■かわうそ?と愉快な仲間達1■
滝照直樹 |
【0170】【大曽根・千春】【メイドな高校生】 |
貴方の机に程よい厚みのある新書のような本が置いている。
内容はというと、織田義明や、長谷茜。かわうそ?……などの誰かと楽しく過ごしているもしくは喧嘩をしている物語。笑いあり涙あり、そう言った手合いだ。
彼らと一緒に過ごした思い出を書き留めたいなら、思い出すがよい。
その本は厚さに関係なく、白紙を埋めていく事だろう。
そう、思い出はいつもあなたの心にあるのだから……。
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メイド千春 と かわうそ?
大曽根千春は、前にあやかし荘のメイド服襲撃事件の時から、メイド服がお気に入りとなり…あやかし荘で自発的にメイドをすることにした。給料がもらえるわけではないが、管理人因幡恵美にとっては助かるものだ。洗濯や掃除だけでもこの馬鹿でかいあやかし荘1人で掃除していたのは管理人である彼女のみだから(有志が手伝ってくれるが其れも又時間的都合なわけで)。
色々な洗濯物(人に頼まれた訳だが)を干して、男物の下着を見て顔を真っ赤になる所が可愛いくて、あやかし荘の一寸したアイドルになっている。
お約束でドジってしまう所も又愛嬌があるらしく、彼女の気付かないうちに、彼女の通う神聖都にファンクラブが設立されたとも噂される。当然彼女はその事を全く知らない。
単に、メイド業が楽しいということだ。
ある日のこと、千春は玄関近くのモップがけを終わり、一息ついていた所である。
「ふー、掃除の後の汗は気持ちがいいですぅ」
ヒョッコリ現れた謎の物体。
「?」
「あうー」
「かわうそ?さん」
「そう」
小麦色のナマモノは焦げ茶の泥にまみれて玄関から顔を出していた。掃除した部分を汚さない配慮なのか中に入ろうとしない。しかし、憂鬱な顔をしている。
「どうしたんですかぁ?」
「車に泥をかけられた」
先日、凄い雨だったから水たまりがあっても不思議ではない。ここに来る途中に車にかけられたという彼の言うことはもっともだろう。最も、このナマモノが堂々と道を歩くことが謎ではあるが。
「こまりましたねぇ」
と、千春は考え込む。
「いあ、大丈夫。暫くすれば元通りになる」
かわうそ?は彼女に用事を増やしたくない、と言うより何かイヤーな予感を感じて善意を断ろうとしているのだが、
「どうすれば良いと思います?通りすがりの浮遊霊さん」
千春ちゃんは、ナマモノの話を聞いておらず、自分の考えを他の浮遊霊とか動物霊、さらに蓮の間の常連である野良猫にまで訊いていた。
「だから、いい」
やっぱ聞いてない。
千春は意を決したようにかわうそ?を捕まえた。
「わかりましたぁ!あたしが、かわうそ?さんを洗ってあげますぅ」
「いやー」
ジタバタ暴れるかわうそ?
しかし、千春はかわうそ?の拒否行動を無視して。
「♪」
彼女はかわうそ?をどこかに連れて行くのだった。
「っ!はうー!」
「らんらん〜♪」
場所は中庭にある、大きな外付けの水道。庭の植物に水をまいたり、この近辺の掃除に使ったり、消火用にも使われる。作りは大正時代の井戸組み上げ式ポンプだ。手入れが行き届いており、千春の力でもこのポンプを使うことが可能である。
暴れるかわうそ?を抱いて水をだす千春。しかしかわうそ?が暴れるものだから上手く水が出せない。
「あ、あばれないでくださいぃ」
「いやー、いやー、あらわれるのいやー」
「だってこんなに汚れている…きゃあ!」
ポンプから勢いよく水が噴き出した。それで彼女もナマモノもびしょびしょになる。
「結果オーライですねぇ…さてそれから…」
と、いつの間にか用意していたシャンプーを、そのままかわうそ?の頭からドバドバかけて、ナマモノの身体全体をごしごし洗うのである。
「いやーくすぐったい!」
「だめですよう、暴れちゃダメです」
「きゃー」
猫を洗うときはこんな状態なのだろう。もう、かわうそ?はあばれる事に、彼女は更に水でメイド服が濡れていくのだった。今ではもう下着のラインが見えるほど濡れてしまっている。カワウソ?破損な事構わず必死に逃げようとあばれる。
「いやー、いやー」
「だめですぅ、しっかり洗わないと、泥が残ってしまいますぅ」
「あうーかわうそ?、カワウソのからだ、問題なし!いやー」
「でも、それらしいこと見たこと無いですよ〜」
と、何か微笑ましい水遊びにみえる。
だいたい、かわうそ?の身体はニホンカワウソで(ミンクという説もあるのだが)、水辺に棲むイタチ科の生物だ。だから濡れていようが泥で汚れていようが構わないわけであり、其れぐらい自分で出来ると言いたいのだが…。やっぱり人に洗って貰うのは、一部の人以外嫌なのだ。ただ、やっぱナマモノだから完全に別物と分類されても仕方ないのだろうか?いや、前に大阪湾である人魚の宅配していたんだけどなーとか言いたい気分のかわうそ?は暴れるしかない。
で、暴れるので、千春の豊満な胸を触ってしまった。
「あ」
止まっている千春。
ナマモノも、不思議物体を触った感じに止まる。
そこで、中庭が騒がしいなぁと思ってやってきたのは不幸の代名詞のあの方。その御方が、千春の姿をみてから、時が動き出す。
「――――――――――!」
「――――――――――!」
千春は、恥ずかしさのあまり大声をだした。あの方は、千春の濡れ姿と大声で鼻血と耳鳴りでその場で大声だして気絶した。
その隙に、ナマモノは…逃げていた。
「ふえーん、かわうそ?にげちゃいましたぁ〜」
と、今の服の状態に赤面しながらも、洗いそびれたことに悔しがる千春だった。
程よい清い川。あやかし荘からはそう遠くない。そこに、かわうそ?が身体の汚れを流すかのように悠々と泳いでいた。
「やっぱこあい」
呟くナマモノ。
シャンプーが洗い流された後、彼は水面に何かの図形を描き、一声すると、川にうかぶシャンプーの泡や成分が分解され、別の謎の固形物になった。かわうそ?はその固形物をしっかり持って…近くのゴミ収集所に捨て立ち去っていった。
「自然を大切に…あ、千春心配」
少し乾いた身体を少しなめた後、あやかし荘に戻るナマモノであった。
End
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0170 大曽根・千春 17 女 高校生】
【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ(のような生物・通称ナマモノ)】
※ライター通信の代わりにかわうそ?がお届けします。
「かわうそ?、カワウソの能力あるから気にしない良いのに…でも千春の心あったかい。それにスタイル、良い!あと…」(何者かに拉致)
「いやー」←助けを呼ぶときなどの悲鳴。
かわうそ?と滝照直樹拝
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