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■かわうそ?と愉快な仲間達1■

滝照直樹
【2437】【鷹丘・茜】【袴な高校生】
 貴方の机に程よい厚みのある新書のような本が置いている。
 内容はというと、織田義明や、長谷茜。かわうそ?……などの誰かと楽しく過ごしているもしくは喧嘩をしている物語。笑いあり涙あり、そう言った手合いだ。

 彼らと一緒に過ごした思い出を書き留めたいなら、思い出すがよい。
 その本は厚さに関係なく、白紙を埋めていく事だろう。
 そう、思い出はいつもあなたの心にあるのだから……。
追いかけっこ

あやかし荘に住む妖狐の女の子鷹丘茜。彼女は、じつはかわうそ?と仲良くなりたいのだが…。例のナマモノは彼女から逃げている。
理由はこんな感じだ

「あ、かわうそ?発見!」
「あうー」
彼女はかわうそ?を見ると有無を言わさず、彼に向かって走ってくるのだ。まるで獲物を捕まえようとする狐みたく走る。其れだと流石に本能で逃げるのが生物として当然である。
「まて、まて〜」
「いや〜」
何故か、陸上では上手く走れないはずのかわうそ?の身体なのだが、その早さ狐と言うより猫以上であり、壁や木を伝って茜をまくのだ。
「まただ〜はぁはぁ」
茜はまた逃したので息を切らしながらそこで立ち止まる。
未だ近くに気配があるのだが、いまの状態では追っ手も無駄だ。
見つけたら直ぐに追いかけるというのは、ナマモノにしろ普通の動物にしろ逃げる十分な動機となる。彼女はその事を分かっていない。
「今度こそ、遊んで貰うんだ!」
ガッツポーズをとるも何か虚しい。


「何か良い方法無いかなぁ」
と、茜は家に戻って思案に耽る。
「あ、食べ物で釣れば良いんだ!」
と、手を叩いて、早速罠の準備をはじめた。
罠は、ヒモを付けた棒で支えた籠の下に食べ物を置き(皿に乗せることもある)、獲物が餌をくわえたタイミングにひも付き棒を引っ張って籠に閉じこめる単純なものだった。しかし、食べ物が茜の大好物の油揚げというのが引っかかる。大体狐とあのナマモノが同じ食べ物を好むのかと言うところだ。それに、あのかわうそ?は人間並みいやそれ以上の知能がある。こんな罠に引っかかるわけはない。しかし彼女は捕まえることが出来ると信じ切っている。
「此で大丈夫!」
彼女は待った。待った。待った。
しかし、猫一匹来ない。そう、茜の妖気が充満しているので誰も近づかないのだ。
「こないなーもうっ!」
と、諦めて罠を片付ける茜。しっかり油揚げは食べる。
実は背景に溶け込みかわうそ?は一部始終見ていたりした。


今度は、友人から譲って貰ったメイド服や巫女服を用意し始める。
「お色気作戦でいくぞ〜」
と意気込むのだが…。
彼女は気が付いていない…実は色気のいの字も無い事を。それ以前に、その服でナマモノが「萌える」か分からないのだ。
其れに、相手が相手で、既にお見通しらしく、彼女がそんな姿になっていてもいつでも逃走可能範囲で警戒しているのだ。
「ふー」
かわうそ?はもう猫みたく威嚇している。
「なぜよー!」
「ふーっ!」
ナマモノは答えない。完全に威嚇状態。こんな姿を見せるのは珍しい。
「もう無理矢理でも捕まえてやる!」
と、怒った茜は巫女服で駆け出す。かわうそ?は普通の獣のように走って逃げる。
「まてー!」
「いやー」
「きゃ!」
茜は転んでしまう。なれない巫女服で転けてしまったのだ。
そんなこと気にもとめず、かわうそ?はその場から逃げていった。
「あーもうー」
ジタバタする茜。齢120の妖狐でも子供だと言うことか。

様々な作戦を立ててかわうそ?を捕まえようとするが、逃げられ、しまいには、自分がかわうその仕掛けた罠に引っかかってしまうなど、幾らやっても捕まらないので、
「もう良いよ!かわうそ?と遊ぶなんて止める!」
と、拗ねて部屋に篭もってしまった。
|Д゚)…
と、陰で、茜をみているかわうそ?だった。

茜は暫く寝ていた。
そして起きると、自分の側でかわうそ?が丸くなって眠っていた。
「あ、か…」
思わず叫んで抱きしめようと思ったが、止めた。
「もう良いもん」
拗ねる茜。
一方、かわうそ?は何も動じない。
「かわうそ?」
恐る恐る、彼を触る。
生物の暖かさ、規則正しい呼吸。
「あ…あったかい」
かわうそ?を撫でる。かわうそ?は気持ちいいのか笑っている。
「あは、かわいい♪」
只ゆっくりと、この生き物を撫でている茜。それはまた今までと違った楽しさを覚えた。
今まで追いかけていたことは間違いだと気付いたことだ。
追いかけることも楽しいが、たしか相手が嫌がる事はしては行けないと誰かに教わったことがある。
だから、あのときのかわうそ?は怒っていたのだろう。
「ごめんね、かわうそ?」
と、茜は悄気ながらかわうそ?をずっと撫でていた。
そう、ずっと。
本当はこうしていたかった思い。
其れがいま、実現したのだ。


「あらら…」
管理人因幡恵美は、茜がかわうそ?と一緒に寝ている姿に微笑んでいた。
「仲良く寝ちゃってますね」
と、掛け布団を茜にかけてあげた。かわうそ?はしっかり毛布を来るんで眠っている。
「う〜ん、かわうそ?大好き」
茜はかわうそ?と共に楽しい夢を見ているのだろう。
「可愛いですね」
「うい」
「あ、おきたの?」
「夢みせた」
恵美の問いに、素っ気なくかわうそ?は言う。
「…そうなの」
「そのままにしる」
「そうですね」
恵美とナマモノは彼女の部屋から音を立てずに出て行った。
茜は起きるまで楽しい夢をずっと見ているだろう。
起きたとき、彼女はかわうそ?にどう接するか…それは…本人だけ知っている。

かわうそ?はこういった
「夢は儚い。ただ茜、間違いを分かってくれたらいい」
彼は悲しそうに、あやかし荘から去っていった。
でも、又ヒョッコリ現れることだろう。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2437 鷹丘・茜 120 女 袴な高校生】

【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ(のような生物・通称ナマモノ)】

※ライター通信の代わりにかわうそ?がお届けします。
|Д゚)ノ…茜、いきなり追いかけちゃダメ。いじめられると思うから、メ。
他の人のように普通にすればちゃんと遊ぶ。でもいじめると怒るから、注意。
んじゃ、よい夢を。