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■エクスプロイト 〜OMR■

ALF
【2276】【御影・蓮也】【大学生 概念操者「文字」】
「拙い‥‥」
 筐体の中、SHIZUKUはレバーを握りしめて呟いた。
 画面は森の中。猫耳がついた小さなメイド型の機体、飛行型試作お手伝い猫耳幼女ブリュンヒルデが、上空の浮遊爆撃機フレスヴェルグがばらまいていった羽毛爆弾の嵐の中で立ち往生する。
 右往左往する間にHPがみるみる削られていき、そして25%を切った。追加装備のファイナルブースターが発動。装甲が金色に変わる。
「え‥‥えと‥‥あ、ブースターが。これで反撃に‥‥」
 これで、機体の性能は一気に向上したはず‥‥なのだが、その直後、上空から落下してきた超弩級巨人兵フルングニルが、動きを止めていたブリュンヒルデに、手に持ったモノリスを叩きつけるように投げてきた。
 直撃を受け、ブリュンヒルデはあっさりと爆炎の塊へと変わる。なお、ゲーム開始からまだ10秒もたっていない。
「うううううう‥‥いい加減、最速撃墜者の汚名は返上しないと‥‥‥‥」
 SHIZUKUは泣き笑いながら筐体を出た。他の筐体では、まさにこれから盛り上がろうとしている所‥‥前哨戦であっさり死んだのはSHIZUKUだけらしい。
「やっぱり、誰か上手い人に教えてもらえないかなぁ」
 言いながらSHIZUKUは、大型モニター脇のテーブルに置かれたノートを手に取った。
 このノートはゲーム参加者やギャラリーの交流と情報交換に使われているもので、誰でも自由に書き込みが出来、また読む事が出来る。SHIZUKUはこのノートに、『先生募集☆』の書き込みをしていた。
 誰か返事をくれてないか‥‥そう思いながらSHIZUKUは、自分が書き込んだページを開く‥‥

 やや時間を置き‥‥SHIZUKUは、盛り上がる大型モニターの周りの者達の声に気付いて頭を上げた。
 ノートを読んでいる間に、さっきのゲームは終わったらしい。筐体から下りてきた者達が、互いの戦いや機体の評価を話し合っていた。
 勝者は饒舌になり、敗者はその話を聞いて勝利の糸口を探す‥‥SHIZUKUも彼らと話をしようとテーブルを立つ。
 だがその時、次のエントリーを促すアナウンスが、店内に響き渡った。
「次のエントリー‥‥バトルフィールドは『CITY』。建物が林立する大都市が戦場です。参加希望の方は、筐体前に集合してください」
「え‥‥もうゲーム開始?」
 SHIZUKUは、ゲームエントリーしようか、ギャラリーしながら情報収集しようか少し迷ったが、すぐに意を決してゲーム筐体の方へと向かう。
「やっぱり、実力付けるには実戦だよね〜」
 下手の横好き‥‥だけど、SHIZUKUは百回続いた敗北くらいでは懲りないのであった。

●今回のバトルフィールド
MAP【CITY】 高層都市
 MAPの南西の1ブロックのみ平原。残る南と西のブロックは住宅地で、機体の全高の半分程度から低高度相当くらいまでの高さの建物が密集する。中央から北東よりの4ブロックはビル街となっており、低高度〜中高度相当の高さのビルが林立している。全体的に迷路のような地形で、各種建物が障害物と隠れ場所を多量に提供してくれる。
 街の上空、中高度相当の高さには高速道路が走っている。この上は十分に広く障害物もない為、高速移動が可能。この高速道路への昇り口は、南西と中央を除くMAPの各所に用意されている。
 MAP中央には、一つの超高層ビル‥‥通称『塔』があり、最上階の高さは高々度に相当する。

MAP地形図 高速道路配置図
┏━┳━┳━┓┏━┳━┳━┓
┃町┃街┃街┃┠┬╂┬╂┐┃
┣━╋━╋━┫┣┿╋┿╋┿┫
┃町┃塔┃街┃┃└╂┼╂┤┃
┣━╋━╋━┫┣━╋┿╋┿┫
┃ ┃町┃町┃┃ ┃└╂┤┃
┗━┻━┻━┛┗━┻━┻┷┛
       細線が高速道路


●ライターより
 ゲームセンターでゲームをするシナリオ。続編です。
 描写は、ゲーム内の仮想の戦闘が主体になります。ゲームに参加しないで見てるだけというのはお勧めしません。
 また、ゲームに超常能力を使って勝とうとするような寂しい行為はどうかお止めください。フェアプレイの精神を持ちましょう。
エクスプロイト 〜OMR 【2】

「拙い‥‥」
 筐体の中、SHIZUKUはレバーを握りしめて呟いた。
 画面は森の中。猫耳がついた小さなメイド型の機体、飛行型試作お手伝い猫耳幼女ブリュンヒルデが、上空の浮遊爆撃機フレスヴェルグがばらまいていった羽毛爆弾の嵐の中で立ち往生する。
 右往左往する間にHPがみるみる削られていき、そして25%を切った。追加装備のファイナルブースターが発動。装甲が金色に変わる。
「え‥‥えと‥‥あ、ブースターが。これで反撃に‥‥」
 これで、機体の性能は一気に向上したはず‥‥なのだが、その直後、上空から落下してきた超弩級巨人兵フルングニルが、動きを止めていたブリュンヒルデに、手に持ったモノリスを叩きつけるように投げてきた。
 直撃を受け、ブリュンヒルデはあっさりと爆炎の塊へと変わる。なお、ゲーム開始からまだ10秒もたっていない。
「うううううう‥‥いい加減、最速撃墜者の汚名は返上しないと‥‥‥‥」
 SHIZUKUは泣き笑いながら筐体を出た。他の筐体では、まさにこれから盛り上がろうとしている所‥‥前哨戦であっさり死んだのはSHIZUKUだけらしい。
「やっぱり、誰か上手い人に教えてもらえないかなぁ」
 言いながらSHIZUKUは、大型モニター脇のテーブルに置かれたノートを手に取った。
 このノートはゲーム参加者やギャラリーの交流と情報交換に使われているもので、誰でも自由に書き込みが出来、また読む事が出来る。SHIZUKUはこのノートに、『先生募集☆』の書き込みをしていた。
 誰か返事をくれてないか‥‥そう思いながらSHIZUKUは、自分が書き込んだページを開く‥‥

 やや時間を置き‥‥SHIZUKUは、盛り上がる大型モニターの周りの者達の声に気付いて頭を上げた。
 ノートを読んでいる間に、さっきのゲームは終わったらしい。筐体から下りてきた者達が、互いの戦いや機体の評価を話し合っていた。
 勝者は饒舌になり、敗者はその話を聞いて勝利の糸口を探す‥‥SHIZUKUも彼らと話をしようとテーブルを立つ。
 だがその時、次のエントリーを促すアナウンスが、店内に響き渡った。
「次のエントリー‥‥バトルフィールドは『CITY』。建物が林立する大都市が戦場です。参加希望の方は、筐体前に集合してください」
「え‥‥もうゲーム開始?」
 SHIZUKUは、ゲームエントリーしようか、ギャラリーしながら情報収集しようか少し迷ったが、すぐに意を決してゲーム筐体の方へと向かう。
「やっぱり、実力付けるには実戦だよね〜」
 下手の横好き‥‥だけど、SHIZUKUは百回続いた敗北くらいでは懲りないのであった。

●参戦
「‥‥と、参戦するの?」
 SHIZUKUが筐体の方へと歩き出したのを見て、ギャラリーをしていた佐藤・絵里子は声をかけた。
「じゃ、先生も参加しなくちゃね〜」
「あーっ、ノート書いてくれた人? やった、先生ありがとう!」
 小さく歓声を上げ、SHIZUKUは佐藤の手を取ってぶんぶんと振った。
 そんなSHIZUKUの前、佐藤は何となく威厳のある様子を装いながら、胸を大きく張って見せて答える。
「ま、ゲームは得意なんだから、安心して任せて。授業料は、サインで手打ったげるよん☆」
「OKOK、でも、アタシがここに来てる事は、あんまり大っぴらに言わないでね」
 安請け合いしながら、意味があるのかないのかわからない釘を刺すSHIZUKU。
 と‥‥商談成立しつつある二人に、更に声がかかった。
「あの‥‥良いですか? 私も御一緒させて貰って」
 声をかけたのは隠岐・智恵美。
「え‥‥おばさんも、ゲームするの?」
 ゲームは若者のする事‥‥という概念からすると、隠岐の様な中年のご婦人がゲームをするというのは奇異に見え、思わずSHIZUKUが問い返す。
 しかし、そんな反応には慣れっこの隠岐は、謙虚に微笑みながら静かに頷いてみせる。
「しますよ。でも、おばさんはまだまだだから、貴方と一緒に強くなりたいの。ね? どうかしら?」
 と‥‥本当は、彼女の地元では、かなり名を馳せたゲーマーだったことを、おくびにも出さずに言う。まあ‥‥別に他意があるわけじゃなく、謙虚さから来た言葉なのではあるが。
 SHIZUKUは隠岐の申し出を受け、即答に近い速さで佐藤に聞いた。
「あたしは良いけど?」
「問題なし。それより、早く行かないとエントリーできなくなるわよ」
 言いながら佐藤はゲーム筐体の方を示した。
 エントリー待ち時間は無限にあるわけじゃない。エントリーするなら、早くした方が良い。
「じゃ、一緒にゲームしましょうね、え‥‥と」
 名前を知らない事に思い当たり、何と呼ぼうか迷うSHIZUKU。そんなSHIZUKUに、隠岐は微笑みながら言った。
「機体名、ブラックバード。コールはそれで行きましょう」

 柚品は、エントリーをチームエントリーとした。が‥‥チームメンバーが入って来ることなく、戦闘開始時間が来る。
「あれ‥‥チームエントリーにならない?」
 首を傾げる柚品‥‥だが、当たり前の話だ。
 話もせずに他チームに乱入して仲間になるのは、可能ではあるが騒動の元になり易いため、あまり好きこのんでやる人はいない。
 チームを組む時は、ゲーム開始前に話をして、チームエントリーする事を決めておくのが基本。
 でなければ、組みたいと思う相手に話しかけてチーム結成を申し込むとか、ノートやら何やらでチームメイト募集するとか、そういった事をやらないと、チームメイトを得るのは無理だ。
 柚品は、チームエントリーする事は決めていたが、誰と組むとか、どうやってチームを結成するかとか、そう言った事は全く考えていなかった訳なのだから‥‥
 と、カウントダウンが終わり、ゲーム開始の時が来る。

●ゲーム開始
『エントリーが終了しました』
 カウントダウンの終了を待って、筐体の中にアナウンスが響く。
 店内でのエントリーは15名でのバトル。
 筐体の中の者達は、各々が二本のコントロールスティックを握りしめる。
『SAIPSをバトルフィールドに転送します』
 更なるアナウンス‥‥そして、表示される各々のエントリー機体。
 エントリー機体がドットに解けて消えていく映像が、白い光の中に溶けていく。
 そして、白い光が薄れ、そこに高層ビルの建ち並ぶ都市を映しだしたその時、全てのSAIPSは戦場に転送されていた。

●北西の戦場
「ま‥‥一応、仕事の名目でもあることですけどね‥‥」
 呟きながら宮小路・皇騎は、自機である軽装機甲剣士ハヤテを歩かせた。
 宮小路がこのゲームをやるのは、ゲーム開発に実家が参入するに当たっての情報収集‥‥なのだが、このゲームに対しては不必要なほどにやり込んでいるふしが若干ある。
 まあ、だからといって責め立てる者も居ないわけだし‥‥それより何より、今はゲーム中。細かい事は気にしないで、ゲームに集中する。
 敵は‥‥レーダーを見るに、近い場所に1、南に1、東に3、南東に2。
 宮小路は、最初の敵を落とすために、とにかくそちらの方へと向かった。
 と‥‥
「早速、来ましたか」
 4発のミサイルが、軽装機甲剣士ハヤテに向かって飛来するのを確認。宮小路は、すかさず連射武器で弾幕を張りつつ、回避行動に移った。
 その動きをレーダーで確認し、綾和泉・匡乃は笑みまじりに呟いた。
「なかなか、動きますねぇ‥‥じゃあ、これはどうでしょう?」
 綾和泉の黒豹型SAIPS、Leopardはすかさず、10発の砲弾を打ち上げる。それは軽く放物線を描きながら飛び、地表に落ちるやそこで炎の塊になった。
「削られた‥‥」
 宮小路が呻く。
 建物の密集する町の中では、ダッシュや低高度ジャンプで逃れることは難しい。
 宮小路は、ジャンプをした直後の空中ダッシュで攻撃を回避しようとしたのが、僅かにその攻撃範囲に巻き込まれていた。
 威力は低いはずだが、装甲の薄い軽装機甲剣士ハヤテは、無視できない大きさの傷を負っていた。
「接近戦に持ち込まないと‥‥」
 僅かに焦りを感じながら、自律攻撃兵器ゴーレム・ビットを二つ飛ばしてLeopard二攻撃を仕掛ける。
 しかし綾和泉は、その二つが頭上に見えるや連射武器で弾丸をばらまきながら逃げの一手を打った。軽装機甲剣士ハヤテの居ない方向‥‥南へと。
 銃弾はゴーレム・ビットの一機を撃墜。残るゴーレム・ビットの攻撃を、その速力でかわしながらLeopardは、そのまま高速道路へと駆け込む。そしてそこで足を止め、ハウリングミサイルを撃ち放った。
 ハウリングミサイルの一発が、ゴーレム・ビットに触れて爆発する。残る三発は、そのまま軽装機甲剣士ハヤテに向かった。
 更についでとばかりに、Leopardは軽装機甲剣士ハヤテの逃げそうな方向に見当をつけて、適当に砲弾をばらまいておく。
「‥‥‥‥!」
 宮小路は、軽装機甲剣士ハヤテをその場にとどまらせ、連射武器での迎撃に専念した。
 弾幕が、ミサイルを絡め取って爆炎に変える。
 一つ‥‥二つ。直後に、砲弾の群が軽装機甲剣士ハヤテから僅かに離れた場所に着弾。その爆風に触れて、軽装機甲剣士ハヤテはまたダメージを重ねる。しかし、爆発のまっただ中にいるよりは遙かにましだ。
 そして、ミサイル最後の一発が軽装機甲剣士ハヤテに迫った。連射武器は一時的な弾切れ状態‥‥宮小路は仕方無しに盾を構える。
 ミサイルは盾に突き刺さり、そこで爆発する。
 軽装機甲剣士ハヤテは、今までにないダメージを受け、耐久力が大きく減少した。
「‥‥次の攻撃は!?」
 宮小路は、当然のようにあるだろう畳みかけての攻撃に意識を集中させる。
 しかし、攻撃は無い‥‥
 綾和泉は、Leopardを高速道路の上へと走らせ、そこで軽装機甲剣士ハヤテを待っていた。
「勝つ事は目的じゃないんでね。さ、付いてきて下さいよ。でないと、面白くないですから」
 このまま殺しても綾和泉の楽しみは果たせない。だから、軽装機甲剣士ハヤテを誘導して誰かにぶつけ、更なる混乱を戦場に演出する。
 Leopardを追って高速道路へやってくる軽装機甲剣士ハヤテを見つつ、綾和泉は次の一手の構想を練っていた。

●戦場西方
 ただ一機、そこに送り込まれたファルナ・新宮とその搭乗機、甲虫に似た外装のSAIPS、超重甲機ヴィルベルヴィント。
 彼女は、レーダーを確認して近くに敵がいない事を知ると、ゆっくりと高速道路の登り口を目指して移動を始めた。

●戦場の西南
 佐藤の某アニメの登場機を模した炎の様に赤い機体‥‥赤炎竜をリーダーとして、SHIZUKUの猫耳幼女ブリュンヒルデと、隠岐のステルス爆撃機型機体のブラックバードは、そこに転送させられていた。
 チーム名はグリンブルスティ隊。アニメの中で、赤炎竜が所属していた部隊の名だ。
 付近に敵は‥‥いる。だが、
「あれ‥‥敵?」
 SHIZUKUがそれを見て首をかしげる。
 その機体‥‥ドラゴン型機体のファーヴニルなのだが、何故かやけにふらふらと動いている。
「初心者みたいだけど‥‥ごめんなさいね」
 言うなり隠岐は、ブラックバード搭載のミサイルポッドからミサイルを撃ち放った。
 放ったミサイルは全てがそのファーヴニルに向かい‥‥ファーヴニルは迎撃や回避をする素振りすら見せず、ミサイルを受け止めた。
 慌てたのか、ファーヴニルは明後日の方向に走りながら、ファランクスで弾をばらまく。しかし、それは何の意味もない方向。
「もらい!」
 死角をつくように、跳躍してから襲いかかった赤炎竜が、手に持ったエクセラブレードで斬りつける。
「良いよ、SHIZUKUちゃん! 撃って!」
「了解っ!」
 直後にSHIZUKUのブリュンヒルデが、くるくると身を回しながらチャージしていた御盆を投げつけた。
 その両方を受けたファーヴニルが、その機体を大きく揺るがす。
 そこに隠岐のブラックバードが、背後にまわってチャージライフルを撃ちはなった。
 瞬殺と言ってもいい位の勢いで攻撃を喰らい、ファーヴニルはあっさりと爆炎に包まれる。
『やったぁ! 初めて、最初に死ななかった!』
 SHIZUKUの情けない内容の歓声が通信機から響く。
「まだまだ。今日は最後まで生き残って、勝ち組になるわよ」
 佐藤はそう返すと、機体を戦場中心のタワーに向ける。
「で‥‥てっぺんを目指さないとね!」

●中央
 超高層ビル‥‥通称『塔』の在る戦場。
 鋼龍のバックパック両側面から、二発ずつ計四発のミサイルが撃ち出された。
 ビルの壁面に沿うように進路を曲げて飛行し、ビルの向こう側のウィンダムを挟み込むように襲う。
「ミサイルを曲げる!?」
 ウィンダムは、挟み込むように飛来するミサイルに向け、当たれば幸いとショットボムを撃つ。最初、一発のミサイルだったそれは空中で破裂し、五発ずつの小型爆弾に変わる。
 しかし、空中でそれは爆発しない。爆弾そのものが何かに当たらなければ。
 それでも、左から来ていたミサイルには、偶然に爆弾の一つが触れた。直後に、爆弾は爆発‥‥連鎖的に全てが爆発し、二発のミサイルを巻き込んで破壊した。
 だが、右のミサイルには爆弾は当たらず、ミサイルはまっすぐにウィンダムを襲う。
「落ちろ‥‥」
 御影は、チューンガンでの迎撃に切り替え、左から来るミサイルに対して弾幕を張る。
 ミサイルは、弾幕に絡め取られて爆発した‥‥が、
「! まだ来るのか」
 鋼龍からの攻撃はまだ続いていた。
 次に撃たれたのは、計八発のミサイル。やはり、四発ずつ左右に分かれて飛んでくる。
 そして、ウィンダムの手の中でチューンガンが弾丸を吐き出すのを止めた。
「‥‥‥‥」
 御影はウィンダムを後方に跳ばし、ドーラを撃ち放った。ミサイル迎撃に向いているなどお世辞にも言えないが、もう他に武器はない。それでも、一発の狙撃に成功。だが、七発が残っては焼け石に水だ。
 防御手段のいっさいを失ったウィンダムに、七発のミサイルが次々に襲いかかった。
「押していけるかな」
 月見里は、2連ハープーンミサイル二門の再装填を待って、もう一度撃った。このペースで戦っている限り、負けはないだろう。だが‥‥ウィンダムは思いも寄らぬ動きを見せた。
 ミサイル七発分のダメージに耐えたウィンダムは、その場で無造作にジャンプする。
 その一跳びで塔の上に登ったウィンダムは、地上から角度を垂直に変えて追尾してくるミサイルに、バルカンの弾幕を張る。左右に分かれた状態ではなく、上に登る一団となったミサイルは、銃弾を浴びて次々に爆発した。
「上!?」
 月見里は、敵の突然の機動に驚きの声を漏らす。
 と‥‥そこに、ウィンダムはショットボムを撃った。
 撃ち下ろされた二発のミサイルが十発の爆弾に別れ、鋼龍の周囲に降り注ぐ。爆風に翻弄されて動きを止める鋼龍‥‥と、そこに撃ち込まれたドーラの一撃が、鋼龍の耐久力を一気に削り取った。
「パワーアップしてる。ブースター付き?」
 月見里は、ウィンダムのパワーアップに驚きつつも、このまま上から撃たれる事を避ける為に盾を構えて移動を開始した。当面は‥‥直情からの攻撃への遮蔽物となる高速道路の下へ。

●戦場北方
 ビル街。
「ちょっと拙かったな」
 倉塚・将之は、自機「十六夜」の装備に少し後悔を覚えた。
 幾ら弾道が放物線を描くとはいえ、この地形では長距離砲撃は使いづらい。弾が建ち並ぶビルに当たってしまう。その為、ショルダーカノンはほぼ使えない。上空からの撃ち下ろしなら別だが‥‥
「ま‥‥やる事は一緒か」
 倉塚は、左腕籠手内蔵バルカンとビームライフルをメインにする様に頭を切り換えた。何なら、有視界距離でのショルダーカノン攻撃を有りにしても良い。何にしても、射撃兵器で牽制の後に、接近戦に持ち込むというプロセスは変わらない。
 敵は、近くに二機。距離を取ろうとしている一機と、近づいてくるもう一機。
 僅かに迷った後、倉塚は接近してくる機体の方へと向かった。
 ビルの合間の道を抜け、そして敵の姿を確認する。深紅の鎧をまとった機体。柚品のスルトの姿がそこにあった。
「これで!」
 十六夜のビームライフルが撃たれる。それは、スルトの手の盾に弾かれたが、僅かに傷は刻んでいた。
「超重装甲じゃない‥‥なら、削れるな」
 倉塚の呟く直後、スルトがその手に角笛を持ち、反撃に出る。
「今日は生き残るつもりで来てるんですよ」
 スルトの角笛から砲弾が放たれた。それは、十六夜から僅かに離れた場所で炸裂する。距離があったので、十六夜はダメージを受けていない。
 倉塚は、その攻撃が近接攻撃に持ち込む為の前振りと判断した。
「斬り合いか‥‥望む所だ」
 倉塚は、十六夜に大振りの刀を抜かせて待ち受ける。が‥‥遅い。
 爆風の残滓が掠れ消え、スルトの姿が見えてから、倉塚は自分の判断の誤りを悟った。
 スルトは角笛を構えている。そして‥‥撃ち出された暴風のようなエネルギー弾が、一直線に十六夜を貫いた。
「‥‥しまった」
 悔恨の声を上げる倉塚の前で、十六夜の耐久力が急激な減少を見せる。
 そこへ、スルトは炎に燃える剣を抜いて斬りかかってきた。
 間合いを走って詰め、格闘戦を仕掛けるスルト。だが、その足はそれほど速くもなく、倉塚には十分に対応する時間があった。
 間合いを詰めた後に、素早い振りで十六夜を捉えようとするスルト。
 刀をたててその攻撃を受け止める十六夜。更にもう一撃、スルトは剣を叩きつけるが、それも弾かれる。
 ここで反撃を‥‥倉塚は思い、素早く斬りにかかる。
 一太刀がスルトに刻み込まれた。その威力に、重装甲のスルトとはいえども溜まらず、僅かに後ろに下がる。
 ここを捉えて一気に削りを‥‥倉塚は、居合い斬りの動作に入った。
「‥‥まだ」
 柚品は、十六夜の動作を必殺の一撃と見切り、とっさに後方に跳び下がりながら角笛を構える。
 それを追って太刀を振るう十六夜。その太刀が届く前に、スルトが撃ち出した単発射撃が、十六夜の突進を止めた。
「もう一発‥‥」
 柚品は、スルトに続けて射撃を行わせる。
「二発もくらわねぇって」
 倉塚は十六夜に、その巨大な籠手を構えさせた。
 スルトの射撃は、籠手に弾かれて消える。
「ついでに‥‥」
 呟いて倉科は、十六夜の籠手に内蔵されているバルカン砲を放った。その銃弾の奔流は、スルトの機体表面で弾けて、耐久力を削り込む。
 柚品は瞬時に思考した。盾で防御は可能‥‥だが、ダメージはそれほど大きくもない。
 防御に固まった所を攻撃される危険を冒すより、今は反撃を‥‥
 スルトが、攻撃を浴びながら前へダッシュした。その手に炎の剣、レヴァーティンを高く掲げて。
「! こいつ、斬る気か?」
 倉塚が、射撃を止めて防御に切り替えようとする。
 だが、一瞬早くスルトは切り込んできた。防御に上げた刀が間に合わない‥‥
 直後に、十六夜は炎に包まれる。画面には『GAME OVER』の文字が浮かんだ。
「あー‥‥ここまでか」
 倉塚は肩を落としたが、すぐにその姿勢を改める。
「まあ、良いやり合いだったしな」
 戦いは悪くなかった。後はギャラリーとして、自分を倒した相手の活躍でも見ようか‥‥
 と、そう考えたその直後、画面の中でスルトが突然炎に包まれた。
「ミサイル!? どこから‥‥」
 柚品は、弱り切ったスルトにとどめを刺したミサイルの出所を探してレーダーを見た。
 高速道路の上に一機‥‥多分、これがやったのだろう。
 果たしてそれはその通りで、高速道路の上にはトランクを構えた、ロングの黒髪をポニテにしているメイドの女の子の姿をした機体‥‥田中・裕介のSAIPS“放浪のお手伝い「樟葉」”。
 トランクミサイルの四発のミサイルを、スルトと十六夜の二機がやり合っている所に撃ち込んだ結果‥‥十六夜は間に合わなかったが、スルトには二発が命中した。
「‥‥バックを守ってくれる仲間がいたら良かったんですけどね」
 柚品は、チームエントリーが出来なかった事を少し悔やんだが、まあそれは仕方のない事‥‥と諦める。
 柚品は筐体を立って、同じく外に出てきた倉塚に、気まずげな笑みを浮かべて見せた。
 ま‥‥こんな終わりもある。そんな共通見解に立って二人は、連れだってギャラリー用モニターの方へと歩いていった。

●戦場東南方
 民家建ち並ぶ市街地。
 ここには、今回のゲーム最多の五機が集まっていた。
 内、四機がチームエントリー。二機ずつの二チーム。
 チーム・エルファーダ。梅田・メイカのエルファーダカスタム【重装支援型】と、夜城・将清の呪術師シウン。
 チーム・シルバーブリッツ。銀野・翼のセイスモ・フォートレスと、銀野・らせんのドリル・エンジェル。
 最後に、シングルエントリーの功刀・渉。機体名は、刺草の棘。
 戦闘は、チーム・エルファーダとチーム・シルバーブリッツの熾烈な砲撃戦から幕を開けた。
「お姉ちゃん、目標は敵のリーダーだから!」
『わかってるわよ!』
 指示に返る姉の銀野・らせんの声。銀野・翼は、敵のリーダー機が居る方向へと飛んだ姉を支援する為、胴体脇に搭載された超巨大重力砲を撃ち放った。
 飛びゆく砲弾が町の上を通過し、梅田・メイカのエルファーダカスタム【重装支援型】が隠れる民家に当たり、爆発した。
 直撃ではなかったが、その爆風がエルファーダカスタムに傷を負わせる。
「‥‥盾にするには不適当ですね」
 民家は背が低く、攻撃の盾とするのは難しい。
 梅田は、民家の影から出るや報復とばかりにグレネードランチャー・ブリューナグを構える。
「‥‥ブリューナグ、発射」
 方向から飛び出し、彼方へと飛ぶ砲弾。その後に続けて、エルファーダカスタムは4連高速巡行ミサイル・パピヨンネージュと自律式ディバイドポッド・ノワール&ルージュを撃つ。
 飛んでいく5発の長距離ミサイル。
 その行く末を見守る事もなく、エルファーダカスタムは北へと走り始めた。
「逃げる‥‥行かせないよ!」
 レーダーの中、北へと動き出したエルファーダカスタムを見た銀野・翼は、中距離ホーミングミサイルを撃ち出す。
 が‥‥その直後に、セイスモ・フォートレスへ砲弾が届いた。
 直撃したその一撃に巨体が揺らぐ‥‥が、その機体の大きさ故にダメージ自体はたいした事がない。
「次が来る」
 銀野・翼は、機体各所の小型砲塔から機銃弾を撃ち出し、弾幕を張った。
 弾幕に絡め取られて爆発していくミサイル。と‥‥最後の一発のみが弾幕を抜け、セイスモ・フォートレスに直撃した。
 しかし、その直撃も損傷としてはさほど大きくはない。
「まだ、戦えるぞ!」
 すかさず銀野・翼は、再度、超巨大重力砲による砲撃を行った。
 一方でエルファーダカスタムの梅田は、先ほど銀野が撃ったミサイルに追われていた。
 効率的にミサイルを落とせる連射武器はない。なら、使える物を使う。
 梅田は足を止めると、グレネードランチャー・ブリューナグでミサイル群の中程にいるミサイルを狙撃する。直後、ミサイルに直撃して炸裂した砲弾の爆風に巻き込まれて、残るミサイルの全てが消し飛んだ。
「‥‥正直言って、ミサイルは辛いですね」
『大丈夫なのか?』
 呟く所に、遼機の夜城・将清からの通信が入る。
 梅田は、現在の機体状況を軽く確かめた後に答えを返した。
「機動力はこちらが上ですから」
『なら、良い』
「そちらは?」
 問い返すと同時に、梅田は民家の影へと駆け込む。直後に、つい先ほどまでいた場所で砲弾が炸裂した。
 エルファーダカスタムに損傷はない‥‥
『こっちはな‥‥』
 通信機から、夜城の声が聞こえてきていた。
「こっちはな、だいぶ押させてもらっている」
 呪術師シウンの撃ち出した狼型のビット、式神の舞【天狼】が、空で銀野・らせんのドリル・エンジェルを追い回していた。
 射撃兵器を持たないドリル・エンジェルでは、自律攻撃兵器を撃墜する事は難しい。ましてや、銀野・らせんのゲーム経験はそれほど多くない。
 逃げ回るのが精一杯で、反撃など出来そうにもなかった。
「翼! 何か、追い回されてる!」
 銀野・らせんが、通信機に向けて叫ぶ。ややあって、通信機からは翼の困ったような声が聞こえた。
『え‥‥と、撃墜出来る武器がないから、こっちに逃げてきて。出来る?』
「やってみる!」
 言って、銀野・らせんはセイスモ・フォートレスの方へと飛んだ。
 その背を追い、呪術師シウンも走る。夜城は、梅田に更なる通信を送った。
「行けるぞ。俺にかまわず、ぶっぱなしてやれ」

「射撃戦用機ばかりか‥‥」
 激しい砲撃戦を尻目に、功刀・渉が苦渋の面持ちで呟く。
 何の巡り合わせか、同一フィールドに転送された機体のほぼ全てが射撃戦用‥‥あるいは、空中戦型だった。そのどちらも、功刀の刺草の棘が手を出すのは難しい相手だ。
 となれば、この戦場を抜けてもう少し戦いやすい場所へと‥‥今、二つのチームがやり合っている状況ならば、その間隙を縫って逃げる事も出来るはずだ。
「‥‥後で借りは返すさ」

●貫く閃光
「目標正面‥‥チャージ完了」
 ファルナの呟き。
 高速道路上に立つヴィルベルヴィントの腹部に荷電粒子の灯がともる。
 直後、放たれた荷電粒子の束が、北へ向かって一筋の線を描く。
 その先には、綾和泉のLeopardがいた。
「な‥‥」
 高速道路に上ってきた軽装甲剣士ハヤテを南に誘導しようとしていた綾和泉は、南からのいきなりの攻撃に自身の機体を貫かれてから気付く。
 耐久力の6割以上を一気に削られ、綾和泉は慌てて南の敵を見た。
 しかし、南には高速道路が続くだけ‥‥敵の姿はまだ見えない。
「チャージ武器の長距離射撃‥‥油断した」
 目の前の敵に集中しすぎた‥‥悔やむ綾和泉。だが、この傷はもはやどうする事も出来ない。
 そして、綾和泉の動揺は、宮小路にとって反撃のチャンスだと言えた。
「今なら‥‥」
 宮小路は軽装甲剣士ハヤテを走らせる。
 そして、Leopardをその間合いに捉えるや、軽装甲剣士ハヤテは居合い抜きにてビーム剣を振り抜き、Leopardに一太刀を浴びせる。
「つ‥‥」
 綾和泉は、自分の計算が狂った事を悟り、唇を噛んだ。
 しかし、それでも最後まで‥‥と、砲撃を行う。照準を最大まで自らに寄せ、極至近の位置に着弾があるようにして。
 撃ち放たれた砲弾は、Leopardの真上に飛んだ。それは全て上空でその進路を真下へと変えて、Leopardめがけて降り注ぐ。
「そんな事をするんですか!?」
 宮小路は、こんな正々堂々としていない攻撃を仕掛ける綾和泉に内心で軽い怒りを感じながら、この窮地を脱しようと盾を構えたまま後ろへと跳び、高速道路の下へと逃れようとする。
 そして、落ちてきた砲弾が高速道路上で次々に炸裂した。
 盾を抜けた爆炎が、軽装甲剣士ハヤテに傷を負わせる。
 同時に、爆炎の中で綾和泉のLeopardは破壊され、頽れていった。
 画面に輝く『GAME OVER』の文字に、綾和泉は苦笑しながら呟く。
「上手くいかないものですが‥‥あの一撃は、このあいだのカブトムシですか?」
 モニターには、高速道路の上をノロノロと動く、ファルナの機体が映った。
 外見は変わっているが、何日か前に戦った機体の面影がある。
「縁がありますね。もっとも、今回は一方的にしてやられましたけど」
 言いながら綾和泉は席を立つ。
 後は、ギャラリーとして楽しませてもらうつもりだった。

●鉄壁の要塞
「とにかく、次は‥‥」
 宮小路は、高速道路の下からLeopardの死を確認した後、次の敵を探した。
 次は‥‥南から来る機体か? これの一撃でLeopardが敗北の道を辿った事が明らかである以上、あまり甘く見る事も出来ないだろう。
 宮小路は、敵機への牽制にゴーレム・ビットを放った。その後、敵の長距離攻撃を避けて民家の影を縫うようにしながら接近を始める。
 レーダー上、相手が回避運動一つする様子もない事から、宮小路はゴーレム・ビットの攻撃が効かない相手‥‥超重装甲の機体である事を知った。それはつまり、軽装甲剣士ハヤテの武装の半分が効果がないのだという事も‥‥
 飛来する自律攻撃兵器、ゴーレム・ビットの攻撃をものともせずにファルナのヴィルベルヴィントは高速道路上を進む。
 次に飛来したミサイルは、盾で受け止める。超重装甲の効果とあわさって、ミサイルは何のダメージもヴィルベルヴィントに及ぼさない。
「相手は‥‥こっちですか」
 ファルナは、レーダーを確認した後に、高速道路の縁へとその機体を進めた。
 そして、収束型大口径荷電粒子砲のチャージを始める。
 ややあって撃ち放たれたそれは、軽装甲剣士ハヤテの隠れる通りを薙いでいった。
「‥‥不利ですね」
 宮小路は、自分の圧倒的不利を悟る。
 民家は、SAIPSを隠しきる程に大きくはない。
 しかも、相手は高速道路からの撃ち下ろし。隠れるのはいよいよ難しい。
 更に、対抗出来る武器がミサイルだけでは、敵を倒すことなど出来よう筈もない。
「実戦なら逃げるんでしょうけどね」
 ここまで不利なら、逃げる事を選択しても誰も文句は言わないだろう。
 しかし、これはあくまでもゲーム。逃げた所で、得られるのはチキンの称号くらいなものだ。
「一か八か‥‥接近戦で行きましょうか」
 宮小路はそう決めて、高速道路の昇り口を目指して走った。
 同時に、ヴィルベルヴィントの二射目が、飛び出したばかりの場所を貫く。一瞬でも遅ければ、やられていた事だろう。
 自らの幸運を確信しながら、宮小路は軽装甲剣士ハヤテを走らせる。
 ファルナは、そんな敵機の動きを見ながら、チャージの終わった収束型大口径荷電粒子砲の照準を、敵機の走る僅か先の所に置く。
 予測撃ち‥‥敵が移動する先に攻撃を置いて、敵がそこに突っ込むように図るテクニックだ。
 撃てば、敵を屠る事は確実‥‥となった所で、ファルナはあえて攻撃を外して撃った。
 荷電粒子砲は、軽装甲剣士ハヤテの走り過ぎた後の路面を打つ。
 そしてファルナは、高速道路の昇り口へとヴィルベルヴィントを歩かせた。あくまでも、自機の性能チェックの為に。
 宮小路の軽装甲剣士ハヤテが、高速道路の上にのぼる。同時に、宮小路はミサイルを撃った。牽制はしなければならない。
 ヴィルベルヴィントは、敢えてその攻撃を機体両脇に装備されたバスターキャノンで迎撃する。
 空中で爆炎に変わるミサイル。その陰に隠れて肉薄してくる軽装甲剣士ハヤテ。
 そして宮小路は、軽装甲剣士ハヤテに必殺の居合い、ダッシュ・ブレードのモーションに入らせた。
 実際の居合い切りのモーションを組み込んだ太刀筋‥‥その前でヴィルベルヴィントは両肩の盾を前に展開する。
 一瞬の後、軽装甲剣士ハヤテのビーム剣が振り抜かれる‥‥が、それは盾で威力を殺がれた上に、装甲で完全に受け止められていた。
「力不足ですよ」
 ファルナの囁きにやや遅れ、ヴィルベルヴィントの巨大な角が大きく顎を開き、攻撃を終えて無防備な軽装甲剣士ハヤテをくわえ込んだ。
 直後、軽装甲剣士ハヤテは、その角の間で粉砕される。
 『GAME OVER』の文字が画面に輝き、宮小路は肩を落とした。
「‥‥負けですか‥‥」
 どうも、相手が悪かった。
 Leopard相手で削られて‥‥いや、削られて無くても、ヴィルベルヴィントには勝てなかったか?
 何にしても、今のままの機体では攻撃力不足は否めない。
「研究のし直しですね」
 ゲーム開発の研究なのか、それともゲームで勝つ為の研究なのか、わからない台詞を言いながら宮小路は筐体を出る。
 ただ、次に来る時はもっと強い機体を作ってこようと考えてはいた‥‥

●強襲、グリンブルスティ隊
 戦闘は膠着していた。
 ミサイルを撃ち上げる鋼龍に対し、撃ち下ろしの位置に立つウィンダムがチューンガンでミサイルを迎撃。ショットボムで炙りだして、ドーラで撃ち抜こうとする。
 とは言え、耐久力がもう無いに等しいウィンダムは、一つの間違いも許されない状態であり、決して有利ではない。
 鋼龍がジャンプ能力を持っていないので、間合いを詰められることがないのが幸いしているだけの話だ。
 互いに決め手を欠いたままの射撃戦‥‥しかし、それが永久に続くはずもなかった。
「ねこたまー!」
 通信機から響く声。直後に、塔の上に卵形子爆弾の群が着弾する。
「!? な‥‥」
 塔の上を焼き尽くす爆炎の群。それから逃れて、ウィンダムは塔から飛び降りる。
 コントロールの効かない自由落下。そこを狙っていたかのように、チャージライフルが空中に線を描いた。
 ウィンダムはそれに貫かれ、空中で爆炎と変わる。
 画面に『GAME OVER』の文字が光る中、崩壊していくウィンダムを見ながら御影は呻いた。
「しまった‥‥他の機体の介入か」
 西南方向から来た機体群‥‥その中のブリュンヒルデがウィンダムを落とした相手だった。
 ギャラリーモードに移ったモニターが、その姿を映し出す。
「‥‥爆撃機?」
 チャージライフルの攻撃は、爆撃機に似た機体ブラックバードによるもの。最初のねこたまは、僚機のブリュンヒルデだ。
「爆撃機の人、強かったな‥‥普通、当てないぞあんな攻撃」
 御影はあっさりそう認めると席を立った。
 次のエントリーを考えながら‥‥

「西南からの3機‥‥拙いかも」
 破壊されたウィンダムと、敵の接近を告げるレーダーの光点を見、月見里は不利を悟って苦笑した。
 敵はチームエントリーだ。しかも、飛行型機が多い。地形の障害効果は期待できない‥‥
「‥‥やるだけやってみましょうか」
 月見里は、高速道路の上空への遮蔽効果に期待しながら、2連ハープーンを上空のブラックバードに撃って見た。
「ブラックバードさん、ミサイル‥‥」
『大丈夫ですよ。振り切れますから。それより、攻撃をお願いしますね』
 SHIZUKUがした通信に返る隠岐からの言葉。
 言う通りに隠岐は、危なげなくミサイルから逃げ、逃げ切れないミサイルをバルカンで落としている。
 そこに、佐藤からの通信が入った。
『SHIZUKUちゃん、援護射撃よ。敵の居る所にねこたま落として』
「え? うん‥‥」
 SHIZUKUは言われるままに、ブリュンヒルデにねこたまを撃たせる。
 ブリュンヒルデは、お腹のポケットに手を突っ込む仕草の後に、卵形の爆弾を盛大に投げた。
「つ‥‥」
 月見里は、突然に自機が爆炎に巻き込まれた事に驚き、慌てて位置を変える。
 と、同時に敵に対して4連ハープーンを放っていた。ミサイルは、真っ直ぐに空中のブリュンヒルデを襲う。
「え? え? え? ミサイルが来た〜!」
『慌てないで逃げる! 誘導弾の旋回性能には限界があるから、懐に潜り込むみたいにすればかわせるわ!』
 パニックに陥ったSHIZUKUに、佐藤からの通信が届く‥‥のだが、人間、そう簡単に言われたとおり出来るはずもない。
「え‥‥えと‥‥‥‥」
『まって、援護する! こっちに来て!』
 通信の後、赤炎竜が跳び上がり、フレイムシューターを放ってミサイルを一つ落とした。
 そして、そのままブリュンヒルデの側を通過して、ブリュンヒルデに向かっていたミサイルの何発かを自分に引き受ける。
 着地と同時にビルの隙間に走り込む赤炎竜。ミサイルは、ビルに突っ込んで次々に爆発した。
 と‥‥
『あああああっ』
 悲鳴。上空を見れば、残りのミサイルを全弾受け止めて、金色仔猫になるブリュンヒルデの姿。
「‥‥そのまま、塔の上に上って。今なら飛べるでしょ?」
『うん‥‥』
 ブリュンヒルデのブースト発動後は、高高度飛行が可能になる。空に上っていくブリュンヒルデを見‥‥佐藤は、自らも赤炎竜を跳ばした。
 一跳躍で塔の上に辿り着くと、上ってきたブリュンヒルデの前に立って盾になりながら、SHIZUKUに指示を出す。
「じゃ、次は反撃よ。ハートエイクとねこたま。派手にやっちゃって良いから」
『うい』
 SHIZUKUはすぐにそれに取りかかる。
 塔の上からの、ねこたまによる爆撃。高速道路下に隠れてそれをやり過ごした鋼龍に次に襲いかかったのは、六機の自律攻撃兵器による攻撃だった。
 小刻みに位置を変えながら、細いビームで攻撃をしてくるピンクのハート。重装甲とは言え、削られて耐久力は失われていく。
「ファランクスがついてないのが痛い〜」
 半ば泣き言を言いながら、とりあえずミサイルで自律攻撃兵器を落としていく。
 とは言え、効率は悪いなんてものじゃない。
 一回の射撃で一から三機落ちれば良い方だ。
「マウントポジション取られると辛い機体だったのね」
 そんな事を強く思い知りながら、月見里はハエを追うかのように自律攻撃兵器を追うことに追われる。高速道路の下から出れば、ねこたまの爆撃が待っているだけ‥‥逃げ場もなければ打開策もない。
 そして、それを終わらせる者が現れた。
 高速道路の上から、まるで落ちてきたかの様に姿を現したブラックバード。そのチャージライフルには既に火が灯っている。
「ごめんなさいね」
 隠岐の声がした。そして次の瞬間、鋼龍はチャージライフルの一撃に貫かれる。
 爆発を起こす鋼龍の前、『GAME OVER』の文字が煌めいた。
「うーっ、やっぱりバックパックついて空飛ばなきゃダメかぁ〜。Gはビルに上ったり、空飛んだまま攻撃なんてしてこないもんね」
 月見里は、肩を落としながらそんな台詞を吐く。
 完全な陸戦型相手なら、かなり良い所までいくという確信があっただけに、飛行型に絡まれたのは痛恨の極みであった。
 だあが、そんな事を言っていても仕方がない。
 月見里は筐体を出て、ギャラリーに向かう。
 次の機体を考えながら。

●樟葉変幻
「一機撃破。戦況は‥‥」
 田中はレーダーに目をやった。
 敵は南と‥‥そして西からやってくる一機。
「じゃ、まずは西から」
 そう言って、田中が西へ向かおうとしたその時だった。
 西から一直線に飛んできたエネルギー弾が樟葉を貫く‥‥
「当たった?」
 収束型大口径荷電粒子砲による長距離射撃を再び成功させたファルナは、レーダー上の光点の揺らぎからその事を確信した。
 そしてヴィルベルヴィントは、ゆっくりと東へ足を進める。
 一方、攻撃を受けた樟葉の方には変化が起きていた。
 ダメージを受けたと同時に破れ散るメイド服‥‥その時、トランクから光が溢れた。
 光の中で、メイド服が一度完全に溶けて消える。だが次の瞬間、光は新しいメイド服と背の翼、背丈ほどもあるランチャーライフル、そして可愛らしい猫耳猫尻尾に凝集した。
「な‥‥なんだ? 猫?」
 田中は、最後の猫耳猫尻尾だけは知らなかったので驚く。
 機体を作った後輩の悪戯なのだが、こうして驚かせたことで後輩の努力は報われたわけだ。努力と等価だったかは置いておくとして‥‥
「まあ良い‥‥行くぞ」
 田中は、樟葉を歩かせる。
 パワーアップした樟葉は、風のような速さで高速道路上を移動し始めた。
 やがて、微かにヴィルベルヴィントの姿が見える。同時に、第二波の収束型大口径荷電粒子砲の攻撃も。
「見えていれば、直線的な長距離射撃なんて当たりはしないよ」
 呟き、田中は樟葉を僅かに右に寄せる。
 先程まで居た場所を貫いていく荷電粒子砲。
 田中は、樟葉を歩かせたままメイドミサイルを撃ち放った。そして、メイドさんキャノンのチャージを開始する。
 ファルナはそんな樟葉を笑顔で見ていた。
「可愛い機体ですね‥‥」
 言いながらも、その手はトリガーを引く。
 バスターキャノンが火を吹いた。
 それを何とか樟葉は回避する。ブーストされた機動性あっての技だった。
「良し、溜まった!」
 チャージ完了。田中は樟葉の足を止め、メイドさんキャノンを撃ち放つ。
 足が遅く、回避する術を持たないヴィルベルヴィントは、シールドを重ねるように展開して攻撃の到達を待つ。
 直後、まずは八発のミサイルが次々に着弾。次に、メイドさんキャノンが重ねたシールドを貫いてヴィルベルヴィントに大きな損傷を与えていった。
「反撃‥‥」
「まだ!」
 田中は更にそこへ、メイドさんグレネードを放り込む。樟葉のスカートの下から撃ち出されたグレネードは、ヴィルベルヴィントの正面で炸裂。機体を爆風に包む。
 盾では、砲撃系の爆風を伴う攻撃を防げない。
 ヴィルベルヴィントは、今までに無いダメージを受けて一気に爆発した。
 そして‥‥ヴィルベルヴィントの最後の一発のバスターキャノンも、樟葉を貫いていた。
 ヴィルベルヴィントと同じく頽れる樟葉。
 ファルナと田中、双方のモニターに『GAME OVER』の文字が光った。
「相打ち‥‥ま、やれた方か」
 田中は安堵の息をつく。
 あの、要塞みたいな攻撃力と防御力のヴィルベルヴィントと相打ちに持ち込めたなら良い方だ。
「油断しました‥‥もう一発撃っておくべきでしたわ」
 ファルナは、樟葉の攻撃が始まる前のバスターキャノンでの攻撃の際、もう一発を撃って確実に破壊しておかなかった事を悔やんだ。
 樟葉にここまでの攻撃力があるとは、全く計算違いだった。
 何にせよ‥‥二人は筐体を出る。
 もっとも、田中の方は正体を隠すために、かなりコソコソと、逃げるような出方ではあったのだが‥‥

●巨獣陥落
「ええい! チョコマカとぉ!」
 銀野・らせんは、セイスモ・フォートレスの支援下で呪術師シウンと戦っていた。
 しかし、実際には逃げ回る呪術師シウンを追い回してる最中に、逆に攻撃を受けて耐久力を削られているのだが‥‥
「汚いわよ! 逃げる気!?」
 機体が小さくて当たりにくい上に、超高速で歩き回るから捉えようがない。
『これが基本コンセプトなんだよ。悪いな』
 通信機から返った夜城の言葉。同時に、呪術師シウンの手から放たれた光が上空で炸裂し、低空を飛んでいたドリル・エンジェルに降り注いだ。
 無数の爆発が、またもドリル・エンジェルに重大な損傷を与える。
「翼、足を止められない?」
 銀野・らせんは、通信機で翼に聞いた。だが、その言葉に返ったのは、余裕のない弟の声。
『ゴメン無理。って言うか、拙いよ、削られてる』
「えーっ!? 頑丈なんじゃなかったの!?」
 セイスモ・フォートレスは、頑丈な事が売りだ。もちろんそうなのだが‥‥先ほどから続いているエルファーダカスタムとの砲撃戦では、一方的に削られるままになってしまっていた。
『相手は、壁に隠れながら撃ってきてるし‥‥ミサイルもあるから、手数が違うんだ』
 ドリル・エンジェルを落とさせない為に、ミサイルや連射武器は呪術師シウンに向けざるを得ない。特に連射武器は、エルファーダカスタムからのミサイル攻撃を防ぐ為に必要なのにだ。それが痛い‥‥
 銀野・らせんが、空中で自律攻撃兵器を切り落とせる位に上手かったら話は違っていただろうが、今はお荷物であるとしか言いようがない。
 かと言って、セイスモ・フォートレスだけでチーム・エルファーダを落とせるかというと、それも無理‥‥彼女たちは、伊達に強豪の名で讃えられてはいないのだ。
「そんな事言っても‥‥あっ」
 銀野・らせんが気付いたその時、呪術師シウンがミサイル‥‥式神の舞【荒鷲】を放っていた。
 鷲型の弾が、ドリル・エンジェルを追って飛ぶ。直後に、呪術師シウンが式神の舞【天狼】までをも放つ。
「翼、お願い、落として!」
『ああ‥‥もう!』
 逃げ回りながら、セイスモ・フォートレスによる撃墜に頼る銀野・らせん。
 セイスモ・フォートレスは、その要請に応えて弾幕を張り、誘導弾と自律攻撃兵器を撃ち落とす。
 しかし‥‥その時、エルファーダカスタムからのミサイルが、セイスモ・フォートレスに突き刺さる。
 次々に五発‥‥その攻撃には、さしものセイスモ・フォートレスも倒れる時が来た。
 爆炎を発して頽れるセイスモ・フォートレス。同時に、ドリル・エンジェルのモニターにも『GAME OVER』の文字が浮かぶ。
「え? もう終わりなの?」
「そうだよ」
 らせんは、筐体の外から届く不機嫌そうな弟の声を聞いた。
「もう終わり。まったく、負けたのは姉ちゃんのせいだからね」
「え、そうなの?」
 翼は、あまり自覚がないらしい姉に、手で顔を覆って嘆いた。
「ああ、もう良いよ。でも、また特訓だからね。もっと強くなってもらわないと‥‥」
「はいはい」
 姉弟は連れだって筐体を離れ、ギャラリー席に向かう。
 その会話の内容は、敗因を熱弁する翼の言葉を、らせんが聞かされるという構図だった。

●地上の獲物
「後は‥‥南東?」
 北での戦闘が、どうやら生存機無しで終わったのを確認して、塔の上のSHIZUKUが聞いてきた。
 それに、同じく塔の上に陣取る佐藤が答える。
「そうね。ちょうど良く、一機こっちに来るわ」
「あー、どうしよう」
「とにかく、ハートエイク撃った後、お盆をチャージしといて」
 佐藤は指示を出した。
「ブラックバードさんの指示で撃てるようにね。狙いを付ける練習にもなるから」
 リーダー機は前に出るべきじゃないし、SHIZUKUのブリュンヒルデだって、喜んで前に出る機体じゃない。
 となると、隠岐のブラックバードに前に出てもらい、後はサポートに徹するのが良いだろう。SHIZUKUに色々と教えるのにも都合が良い。
「じゃ、軽く行ってみましょうか」
 佐藤の軽い一言と同時に、ブリュンヒルデから六機の自律攻撃兵器が撃ち出された。

「ち‥‥」
 功刀は、ハートエイクにたかられて逃げ回っていた。
 自分でその位置を変えて攻撃してくる自律攻撃兵器は、単純に建物を盾にしただけでは逃げられない。
 走り回って攻撃を避け、出来るなら叩き落とすくらいの気で居なければ‥‥
「邪魔だ!」
 振り抜いたソニックスラッシュが、正面にあったピンクのハートを砕く。
 しかし、残るハートから撃ち出されたビームが、刺草の棘を削り‥‥そして、有効時間が切れたか、一斉に退いていった。
「ここも、射撃戦用ばかりか‥‥」
 忌々しげに言う功刀。その時、通信が一方的に割り込む。
『はじめまして‥‥』
 それは、ブラックバードの隠岐。
 彼女は一声かけてから、刺草の棘の頭上を通過際にミサイルを落とした。
 功刀は、自機に迫るミサイルを見、最も相手にしたくない敵に接触した事を知った。
「航空型射撃戦機‥‥最悪だ」
 言いながらも、ソニックスラッシュがミサイルの先陣を砕く。
 しかし、それは四発の内の一発を落としたに過ぎない。
 功刀はミサイルから逃げのびるべく、その機体を駆ってビルの隙間に飛び込んだ。が‥‥
 目の前に迫るブラックバード。先回りされたと悟る前に、レーザーバルカンの猛射が刺草の棘の動きを止める。直後、追いついてきたミサイルが、刺草の棘の背で次々に爆発した。
「SHIZUKUちゃん!」
 隠岐は通信機の向こうのSHIZUKUに向かって合図を送る。
 今なら、ほとんど動きのない刺草の棘を撃つ事が出来る‥‥が、直後に撃たれて飛んできた御盆は、刺草の棘から離れた場所に落ちた。
『ごめんなさーい』
『あー、すかさずハートエイクで援護よ、SHIZUKUちゃん!』
『OK、行きまーす』
 騒々しい、SHIZUKUと佐藤のやりとりが通信機から溢れる。
 隠岐はそれを微笑ましく思いながら、自分はチャージライフルのチャージを行いながら高度を取るべく機首を上げた。
 刺草の棘は、激しい損傷を受けていた。そこに、再びハートエイクが襲いかかってくる。
「つ‥‥陰湿だな。このゲームは」
 ほとんど為す術もないまま、袋だたきにされている。
 それでも、何かの抵抗は見せようと、僅かずつしかダメージが入らない事を良い事に、功刀は刺草の棘を敵のいる方向‥‥すなわち塔に向けて走らせた。
 とはいえ、敵が飛んでいる‥‥あるいは塔の上に乗っている以上、刺草の棘には一切の攻撃手段がないわけだが。
 ただ、一直線に塔を目指す功刀。だが、やはりそれを果たす事は出来なかった。
 頭上から撃たれたチャージライフルの一撃が、刺草の棘を貫いて破壊する。
 敗北はもう確定と知っていた功刀は、特に何の感慨もなく画面に踊る『GAME OVER』の文字を見ていた。
「‥‥十分なジャンプ力か、射撃武器を持たせるべきだったな」
 空の敵を落とせる能力‥‥それが在れば、もう少し違った戦いも出来ただろう。
 そんな感想を残して、功刀は筐体を下りていった。

●決着
『よし、落ちたぞ!』
「悪いニュースです。西の敵が動きました」
 快哉を叫ぶ夜城に対し、梅田は静かに言葉を返した。
 西‥‥戦場中央にいたチーム・グリンブルスティ隊が、単機で戦場に置かれたエルファーダカスタムに攻撃を仕掛けてきている。
 レーダー上、全ての障害物を無視して迫り来る光点。それは、刺草の棘を倒した足でそのまま東へ侵攻してきた、隠岐のブラックバードだった。
『ち‥‥今、戻る!』
「早くしてくださいね。敵は‥‥飛行型ですから」
 梅田は夜城に伝えると、自身は自律式ディバイドポッドをブラックバードに向けて放った。
 これで、迎撃に手間取っている所に本命のミサイルを‥‥その目論見に立ち、間をあけて4連高速巡行ミサイルを撃つ。が‥‥
 ブラックバードは、最初のミサイルが間近に迫ってから、急加速でそれを振り切った。
 直後に、バルカンで弾幕を形成。後続の四発のミサイルを破壊する。
『今日は勝ちをもらいますね』
 隠岐からの通信。その直後、ブラックバードはミサイルを放った。
「‥‥ブリューナグ、発射」
 梅田の間髪入れぬ砲撃が、ミサイルの群を捉え、爆風に巻き込むとその全てを消し去った。
『今、神の舞【天狼】を撃った! 届くまで耐えてくれ!』
 夜城からの通信を梅田は聞き流しつつ、ブラックバードの姿を探した。と‥‥その時、塔の方向から高速で飛来する物を見たような気がした。
 直後に、梅田は動く。それが敵チームの長距離攻撃だと察して‥‥だが、
『うーん、当たらないねぇ。長距離の時は先読みしなきゃダメよ』
『えー、難しいよ』
 梅田の通信機からも無遠慮に溢れる、佐藤とSHIZUKUの声。その声が示すとおり、塔から来た攻撃はやや見当外れな場所に着弾する。
「!」
 直後‥‥空からチャージライフルの一撃が落ち、エルファーダカスタムを貫いた。
 僅かな時間、ブラックバードを見失った‥‥その事がこの一撃を浴びる原因。
 先のセイスモ・フォートレスとの砲撃戦で受けた損傷とあわせて、エルファーダカスタムの耐久力は残り少なくなっていた。
 そして、梅田は空にとどまるブラックバードの姿を見る。ブラックバードは、呪術師シウンの放った自律攻撃兵器、神の舞【天狼】の攻撃をかわすためにキリモミ飛行をしながら、直上からエルファーダカスタムに迫る。
 攻撃を‥‥
 4連高速巡行ミサイル、パピヨンネージュのトリガーを引く梅田の前で、ブラックバードがレーザーバルカンを撃つ。無数の光線がエルファーダカスタムを貫いた。
 爆発するエルファーダカスタムの前に、『GAME OVER』の文字が光る。
『あ‥‥やられちまったのか? すまない、間に合わなくて‥‥』
「良いですよ。次に勝てば良いんです。ゲームですから」
 夜城からの詫びの言葉を受け流して、梅田は席を立った。ゲームは終わり。勝者に賛辞の送られる時が来るのだ‥‥

●ゲームセット
 画面に『WINNER』の文字が浮かぶ。
 筐体から出て佐藤は、続いて出てきたSHIZUKUに笑いかけながら言った。
「よっし、全員生還! もっとも、あたし何にもしてないけど!」
「色々、教えてくれてたじゃない。先生〜」
 仲良くじゃれあいながら歩く二人を微笑んで見ながら、隠岐はいそいそとギャラリーモニターの方へと向かう。
 そこに、戦績が発表された‥‥

//////////////////////////////////////////
WINNER
 チーム:グリンブルスティ隊
☆One star is presented.

ACE
 ブラックバード
☆One star is presented.

TECHNICAL
 ブラックバード
☆One star is presented.

TOP
 ブラックバード
☆☆Two stars are presented.

//////////////////////////////////////////

 パーフェクト達成。賞賛と驚きに、ギャラリーがどよめく。と‥‥その時だった。
 ゲーム結果を映し出す画面にノイズが走り、そして何かの姿を映し出す。
「滅びの運命にある神々よ、今こそヘイムダルの角笛の響く時」
 声と共に画面に現れたのは、女性型のSAIPSだった。誰も見た事の無い姿‥‥異世界の巫女の様なフォルム。
 そのSAIPSは、画面越しに話しかけるように言葉を紡いだ。
「運命を破りし果てに、ムーンロードは開かれましょう」
「あー、そう言う展開なんだ‥‥じゃ、運命ってのがきっとゲートキーパーで‥‥」
 話を聞きながら、先読みしてSHIZUKUに話す佐藤。すると‥‥
「そうです。神を駆る者達よ。彼らは門を護る者‥‥そして世界を滅ぼす者」
 それはごく自然に返ってきた返答‥‥そう来るとは思っていなかった誰もが驚愕に目を見開く。
「!? 反応した!? ちょっと、貴方‥‥」
「邂逅の時は短い。語る事が許されている事も限られています。次は、ムーンロードの開きし時に逢いましょう」
 佐藤が続けて話しかけようとしたが、言うだけさっさと言って女性型SAIPSは画面から掠れるように消えていく。
「何なのよ‥‥まさか、AI?」
「あら? 精算が‥‥」
 戸惑う佐藤の思考を中断させたその声は、精算機にカードを通した隠岐の声だった。
 彼女は、エントリーカードの他にもう一枚、精算機から吐き出されたカードを手に持っている。
 『祭祀機ノルン』
 カードには、先ほどの女性型SAIPSの絵と共に、そう書かれていた。
「機体カード?」
 カードを覗き込みながらSHIZUKUが聞く。だが、似ているが違う。
 カードを隠岐の手から借りて、眺めながら言った。
「違うみたい‥‥『このカードは、エントリー後、ゲーム開始前にカードスロットへ挿入して下さい。』‥‥としか書いてない。演出にしても不親切だね」
「溜めてた星が吸われてますね。そのカードに転送されたみたいですけど」
 隠岐の溜め込んでいた星‥‥それが全て消えている。代わりに、その数値がノルンのカードに移っていた。
 隠岐は佐藤からカードを返してもらい、そのままSHIZUKUに差し出す。
「これは、SHIZUKUちゃんにあげます」
「ええっ!?」
 申し出に驚いたSHIZUKUが、目をまん丸にして隠岐を見た。
 隠岐はニッコリと微笑みながら言葉を続ける。
「お祝いですよ。パーフェクトはまた取ればいいですし、星なんてすぐに溜まりますし」
「う‥‥恐れ多いお言葉です」
 SHIZUKUとは、天と地ほどの実力差‥‥同じ台詞を格好良く言えるようになりたい。
 とりあえず、SHIZUKUはノルンのカードを押し頂くようにして受け取った。

●クリエーター
 何処かのオフィス‥‥いや、そうだろうか?
 かなり広い部屋の中、机と椅子が一組、パソコンが一台しかない変な部屋。
 そのパソコンのモニターには、エクスプロイトでパーフェクト達成者が出たとの報告が表示されていた。
「おっ‥‥パーフェクト達成したユーザーが出たようですね。これは思ったよりも早く‥‥」
 若いサラリーマン風の男が、パソコン画面を覗き込んで言う。
 それに答えて、机の前の椅子に腰掛けていた年上の‥‥とはいえ、まだ若いと言える年齢のサラリーマン風の男が、苦笑混じりに言った。
「まだまだ。ゲートキーパーを抜けなければ、彼の地に到達は出来ないよ」
 その答えを聞いて、若い男がガッツポーズを取る。
「彼の地‥‥彼らはそこで、倒すべき真の敵を見る‥‥ってね」
「倒すべき‥‥かな? ま、どっちにしたってゲームなんだからこれは」
 机の前の男の苦笑が大きくなった。
「ともかく、予定通りに拡張キット2の販売を開始という事で。プログラムは出来てるから」

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■          登録機体           ■
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2346/功刀・渉/29歳/男性/建築家:交渉屋
機体名:刺草の棘
説明:ジークフリートをモデルにしているが、カラーリングは黒一色。攻撃を手数重視に改造してある。
【A】格闘戦能力
[c:大威力/速]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[a:超大威力/重]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[d:中威力/短射程]ソニックスラッシュ 剣から三日月形のエネルギー刃を飛ばす。
【B】射撃戦能力[射撃戦能力無し]
【C】移動速度[超高速歩行]
【D】ジャンプ[a:低高度/放物線]
【E】装甲防御力[重装甲]
【F】特殊
(A5cadB0hC5D1aE4)


2165/梅田・メイカ/15歳/女性/高校生
機体名:エルファーダカスタム【重装支援型】
説明:鋭角的な人型デザインそのままに大推力スラスターをオミットし追加装甲とミサイル等他火力ある武器を搭載した支援型のメイカの愛機。
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[d:長射程/大威力/誘導×4]4連高速巡行ミサイル パピヨンネージュ
[d:長射程/大威力/誘導]自律式ディバイドポッド ノワール&ルージュ
[b:長射程+狭範囲/中威力/砲撃]グレネードランチャー ブリューナグ
【C】移動速度[中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:中高度/放物線]
【E】装甲防御力[超重装甲/低威力攻撃無効]
【F】特殊
(A0B5ddbC3D2aE5)


0165/月見里・千里/16歳/女性/女子高校生
機体名:MBMS04《鋼龍》
説明:2足直立型肉食恐竜を思わせるデザイン。むしろ元ネタは三式機龍バックパック装備型。
【A】格闘戦能力
[e:威力1ランクダウン/盾]
[a:中威力/重]右腕がドリル状に変形し、突き刺す。変形にタイムロスがあるため回避は容易。
[b:低威力/中]普通に格闘(笑
【B】射撃戦能力
[e:中射程/中威力/誘導×8]バックパックの肩にかかる部分に装備された対空対地4連ハープーンミサイルx2。
[e:中射程/中威力/誘導×4]バックパック両側面に装備されている2連ハープーンミサイルx2
[i:中射程/超大威力/チャージ+貫通]口内装備の大口径メーザー砲。
【C】移動速度[中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[重装甲]
【F】特殊
(A3eabB5eeiC3D0E4)


1582/柚品・弧月/22歳/男性/大学生
機体名:スルト
説明:機体の形は真紅の鎧を纏った巨人。
【A】格闘戦能力
[c:中威力/速]レヴァーティン ヒートソードでぶった切ります。
[a:大威力/重]レヴァーティン ヒートソードでぶった切ります。
[e:威力1ランクダウン/盾]
【B】射撃戦能力
[i:中射程/大威力/チャージ+貫通]ギャッラルホルン 振動波を叩き付けます
[a:中射程/低威力/単発]ギャッラルホルン 振動波を叩き付けます
[g:短射程+狭範囲/中威力/砲撃]ギャッラルホルン 振動波を叩き付けます
【C】移動速度[低速歩行/中速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:中高度/放物線]
【E】装甲防御力[重装甲]
【F】特殊
(A4caeB3iagC2D2aE4)


1537/綾和泉・匡乃/27歳/男性/予備校講師
機体名:Leopard(レパド
説明:ガルムベースの黒豹
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[d:長射程/大威力/誘導×4]ハウリングミサイル
[c:中射程/低威力/連射]チャープ
[h:中射程+狭範囲/低威力/砲撃×10]チャープ
【C】移動速度[超高速歩行]
【D】ジャンプ[b:中高度/滞空]
【E】装甲防御力[軽装甲]
【F】特殊
(A0B5dchC5D3bE2)


1555/倉塚・将之/17歳/男性/高校生兼怪奇専門の何でも屋
機体名:十六夜
説明:カラーは黒、通常のより大きい籠手をつけた腕と通常の刀より1回り以上刃が大きい日本刀が特徴の高速戦機体。
【A】格闘戦能力
[c:大威力/速]連続斬り
[a:超大威力/重]居合い斬り
[e:威力2ランクダウン/盾]籠手でガード
【B】射撃戦能力
[c:中射程/低威力/連射]左腕籠手内蔵バルカン
[a:中射程/中威力/単発]ビームライフル
[b:長射程+狭範囲/低威力/砲撃]ショルダーカノン
【C】移動速度[高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[軽装甲]
【F】特殊
(A5caeB4cabC4D0E2)


1098/田中・裕介/18歳/男性/高校生兼何でも屋
機体名:放浪のお手伝い「樟葉」
説明:武器が内臓されたトランクを持つロングの黒髪をポニテにしている女の子の機体。女の子らしく動く。ダメージを受けるとメイド服が破れる。ブースター発動時はダッシュ用の翼を背負い背丈ほどのランチャーライフルを装備する。
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[g:中射程+広範囲/大威力/砲撃]メイドさんグレネード スカート内に隠された遅行性爆弾。
[c:中射程/低威力/連射]トランクバルカン 実弾。
[e:中射程/中威力/誘導×4]トランクミサイル
【C】移動速度[中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:低高度/放物線]
【E】装甲防御力[超軽装甲]
【F】特殊
[c:ファイナルブースター]発動時、トランクから光があふれ樟葉を包み、装甲を一度排除後、新しい装備とメイド服が装着される。その時猫化する。
ブースター発動後
[i:長射程/超超大威力/チャージ+貫通]メイドさんキャノン 背丈ほどのライフルから発射(4cから変更)
[e:中射程/中威力/誘導×8]メイドミサイル 背中のブースターウイングから発射(4eから変更)
[グラフィックの質向上]ドレスアップ ボディラインを滑らかに。
(A0B5gceC3D1aE1F2c3)


2390/隠岐・智恵美/46歳/女性/教会のシスター
機体名:高機動戦闘機「ブラックバード」
説明:ステルス爆撃機の様なフォルムの機体。何箇所かにあるバーニアで変則的な飛行が可能。
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[c:中射程/中威力/連射]レーザーバルカン 左肩ウエポンラックに搭載
[e:中射程/中威力/誘導×4]ミサイル 右肩ウエポンラックに搭載
[i:中射程/超大威力/チャージ+貫通]チャージライフル 腹部ウエポンラックに搭載
【C】移動速度[中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[c:中高度/飛行]
【E】装甲防御力[超軽装甲]
【F】特殊
 [不正改造] データエラー
(A0B5ceiC4D4cE1F1)


0461/宮小路・皇騎/20歳/男性/大学生(財閥御曹司・陰陽師)
機体名:軽装機甲剣士ハヤテ
説明:軽装甲の剣士型機体。日本刀(太刀)に似たビーム剣を主体にしています。ホバーリング+超高速ダッシュにより相手の懐に鋭く踏み込み、居合いの動作をアタック・パターンに取り入れた『ダッシュ・ブレード』を必殺技としています。自律攻撃兵器『ゴーレム・ビット』による牽制とのコンビネーションによる『パラレル・アタック』。移動は戦闘機動時はホバーリング&高速歩行からダッシュへの移行を併用。
【A】格闘戦能力
[c:中威力/速]ビーム剣
[b:中威力/中]ビーム剣
[e:威力1ランクダウン/盾]
【B】射撃戦能力
[f:長射程/低威力/自律攻撃兵器×2]ゴーレム・ビット
[c:短射程/低威力/連射]
[d:中射程/中威力/誘導]
【C】移動速度[高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:低高度/滞空]
【E】装甲防御力[超軽装甲]
【F】特殊
(A4cbeB4fcdC4D2bE1)


2395/佐藤・絵里子/16歳/女性/腐女子高生
機体名:赤炎竜
説明:フェンリルの別名を持つ、某アニメの登場機を模した炎の様に赤い機体。尤も性能は元とは随分違うのだが、その辺気にしてはいけない。
【A】格闘戦能力
[b:大威力/中]エクセラブレード 小型の剣による斬り
[b:中威力/中]エクセラブレード 小型の剣による斬り
[c:低威力/速]エクセラブレード 小型の剣による斬り
【B】射撃戦能力
[a:中射程/低威力/単発]フレイムシューター 炎の弾を打ち出す銃
[g:短射程+狭範囲/低威力/砲撃]ハンドナパーム 小型手榴弾。辺りを炎に包む
【C】移動速度[低速歩行/中速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:高々度/放物線]
【E】装甲防御力[重装甲]
【F】特殊
(A4bbcB2agC2D3aE4)


2276/御影・蓮也/18歳/男性/高校生 概念操者
機体名:ウィンダム
説明:装甲と装備を極限まで削った機動性重視一撃必殺型。重要部にのみ装甲を付けそれ以外は内部が見える異質なフォルム。射撃センサー系と機動性を強化、他を圧倒する。
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
ブースト時に追加[a:低威力/重]ドーラで殴る
【B】射撃戦能力
[a:中射程/超大威力/単発]ドーラ メインウエポン重装甲をも貫く強力ロングライフル。機体の2/3程の長さ。
[c:中射程/低威力/連射]チューンガン 左腕についたガトリングガン。
[h:中射程+狭範囲/低威力/砲撃×10]ショットボム 両腰各1門内蔵。多弾頭ミサイル。
【C】移動速度[高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:中高度/滞空]
【E】装甲防御力[超軽装甲]
【F】特殊[c:ファイナルブースター]射撃精度と機動性を高め他の機体より1ランク上に仕上げてある。
(A0B5achC4D3bE1特殊2)


2331/夜城・将清/25歳/男性/国家公務員
機体名:呪術師シウン
説明::陰陽師型の遠距離戦タイプ…装甲は薄そうだが…浮遊する紙の様な盾を持つ。武器は基本的に浮遊してます。
【A】格闘戦能力[格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[h:長射程+狭範囲/低威力/砲撃×10]影式流星陣 手から光を撃ちだして空中において爆破し流星のように降らす。
[f:長射程/低威力/自律攻撃兵器×2]式神の舞【天狼】 狼型のビットで敵の周囲で口から火を吐きます。
[e:中射程/中威力/誘導×4]式神の舞【荒鷲】 鷲型の弾で突っ込みます。撃たないときは周囲に浮遊してます。
【C】移動速度[超高速歩行]
【D】ジャンプ[ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[重装甲]
【F】特殊[b:スモール]
(A0B5hfeC5D0E4F1b)


0158/ファルナ・新宮/16歳/女性/ゴーレムテイマー
機体名:超重甲機ヴィルベルヴィント
説明:アインランツェの改良型。シールドにより防御力を高めその分中〜長距離の攻撃力をアップさせた。
【A】格闘戦能力
[a:超大威力/重]ホーンドバニッシュ 二本の巨大な角で敵を挟み破壊する。
[e:威力1ランクダウン/盾]フリーラウンドシールドL 両肩に装備された盾。可動腕によりかなりの範囲防御可能。
[e:威力1ランクダウン/盾]フリーラウンドシールドR 両肩に装備された盾。可動腕によりかなりの範囲防御可能。
【B】射撃戦能力
[i:長射程/超超大威力/チャージ+貫通]収束型大口径荷電粒子砲 腹部発射口から放たれる最終兵器。
[a:中射程/大威力/単発]バスターキャノンL 実弾を発射するキャノン砲。
[a:中射程/大威力/単発]バスターキャノンR 実弾を発射するキャノン砲。
【C】移動速度 [低速歩行]
【D】ジャンプ [ジャンプ不能]
【E】装甲防御力 [超重装甲/低威力攻撃無効]
【F】特殊
(A4aeeB5iaaC1D0E5)


2373/銀野・翼/9歳/男性/小学生
機体名:セイスモ・フォートレス
説明:セイスモサウルス型の大型砲撃機体。
【A】格闘戦能力
[c:低威力/速]頭突き
[a:中威力/重]テイルアタック(尻尾)
[b:低威力/中]キラーバイト(噛付)
【B】射撃戦能力
[b:長射程+狭範囲/大威力/砲撃]胴体脇に搭載された超巨大重力砲
[c:中射程/低威力/連射]機体のあちこちに搭載された小型砲塔
[e:中射程/中威力/誘導×4]ホーミングミサイル
【C】移動速度[低速歩行]
【D】ジャンプ[ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[超重装甲/低威力攻撃無効]
【F】特殊[a:ラージ]
(A3cabB5bceC1D0E5F1a)


2066/銀野・らせん/16歳/女性/高校生(ドリルガール)
機体名:ドリル・エンジェル
説明:モチーフはらせんの変身後の姿・ドリルガール。天使のような翼が主な違い。
【A】格闘戦能力
[b:大威力/中]右腕装着のドリル攻撃
[c:低威力/速]右腕装着のドリル攻撃
[d:低威力/短射程]右腕装着のドリルがロケットの如く飛んで攻撃
【B】射撃戦能力
[射撃戦能力無し]
【C】移動速度[高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[c:高々度/飛行]
【E】装甲防御力[軽装甲]
【F】特殊
(A4bcdB0C4D5E2)


NPC/SHIZUKU
機体名:飛行型試作お手伝い猫耳幼女ブリュンヒルデ
説明:メイド服型装甲に猫耳猫尻尾パーツをつけた、ワルキューレの系列機。小型化されているので敵の攻撃が当たりにくい。更にブースターで一発逆転を狙う。
【A】格闘戦能力
[a:格闘戦能力無し]−
ブースト時に追加[a:低威力/重]ねこみゃーぱんち 猫の手型グローブによるパンチ
【B】射撃戦能力
[f:長射程/低威力/自律攻撃兵器×2]ハートエイク ピンクのハートを飛ばして敵を攻撃する。
[i:中射程/大威力/チャージ+貫通]お盆くるくるにゃ 丸いお盆状の物を高速回転させてから投げて攻撃。
[h:中射程+狭範囲/低威力/砲撃×5]ねこたまにゃよ 卵型の爆弾をばらまく。
【C】移動速度[a:中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:中高度/飛行]
【E】装甲防御力[a:超軽装甲]
【F】特殊[b:スモール][c:ファイナルブースター]
(A0B4fihC3D4bE1F1b2a)

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■       今回のバトルフィールド       ■
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MAP【CITY】 高層都市
 MAPの南西の1ブロックのみ平原。残る南と西のブロックは住宅地で、機体の全高の半分程度から低高度相当くらいまでの高さの建物が密集する。中央から北東よりの4ブロックはビル街となっており、低高度〜中高度相当の高さのビルが林立している。全体的に迷路のような地形で、各種建物が障害物と隠れ場所を多量に提供してくれる。
 街の上空、中高度相当の高さには高速道路が走っている。この上は十分に広く障害物もない為、高速移動が可能。この高速道路への昇り口は、南西と中央を除くMAPの各所に用意されている。
 MAP中央には、一つの超高層ビル‥‥通称『塔』があり、最上階の高さは高々度に相当する。

MAP地形図 高速道路配置図
  A B C
 ┏━┳━┳━┓┏━┳━┳━┓
1┃町┃街┃街┃┠┬╂┬╂┐┃
 ┣━╋━╋━┫┣┿╋┿╋┿┫
2┃町┃塔┃街┃┃└╂┼╂┤┃
 ┣━╋━╋━┫┣━╋┿╋┿┫
3┃ ┃町┃町┃┃ ┃└╂┤┃
 ┗━┻━┻━┛┗━┻━┻┷┛
        細線が高速道路

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 年齢 / 性別 / 職業】

2346/功刀・渉/29歳/男性/建築家:交渉屋
2165/梅田・メイカ/15歳/女性/高校生
0165/月見里・千里/16歳/女性/女子高校生
1582/柚品・弧月/22歳/男性/大学生
1537/綾和泉・匡乃/27歳/男性/予備校講師
1555/倉塚・将之/17歳/男性/高校生兼怪奇専門の何でも屋
1098/田中・裕介/18歳/男性/高校生兼何でも屋
2390/隠岐・智恵美/46歳/女性/教会のシスター
0461/宮小路・皇騎/20歳/男性/大学生(財閥御曹司・陰陽師)
2395/佐藤・絵里子/16歳/女性/腐女子高生
2276/御影・蓮也/18歳/男性/高校生 概念操者
2331/夜城・将清/25歳/男性/国家公務員
0158/ファルナ・新宮/16歳/女性/ゴーレムテイマー
2373/銀野・翼/9歳/男性/小学生
2066/銀野・らせん/16歳/女性/高校生(ドリルガール)