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■インタレスティング・ドラッグ:1『蔓延』■

リッキー2号
【1917】【常・雲雁】【茶館の店員】

(ねえ、『ギフト』って知ってる――?)
(青と赤のツートン・カラーの、ちいさなカプセルなんだって)

……それは、路地裏の暗がりの中で、
あるいは、陽光が差す学園のテラスで、
大音量が、煙った空気を震わすクラブのフロアで、
笑いさざめく街の雑踏で、
ゴーストネットOFFの掲示板で――
思いもかけず耳に飛び込んできた、どこか心騒がさせられる噂だった。

(『ギフト』を飲むと、“とくべつなちから”が貰えるらしいよ)
(出来ないことなんて、なくなるんだって……)

(ねえ)
(欲しいと思わない?)
(ひとにはない、特別な力。特別な贈り物――『ギフト』)
(手に入れる方法、教えてあげようか……?)



「実は……判断をつけかねていまして」
 草間興信所のソファーに坐っている黒服に黒眼鏡の男は、そう口火を切った。そして、テーブルの上に、写真を広げた。相対していた草間の眉がひそめられる。探偵は、短くなったマルボロをねじるように灰皿に押し付けた。
「酷いな。……今、評判のアレか」
「察しがいいですね。ええ、ここ数カ月、都内で連続する猟奇殺人ですが……もし、これが、ただの殺人事件――というのも何ですが、猟奇的であっても、通常の、人の為す犯罪であるなら、それは警察の管轄です。あるいは、草間さんの」
「本来は、な」
 黒眼鏡が苦笑する草間を映しだした。
「警視庁のプロファイラーも困惑しています。被害者の選定、殺害方法、周期、地域、いずれもバラバラです。そして数が尋常でない。まるで――」
「…………」
「東京中で、複数の猟奇殺人者がいっせいに活動をはじめたとでもいうように」
「案外、そうなんじゃないのか」
「だとしても、それは偶然ではありえませんよね。……もし、この背後に、人知を越えたなにかがかかわっているとすれば、私たちの仕事になります。だが、現状ではどちらとも判別する材料がない」
「それで俺か」
「“境界”に立つ、草間さんだからこそ、お願いできるのです」
 零がそっと置いていった緑茶を啜って、彼は続けた。
「ところで、草間さん。『ギフト』という名の薬をご存じで?」
「よく効く頭痛薬なら教えてくれ」
「麻薬の類と考えられています。一種の都市伝説のように情報が流布しているのですが」
 とん、と、彼の指が、テーブルの上の一枚の写真を示した。
 凄惨な殺人現場の、目を覆いたくなるような有様を写した写真――その片隅に、ぽつんと、それが写り込んでいる。
「噂では『ギフト』は赤と青のツートン・カラーのカプセルだと」
「これが、その?」
「わかりません。それは現場検証時に撮られた写真ですが、押収された物件の中には、そのようなカプセルなんて、どこにもなかったのですからね」
「消えた証拠品、か。……それがなにか、関係が?」
「わかりませんが、『ギフト』の噂の広がりと、殺人事件の急増の波は重なっています」
「ドラッグに、猟奇殺人。……世も末だ」
「何かが起ころうとしている――そんな気がするんです。この、『東京』で」


インタレスティング・ドラッグ:1『蔓延』


「ねえ、『ギフト』って知ってる――?」
 それは思いもかけず耳に飛び込んできた、どこか心騒がさせられる噂だった。
「青と赤のツートン・カラーの、ちいさなカプセルなんだって」
「クスリ?」
「そう。『ギフト』を飲むと、“とくべつなちから”が貰えるらしいよ」
 常雲雁は、テーブルを片付ける手を止めて、話し声が聞こえたほうに目をやった。若い女の子の二人連れだ。ひらひらとしたレースのついたスカートをはいた……そう、たしか、ああいうのをゴスロリとかいうんだ――と、雲雁は思い出す。
「出来ないことなんて、なくなるんだって……」
 耳をそばだてたまま、そのテーブルの横をわざとゆっくり通って、雲雁はカウンターに戻った。
 午後のやわらかな日差しがさしこむ茶館は、中国茶の香りと、談笑するひとびとのおだやかな空気に充ちている。その中にあって、不穏な麻薬の噂話とは。だがしかし、なにを話そうが、それは客の自由だという他はない。
「ユン、こっちお願い」
「あ、はい」
 そして、呼ばれて他の用事の済ませたあと、さりげなく、水を注ぎに行ってはみたものの、
「そう、それで、今度のSHIZUKUの新曲がね――」
 もはや話題は変わってしまっていた。
 そうこうしているうちに、やがて当の客も席を立ち、勘定を済ませて帰っていってしまい、店もいよいよ混んできたので、雲雁も、一瞬、気に止めた噂のことについてあれこれ考えている余裕はなくなってしまった。
 だが、店が退ける頃になって、プアール茶のティーポットを片付けていると、水に沈んだ澱のように、どこかしら不吉な色合いをはらんだ、少女たちの声が耳に甦ってくるのだった。
(なんだか、気にかかる話だな)
 特殊な力を人に与える薬――『ギフト』。
 むろんそんなものが実在しようはずはない。
 医学的なものではなく、呪術的な効力を持った、たとえば雲雁がよく知るところでいえば仙人たちがつくる仙丹と呼ばれる魔法薬ならばいざ知らず。
 あるいは、そういった超常的な存在のものなのだろうか。
(『ギフト』……「贈り物」、か)
 あとでネットででも検索してみよう。雲雁は思った。
 しかしこのときまでは、気にかかるとはいっても、その程度の、街の奇妙な噂話に過ぎなかったのである。
 そこに隠されていた真相に、彼が迫るのはすこし後の話だ。

■ 猟奇 ■

 赤い回転灯は、どうして、あれほど人の心を騒がせるのだろうか。
 それは、その光がひらめくところには、必ず、人の悪意の痕跡があるからに違いない。
 ましてや、雲雁の働く店のあるこの界隈は、繁華街というほどのこともなく、たとえば酔客の喧嘩であるとか、警察沙汰になるような事件が起こることなどほとんどない。
 だからそのとき、立ち入り禁止をあらわすロープが、その路地の入口に張られているのを見たものは、直感的に、ただごとではない空気を感じ取ったはずだ。
 険しい顔つきで、刑事らしき男たちが小声で囁き合い、TVでよく見かける鑑識の格好をした男たちが走り回っている。
 多分にもれず、雲雁も人だかりの輪に近付いた。……と、そこで、見知った顔を見かける。
「あれ、八島さん?」
「おや」
 黒いスーツに黒いネクタイ、おまけに黒眼鏡をかけた、まるで葬式の帰りかと見まがうような男だった。
「こんなところで」
「働いている店が、この近くなんですよ。……なにかあったんですか」
「殺人事件のようですね」
 雲雁のおもてが、厳しくひきしまった。
「……当然、普通の事件じゃないってことですよね。八島さんがいらっしゃる以上」
 八島は唇に苦笑を浮かべる。そして、声をひそめて、ささやくように告げた。
「――皮を剥かれて殺されたそうです」
「!」
 雲雁は眉をひそめた。
「嫌な……事件ですね」
「ええ。なにかの模様の形に、彫ったようになっていたそうですが」
「…………」
「まあ、気は滅入りますが、いくら猟奇的であっても、人間の犯罪であれば、わたしの管轄ではないんですがね。ただ、今回は」
「なにか、気にかかることが……?」
 雲雁の利発そうな瞳に光が宿る。
「頻発しているんですよ。一見、超常現象とは言い切れないものも含めて――異常な変死事件や猟奇殺人の類がね。しかも……」
 黒眼鏡の上で、八島の片方の眉がぴん、と跳ね上がった。
「時に常さん。『ギフト』と呼ばれている薬のことをご存じでしょうか」
 思いがけなく飛び出したその名に、雲雁は小さく息を呑んだ。

 雲雁は、自分の直感というものを信じることにしている。
「……すいませんねえ。本当によかったんですか?」
「もちろん。……八島さんだって、今回のたくさんの事件と『ギフト』が関係あるって思ってるんでしょう?」
「論理的な推論ではないですね」
「でも……それって大事です。こういう場合は特に。僕も――なにか関係ありそうだと思います。だからお手伝いします」
「ああ……」
 八島はおおげさに天を仰いだ。
「常さん。あなたは素晴らしい方だ。日本もまだ捨てたものではありません」
 しかしながら、雲雁は中国籍だ。どう返答しようか迷っていると、黒服に黒眼鏡の、しかし、八島に比べるとずいぶん恰幅のいい男が、湯飲みを二つ、運んできた。
「どうぞ」
「あー、榊原くん、お茶だけじゃなくて、お茶菓子もお出ししてよ。ところで、それ、ちゃんと、私のデスクの玉露にしたんだろうね?」
「すみませんね、気がききませんで」
「ああ、いいんです。お構いなく!」
 むっとした様子で出ていく男の背中に、雲雁は声をかけた。
「この書庫は、本来、部外者立ち入り禁止だからカリカリしてるんですよ。まったく」
 皇居の地下にあたる場所に、これほど広大な領域があることを、知るものは少ない。
 日本国内における怪奇事件の調査・研究にあたる国の秘密機関、宮内庁・調伏二係――。
 300メートルを一気に急降下する高速エレベーターのドアが開き、雲雁を出迎えたのは、黒服に黒眼鏡の職員たちと、その資料の山だった。
「ううん。それにしても膨大ですね。殺人事件だけでもずいぶん起こっているんだなあ」
「日本はそれでも平和なほうだと思いますよ」
 新聞をかたっぱしからめくりながら、八島は応えた。
「すみませんね、手伝わせてしまって」
「だからそれはいいですって。こういうのは、地道にいかないとね」

■ 悪意の都 ■

 絞殺。刺殺。毒殺。扼殺。撲殺。轢殺。
 縊死。溺死。焼死。失血死。転落死。中毒死。
 強盗殺人。衝動殺人。放火。轢き逃げ。
 東京には、殺意と、死と、犯罪があふれている。
 情報の海に溺れるように、そうした出来事ばかりを追っていると、そんな気分になってくる。
 ふう、と、息をつく。
「ちょっと地道過ぎました?」
 八島が笑いかけてくる。
「いえ。……でも、だいぶ絞り込めた気がします。たぶん、こちらの山は関係が薄いですね。こっちが気になる事件」
「助かります。……このくらいにしましょうか。もうこんな時間ですし、ちょっと行ってみたいところもあるので」
「今から?」
「ええ。渋谷のほうで、例の事件と同一犯と思われるケースがありまして。事件が起こったあたりを歩くのは、いちばんいいとっかかりになります。犯人は、必ず現場に戻ってくるものですから」
「同行させてください」
 そして――
 八島を運転席に、雲雁を助手席に乗せた黒塗の車は、車輌用エレベーターで300メートルの地上へ運ばれ、皇居の堀の外壁に開いた秘密の出入口から、夜の街へと走り出していった。
「八島さん……」
 雲雁は、ぽつり、と車窓に浮かぶ街の灯りをぼんやり見つめながら、運転席へ声をかけた。
「どうして、人は人を殺すんでしょうね」
 それは――常雲雁にとって、大いなる謎であった。
 問うても詮ないことだ、ということがわからないほど、雲雁とて世慣れていないわけではない。何千年も、ひとびとは互いに争い、殺しあってきたのだから。しかし。
「戦争とか……そういうものとは、すこし、違う気がしませんか。今の世の中で、ひとりの人間が、誰かを殺す、というのは」
「違うかもしれませんね」
 八島は応えた。黒眼鏡が過ぎてゆく街灯の光を反射する。
「思うに……人が誰か他者と生きる、というのは……つまり、家族とか、集団とか、社会をつくるっていうのは、いかに殺さないでいるか、というためだ、という気がします」
「……」
「だって、人がふたりいれば争いが起こるというでしょう?」
「だから殺人が起きてしまう。――荀子ですね」
「まあ、そうですね。でも……争うことと殺すことは違います」
「そこなんですよ」
 八島は、皮肉めいた笑みを、唇にのぼせた。
「問題は、そこで殺せる力を持っているか否か、ということかもしれません」
「でも、それじゃあ……」
 やはり、世界には殺意が充ち充ちているというのだろうか。
 ただおおかたの人間は、それを実行するだけの力がないというだけで――。
(……!)
 そのときだ。
 雲雁は、自分の直感というものを信じることにしている。
(あの娘だ)
 数日前、茶館のテーブルで『ギフト』の噂に興じていた少女。
「すいません、八島さん、停めて!」
「え……?」
「ちょっと気になることが……そっちをあたります!」
 八島が路肩に停車させるや、飛び出していく。
 人違いかもしれない。車の中から見ただけであるから、むしろそうである可能性が高いはずなのだが、雲雁には確信がある。それが、雲雁の直感だ。
 夜のビル街に消えた後ろ姿を追う。
 そこはオフィス街なので、この時間に、表通りから一本入れば、周辺はずいぶん静かだ。
(いた……)
 ビルとビルのあいだにぽっかりあいた、空き地のような場所だった。
 自動販売機だけが明りだった。その陰に、少女のスカートのフリルが見える。
(何をしてるんだ……?)
 雲雁が歩み寄ろうとしたその時だ。
 コツコツ、とアスファルトに響く靴音――。
 闇の向こうから、誰かがやってきた。山高帽をかぶった、男のシルエット。フロックコートを着た、中年の男のようだった。
「『ボウシヤ』さんね」
 少女が、嬉々とした様子で呼び掛ける。
(帽子屋……?)
「与えられることを望むのか」
 男が告げた。抑揚のない、まったく感情というもののこもっていない声だった。
「もちろんよ」
 少女は応える。
 山高帽が頷き、コートのポケットから、それを取り出した。
 自動販売機の灯りが照らし出したものを、雲雁ははっきりと見た。赤と青の、ツートンカラーの小さなカプセル――。
 少女が手を出す。男がその手の中に、ひと粒の薬を、ぽとり、と落した。
「ありがとう」
「それが『ギフト』だ。おまえは与えられるだろう」
 機械のように、男は言った。
 そして、きびすを返し、来たときと同じように、去っていこうとする。
 男を追うか、それとも。
 雲雁は迷った。が、その目に、まさに少女がカプセルを口に放りこもうとするのが映った。

■ 魔獣 ■

 少女は、そのとき、遠くで鶴のような、なにか鳥が鳴くような声を聞いた気がした。
 同時に、誰かが叫んだ呪文のような言葉も。
「『急々如律令――疾く参じよ、風に乗じて千里を走るもの』」
 そして、叩き付けるような突風。
「あっ!」
 まるで、見えざる手に奪われるように、その小さなカプセルは宙を舞い、雲雁の手の中に収まった。
「ちょ、ちょっと……返してよ!」
 雲雁は、少女が思いのほか、幼いのだと知る。
「これ、『ギフト』だろ」
 雲雁の問いに、はっと、悪戯を見つかった子どものような表情を浮かべる。
「さっきのは誰なんだ。こんなもの一体――」
 しかし、雲雁のその言葉は、言い終えることが許されなかった。
 けたたましい音を立てて、とうに閉まったテナントのシャッターが突き破られる。その向こうにあったガラスまでも割って、店のフロアに転がったのは、雲雁だ。
「……っ痛」
 額から血が流れている。それでも、昏倒もしなければ、すぐさま体勢をたてなおして身構えたのは流石というべきだ。
「小僧。見た目よりは頑丈だな」
 嘲るような笑いを含んだ低い声。
 ぐしゃぐしゃになったシャッターの穴を、その大きなシルエットがふさいだ。
「誰だ」
「知る必要はない」
 雲雁の指が流れるように印形を組んだ。
「『急々如律令――』」
 さえぎるように、獣の咆哮のような雄叫びをあげて、その巨大な影が突進してくる。
 そこは、服屋だったらしい。雲雁は、自分がぶつかって倒したハンガーラックのバーを、気合い一声で、引き抜くと、棒術の要領で、それを武器に応戦する。
 相手は、雲雁より頭二つ以上高い身長で、横幅や厚みも倍以上はありそうな体格だ。だが、雲雁は戦いの勝敗が必ずしも体格差によらないことなど承知。あざやかな動きで、棒が、空を切り裂き、巨漢を襲った。
「やるな、小僧! 嬉しいぞ!」
 だが相手も、その体格に似ず俊敏だった。
 しかも、渾身の力をこめて放った一撃を、腕で受け止めたではないか。雲雁は驚きに息を呑んだ。普通なら骨が折れていてもおかしくない。
 反撃が来た。鈍い衝撃とともに、濁流にさらわれた木材のように、雲雁の身体が飛ぶ。先程とは逆の方向へ、ガラスをつきやぶって、冷たいアスファルトの上に落ちた。
 のしのしと、割れたガラスのウィンドウを乗り越えて、そいつが、星明かりの下へすがたをあらわす。
「…………」
 全身が、筋肉のかたまりのような男だった。
 短く刈った兵士じみた髪は、まるで針金のように硬そうで、金属的な銀色に輝いていた。
 ごつい顔が残忍な微笑にゆがむ。
「おれもこう見えて忙しい身でな」
 巨漢は言った。
「あんまり遊んではいられんのだ」
 軍用ブーツを履いた足が振り上げられ、道路に仰向けに転がった雲雁めがけて振り下ろされ――
「!」
 だが、彼が踏み付けたのは、彼自身の影だけだった。
 ぶわり、と舞う、青白い燐光に包まれた羽毛。
「既に術を――!」
 それは、さきほど、テナントの中ですでに、完成された分身だったのだ。
 振り返ったが、遅かった。
「『急々如律令――疾く生じよ、金を断ち、山を割り、砂を砕くもの』!」
 飛びかかってくる雲雁。彼の手の中に形づくられた、青い光の剣が、兜を割るかのごとくに、男を狙う。
 だが、それでも男は果敢に、剣を受け止めようとした。
 咆哮。
 光の剣は、ふれたものの肌を焼き、肉に食い込む。
 袈裟がけに、ぶ厚い胸板を切り裂いてゆく。
「貴様ァァああああ!!」
 うしろざまに飛び退くそのアクションは、野獣そのものの、動きだった。
「気に入ったぞ、小僧! このファングに傷を負わせたこと、貴様に最大の敬意を表して……いつかぶち殺してやるから覚悟しろ!」
「待て!」
 動物のように、よつんばいになって、男は走り出していく。
 信じられないほどの、スピードだった。
「…………」
 むろん、例の少女はとっくに姿を消している。
 あとに残ったのは、雲雁、ひとり。
 雲雁はそっとポケットの中に手を差し入れ、その存在を確かめた。
 小さなカプセル――『ギフト』。
 それだけが、夜のビル街で繰り広げられた、時ならぬ死闘が、たしかに現実であったことを、語っているかのようだった。

(第1話・了)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1917/常・雲雁/男/27歳/茶館の店員】

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■         ライター通信          ■
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リッキー2号です。
お待たせいたしました、「インタレスティング・ドラッグ:1『蔓延』」をお届けします。

このたびは、初のシリーズものシナリオにご参加いただいて光栄です。
第1話にあたる本作は完全個別執筆ということで、いつもの調査依頼等にくらべると、
分量的には控え目になっていますが、そのぶん、各PCさまそれぞれのストーリーを
クローズアップする形になっています。

>常・雲雁さま
いつもありがとうございます。
八島さんと行動していただくことになりましたが、そのせいか、
雲雁さんのこのノベルは、ある一点において、他の方の結果とはちょっと違った部分があります。
また、八島さんが追っていた事件の顛末は別の方の物語の中に描かれています。
よろしければ、他の方のぶんもご確認いただくと、
事件のちょっと違った側面が見えて来るかもしれません。

よろしければ、第2話以降もおつきあいいただけるとさいわいです。
ご参加ありがとうございました。