ってくださいました。様々な危機の時も彼が助けてくださいました。なので私たちも陸の人間のように彼を敬愛しております」
都市の中央に、空鯨の石像が飾ってあった。海草が付かないように丁寧に海の生き物たちが手入れをしている。
暫くのあいだ、3人の美少女は海底都市で遊んだ。
お土産に、玉手箱(人魚曰く「老人になる効果は半日だけです。もちろんどなたでも老人になれます」と)を貰いご機嫌で陸に戻った。
■肝試しスタート
夕食を済ませた後、皆はロビーに集合し、洞窟に向かった。歌姫は赤子の世話で旅館に残る。
草間は焔の足跡をつけた石ころを袋に詰めている。そして近くの売店で買った蝋燭。
「ルールは簡単だ、蝋燭の明かりだけであの洞窟を進む。そして祠にこの石を置いていくというものだ」
「でも、蝋燭だけじゃ消えると大変だから、この懐中電灯を持っていってね」
シュラインが皆に懐中電灯を渡した。
「あと、ずるはしないことな。瞬間移動などは禁止だからな」
草間が付け加える。
七式が手を挙げて言った。
「わたくしは視界が自動的に変わるために参加出来ませんが、皆さんの安全のためにこの場で待機します。洞窟にはいる時はこの発信器をつけてください」
と、ブローチの発信器を見せた。
「はーい」
まずくじ引きでペアを決めた。
1.みなも、零
2.撫子、焔寿
3.時音、亜真知
4.草間、シュライン
1番 みなも、零
「零さん、お願いしますぅ」
みなもは今にも泣きそうな顔で零の腕にしがみついていた。霊感が無くても雰囲気が怖いのだ。零はちょっとだけお姉さん気分に浸っている。
「いってらっしゃ〜い」
2人は洞窟の中を進んだ。
零は一言
「何かでそうな予感ですね」
「い、言わないで〜」
岩が滑りやすい為、慎重に進む。蝋燭の明かりが消えないように。
祠に着いた。蝋燭を近づけると、祠の中に確かに鯨を祀っている証である像が見つかる。
石を置いて、2人は戻っていった。
2番 撫子、焔寿
「いきますか」
「はい」
「にゃ〜」
女の子2人と猫2匹が中に入る。撫子は朝顔が鮮やかに染め抜かれている浴衣姿で焔寿は活動的な七分丈のパンツ姿に、足元は素足に何故か草鞋、猫達に彼らが何処にいるか分かるように淡く発光する布、七つ道具の一つ蛍光布を首輪に括り付けている。
「いたずらしちゃだめだからね」
焔寿はアルシュ達に言った。チャームは怖いためか彼女の肩に乗っている。アルシュは焔と違って気にもせず先に進んでいる。
確かに2人からしても「念」が強いと思う。しかし、悪意はないようだ。
「祠ですね」
撫子は蝋燭の明かりで確認した。そして、石を置く。
「こら!アルシュ!」
紫色の猫は祠の上に登って如何にも
『わたしゃ神様にゃ』
と言わんばかりの態度を取っていた。
「次の人を威かす気満々みたいですね、アルシュちゃん」
撫子はふと口にする。
実は焔寿も次のペア…特に草間ペアを…驚かしたかった。
2人はヒソヒソと話をして笑って頷く。
「ちゃんと戻って来るのよ、アルシュ」
「は〜い」
アルシュは祠の裏に隠れた。
撫子は形代でアルシュに似た式神をつくり、洞窟を後にした。
そして2人は戻ってきた。
3番 時音、亜真知
2人はさくさくと洞窟を進む。
亜真知はこの洞窟に充満する念のことは知っている。それに空鯨との接触は無理だった…。
その謎は未だ解けていない。
「只の伝説なのかしら?」
首を傾げながら時音と進んだ。
時音はというと…未だに加持の気を感じており…別の不安を抱えていた。
「きゃっ」
亜真知が滑りやすい岩に足を取られ転ける所を時音が上手く支えた。
「ありがとうございますぅ」
「危ないから気をつけてね…」
しかし…辺りは真っ暗…支えた拍子に蝋燭を落としたようだ。
「仕方ない…懐中電灯を使うか」
時音は懐中電灯を灯す。目の前…何かが向かって来た!
「うわぁ!」
無意識に亜真知を抱いて時空跳躍で回避。
「何だったのだろう?」
すると…どこからともなく…有名なスパイ映画のオープニングが流れ…
「はっはっは、時音君久し振りだね!」
「加持隊長!」
スパイ映画の主人公のまねをして、歯を輝かせて加持葉霧が立っていた。
「しかし、特殊能力を使うとはルール違反だね、時音君。亜真知嬢は見逃すけど…時音君にはお仕置きだ」
ぱちんと指を鳴らすと。時音は瞬く間に消えた。
「時音さん!」
「はっはっは!大丈夫さ。〈風雲☆時音城・改〉でS級なスリルを味わう為に其処に移送しただけだよ!」
いきなり現れた、変な男は高笑いをしていた。
「助けてくれた時音さまを…酷いですね!」
「え?」
亜真知は怒り…洞窟の「念」をも利用して…加持を持ち上げる。
「時音さまはずるなんかしてませーん!」
「念」も共鳴して…加持を地面に叩き付ける。
(心優しい人をいじめる輩は容赦しない…)
「念」はそう言っていると亜真知は感じた。
(「なるほど…人々の「念」が強すぎて焔ちゃんは怖かったのね…」
加持は彼女の能力により、洞窟の天井に奥深く封印された。
一方…時音はというと…時音城・改の人間ロケットで沖まで飛ばされていたのだった。
亜真知は急いで戻って、撫子に抱きついて怖い人がいたと泣いた(嘘泣きっぽいが)。
一部始終見ていたアルシェが怯えながら出てきたとこを誰も知らない…。
4番 草間、シュライン
「最後は私達ね」
「ああ」
「兄さんいってらっしゃ〜い」
シュラインと草間は洞窟の中に入る。
亜真知が怖がって逃げてきた(?)理由は…地面に加持の名刺が落ちてあった事で…察しが付いたようだ。
「コイツ、鮫のエサになったハズなんだがなぁ…」
「気にしないで行きましょ」
2人は苦笑して先を進む。
シュラインは草間と腕を組み、体を寄せていた。
「ゆっくり行くか」
「ええ」
草間はシュラインが転ばないようにゆっくりと歩いた。勿論自分も。
洞窟の雰囲気はやっぱり不気味だった。其れが又おもむきがあって良い。
無事に祠にたどり着き、石を置く。
「よし、終わりだな」
シュラインは祠に手を合わせ
「お騒がせして済みません」
と、謝罪と感謝の念を込めて祈った。
草間もそれに倣う。
「行きましょう、武彦さ…きゃぁ」
シュラインが、祠を後にしようと歩こうとした時…足を滑らせて草間に抱きつく。
「おっと‥うわっ」
何とか彼女を受け止めた草間もそのまま転んでしまった。
お互いの唇に暖かい感触。
蝋燭の明かりは消えたまま。
2人はしばらく動けなかった。
我に返った2人は、ゆっくりと起きあがりしばらくは顔を合わせられなかった。
多分…お互い凄く赤面しているだろうと。
「行くか」
「う、うん」
草間がシュラインの手を取って、懐中電灯でゆっくり彼女を連れて歩いて行った。
鯨神様の「悪戯」か、それとも「お礼」なのかは分からない…。
が、一寸恥ずかしいくも楽しい思い出となったことだろう。
■空鯨
皆が深淵に戻って来ると、加持の所為で沖まで飛ばされてリタイアしていた時音が出迎えてくれた。危うく鮫のエサになりかけたという。
暫く、皆で雑談を楽しみ、そろそろ就寝時間の頃だった。
紅葉が皆を呼んだ。
「なんだ?なんだ?」
紅葉は微笑みながら空を指さす。
白い大きな…鯨が楽しげに空を泳いでいる。
焔はそれをみて逃げ出す。
「鯨さまは喜んでいるようです」
と、紅葉が言った
「そうか…其れは良かった」
草間は煙草をくわえ空を眺める。
空鯨は一声鳴くと…夜空から消えた。
3日目に続く
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0328 / 天薙・撫子 / 女 / 19 / 大学生】
【1219 / 風野・時音 / 男 / 17 / 時空跳躍者】
【1252 / 海原・みなも/ 女 / 13 / 中学生】
【1305 / 白里・焔寿 / 女 / 17 /天翼の神女】
【1376 / 加持・葉霧 / 男 / 36 /謎の指揮官A氏(自称)】
【1510 / 自動人形・七式 /女 /35 /草間興信所在中自動人形】
【1593 / 榊船・亜真知 / 女 / 999 / 超高位次元生命体:アマチ…神さま!?】
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■ ライター通信 ■
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こんばんは
滝照直樹です。
『海水浴2日目』に参加してくださりありがとうございます。
色々サービスある方や、とんでもない目に遭ってる方がおられますが、楽しく書かせて頂きました。
あと1日お付き合い下されば幸いと存じます。
また機会が有れば宜しくお願いします。
滝照直樹拝
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