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■味見と言うより毒見 in 草間興信所■

深海残月
【1963】【ラクス・コスミオン】【スフィンクス】
「ところで草間さん。食べますか?」
「ん?」
「これ」
 草間興信所事務所内、真っ昼間。
 男にしては細長く綺麗な真咲御言(しんざき・みこと)の指が草間の目の前のデスクの上を――正確にはその上にある皿を指していた。
 もっと正確に言うならその皿の上にあるものを。
「…なあ、真咲」
「はい?」
「どうしてお前がここに居る」
「アラビカ豆のブレンド美味しくなかったですか」
「いや、それはお前が選んだだけあって悪くなかったが。
 …じゃなくってな。お前がここに来た理由を訊いてるんだが」
「いつもは特に訊きませんよね?」
「…今日は話が違うだろう」
「違わないと思うけどね。私たちは単に暇だから来ただけ。そうしたら、こんな話になっていて、ねえ?」
 静かにコーヒーを啜りつつ、何処か顔色の悪い妙齢の貴婦人は肩を竦め苦笑する。
 薄く開いた唇には、牙の如き尖った乱杭歯がちらりと覗いていた。
「俺も困ってるんですよね。エルさんも困ってますし、零さんも困ってます」
「…だから俺にどうしろって?」
 草間はぐしゃぐしゃと頭をかき混ぜる。
 どうやら碧摩蓮からだ、と言う菓子折り。
 そこから零が取り出した中身は――赤ん坊…のミニチュアに見える何だかよくわからない物体。
 幾ら皿に並べられ、食えと言われてもさすがにちょっと口に入れるのは憚られる代物。
「やっぱり…食べるべきなんでしょうかね…居合わせてしまった以上…。あ、どうせですから誠名(まな)さんとか凋叶棕(てぃあおいえつぉん)も呼び付けましょうか…困った時はお互い様と言う事で」
「碧摩さんには絶対に皆で食べるよう、言い付かったん…ですけど」
「あーらら。零ちゃんに『命令』、しちゃったの。あの子」
「…エル」
「それでなくとも敵に回したら怖そうなお姉さんでしたよ。あの方は」
「…真咲」
「できませんか? お願いします。兄さん」
「…零」
 寄ってたかってじわじわと、追い詰められて行く草間。
 はっきり言って嫌なものは嫌だ。
 だが真咲の言う事にも一理ある。…確かに、碧摩蓮を敵に回したらどうなるかわからないところはある。最近の傾向としては…勝手にカードに魂を封じ込められるくらい、簡単にありそうだ。
 そしてエルの発言も然り。…零は一度受けた『命令』にはとことん忠実である。

 …そして何より『妹』の頼み。

 いったい俺にどうしろと。


※ライターより※
こちら、「各調査機関&あやかし荘+解決編」と言う形のシリーズ(全部で5部)予定になってます。お話として繋がりはありますが、直接時系列が繋がる続編では無いので全部に参加しないとわけがわからなくなる、やら出番が減る、やらと言った心配はありません。ただ「解決編」に参加する場合だけは、最低「各調査機関&あやかし荘」の「どれかひとつ」には参加なさっていた方が良いと思われます。
味見と言うより毒見 in 草間興信所

■他人事120%■

「…だから食べて欲しいって事でしょう」
 いったい俺にどうしろと、とぼやく武彦にあっさりと告げる、バーテンダーの真咲御言(しんざき・みこと)。
 武彦は更に渋い顔をした。
「俺にか」
「他に誰が居ますか?」
「…お前にエルに草壁(くさかべ)×2」
「まぁ、確かに今の話を聞いた上にこれを見てしまいますと…ね…」
 御言は、ふぅ、と溜息を付きつつ、赤い髪と瞳の青年――草壁鞍馬(くさかべ・くらま)をちら、と見遣る。
 …『ふたり』いる。
 同じ人間が。
 しかも――曰く、『草間興信所に碧摩蓮から持ち込まれた人参果の生ジュースを引っ被ったらこうなった』とか何とか言っていた。
 が。
 今この場に居る草間武彦にも草間零にもその他の面子にもそんな記憶は無い。
 ――ンな事言ったって事実は事実なんですよ。この状態の俺ってのが何よりの証拠でしょう!?
 と、分裂していると思しきふたりの鞍馬は必死に言い募る。
 …確かに、今鞍馬がそんな風にここに居る面子を騙す必要は全く無い。
 悪戯にしても意味が無い。
 ましてや今のこの状況で、分裂?している事について、説得力のある別の説は思い浮かばず。
 で。
 …どうやら次元がズレたか何かしたらしいんじゃないか、と言う結論に。
 つまりすこぉしだけズレた次元でその事実があって、どういう拍子でか今この場と重複している、と。
 場所が『草間興信所』である以上、何故かその手の――普通なら荒唐無稽と蹴られるような話はあっさり納得される。
 怪奇探偵の効能か。
 武彦は盛大に溜息を吐く。
 食べて? とばかりに、じっ、と見つめてくる零のつぶらな瞳が痛い。
 と。
「風に誘われて…参りました」
 そんな科白と共に、ふらりと現れ来客用ソファの片隅に腰掛けた四十絡みの紳士がひとり。
 …いつドアを開けたのだろう。鞍馬と武彦はそう思うが、零はいらっしゃいませ、と彼――漁火汀(いさりび・なぎさ)を当然のように迎えている。
 御言もさりげなく立ち上がり当然の如く台所に珈琲を淹れに。更にはエルまで、あら、いらっしゃい、などと客人らしからぬ声を彼に掛けていたりする。
 …鞍馬と武彦だけが取り残されていた。
 その様子を見兼ねてか、嫌だなあ、ノックしましたよ…? と汀はふたり(と言うか三人)に告げ、静かに微笑み掛ける。
 で。
「何やら…不思議な物がありますね」
 テーブルの上にある皿、その上を見てひとこと。
 人参果。
 …どうやらその辺りの事はわかっているらしい。
 取り敢えず、まんま『赤ん坊』とはさすがに思わなかったようだ。
「でも、偽物のような気もするんですが…本物でしたら、かの大陸から…ここに持ってくるまでに…硬くなっていると思いますから…」
「…その通り。本物ならそもそもアンティークショップの主がそこらを持って歩いてないだろうし、草壁くんみたいな事も起きないとは思うのよ」
 速攻で汀に同意するエル。
 汀は不思議そうに首を傾げた。
「…草壁くん?」
「「俺です」」
 と、汀の声に答えたのは赤い髪と瞳の…『ふたり』。
 ん? と汀は訝しげに首を傾げた。
「はて。…双子さんじゃ…ない訳で?」
「私たちも良くわからないんだけど、御本人の談によると――ね」
「「…生の人参果引っ被ったらこんなになっちまってな」」
 苦々しい顔をしながら、ふたりの鞍馬。
「…それはそれは。面白い効果があるんですねぇ…」
「「他人事だな…」」
「全ては風の向くままに。…そんなに気になさらなくても、ね」
 にっこり。
 …果たして本当に気にしなくていい事なのだろうか。
 と、そこに、奥の台所に消えていた御言が珈琲を一杯持って戻ってくる。
 改めて室内の様子を一通り見、何事か少し考え込む。
「…ところで誠名(まな)さんと凋叶棕(てぃあおいえつぉん)、遅いですね。もう、呼んでから随分経っていると思うんですが。…うーん。凋叶棕が居れば草壁くんの『これ』も…結構、あっさり何とかなるんじゃないかと思うんですけれど」
「てぃあおいえつぉん?」
「知り合いの仙人の名前です。『朽葉色』に当たる中国の色名でもあるので…恐らく本当の名では無いと思われますが。…それに、見たところ到底仙人には見えない人物なんですけどね」
 答えつつ、御言は汀の前に新たに淹れた珈琲を置いた。

■■■

 ちょうどその頃。
 そろそろ、と草間興信所の玄関前で、中に入るのを躊躇っているらしい姿がひとつ。
 上物のワインのような、紫がかった深く艶やかな赤色の長い髪。
 …上半身と言うか顔と胸は美しい女性のようだが、その下半身…身体は獣のものである。更に言えば――その背中には大地の色の翼が一対。
 取り敢えず、あまりその辺をうろうろしているような『人物』ではない様子。
 その姿に――身に付けている装飾から考えれば、古代エジプトからの神獣か。
「…入れば?」
 そんな何処からどう見ても人間外の背中に、唐突にぼそりと声を掛けたのは小柄な人物。
 全体的に短めの黒髪に、横――両耳の上に当たる部分だけを少々伸ばしているのがやや特徴的。
 風体としては細身のスーツを着崩している。
 そんな相手に声を掛けられ、反射的に古代エジプトの神獣らしい『彼女』――ラクス・コスミオンは、びくっ、と震えた。
「わ、あの…」
「…ンな驚くない。草間さんトコに用なんじゃねえの? …てかこんなところにアンドロスフィンクスがうろうろしてて大丈夫か?」
 お前さんみたいなのだと特に色々物騒だぞこの近所。
 訝しげな顔でぽつりと呟くその小柄な人物。
「…え? あの、貴方様は」
 初見でいきなり素性を突っ込まれ、どぎまぎしつつ訊き返すラクス。
 実はまず男性…のような気がしてびくっとしたと言う理由も大きいのだが、よくよく見直すと何故か女性のようでもある気がし、困惑している。
 ラクスのその反応に気付いたか、その小柄な人物は仕方無さそうに破顔した。
「俺の名前は真咲誠名。『どっち』だかわからねえんだったら好きな方に思いな。お前さんの場合、どうもその方が良さそうだ」
 あっさり言うと、誠名と名乗ったその人物はそれっきり特に気にもせず玄関ドアを開け、興信所の応接間へ。
 そして開口一番大声が。
「なァに厄介なトコに呼び付けやがるんだよ御言。ったく。お前なら仙人連中呼び付けりゃ一発じゃねえの?」
 その大声に答えたのは落ち着いた静かな男性の声。
「…御期待通り凋叶棕は呼んであります」
「んじゃなんで俺まで呼ぶ?」
「貧乏籤は分けあった方が色々と気が楽になりますからついでに」
「うわ性質悪ィね」
「特に誠名さんには分け与えてあげたくなりまして連絡を。いつもは逆ですからね」
「け。確かに俺の方がお前を巻き込む率は多いか。ま、たまにゃ良いか。…ところで嬢ちゃん、こっちゃ俺が押さえとくから気兼ねなく入んなよ。あー、零嬢やエル姐なら構わねえんだろ?」
 と、誠名は何やら中に居る誰か――御言と話してから、玄関の外に居るまま入って来ないラクスを呼ばわる。
「「…誰か居んのか?」」
 思わず問う興信所内の鞍馬。
 誠名は苦笑しつつそれに答えた。
「せめて、見て驚かないでやんなよ? …タダでさえ『男』が怖いみたいだからな」
「?」
 クエスチョンマークを頭の上に浮かべる一同。
 と。
 そこに恐る恐る顔を覗かせたのは――顔と胸は女性で身体はライオン、背に生えているのは鷲の翼の――アンドロスフィンクスであるラクス。
「噂を聞いて…来たんですけれど…」
 異なる魔術体系の、試作段階の品物を調べられると伺って…。
 それから他ならぬこちらの興信所でしたら…ラクスの姿を見ても驚いたり怖がったりは…されないかと…。
 ラクスの姿を見た一同は反射的に黙り込む。
 が、一瞬でその沈黙は破られた。
 目を丸くしている鞍馬や、彼女に対し平然と会釈する御言に…ひとり重々しく溜息を吐く武彦。
 零やエルと言った女性陣は、誠名の言葉で察していたのかはたまた元々どうでも良いのか、いらっしゃい、とラクスを普通に迎えている。
 …ここは怪奇探偵として有名な草間興信所。
 即ち、人外の方々は普通に御客様。
「これはこれは…こんな珍しい種族の方にお会い出来るとは…光栄ですね」
 ラクスを見、最後に汀がにっこりと微笑んだ。
 …実は僕もハーピーとのハーフなんですよ、などとあっさりバラしつつ。

■■■

 で。
 そのまたちょっと後。
 再び草間興信所玄関前。
 パンツルックの似合う銀縁眼鏡の知的なお姉さんに、裏街道を歩いていそうなダークスーツの男がばったり会っていた。お互いちょうど逆方向から来た模様。
 そして目的が同じ場所。
「あら?」
「ん。綾和泉(あやいずみ)のお嬢さんか」
 小さく頷き、知的なお姉さん――綾和泉汐耶(せきや)に呼び掛けるダークスーツの男――凋叶棕。
 一応面識はある。
「…あんたも呼ばれて来たのか?」
「…呼ばれて?」
「…いや、『人参果の亜種』。前にも遭ってるんだろ。雫の嬢ちゃんとこに月刊アトラス編集部にあやかし荘の三件」
「………………はい?」
 何?
 凋叶棕の科白を聞き、考える前に汐耶の足は踵を返そうと動いていた。
 が。
 そのタイミングで。
「中に真咲居るぞ」
 ――ぴたりと汐耶の足は止まった。
「…なんでわかるんですか」
「俺は奴に呼ばれた」
「…」
 しれっとした凋叶棕の発言に、足を止めた汐耶は――無言のまま溜息だけを吐いた。


■さてどうしましょう■

 …さらさらさら、とスケッチブックに柔らかい芯の鉛筆を走らせる音がさりげなく響く。
 取り敢えずスケッチさせて下さいね、と申し出た汀の手が動いているのであるが――それは怪奇探偵御当人にとっては格好の時間稼ぎにもなっていた。
 ――さぁこれからどうやったら…その人参果とやらを食べずに済むか、と。
「ところで…先程ラクスさんの…仰っていた事、なんですが…」
 噂、って?
 手を止めないままに、誰にともなく汀が問う。
 その問いに、鞍馬と汐耶が同時に溜息を吐いた。
「「…そーか噂になってんのか、これ」」
「…噂になる程あちらこちらにバラ撒かれてる訳ね…しかも時間差攻撃で来るから忘れた頃にまた、と」
 はぁ。
「…厄払いにでも行った方が良いのかしら」
 ああ、でも…三下さんから来た不運なら厄払いしても無理かしら…。
 と、何やら酷い事までついでにぼやきながら汐耶は持っていた鞄を探る――探ろうとして本日は生憎と手頃な本を持っていなかった事に気付く。
「…あの草間さん、確か貸し出したままの本が何冊かありましたよね」
「ん? …ああ、そうだったか?」
「…また忘れてましたか」
「…いや。なんだ、どうした?」
「…どれでも構わないんですが…宜しければ」
 言って武彦に向け手を差し出す。
「…現実逃避させて下さい」
 汐耶の科白に、渋々ながら武彦は立ち上がり、デスク脇の本棚に。
 数冊取り出すと、汐耶の前に、す、と置いた。
 それらの本の隅っこには――都立図書館のラベルが貼ってある。
「…俺も読むかな」
 何気無く言う武彦。
 と。
「これ…そのままだと…食べ難いですか?」
 零はうーん、と悩むように小首を傾げつつ、活字中毒な司書さん型現実逃避法を試みようとしていた武彦とテーブル上の人参果を交互に見てぽつり。
 …それだけで逃げ場が無くなり、武彦はがくりと項垂れた。
「…止めとくか」
 読書モードは。
 武彦がそう決める横で、汐耶は一冊を取り上げて早々にページを捲り始めていた。
 再び静かになる。
「何処にでもある水気の多い果物のような成分で組成されていますね…基本的には」
 そんな中、ぽつりと口を開いたのはラクス。
 曰く、彼女はこれを調べる事それ自体が目的――と言う事で、ひとり熱心に色々とやってみている。
「ただひとつ、何とも言い難い成分があるようですが…興味深いです。それから…食べる、と言う話にもなっていましたよね? …でしたら…『ラプラスの悪魔』も使ってみましょうか」
 ひとり頷き、ラクスは何処からとも無く手帳とペンを取り出すと、おもむろにかりかりかりと書き始める。
「…そう言や今までの情報も出しといた方が良いよな」
 ぽつりと凋叶棕。
 と、武彦が訝しげに彼を見た。
「今までの、ってお前は何か詳しい事を知ってる訳か?」
「まぁな。そりゃ直に見るのァ初めてだが…。新たな情報提供やら後始末を丁(てぃん)に頼まれててな。…人界に顔出してるウチの仙人連中には皆、話来てるんだよ」
 真咲からの連絡で草間興信所に持ち込まれたのがわかった時は…はっきり言って凄く嫌だったがな。
 曰く。
 零が皿の上に出したこれの『オリジナル』は、『西遊記』で有名な万寿山福地・五荘観洞天にある霊木・人参樹になると言う果物・『人参果』――別名『草還丹』で、三千年に一度花が咲き、また三千年に一度実を結ぶ。更にまた三千年たってやっと熟して食べられるもので、それもたった三十しか実がならない。縁あってその匂いを嗅ぐ事が出来れば三百六十歳まで生きられ、一個でも食べる事が出来れば四万五千年長生きすると言う。で、思いっきり抵抗感抱いてしまう程赤ん坊そっくりの見た目で、すぐに硬くなって食べられなくなるらしい、と言う代物。
 で。
 今ここにある『この人参果』の場合は、その霊木から誰ぞが挿し木で増やした木の方になった代物らしい。
 …霊木が挿し木なんぞして確り根付くのかと言う疑問もあるが、どうやらその分けてもらった先の持ち主が丹薬でいじってその辺りの問題は何とか解決させたらしいと言う話。故にか、その木になる肝心の実の方は…オリジナルとはかなり違った効能が色々と出ているそうだ。しかも、実が付くたびにひとつひとつ効能が違うらしく、どうやら持ち主は片っ端からその実をもいでバラ撒き…効能を試していると言う。
 更に言えばそれらの実がなるのはやたら早いとの事。人界の普通の果物より余程早いらしい。
 …なので噂になる程、始末の為にあちらこちらに撒かれていると言うのが正しい様子。
 また、オリジナルは五行を忌むが…この人参果の亜種?の方にはそれは当て嵌まらないらしい。
 時間が経つと硬く、はならないが、生のままだと腐り易く、そうでなくとも食べた場合はその人物を苗床に花を咲かせるとか奇矯な話もある。
 取り敢えず火を通せばその辺りの問題は解決するそうだ。
 基本的には。
 一応、食用も可との話。
 …但し、極上の食材になるような場合もあれば…中には時々、洒落にならない危ない効能を示す物もあるからくれぐれも注意する事、だそうだ。
 ちなみにその辺りの事は…以前に遭遇していた汐耶や鞍馬はともかく、初めて遭遇した筈のラクスも何故かまるごと知っていた様子。
 具体的に例を挙げると、ゴーストネットの際は…特に問題のある効能は無いようだったが、どう料理してもまともな味が付かなかったらしい。そして月刊アトラス編集部の際は調理済みのものは問題が無かったが、生状態で食べて腹を下していた&苗床にされていた人物が居た。あやかし荘の際は…生を食べた場合は声が出なくなり、たまたま居た薬師がこの人参果の亜種から作成した薬…を服用した場合のみ声が入れ替わると言う効果が現れた。こちらもまた調理済みの物には問題が無かった様子。
 そして鞍馬の談に寄れば、自分が遭遇した草間興信所に持ち込まれたものの場合は、やはり調理済みの物には問題は無かった様子だが…生をそのまま砕いたジュースを被ると元々ひとつだった物が分裂したり、全然別個の物がくっついてしまったり、小さかった物が合体して巨大化したり形が変わったり唐突に成長が促進されたりと、節操無く様々に変質していたと言う。
「…どうしてそんな物を碧摩さんが持って配り歩いてらっしゃるんでしょうか」
「そりゃあ俺の方が聞きたいね。…仙人と付き合いあるのかあのアンティークショップの姐さんは」
 あの人の伝手はしみじみ良くわからない。
 はぁ、と御言と凋叶棕は揃って溜息を吐く。
「…ところで変な疑惑がひとつあるんだが」
 ぼそり、と武彦。
「草壁くんの事かしら?」
 即座に受けるエル。
「まぁ、そうだ」
「『ふたり』…と言う事だけでは無く、彼の経験して来たその事実、がありますか」
 ふむ、と考え込みつつ、御言。
 同じ場所に何度も持ち込まれる…と言う事は、持ち込まれた代物の胡散臭さからして…考え難い。
 幾ら何でもそれ程のお人好しはこの界隈ではそうそう居ないと思われるし、蓮の方でも避けそうに思える。
 と、なると…鞍馬の遭遇した人参果と今ここにある人参果は同じ物、と言う事にはなるまいか。
 無論、次元がズレた云々の件が事実だったと仮定して、の話だが。
「凋叶棕の話から考えると…草壁のこれも今回の効能、と考えるべきなのかどうか迷うな」
「効果の一端だったとしたら…何故草壁さんだけだったのか、と言うのも不思議ですしね」
 何か特別な条件に当て嵌まったりするんでしょうか?
「「…ったってな…特に変な事ァしてねえ筈だけど…」」
 御言の問いに、一通り考え込んでから鞍馬は口を開く。
 と。
「でしたら…その件も、『ラプラスの悪魔』に『伺って』みましょうか?」
 相変わらず、かりかりかり、と手帳にペンを走らせつつ、ラクスが提案した。

■■■

「…さて、出来ましたよ」
 満足そうに微笑んだ汀は、人参果を描きとめた面を表にしたまま、スケッチブックをテーブルに置いた。
 画家だけあってさすがに上手い。
 …だが単純に、皿の上に置かれたミニチュアの赤ん坊をたくさん描いたような…いまいち謎な絵になっている。
 見た目がそのままなのだから仕方が無いのだが。
「で…これを食べるとか…言ってませんでしたっけ?」
 ゆっくりと首を傾げつつ、汀がぽつり。
「はい。皆さんで食べて下さい、と」
 言い付かってるんですけれど。
 当然の如く頷き、零。
 嫌そうな顔をしつつも何も言わない武彦。
 敢えて何も言わない様子のエルに誠名。
 黙って席を立ち奥に向かう御言――珈琲のお代わりを淹れに行った様子。
「片付けないといつまで経っても終わらねえぞ」
 ぼそりと付け加える凋叶棕。
「「何でも良いですから俺は先にこれを戻して欲しいんですけどね…」」
 と、溜息を吐く鞍馬。
 が、直後に何か思い付いたように目の色が変わる。
「「…いや、このままでも良いか?」」
「草壁?」
 少々物騒な科白に訝しげに問う武彦。
 うん。と心ここにあらずと言った様子で素直に頷きつつ、鞍馬は口を開く。
「「大切な幼馴染みが居るんだよ。…草間さんは知ってっと思うけどな」」
 ふたり。
 古い因習にとらわれた村の――神官家とされる家柄の。
「「…だからこれならふたり同時に護れるか、とも思うんだよな。真面目なハナシ」」
 ふと呟く。
 が。
 直後にふたりの鞍馬は互いにじろっと睨み合った。
「「…真似すんなよ」」
「「お前が真似してんだろ」」
「「…」」
「「ま、そりゃひとまず良いとして…どちらが故郷に戻るかだよな」」
「「そりゃ勿論俺が残るに決まって…」」
「「お前が行け」」
「「俺はここであいつを確り護る。だからお前は向こうで彼女を…」」
「「…」」
「「…やるかコラ!?」」
 …その科白、全て同時。
 ちなみに小さな動きまで鏡に映したように対称になっている。
 そこに。
「止めておいた方が無難だと思いますよ」
 再び人数分の珈琲を淹れ直して奥から戻って来つつ、御言が声を掛けた。
「どうも先程からの草壁さんの様子を窺っていますと、御二人とも『同じ行動しか取れない』ように見えるんですが」
「「…言われてみりゃあ」」
「なのでその自覚が無いままで喧嘩したとしても…互角どころか、両方ともにKOされて引き分けるのがオチかと」
 自覚が無ければ…そのままヒートアップの末に互いに手が出たとしても…「避ける」事は一切考えていないでしょうから。
「「…くうっ…否定できねえな。てーか同じ行動しかできねえんじゃあいつら護るってのも無理じゃん…」」
 どうぞ、と珈琲を出してくる御言の指摘に対し、同時に言って――また鞍馬は顔を見合わせた。…そして盛大に溜息。
 そんな間にもラクスは変わらずかりかりかりと書き物をしている。
 …曰く、『ラプラスの悪魔』なる西洋術を施行している最中であるらしい。
「これは…結局、『計算』なんですけどね」
 全ての事象は宇宙の始まりから決定されている、と言う考え方。
 予めここにある全ての要素を『数式』に変換し、組み合わせた緻密な計算によって、どんな結果であろうと導き出す事が出来る、と。
 …ちなみにこの術を作り出した『魔術師』はイコールで『数学者』だったりもする。

 かりかりかりかりかり

 ラクスのその『計算』に、一同、黙って成り行きを見守っている。
 と。
 手が止まった。
「あ、あの…あまり…ラクスの事見ないで頂けませんか…」
 …特に男性の方に見られているのは怖いんです…すみません…。
 震える声で訴える。
「ま、あまり気にしない気にしない」
 そんなラクスに対し、ぽん、と肩を叩くエル。
 汐耶も読んでいた本をぱたんと閉じるとそんなラクスに向けて微笑み掛けた。
 …どうやら御言の珈琲に気付いて読書モードから自主的に戻って来たらしい。
「大丈夫だって。嫌がるような事をわざわざやるような人はここには居ないから」
 と。
 ぱんぱん、と「こちらを注目しろ」とでも言いたげに誠名が手を叩いた。
「はーいはい男性陣。ラクス嬢から極力視線逸らしときなー? こんな場所で怖がらせてもしょうがねえだろー」
「…男性恐怖症…と言う事は誠名さんに対してはどうなんでしょう」
「よくわかんね。ま、この場合は女と思われた方が楽は楽だよな」
「あの、思われた方が…って」
 ちょっと聞き捨てならない科白にラクスは恐る恐る問う。
 と、あっさり本人から答えが返った。
「俺は身体が女で中身が男だ。…ま、取り敢えず最近良くある性同一性障害って訳じゃあねえんだが…詳しく話すとなると面倒だ。だから好きに思えって言ってんの」
「…はあ」
 目を瞬かせながらラクスは誠名を見る。
 中身が男…と言うからには『彼』としておいた方が良いのだろうが、彼女にしてみるとどうもこの彼に限っては、それ程避けなくても、平気に思えるらしい。
「ところで凋の旦那、この場に居る男をひとり減らしてもらえるとラクス嬢に取っちゃ幾らか有難いんじゃないかと思うんだが如何かね?」
 誠名が言う。
 ん、と凋叶棕はあっさり頷いた。
「…ああそうだったな。取り敢えず…元に戻っとくか?」
 そして鞍馬を見る。


■結局食べます■

 で。
 凋叶棕の術により何やらあっさりとひとりに戻っていた(…)鞍馬は、改めて御言の淹れ直した珈琲を飲んでいた。
 …テーブル上にある人参果の数に変化は無い。
 更に言うなら、今ここに居る面子を見る限り――知らず知らずに一服盛られる事は無さそうだ、と思った訳だ。 故に鞍馬は素直に珈琲を飲んでいる。
 淹れた男も何処か掴みどころがないが、職業がバーテンダーだと言う事だし、飲み物に変な物は入れまい、と。
 やがて、かりかりかり、と響いていたラクスのペンの音が止んだ。
「結果が出ました」
 言って、ペンを仕舞う。
「そうですね。生のままですと…やはり色々と問題はあるようです。草壁様の仰る効能と近い効能が表れるようです。が、凋叶棕様の仰られる通り、火を通して食べるならばひとまず大丈夫のようですよ?」
 手帳の結果をなぞりつつ、ラクス。
「そして草壁様に関してなんですが…この場でこれを食したなら、『元居た場所』に戻れるようです。但し…『そちら』に戻ると、『そちら』の周囲の方々は…今ここで起こった件は一切知らない事になりますが」
 貴方様自身は…記憶している事になりますが。
「つーと次元がズレた云々ってのはマジって事か?」
「の、ようですね。厳密にはそのひとことで説明し切れる訳ではないんですが…少なくとも、この『人参果』の効能ではあるようです」
「やっぱりか…」
 はぁ、と嘆息する武彦。
「つまり食えってのか…俺も」
 同様、嘆息する鞍馬。
「その方が後々良い結果が出る…ようなのですが。草壁様」
 鞍馬の顔を恐る恐る窺いつつ、ラクスはそう付け加えた。
「…ちょっと考えさせてくれ」
 言ってテーブル上の人参果を見遣る。
 物凄く気が引ける。
 それらを見て、汐耶が仕方無さそうに口を開いた。
「じゃ、結局、食べる…と言う事に変わりは無い訳ね。だったら…まずはとっとと形を無くしちゃいましょうか。
 さっさと料理して片しちゃいましょう」
 …どうぞ私はそれで御役御免と言う事にしてやって下さい。
 食べる気は全くありませんので。

■■■

 そして汐耶は零と共に人参果の亜種を持って台所へ。
「今回は初めの時と同じでアジア系の人種みたいな見た目ね」
 大きさは少し小さいけど。
「切った時の感触も…前のとあまり代わりないか。果肉の弾力性なんかは…どれもあんまり変化無いみたいね」
「そうなんですか?」
「…ええ。一応データを取っておこうと思って。今までも…そうしてたし」
 もし万が一、また持ち込まれた時の為に、もあるし。
 それに、配っている相手に文句付ける時にもやりやすいでしょ。
「兄さん食べてくれるでしょうか…」
「零ちゃんの作った料理なら食べてくれるわよ。きっと」
「そうですね!」
 何気無い汐耶の科白に、ぱぁっ、と顔を輝かせる零。
 …待て。

■■■

 その頃。
 待ち人の皆さんは。
「漁火の旦那は食います?」
「…そうですね…草間さんが…食べてからでしたら…頂きますが?」
 その科白に武彦はがっくりと項垂れる。
 またも追い込まれ逃げ場が…。
「ラクス嬢はどうする?」
「ラクスは食べる気はありませんよ。未知の素体に対して食するなんて危険行為ですから」
 きっぱりと。
 その科白に武彦は心底嫌そうに頭をぐしゃぐしゃと掻き回す。
「…それに持って来た方の思惑を考えましても、ラクスでは実験として成り立たないと思われます」
 確かに彼女はその身が神獣である。
「食した後に…何か問題が起きたとしたなら…ラクスでも可能なら治しますけど」
「…頼もしいお言葉、ありがとよ」
 ふぅ、と嘆息しつつ、誠名。
 ちょうどその時、汐耶と零が、人参果料理を載せたお盆を持って現れた。
「出来ましたー」
 にこっ、と微笑む零。
「…取り敢えず…居酒屋系の料理で行ってみました」
 付け加える汐耶。
「だったらついでだ…酒も持って来い…」
 ぐったりした様子で武彦が呟く。
「そんなお金はありません」
 きっぱりと零。
 と。
「…ほれ」
 何故か凋叶棕が突然一升瓶を二本ひょいひょいと掲げていた。
 …しかも空の瓶では無く中身は満たされている。
 そして、に、と悪戯っぽく笑んでいた。
 呆れたように御言が呟く。
「何処から持ってきたんですか、凋叶棕…」
 …怪奇探偵御要望の、酒を。

■■■

「ところで何故酒盛りになっているんでしょう…」
 ふと横に居る御言を見て、汐耶。
「さぁ…綾和泉さんの料理と草間さんの発言が切っ掛けじゃないんでしょうかね。…凋叶棕って仙人だけあって酒にも目が無いものですから」
 台所にあったガラスコップに適当に注がれた酒を傾けつつ、のほほんと答える御言。
 汐耶も同様にのほほんと呑んでいる。
 ツマミは件の人参果料理――と、食べない組用には台所に眠っていた各種差し入れのお菓子やら何やら。
 箱に記載されている賞味期限を気にしつつ、手ずから箱を開封したもの『のみ』を口にしている。
 ちなみに、武彦の方はと言うと酒を呷りつつ何処かヤケ気味に『人参果の串焼き』などに齧り付いている。
 そして汀は武彦の様子をじっくりと窺ってから後『人参果の唐揚げ』などを肴にちびちびと呑んでいる。
「…案外美味いな?」
 と、嫌そうな顔をしつつも、『人参果の煮付け』などをちょびっとだけ箸で抓んで食べてみていた鞍馬。
 でも一応食ったからコレで良いって事にしてくれない?
 …などとそれっきりで誰にともなく許可を求めている。
 現在のところ取り敢えず誰にも目立った効果は見えない。問題は無さそう。
「皆様、普通に食べてらっしゃいますわね?」
 先程淹れてもらった珈琲の方を飲みつつ、ぽつりとラクス。
「そうね。取り敢えず毒では無さそうか」
 密かにもぐもぐと口にしつつ、エル。
「大丈夫そうよ?」
「それは貴方様が人間では無いから…ではなく?」
「効果は無くとも判別くらいは付けられるもの。それにこいつら見ていて大丈夫そうじゃない?」
 言って、エルは人参果料理を食べている一同を示す。
「それもそうですね。皆様、人並み外れて内臓が頑丈…だったり薬に慣れてらっしゃるのでしたら…わかりませんけど」
「少なくとも兄さんはそう言った事は無かったと思いますよ?」
 零が進言。
「真咲兄弟の方は素性が素性だから薬とか慣れてるかもしれないけどね?」
 …ううん、そうでなくとも、誠名の方は何の効果も期待出来ない可能性の方が高いかな。
 エルもついでに。
 ラクスも考え込む。
「漁火様はハーピーとのハーフと…仰ってましたしね」
「凋叶棕に限っては変な効果は出ないと断言出来そうだし…」
「仙人様ですものね」
 頷くラクス。
「となると…効能を見るなら…草壁くんと草間さんを特に注意しておくべきなのかしら」
 ぽつりと汐耶。
「草壁くんひとくちしか食べてないけどね」
「草間さんはヤケですね…」
「そう言う真咲さんは平然と食べてますね…毒とか薬、慣れてらっしゃるんですか?」
「ある程度は」
「…はぁ」
「とは言え…この十年近く薬とはろくに縁が無いので…昔と比べればかなり耐性が無くなっているとは思いますがね。単純に年も取ってる訳ですし。ま、言ってしまうと仙人に実験台にされるのは慣れてますから今更どうこう言うつもりも無いってだけです」
 言いながらも御言は、鞍馬がひとくちだけ食べて放置している『人参果の煮付け』を箸で取り、ごくごく普通に口に放り込む。
「美味しいですよこの味付け。辛過ぎず甘過ぎず」
「…本当ですか?」
 思わず反応する汐耶。
 …煮付けは彼女作だったらしい。
「ええ」
 彼女に向け静かに微笑む御言。
 と。
「…コラそこ無闇に和んでんじゃねえぞ」
 誠名のツッコミ。
「まともな食材使った料理食ってる時にそう言う事はやってくれ…」
 串焼きの一欠片を酒で押し込むよう呑み込んでから、憮然とした顔で武彦がのたまった。

【続】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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 ■整理番号■PC名(よみがな)■
 性別/年齢/職業

 ■1963■ラクス・コスミオン(らくす・こすみおん)■
 女/240歳/スフィンクス

 ■1449■綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)■
 女/23歳/都立図書館司書

 ■1998■漁火・汀(いさりび・なぎさ)■
 男/285歳/画家、風使い、武芸者

 ■1717■草壁・鞍馬(くさかべ・くらま)■
 男/20歳/インディーズバンドのボーカルギタリスト

 ※表記は発注の順番になってます

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 ※オフィシャルメイン以外のNPC紹介

 ■居合わせその一■真咲・御言(しんざき・みこと)■
 男/32歳/バー『暁闇』のバーテンダー兼用心棒、昼間は基本的に暇人・元IO2捜査官

 ■居合わせその二■エル・レイ(える・れい)■
 女/?歳/これでも一応吸血鬼・草間興信所には良くお茶をしに来る

 ■巻き込む為だけに呼び出されその一■鬼・凋叶棕(くい・てぃあおいえつぉん)■
 男/594歳/表向きは探偵(草間興信所の下請け調査員)・本性は仙人

 ■巻き込む為だけに呼び出されその二■真咲・誠名(しんざき・まな)■
 男/33歳/画廊経営(表)・武器調達屋(裏)・怪奇系始末屋(裏の裏)・元IO2捜査官

 ■話にだけ出てきた一番事情がわかって良そうな仙人■鬼・丁香紫(くい・てぃんしぁんつー)■
 無/664歳/仙人で凋叶棕の兄貴分でもあったり。仲間内での通称・丁

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■         ライター通信          ■
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 さてさて。
 深海残月です。
 漁火汀様、初めまして。
 ラクス・コスミオン様、初めまして。雨柳様や海原家の皆様にはいつもお世話になっております。
 草壁・鞍馬様には再度の御参加有難う御座いました。また、陵のお兄様にはいつもお世話になっております。
 綾和泉・汐耶様には、今のところ前振り四編継続の御参加、有難う御座いました。
 皆様、いつも本当にお世話になっております(礼)

 実は今回はやや変則的でした。
 草間興信所編、二回目です。
 それでもやっぱり初めましての方が巻き込まれて下さるのには驚いております…。
 そしてまたも何故か無駄に長引いております(汗)

 と言う訳で。
 各調査機関&あやかし荘+解決編の「味見と言うより毒見」シリーズ、前振り編終了こと第四弾の「草間興信所編」の二回目をお届けします。
 第四弾と言っても第一弾、第二弾、第三弾の方と時系列が直接続いている訳では無いので、今回初めて御参加下さった方も問題は無い仕様になっております(その筈…です)
 今回は(も)全面的に皆様共通の文章になっております。個別部分がありません。
 終わり方が『続』なのがその理由(?)です。
 …内容としてはやっぱり見事に何の解決もしていません。
 基本的には相変わらず騒いだだけです(え)
『解決する』のはあくまで『解決編』でです。
 今回の『草間編』は二回やりましたので、『解決編』の際は、『草間編』の扱いのみ、今回と前回の二編をパラレル仕様で考えております。

 肝心の『解決編』の窓口が開くのは十一月中頃になると思われます。
 相変わらずのノロノロ運転ですが、
 ここまで来たなら(笑)どうぞ最後までお付き合いしてやって下さいませ。

 ラクス・コスミオン様
 初めまして。
 …び、びっくりしました(汗)
 ラクス様までお預け下さるとは。
 PL様にはいつも本当にお世話になっております(礼)
 それと、『ラプラスの悪魔』、に関してなのですが…こんな感じでも良かったのでしょうか。
 …これに関して何か魔術的な儀式とかありましたっけ?(汗)
 私の方でちょっと出て来なかったので、ラクス様にはひたすら『計算』してもらってました…。
 想定していたものと違っていたなら申し訳ありません(汗)

 では、解決編でまたお会い出来ます事を。

 深海残月 拝