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■出現!天下無敵の暇人娘!■

三咲 都李
【2278】【奇術師・オズ】【奇術師】
恋も学校も飽きちゃった!何か面白いことないかなぁ?
少女・三雲京子(みくもきょうこ)はフラフラと町を歩いていた。
と、1つの看板が目に留まった。
『草間興信所』
興信所・・探偵!?うわ!おもしろそう!!
三雲はためらわず入っていく。
「すいませーん!面白いことありませんかー!」
大音量のブザーを鳴らし、三雲は草間興信所の扉を開けた。

三雲は草間興信所のソファに陣取った。
これでは仕事に支障をきたす。
依頼を回すのは簡単だが、面白半分で調査されても困る。
草間は頭を抱えた。
架空の事件。それをでっち上げ、三雲が二度とココに来ないようにすることが出来れば・・。
だが、暇人がそう簡単に懲りるような架空の事件では困る。
なにかガツンとお灸をすえてやらねば・・。
ちらりと見ると三雲はウキウキ顔で草間興信所内を物色している。
誰か・・コイツを何とかしてくれ・・・。

と、そこに誰かが入ってきた。
そう、他ならぬあなただったというわけだ。
草間はすべてをあなたに委ねた。

-----<作者より>-------
凶悪暇人・三雲京子を撃退していただきます。(笑)
架空の事件をでっち上げ、三雲京子が二度と草間興信所に興味を持たぬようにしていただきます。
・どのような事件をでっち上げるか。(例/殺人・憑依・失踪などなど)
・その事件をどのように捜査し、三雲京子を撃退するか。(例/日本一周を徒歩で行ってみるなど)

個別に作っていく予定ですが、他PC様と共同で事件をでっち上げる場合はその旨お書きくださればご一緒にお書きいたします。
出現!天下無敵の暇人娘!

1.
お茶会を用意いたしましょう。
ミルクティーならウバの茶葉。ストレートならアールグレイで。
ハーブティーなんかも女の子ならお好みかな?
お茶菓子はなにがいいだろう?
クリームをたっぷりと乗せたシフォンケーキ。
果物をふんだんに使ったフルーツタルト、季節柄アップルパイなんていうのもいい。
さぁ、準備は整った。
あとはお客様を招くだけ・・・。


2.
三雲京子は目を見開いた。
そして数度の瞬きの後、首をかしげた。
「お茶会の招待状です。お受け取りください」
金髪・碧眼。
背の高さも目を引くことながら、それよりも不可思議なその衣装。
そして肩には白いネコ。
どこかの童話から抜け出てきたような不思議な人・・・。
「・・えーと・・・」
「奇術師(きじゅつし)・オズと申します、お見知りおきを」
言葉を紡ぎ出せないでいた三雲にオズは深々と頭を下げた。
「・・えと、オズさんはどうしてあたしに招待状を?」
「はい、草間興信所よりご紹介を受けました。ぜひご参加ください。では」
優雅な手つきでオズは三雲に招待状を渡すと風の様に去っていった。
三雲京子、高校登校時の出来事であった・・・。


3.
三雲は学校が終わると草間興信所へと直行した。
朝の出来事の詳細を草間に問いただすためである。
「あれは何だったのよ!?」
バンっと机をたたく三雲に草間はめんどくさそうに眉を寄せ、ひとつあくびをした。
「『いかれたお茶会失踪事件』というのがあってな。それを調査してもらおうと思って手配しといた」
「・・・どんな事件?」
三雲が急に興味を持ったようで目をキラキラとさせた。
「お茶会に招かれた人間が次々と失踪している・・・それを調査してもらいたい」
草間の前に突然現れた奇術師・オズ。
そのオズが提案していった『いかれたお茶会失踪事件』の概要を草間は話した。
少々風貌は怪しかったが今の草間は藁をもすがる思いがあった。
それすなわち三雲京子をこの事務所に近づけないことだ。
打ち合わせどおりに三雲をお茶会へと行かせれば、後はオズが何とかしてくれるだろう。
「・・・やる!やります!んふふふ〜。燃えてきたぁ!」
三雲は小走りに草間興信所を後にした。
三雲がビルから駆け出す音を確認した後、草間はつぶやいた。
「さらば、小娘・・・」


4.
三雲がたどり着いたのは古びた洋館だった。
こんな東京のど真ん中にこんな洋館が存在してただろうか?
三雲はそう思ったが、場所に間違いはなく恐る恐るドアをノックした。
「いっらしゃいませ、ようこそいかれたお茶会へ・・」
扉を開けたのは他ならぬオズであった。
にこりと笑い「さあ、どうぞ」と三雲を促す。
三雲は少々緊張しながらその足を進めた。
オズは迷う様子もなく奥へ奥へと進んでいく。
三雲は少々気味が悪くなった。重苦しい扉がいくつも連なり奥につれて暗くなる廊下。
失踪事件・・・そう、ミイラ取りがミイラになるかもしれないのだと突然思った。
「さぁ、どうぞお入りください」
オズは一番奥の扉を開けた。
三雲はごくりと息を飲んだ。いったい何がこの奥にあるというのだろう?
だが、扉の向こう側は三雲の予想もつかない光があふれていた。
森の中におかれた長いテーブル、その上に広げられたフルーツやケーキ。
タマゴの置物や注ぎ口が三つある不思議なティーポット。
「すごーい・・」
三雲は素直な感想をもらした。
「すべてあなたのために用意いたしました。さぁ、お好きな席へ」
オズは三雲に座るように促した。
「あ、はい」
三雲の中に先ほどまでの不安はなかった。
一番美味しそうなケーキの前にあった椅子に座った。
何だかワクワクしている。目の前に広げられたお菓子の山に釘付けだ。
「紅茶は何がお好みですか?ミルクティー?レモンティー?ストレート?ハーブティーもありますよ?」
「えぇと、ミルクティーで」
「そうですか」
オズは何を思ったか、かぶっていた帽子を脱いだ。
そしてその中に手を入れると、なぜかその手にはティーセットが握られていた。
「・・・どうやったんですか?」
「奇術です。種も仕掛けもありますよ」
「ま、魔法かと思った・・・」
三雲はそういってすぐに「冗談です」と笑ってごまかしたが、どうやら本気でそう思ったようだった。
「さぁ、美味しい紅茶をどうぞ」


5.
ふんわりと香る濃厚な紅茶のにおい。
どれも美味しそうで目移りしてしまいそうなケーキやお菓子。
三雲は妙な錯覚を覚えた。
あたし、実は夢見てるんだろうか?
昔読んだ『不思議の国のアリス』のお茶会・・・そう、あんな感じ。
じゃあこのオズって人は時計を持った白いウサギ?
そういえばなんとなく格好が似てる・・・気がする。
三雲の足に、オズの肩に乗っていた猫がすり寄って来た。
「ドロシー。お客様を驚かしてはいけないよ?」
オズが猫をたしなめると、猫はぴょんとオズの肩に乗った。
「チシャネコ・・・」
思わず三雲の口からこぼれた言葉にオズはにこりと笑った。
「いいえ、この猫はドロシーという名です」
「あ・・ご、ごめんなさい・・」
三雲は何だか自分の考えが子供っぽくて恥ずかしさのあまりうつむいた。
「おかわりはいかがですか?」
「いえ、もういいです。とっても美味しかったです・・」
「では、奇術でもお見せしましょうか」
オズがそういうと手のひらを差し出した。
三雲の目の前でその手のひらを一度裏返す。
そしてもう一度返すとそこには一輪の白いバラが。
「え、嘘!?今の見えなかった!」
オズはそのバラを三雲に渡さず、もう片方の手で包み込んだ。
手を離すと今度は赤いバラになっていた。
「すっごーい!!」
オズはそのバラを三雲に手渡した。
三雲はバラを裏返したりその感触が本物であるかを確かめている。
「では最後にもっとすごい奇術をお見せしましょう」
オズがそう言って帽子を脱いだ。
そしてその帽子を三雲に向けた。
「それでは、今回のお茶会はこれにて」
オズがそう言うと帽子の中から無数の赤いバラの花びらが舞い散った。
三雲はあまりの数に目をつぶった。
その舞い散る花びらが顔に当たらなくなったのを感じて目を開ける。
そこは夕闇に溶け込もうとしていた廃ビルの中。
三雲京子はその一室でパイプ椅子に座って1人、バラを握り締めていたのだった・・。


6.
「だーかーらー!もう一度手配してよ!」
三雲の怒鳴り声が草間興信所に響いた。
草間は指で耳栓をし、三雲に背を向けている。
「聞きなさいよぉ!あのお茶会にもう一度行きたいの!おじさんなら手配できるんでしょ!?」
「おじさんって言うな!俺はこう見えてもまだ若い・・」
「聞こえてるんならシカトしないでよね!」
どこをどう間違ったの・・・草間は混乱の渦中にいた。
三雲はすでに草間興信所に来ることを日課としていた。
「お前の調査は失敗したんだろうが!」
「何言ってんのよ!あたしは事件で唯一の生還者よ?これはあたしの美貌と才能のおかげなんだよ?!おじさんの力になってあげるって言ってんだから協力しなさいったら!」
・・・うざい。
草間は血管が一本切れたかのごとく突然席を立った。
ここにいたら何もできない・・否・・やる気もおきない。
「あー!逃げた!あたしぜーったい諦めないからね!」

オズはクスクスと笑った。
まったくの逆効果だった。だけど、お茶会としてはとても楽しいものだった。
夢を忘れきれない少女・・・彼女にとっても楽しいお茶会だったのだろう。
気が向いたらまた誘いましょうか・・いかれたお茶会へ。
「さぁ、ドロシー。次のお客様を探しに行こう」
猫はにゃーと鳴くとオズの肩へと飛び乗った。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

2278 / 奇術師・オズ / 男 / 999 / 奇術師

NPC/三雲京子/女/16/女子高生

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■         ライター通信          ■
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奇術師・オズ様
はじめまして、とーいと申します。
この度は「出現!天下無敵の暇人娘!」へのご参加ありがとうございます。
ノベル商品は初めてのようでしたので大変緊張いたしました。
ですが、楽しく書くことができました。
『不思議の国のアリス』をうまく使いたかったのですが、なかなか上手くいかないものです・・。
ゲームとしては失敗の部類にはいるかと思いますが、過程を楽しむオズ様ということでお茶会を楽しんでいただければと思います。
それでは、またお会いできる日を夢見て・・。