■黄金褌伝説■
遠野藍子 |
【0888】【葛妃・曜】【高校生】 |
白王社月刊アトラス編集部。
今日も今日とて、麗香のお気に召すネタを仕入れるべくネットを宛てもなく彷徨っていた三下は変わったHPを発見した。
そのHPのタイトルは、『日本秘宝・埋蔵金伝説』。
その名の通り、日本各地に伝わる埋蔵金伝説がいろいろとアップしてある。
更新履歴をクリックすると、ちょうど今日新たに更新されていた。
そこには、
『7月×日
最近掲示板で噂になっていたアノ戦国武将の秘宝情報を入手!
気になる人はココをクリック→☆』
とある。
三下は導かれるままにそこをクリックした。
数秒後、画面いっぱいに現れた情報を見て一瞬絶句する、
………。
「へ、編集長っ」
きっと、これは麗香好みに違いないと三下は急いでその画面をプリントアウトして麗香の下へ駆け寄った。
***
一方時を同じくして、こちらはゴーストネット掲示板。
雫はいつものようにHPの書き込みをチェックしていた。
「ん〜、何か面白そうなネタないのかなぁ」
どうも、最近は雫の琴線に触れるような書き込みが少ない。
不作不作―――と次々とロールダウンしていった雫は昨夜の深夜にあった書き込みのところで手を止めた。
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件名:埋蔵金を探しませんか? 投稿日7月×日 02:18
HN:埋蔵金発掘し隊
とある戦国武将の埋蔵金の在り処を示す地図を入手しました。
埋蔵金といっても大判小判ではありません。
ソレを手にしたものは覇権を手に入れるといういわくつきの秘宝中の秘宝と言われている黄金の……
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***
「黄金の褌!?」
奇しくも異なる場所で2人の声が重なったことを知る者は居なかった。
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黄金褌伝説
*ゴーストネット発掘隊*
葛妃曜(かつらぎ・よう)はとりあえず、その書き込みを見つけた瞬間に大きく噴き出した。
一見、元気な美少年のようだが、その実名家の生まれで5人姉妹の末っ子という立派な(?)お嬢様としてはその反応は正しいものではないだろう。だが、その容姿ゆえに4人の姉達に猫可愛がりして育った結果、容姿にひけおとらず中身も少年っぽくなってしまったのである。
そんな曜にとって今回の『黄金褌』なるものの捜索は曜の中の冒険心と好奇心を絶妙にくすぐる内容だった。
唯一気になるのは、覇権云々は眉唾だと思うのだが『褌』などという男限定のものに覇権が与えられるという時代錯誤な男尊女卑な言い伝えだったが、まぁ、実際戦国時代のものだというのならそれも致し方ない。
とりあえず、好奇心に負けた曜は気に食わない部分には意識的に目を瞑ることにして、
『はぁい、俺、発掘に参加〜♪』
と、書きこんだ。
「みあおちゃん。とりあえず、危ないからそれはしまっておきましょう」
「そうね、はい貸して。リュックの中に入れて上げるわ」
目的地である富士山の麓を目指すために、曜は海原みあお(うなばら・みあお)、シュライン・エマ(しゅらいん・えま)、綾和泉汐耶(あやいずみ・せきや)の3人と一緒に電車に揺られていた。
電車に乗るとシュラインと汐耶がまず、みあおが被っていた懐中電灯付の黄色いヘルメット―――いわゆるガテン系の人がよく現場で被っているそれを彼女の頭から外させてしまっていた。
最初、待ち合わせ場所に来た時にはヘルメットを被って現れたみあおだったが、それは明らかに小学生の彼女には大きすぎて歩くたびにみあおの視界を覆ってしまっていた。
みあおは良い子には〜いと返事をして、シュラインにリュックとヘルメットを渡した。
渡しながらみあおは、
「本物だったらい〜ね。だって、全国統一できたらへ〜わになるよ〜」
きゃっきゃとはしゃぐ。
「ソレが褌ってことはハナから男性限定かよ。前時代的だよな」
といいつつも実は曜もものすごくワクワクしていた。
『黄金褌』を探すということ自体、絶妙に冒険心をくすぐってくれるのに更にその現場があの有名な「青木ヶ原樹海」だと聞けば尚更だろう。ワクワク感も2割増(当社比)というものだ。
シュラインと汐耶はさすがに「褌」という言葉を電車の中という公共の場で口に出すのもためらわれたため少し声を押さえて、
「黄金の……っていっても本当の金なわけじゃないわよね。でも金糸で織り込んであるなら結構重そうじゃない?」
「まぁ、金には変わりないけどねぇ。その効力が本当か知りたいからわざわざ有給申請してきたわけだし」
と話している。
汐耶とシュラインが調べてきたところによると、その宝は、あの有名な武田信玄――――武田埋蔵金の一部であるらしい。
汐耶は事前に雫から地図の写しを借りて自分なりに現在の地図と照らし合わせて大まかな場所を把握して来たという。
曜ははなっから、自分は力仕事アクション担当だと思っていたので、とりあえずそう言った事前調査などについてはすっかりお任せだったのである。
「でもさぁ、金ムクな褌なんて履き心地最悪そうだし悪趣味だよな〜」
「まぁ、ネタとしては楽しいわよね」
「馬鹿馬鹿しくっておもしろそ〜だよねぇ」
とりあえず、ネタとしてはくだらなくて面白そうなことこの上ない事は確かだろう。
「わぁい、樹海樹海。ここって自殺する人が来るとこなんだよね〜」
どうも情報過多の最近の小学生にも樹海のある意味間違ったイメージが強いらしく、そう言っていたみあおは現地に到着して自分の中のイメージとの違いに驚いた声をあげた。
「ぜんぜん思ってたのと違う〜」
「俺ももっとおどろおどろしいところ想像してたんだけどなんだか案外フツーでがっかり」
どんな想像をしていたのか、あからさまにがっかりしているみあおと曜の台詞にシュラインと汐耶は思わず苦笑している。
「大丈夫よ、2人の期待に応えるわけじゃないけど例のモノはこの整備されたハイキングロードを反れて森の中の中心にあるようだから」
とシュラインが2人に言い聞かせた。シュラインとは探索のコースを決定するために綿密に打ち合わせをしてきていたのだった。
そういうシュラインを振り返って、曜は、
「ところで、2人とも何でそんなに荷物多いんだ?」
と、シュラインと汐耶の荷物を指す。
「あぁ、これね。お弁当よ」
「わぁ〜い、本当にピクニックみたいだね〜」
2人が2人ともお弁当だといって指した鞄はやけに大きくて、そのサイズからも明らかに4人分よりはるかに多いだろう。
だが、シュラインが碇から聞いた話によると、奇遇な事にアトラスでも最近その「黄金の褌」の情報を入手したため今日、3人がここに来ているという話だった。
信憑性には乏しいかもしれないがこんなに面白おかしいネタを、あの敏腕編集長がみすみす放っておくはずもないので、それについてはすぐに納得できた。
「あっちには三下がいるらしいよ〜」
と、みあおがどこか楽しそうな口調でそういった。
永遠の下っ端、日本一の使いっぱしりの三下も向こうの発掘チームには居るという。
「まぁ、三下が居る向こうがすぐに見つけられるとは思わないけどぉ、でも、やっぱりアトラスチームより先に見つけたいよね。だって、こっちが先に見つけてネタを売ったら宴会が出来るもんっ!」
と、みあおが言った。
小学生にここまで言われると、可哀想を通り越してすでに哀れとしか思えない。だが、それも三下のキャラクター故だろうと、誰も異論を挟むものは居なかった。
それに、碇としては結果的に三下がモノを発見しようがこちらが発見しようが結果さえ教えてもらえればいいと、そう言っていたらしい。さすがに抜け目のない女性である。
「さぁて、じゃあ、そろそろ本格的にお宝捜しに行きましょうか」
地図を片手に汐耶が告げたスタートの声に、
「お宝ゲットだぜ!」
「えいえい、オー!」
と、年少組みが気合の声をあげた。
少し進むごとにシュラインは持ってきた紐を木の幹に結びながら進んだ。方位磁石のきかない森の中で迷子になった場合、最悪でももと来た道はわかるようにという目印のためだった。
「あれ?」
シュラインがある木に紐を結んでいるのを、見ていた曜があることに気づいた。
「これ、何の矢印だ?」
手招きしてみあおと汐耶も呼び寄せる。
「何かの道標かしら?」
「この傷、まだ新しいものじゃない」
根元にある小さい矢印はナイフかなにかで彫ったような痕で、ごく最近彫られたような感じだった。
「あっち向いてるね〜」
みあおに釣られるように、4人が矢印の先を見た。
「声、聞こえなかった?」
突然、シュラインが曜に言った。
シュラインに言われて、曜は耳を済ませる。シュラインほどではないにしろ曜は虎人チェンジしなくても普通の人間よりは遥かに聴覚は発達している。
しかし、曜が耳を済ませた直後に、遠くから
「うぁぁぁぁぁ――――――――」
という男の悲鳴が聞こえた。その悲鳴は聞き覚えのある声だった。
「今のって、三下の声だよね〜」
「何かあったのかも知れないわ。急ぎましょう」
汐耶、シュライン、みあおの順に声の聞こえたほうに向かって駆け出した。
その3人の横を虎人化した曜が駆け抜けて行くのに気づいた汐耶は、曜の背中に、
「曜くん、気を付けて―――――」
と、注意を投げかけた。
「……っ」
その場に着いた曜は、その光景を目の当たりにして一瞬声に詰まり、その次の瞬間にははじけたように大声で笑ってしまった。
木から逆さ釣りの状態でぶら下げられ涙がだーだーと滝のように目から額に向かって流れている。
「三下君、あなた何してるの」
ようやく曜に追いついた3人は先に着いて大笑いしている曜を尻目に、あきれたような目で逆さ釣り状態の三下を見ていた。
「僕だって好きでこんなことになってるんじゃないんですよぉ、見てないで下ろしてくださぁぁいぃぃ」
しょうがねぇなぁ、と曜が笑いを堪えながら木の上に上がろうとした時だった。
「観念しなさい〜!」
横の茂みからという声とバットが飛んできた。
それを追いかけるように、少年の、
「あぁ、涼姐、ストップストップ〜〜〜!」
という声も飛んできた。
しかし静止の声だけで投げつけられたらしいバットが止まるはずもない。だが幸いな事にバットは曜に向かって飛んでいた。虎人化していた曜はその驚異的な反射神経で飛行バットを見切って一気にジャンプして枝の上に乗った。
鈍い音がして、バットが木の幹に当たって地面に落ちる。
「って―――――あれ?」
「あら」
「あ〜!」
曜の足元でいくつかの声が同時に発せられた。
「なんでこんなところにそろいも揃って……あ、碇さんに聞いたの?」
自分がバットを投げつけたことも忘れたように、元気暴走印の女子大生村上涼(むらかみ・りょう)はシュラインやみあおの顔を見て、そう言ってぽんと手を叩いた。
「えぇ、でも私たちはアトラスからの調査じゃなくってゴーストネットのほうから来たんだけどね」
「おもしろかったよ〜、悲鳴が聞こえて飛んできたら三下がぶら下がってるんだもん」
みあおがそう言ったことでようやく三下のことを思い出した涼が見ると、すでに曜の手によってとりあえず、三下は無事下ろされていた。
「まぁ、目的は一緒なわけだしここは手を組むってのはどう?」
明らかに今回アトラスチームの決定権を握っているであろう涼に、シュラインはそう提案した。
「うぅん」
悩む涼に、それまで黙って成り行きを見守っていた少年―――天樹火月(あまぎ・かづき)が涼のTシャツのすそを引っ張っる。
「涼姐、そうさせてもらおうよ。なんだかトラップも出てきたからきっとお宝には近いのかもしれないけど」
「人数が増えるって事はそれだけブツを売ったときの分け前が減るわけでしょ」
「でも、危ないよ。涼姐は普通のか弱い女の人なんだから。それにもしも涼姐になにかあったら俺に勉強を教えてくれる人いなくなっちゃうし―――――」
火月の『普通のか弱い女の人』発言が涼の琴線に触れたのか、
「もう、火月がそこまで言うんならしょうがないわねぇ」
と、涼はゴーストネットチームとの合同調査を承諾することにした。
「OK。じゃ、とりあえずお昼でも食べながら作戦会議にしましょう」
トラップなどからアトラスチームの3人が居たあたりが宝に近いという結果に落ち着き、お弁当をきれいに平らげた後、アトラス、ゴーストネット合同チームは三下が次々とトラップに引っかかった場所に戻りそこから先へ進むことになった。
合同チームになってもやはり先頭は、涼いわく『ナマ盾』の三下だった。
当然三下は今度も「もう嫌ですぅぅ」と泣き叫んだが今度は涼だけでなくみあおや曜にも責めたてられて三下の意思が通るはずもなかった。
これがまた、トラップが現れること現れること。
しかも、ことごとく三下はそれに引っかかった。
手裏剣が飛んで来たり、網が上から降って来たり……と。
しかし、その苦労が報われる時が来た。
「きっと、ここよ!」
一際大きな大木にたどり着いたときにナビゲーターをしていた汐耶と涼がそう言いきった。
「何の変哲もない木に見えるんだけど?」
火月が年少組みを代表するように問い掛けた。
曜も疑わしそうな顔で見ているが、汐耶と涼は嫌に自信に満ちた顔をする。
「あたし達だって闇雲に歩いてたわけじゃないのよ、多分、この木がこの樹海の中心にあたるはずよ」
確かに、今までは木どころか樹木の根が地面からあちらこちらと顔を出してやたらと凹凸が激しく歩き難かったのだがその木は小さく盛り上がった塚のような上に生えており、その樹木の根が洞の様になって居るその姿はまるで人の腕が何かを抱えているような姿だった。
「よし、そうと決まったら掘るぞ!」
そういって曜は背中に背負ってきていたスコップでがむしゃらにその根と根の間を掘り出した。みあもも「お宝お宝ぁ、褌さんは出てくるかなぁ」と妙な節をつけた歌を歌いながらリュックの中からシャベルを取り出して砂場遊びに夢中になっている子供のように掘っている。
「ほら、三下さんもさっさと掘る!」
涼は死人のようにぐったりした顔の三下に鞭をうって掘らせる。
ざっざっざっ―――――――土が掘られる音がしばらく続いていたが、突然その音がガチンと何か硬いものに当たったような音がした。
「何かに当たった!」
曜はスコップを止め、みあおのシャベルで丁寧にその何の周囲を掘る。
するとそこにはやたらと薄汚れた梅干が入っているような形の壷が現れた。
「やった!」
「アレかしら?」
「早く明けて明けて」
「じゃあ、明けるよ」
曜がそう言うと壷を囲んだ全員の咽がごくりと動く。
「せーの!」
壷が用の腕によって逆さにされる。
当たりが沈黙に包まれて、どこかで鳴く野鳥の声だけが微かに聞こえる。
地面にはその中に入っていたらしい銅銭が3枚だけ申し訳程度に転がっている。
しかし、
「―――――これだけ?」
と、誰ともなくそんな台詞がこぼれた。
「本当に、これだけなの? 他になんか入ってないわけ!? ほら、壷にへばりついてるとか!!」
その中でも、特に涼はそう言って曜からその壷を奪い取って中身をのぞきこんだが、塵一つ入っていない。
ゴトっという音がして涼の腕から壷が落ちた。
誰も彼もが呆然として言葉を失っていたが、ぽつりと、
「……みあも、もう疲れたぁ」
と呟いた。
そうみあもが言ったのも無理はなかった。昼前に森の中に入ったにもかかわらず今時間はすでに夕方を指している。
「もしかしたら違う場所かもしれないけど、今日はもう無理ね。出直すしかないわ」
「そうね、野宿するわけにもいかないものね……」
シュラインと汐耶はそう判断を下した。曜としては別に虎人化しているので別に野宿をしてもかまわなかったのだが、他の面々はそうもいかない。
「これじゃただのくたびれ儲けじゃない!」
と、涼は憤懣やる方ないようだ。
しかし、そうは言ってもこれ以上ここにいて日が暮れてしまっては取り返しがつかなくなる。
結局どうやら今回のネタは空振りだったようだ。
しかし、誰よりもそのことに1番ショックを受けているのは三下に違いないだろう。
あれだけ体を晴らされて居たい目にも辛い目にもあいながら、しかも宝は見つからず……などと戻って碇になんといえば言いやら。それを考えるだけで、もう、このままこの森に留まってしまった方がまだ自分は幸せなのではないかと本気でそう思えてくる。
「……」
「……」
「―――――」
火月の目印をたどって一行はとりあえず森を抜けた。
口数が極端に少なくなってしまったのは、まぁ、無理もないだろう。
7人が森を出ると、陽は半分以上沈みかかっていた。
「あれぇ、あんたたち何しとるんだねぇ」
不意に通りすがりの老人がすっかり疲れて座り込んでしまっている6人を見て声をかけてきた。
「東京から取材調査に来たんですけれど……」
シュラインは疲労感を隠せない口調でそう言った。
「ほぉ、それはえらいことだったねぇ。でぇ、何を調べとったんかね」
「黄金の褌だよぉ」
みあおが老人にそう言うと、
「あぁ、アレの事か」
と、老人の口から思っても見ない言葉が飛び出した。
「おじいさんしってるんですかっっっ!?」
一同の声が重なる。
「おぉおぉ、知っておるよぉ。あれじゃろう、あれなら源さん所にあるさぁ」
なんと、すでにそれは発掘されていたと言うのか!?
色めきたつ勢いに押されて老人は7人をその源さんなる人物の家に案内する事になったのである。
そこで、一同が見たのは今まで見た事もないような光景だった。
夕日の差す中、物干し竿代わりのロープにはためく何枚も連なった褌。
ひらひらと揺れるそれはすべて夕日の中に溶け込んでしまいそうな目にも眩しい山吹色をしている。
まるで、昔の映画のワンシーンのような光景だった――――もっとも、映画のほうはハンカチだったが。
そして、その中に1枚だけきらきらと夕日を反射させているものがあった。
確かに、きらきらと光るそれには間違いなく金糸で見事な刺繍が施されていた。
「あぁ、アレだ、アレ。何でも源さんが若い頃に森に迷い込んだ時に見つけたって言うハイカラな褌」
それ以来、源さんなんだか黄色い褌に凝ってしまってのぉ……など老人が続けている。
虎人化しているため視力も人間よりも遥かに良くなっている曜には確かにそれが細かい刺繍が施された金色の褌であるのがわかった。
だが、どうも長年愛用されていただけあってなんだか妙にこなれた風情になっている……ような気がする。
隣では涼がバットを振り回して三下相手に大暴れしようとしているのを火月が必死で止めようと奮戦している。
とりあえず、これじゃただのくたびれもうけだよなぁ――――
いっそあそこに干してある褌を取ってきて涼に渡してみようかなぁ……などと不穏な事を思いつく。
それで、携帯メールでその三下の姿を激写して後でネット上にアップしちゃえ。
それを想像すると思わず口元がにんまりしてしまった。
必死で火月の後ろに隠れていた三下がなにか不吉な予感に背筋を振るわせたのは気のせいではないだろう。
後日、ゴーストネット掲示板に少年Aのように目隠しだけされジャージの上に金色の褌姿の正体不明の写真が数日間アップされていた。
Fin
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【 0381 / 村上・涼 / 女 / 22 / 学生 】
【 1451 / 海原・みあお/ 女 / 13 / 小学生 】
【 1449 / 綾和泉・汐弥 / 女 / 23 / 司書 】
【 0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【 0888 / 葛妃・曜 / 女 / 16 / 女子高生】
【 1600 / 天樹・火月 / 男 / 15 / 高校生件喫茶店店員(祓い屋)】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、遠野藍子です。この度はご参加ありがとうございました。
締め切り数日前、さぁ続き書くぞ〜とPCをたちあげたのですが……立ち上がりませんでした。突然PCが飛んじゃいまして、再セットアップする羽目になりました。<泣
幸いなことにPC自体は復活したのですが、あまりにも突然Windows自体立ち上がらなくなったため、当然書きかけの原稿はぱぁ。再セットアップ再インストールに2日かけてようやく書き直した次第です。
バックアップはまめにしよう。特に仕事中は……
初めてコミカルタッチのものを書かせていただいたわけですがいかがでしたでしょうか。難しいですね。慣れないものを書くのは。
精進します。
また、機会があればよろしくお願いいたします。
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