■かわうそ?と愉快な仲間達1■
滝照直樹 |
【1548】【イヴ・ソマリア】【アイドル歌手兼異世界調査員】 |
貴方の机に程よい厚みのある新書のような本が置いている。
内容はというと、織田義明や、長谷茜。かわうそ?……などの誰かと楽しく過ごしているもしくは喧嘩をしている物語。笑いあり涙あり、そう言った手合いだ。
彼らと一緒に過ごした思い出を書き留めたいなら、思い出すがよい。
その本は厚さに関係なく、白紙を埋めていく事だろう。
そう、思い出はいつもあなたの心にあるのだから……。
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|Д゚)ノ イヴとかわうそ?米国横断ヒッチハイク
ある日のイヴ・ソマリアの自宅。
イヴは日本時刻と行きたい場所の時刻を見比べて…、ある決意をした。
「よし!行こう!」
彼女は、前々からやってみたいことがあった。それは米国の広大な大地を車で横断したいのだ。確かにこの狭い日本で地平線を拝めるのは大きな牧場の多い北海道ぐらいと思う。中国米国などの大陸なら其れこそ壮大なことだろう。因みに、彼女はNYのレコード会社にコネがある。いざというときは頼めるものだ。早速、荷物を軽くまとめ、自分の故郷からこの世界に来たときに使ったテレポートを行使した。
そこで、面白い事が起こったのである。
|Д゚)…
「…」
NYにテレポートでついたとき、側には小麦色のナマモノがキョトンとして座っていた。
「かわうそ?くんだ…」
「あい…かわうそ?ビックリ」
かわうそ?は何が起こったのか分かっていないらしい。彼は時空の狭間で、ゆっくりしていたはずと思っていた。かわうそ?は暫く考え(正確には0.6秒もかかっていないが)多分イヴの能力に引き込まれたのだろうと直ぐに理解し…、
「イヴ〜」
と、猫のように懐いてきた。イヴは彼を抱き寄せて頬擦りする。
「かわうそ?くん!」
「ここどこ?」
「NYよ」
「かわうそ?おどろく」
キョロキョロ見渡すと、確かにNYのメインストリートの一角にいる。イヴは、NYにやってきた理由を話す。かわうそ?もついていく事にした。
「たのしそうでしょ?」
「うぃ」
「じゃ、車借りて行きましょう♪」
必要なものはちゃんと用意しているので、レンタカーも簡単に手に入った。しかしかわうそ?は横断するにはそれ用が良い事と、オープンカーは勘弁と言うので、長距離可能の車種に決めた。キャンピングカーではないが。
イヴとかわうそ?は乗り込んで
「さて、行きましょう!」
と、彼女はアクセルを踏んだ。
市内では安全運転であったが…いざ郊外に入ったとたん…イヴの目つきが変わった。かわうそ?は何か良からぬ事が起きそうな気になって、怯えている。
「ふふふふふふふふふ」
徐々に車のスピードを増すイヴ。目がすわっている。彼女は実は車に乗ると過激な性格に変わるのだ。普段からの鬱積をはき出すかのように、車を飛ばしていく。
「いや―――――――――――――っ!」
かわうそ?は助手席に必死にへばりついているが、何度も天井に身体をぶつけ、しまいには、後部座席でボールになって跳ねていた。
「まだ、まだまだよ〜」
「いた、いたい、いた、痛た!ぶべ!」
かわうそ?舌をかんだらしい。
おそらく、時速70マイルで走っている。あと時速4マイル加速し必要な設備が備わっているなら、あの有名なタイムマシン現象でも起こるのではないか。しかし、其処まで走っていけば、車はガタが来る。イヴは車の運転は出来る。よって、かっ飛ばした結果は。
大陸のど真ん中でエンジントラブル…完全に壊れたのだ(途中でしっかりガソリンなども入れるし、休憩もする。しかし流石にそこでしっかりメンテは出来なかったのだ。かわうそ?はそれどころではなかったわけで)。
「あーこまったなぁ」
イヴは、エンジンから白い煙を上げる車を見て呟く。
「あう〜」
まだボールになっているかわうそ?もつれてしまって元の姿になれないようだ。しかし器用に飛び跳ねたり転がったりするからやはり謎生物。
「転移術つかうとか」
かわうそ?は案をだす。この状態では手軽に帰る方が無難ということだろう。
「いえ、西海岸までヒッチハイクよ!」
「!!」
彼女の笑顔の返答に、ボールナマモノは驚きの顔(?)をした(その表情は見えないが)。だいたい、大陸ど真ん中の荒野でエンジンストップ…しかも、車が通る気配がないこの場所でヒッチハイクとは無茶がある。日本とは異なるのだ。殆ど運勝負になるヒッチハイク。せめて集落か小さな町につくのが先決だろう。彼女は車の回収のプロに知人がいるので其れを任し、かわうそ?を元の姿に戻すことに。悪戦苦闘し2時間もして、やっとかわうそ?はボール状態から解放された。
「はうう」
「ごめんね〜」
「のーぷろぶれむ…いたたた」
車酔いにはならなかったとはいえ、やっぱりボールになったのは痛かったらしい。
「West」やら「Los Angeles」と看板を書いてヒッチハイクすること数時間。やっと1台目を止めることが出来た。ボロの白い車だった。
イヴが多少の会話で交渉し、成功。
まずは、コロラド州まで何とかたどり着く。しかし辺境や田舎では、英語が別の外国言語に変わる辺り、流石米国と言ったところだ。田舎になれば、英語よりかつて植民地時代で使われている言語を用いるらしい。殆どの交渉は何ヶ国語も会話可能なかわうそ?に頼った。そして、人の良い牧場の地元民が運転するトラックに乗せて貰う。
「州都市で車手配して…」
と、思ったかわうそ?だが…又ボールになることは勘弁だった。
まずは野宿せずに牧場で一晩過ごせたことに2人は感謝した。そして、数泊の礼で、牧場の手伝いをするイヴとかわうそ? 更に馬に乗せて貰ったり、この土地の遊びを教えて貰ったりして、楽しんだ。そのあと、町にたどり着いた後、路銀を稼ぐためイヴとかわうそ?は歌ったり、手品をしたりその日の食料と宿の分を手にしてヒッチハイクをする。町を繋いでのヒッチハイクは比較的楽になり、大型トレーナーやキャピングカー、藁を運ぶ馬車、印象的なのは喋る85年トランザム(え?)と二枚目の妙なコンビに出会い、無事5日後にはLos Angelesにたどり着いた。
「やった〜!」
「うぃ」
既にイヴはNYのレコード会社にホテルを頼んでいるのでこの町の高級ホテルにチェックインする。
「さて、一緒に泳ごう!」
ビキニ姿のイヴと、相変わらずな姿のかわうそ?は思いっきり西海岸の海を泳ぎ満喫した。
夜の西海岸を眺めているイヴとかわうそ? この先に、日本があるというのが夢見たいである。
「楽しかったね」
「うぃ」
かわうそ?はイヴに擦り寄る。
「あした、少し遊んで転移術」
「うん、皆にお土産買わないとね」
「ぉぅぃぇ〜」
と、一緒に酒を飲んで、そのまま夜をすごした。
トラブルもあったが、楽しい旅だった。
しかし、帰国は長引いた。
ラスベガスにフラリと寄ったので、そこで2人は大当たり、暫く豪遊してしまったのだ。
多分、1ヶ月はこの国にいたことになるだろう。
お土産はをなりたくさん買って、帰ってきたイヴとナマモノを見た友人達は驚いて何も言えなかったらしい。
End
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【1548 イヴ・ソマリア 502 女 アイドル歌手兼異世界調査員】
【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ?】
※かわうそ?から伝言
|Д゚)…アメリカ広い…。
多分、運悪かったら、のたれ死んでいたか…土地のマフィアと戦っていたかも…。
いあ、イヴならマフィアと戦っても大丈夫だけど…。
旅、楽しかった。
又行きたい。
あ、でも…
車は安全運転でお願い…(ガクガクブルブル)
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