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■THEガマン大会■

山本智代
【1411】【大曽根・つばさ】【中学生、退魔師】
「あーつーい……何なのこの暑さは!」
 ワンピース一枚というあられもない姿のまま、天王寺・綾(てんのうじ・あや)はペットボトルの水を飲みほし呟いた。
「今年は夏が涼しかっただけに暑さをいま満喫してもらおうと頑張っているんですよ、きっと」
 にっこりと微笑む因幡・恵美(いなば・めぐみ)に綾は恨めしそうな視線をなげつける。
「そんなサービスいらないわよ。秋は秋らしくすずしくしていればいいのよ! あーもう、なんでクーラーついてないのよ、このアパートは!」
「あら。ついてますよ『ペンペン草の間』に」
「……あのクーラー壊れてるわよ……霊道があっていつも霊がいるから涼しいだけじゃない、あそこ……」
「あらあら、それは大変。今度直しておかないといけないですね」
 なんだか話の論点がずれているような気がしたが、恵美はあやかし荘をよりよい場所にしようと真剣に思った故の発言だ。
「暑い、暑いと文句いっているだけでは何も解決せんよ」
 ひょい、と恵美の後ろから現れた嬉璃(きり)が言う。
「折角天の恵みがくれた試練ぢゃ、もっと楽しむのが良いことぢゃて」
「……楽しむってどうやってよ?」
「我慢大会ぢゃ。この暑さにどれだけ耐えられるか、いっそ試してみてはどうぢゃ?」
 にっと嬉璃は丁度帰宅してきた三下忠雄をちらりと見ながら言う。
「いいわね、それ。大会場所は私の部屋を使って良いわよ。南窓大きいから昼間はサウナに出来るものね」
「それでは私はおでんやおうどんを作ればよいですか?」
「なるほど……管理人さんの手料理付きなら、参加者も参加のしがいがあるってものね」
 ちらりと綾も忠雄の方を見ながら言う。
「……な、なんなんですか……一体……」
「あーら、決まってるじゃない。ねえ?」
「うむ。そうじゃの。やはりサクラは1人は必要じゃ」
「優勝したら部屋、交換してあげても良いわよ? 絶対あり得ないでしょうけど」

 そうして1人を除くほぼ全員の意見が一致し、1枚のちらしがあやかし荘の掲示板に貼られた。
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「土曜の午後2時から我慢大会を開催します。参加者はあったかい服装で、あっつくなれるような物を1つもってきてください。おでんやおうどんを提供しますので、お腹を空かせてきてくださいね。みんなのご参加待ってます! 恵美」
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