■夏だ!海だ!草間兄妹の海水浴 3日目■
滝照直樹 |
【1687】【黒乃・楓】【賞金稼ぎ】 |
朝日の光が草間を起こした。
「兄さん、あさだよ〜」
起こしに来たのは零だった。カーテンを開けている。
「そうか」
「皆、下で待ってるわ、いそいでね」
「ああ、わかった」
今回の海水浴は彼女にどういう風に見えたのだろう。
草間はふと思った。
あの中の鳥島から1年過ぎて…
(変な感傷はよすか…)
草間は、寝間着から直ぐに普段着に着替え、最後の海水浴を楽しもうと思った。
零だってそうだと思う。
焔が二人の後を付いていった。
ライターより
5〜8人です。
昼迄遊んで、夕方に帰宅します。
その間の行動を書いて下さい。
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夏だ!海だ!草間兄弟の海水浴 3日目 〜Operation of the Survival Game Off〜
■外伝:磯部の裏側
加持葉霧は黒乃を呼び出し、あることを告げた。
「時音君が世話をしている赤子を狙う刺客がくる…たぶん風野家を未来から消すためか…もしくは」
「加持の旦那…言うとアレかい?俺ら2人で刺客を殺すって事?」
黒乃は静かに訊いた。
「そうなるね」
自力で岩から這い出して来た加持は土まみれだった。
「数は500以上と思う。ほかの者に調べさせた」
「500ね…」
実力なら2人で500人を屠るなどたやすい。しかし刺客の送り主が…
「同じ未来の退魔か、それ以上の魔」
と加持は言った。
いつもの馬鹿な雰囲気は2人にはない。
―はっきり言いたい、こいつら本気だ。雨が降りそうだよ。(ライター談)
「『銃は剣より強』と言うが…何とかなるのか?」
「それをするのが…僕たちの仕事さ。非番の時音君には負担をかけたくないのさ」
「部下思いだねぇ」
2人は一間おいて…静かに笑った。
「まずは、皆さんをここから遠ざけることだ」
「ああ、わかったよ、旦那」
それぞれが思い思いの行動に出た。
●加持編
まずは朝方…
草間武彦はあの諜報員の悪夢を見ていたらしい。
其れもその筈…、零が起こしに来るまで、加持が耳元で「妹萌え〜、妹萌え〜」と囁いていたのであった。
しかし、零が起こしにくるまでに彼の姿は居なくなっていた。
あと、そこら中の土産屋に諜報員セットなる奇妙なアイテムを置いている。中身は至って普通のスパイごっこセットだった。地元の子供に大人気という経済効果を与えた。
草間と一緒になる機会を見過ごさなかったイヴ。
それぞれが、宿に向かったりしたから、草間と2人きりになった。
「どんなお仕事していらっしゃるのです」
「探偵だ」
「まぁ格好いい」
「ハードボイルドでいける職業だったらな…」
草間はかわうそ?の海の家でかき氷を二つ注文した。
「トップアイドルがココでは目立つだろう」
スペアのグラサンと麦わら帽子を差し出した
かき氷は美味しく、暑さを忘れるほど冷たかった。
「ま、何かあるならココに連絡すればいい」
草間はイヴに名刺を渡した。
「ありがとう」
後は、他愛のない会話が続いた。
流石に荷物番をしている為にこの場から動けない。
「お前、異世界の者だろ?」
いきなりの草間の言葉に驚くイヴ。
「…え?なに?」
「とぼけるな、顔に書いている」
「え?」
顔に手を当てる仕草に草間は微笑んだ。
―格好いい…。
すでに彼女の正体を見切られていたのだ。
「すごい、いつわかったの?」
「ぶつかったときだな…、この手の事には慣れている」
草間は苦笑する。
「あと…こういった奴らと相手するとな…」
と自分のかき氷を地面において、足を向けた
もぞもぞと何かが出てくる。
「やぁ!草…むぎゅ」
変態諜報員加持・葉霧だ。見事に草間の足に自ら喰らう。
「流石、草間君!僕がここからでることをよくわかった…って話を最後まで〜」
草間はかき氷を押しつぶし…ゴミ箱を持ってきたかわうそ?にわたした。
「ご苦労」
…呆然とするイヴ。このギャグのようなことにびくともしないとは…。
(この人の周りは面白い!)
と感じたのは言うまでもない。
そろそろ現場も本番…
「またお会いしましょう、草間さん」
と、握手を交わしてその場を立ち去った。
かき氷カップのままゴミ箱から出てきた加持君は、どこかで見た猫と対面する。
「エルヴァーン君?」
「よく知っているな」
猫は金色の毛を持っていた。
そして、エルハンドに似た姿に戻る。金髪碧眼の神。額には親譲りの宝石が輝いていた。
「赤子の危機とわかれば、私も参戦させてもらう」
「あの子の命を救ったのは君だからね。OKだよ」
まともな姿に戻った加持は、如何にも軍服の姿になっていた。
「正直、2人だけで大丈夫なのか不安だったのさ」
珍しく加持は弱音を吐いた。
●黒乃編
涼しい夏の朝、潮の香りが心地よい。
撫子と亜真知は、この涼しい時間を使い、浜辺を散歩することに決めた。
「洞窟までいきましょう、お姉さま」
「分かりました亜真知サマ」
出かける時に、玄関でみなもが出かけるところだった。
「みなもさん、お散歩ですか?」
亜真知は不思議そうに尋ねた。
「はい、あまり海辺を散歩したことがないのですよ」
みなもはニッコリと笑って答える。
事件などではそんな余裕もなく、朝早く海辺に行くとしても自分の姉に会いに行く時だけだ。
なので、ゆっくり朝の散歩をしたことはない。
3人で祠のある洞窟に向かうことにした。
祠で手を合わせ、先日の騒ぎを謝ると共に感謝する。
相変わらず洞窟は念が籠もっているので、亜真知はいつの間にか開いている天井の穴などを利用し、念が洞窟内に溜まらないように理力変換した。
外に出た時…空鯨の鳴き声がしたようだ。
「ありがとう」
と。
みなもは漂流物の手紙入りの瓶を見つけた。
「SOSボトル?」
かなり珍しいものだと思われる。中に入っているのは羊皮紙…
「ひょっとして難破船かなぁ」
瓶を開けたら中の手紙が風化しそうだったので、記念として持っていくことにした。
「もう少し、先に行きたいなぁ」
と、亜真知が言った。この磯部の先にも浜辺があるらしい。
しかし、其処に不自然とも言うべき易者がいた。繁華街でテーブルを構えているアレそのものだった。
「其処のステキなレディ達!この先より良いところを教えてやろうではないか!」
静かに話しているわりに、ハァハァ喘いでいる、おかしな易者。
「電波なひと…」
みなもは、ぽつりと呟く。
何か祈祷し始める電波易者。かぁ〜とか気合いの入っていない様で入っている…かけ声を上げた。
「其れは深淵の露天風呂!高きところは絶景であり、神も気に入っておるぞ!…それでは、さらば!」
律儀にテーブルをたたみ、右腕を斜め45度前にだして、手首を数回回し敬礼して去っていった…。
「面白い易者さん。帰りましょう、姉さま、みなもさん」
亜真知はすっかり先の浜辺にいくことを忘れていた。
物陰で、黒乃は…
「旦那、任務完了。次はB地点で罠をはりやす」
と糸電話で連絡をつけた。
―糸電話?
■刺客と対峙。
夕方…。裏の浜辺には黒い影…。
刺客といっても…まるで軍隊のよう…。
目的は…風野の血筋を断つ事らしい。
未来が変わったために、その補正で訃時に変わり他の凶悪な存在が「Endless War」を勃発させようとしているのだ。
「未来は白紙だ…加持よ、君には断片的な記憶しかないだろう」
「そうだね…神白くん以外との関わり以外はまるで色褪せたアルバムのような曖昧なものだ」
異世界の神と加持の会話は黒乃にはわからなかった。
「ま、感傷にふける暇は無いですぜ、旦那方」
「そろそろだ」
「赤子の未来を綴るのは…時音だからな…」
3人は各々の得意とする武器を構え…、魔とも退魔とも分からない刺客に向かっていった。
「さあて!あの胡散臭い神白くんの差し向けた刺客かどうか…詳しい事は聞きたくないが!可愛い部下やセクシー草間くんは現在、楽しい旅行中でね!猟奇な世界の皆さんは、代わりに僕と遊ぼうか!」
二丁退魔拳銃で、群がる敵を撃ち殺していく。
「影の魔のようだねぇ!」
「影って言うたら…このトラップが最適じゃねー?」
黒乃がベルトのバックルからカードを取り出して、腕についているカードホルダーに差し込んだ。
「トラップ発動」
とソレは言う。
海岸全体に…光の矢が降り注いだ。
これで半分の影はいなくなる。
残るのは、生身の刺客たちと強力な影の魔物…。
生身の方は光刃使いだった。
そして、加持と整列して黒乃は叫んだ。
「さあ、オフ会を続けようぜ!剣術野郎に拳銃野郎がこれだけ揃ったんだ!最速最強決めるには絶好のチャンスたぁ思わねえか!?勝負は一瞬!賑やかに逝こうや!」
剣が強いか…銃が強いか…ソレは使い手の実力にかかっている。
神エルヴァーンは、神格具現剣「黒影刃」で影を無力化し…自分の力に変えていった。
「親の影として生きている神なのでな…貴様たち影の魔物が来たことでさらに強くなれたよ」
親が対極する存在をすべて扱うなら、弟が陽を扱う。そして兄は無限で強大な力…陰を使うのだ。
怯えた影は逃げまどうしかない。しかし神は無慈悲に…すべてを己の力にした。
■朝焼け
周りには血の海すらない。光刃と同じ能力を持つ退魔銃ならば死体などでない。
生きている者しかその場にはいないのだ。
よって、三人がその凄惨な場所にたたずんでいる。
「今回のオフ会は終わった…」
加持は一息ついて血のついた服を脱ぎ捨てる。
黒乃も銃の手入れをしていた。
神に至っては何も変わらずただ朝日を見ていた。
流石に生身の人間である加持と黒乃は傷だらけだった。
「旦那?これからどうするよ」
「なに、時音君は無事に帰ったんだ…僕たちも非番になっても良いだろう?」
「ソレもそうだ…」
「私はこれで失礼するよ」
「ごくろうさま〜」
「お疲れー」
神が姿を消した後…、2人の男はイビキをかいて爆睡した。
End
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0328 / 天薙・撫子 / 女 / 19 / 大学生】
【1219 / 風野・時音 / 男 / 17 / 時空跳躍者】
【1252 / 海原・みなも/ 女 / 13 / 中学生】
【1305 / 白里・焔寿 / 女 / 17 /天翼の神女】
【1376 / 加持・葉霧 / 男 / 36 /謎の指揮官A氏(自称)】
【1510 / 自動人形・七式 /女 /35 /草間興信所在中自動人形】
【1548 / イヴ・ソマリア / 女 / 502 / アイドル兼異世界調査員】
【1593 / 榊船・亜真知 / 女 / 999 / 超高位次元生命体:アマチ…神さま!?】
【1678 / 黒乃・楓 /男 / 17 / 賞金稼ぎ】
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■ ライター通信 ■
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こんばんは
滝照直樹です。
『海水浴3日目』に参加してくださりありがとうございます。
ノベル参加者最大記録を更新しました。
プロットなどまとめるのにかなり時間がかかり、納品に間に合うのかという不安もありましたが、何とかできたようです。(時間により公開が来週になるかもしれませんが)
どうも参加ありがとうございます。
また機会が有れば宜しくお願いします。
滝照直樹拝
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