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■爪色の雨■

櫻井千里
【0697】【刀儀・紅葉】【高校生】
春も終わり、夏が近付く梅雨の時期。六月。
怪談話には未だ早いと云うのに、ある噂が流れていた。

「二十八丘公園に少年の霊が出る」

それはやがて噂の域をこえ行方不明者がでる事件となった。
しかし、神隠しにでもあったかの様に忽然と姿を消す事から証拠もなく、
家出人扱いとして捜査は終了の目処が立っていた。

そんなある日。


「雅人、こんなの作ってどうすんだ…。」
斉無量谷は厭きれた様子で、机に置かれたチラシの一枚を手にとった。
「そこに書いてある通りだよ。」
神母坂雅人は座っていた椅子をくるっと回し、こちらを向いた。
一見白紙のチラシには、能力者にのみ見える特殊な仕組みが施されており、
無量谷がじっと眺めるとぼんやりと文字が浮かんできた。
そこには、「二十八丘公園の噂をいっしょに体験しませんか?」と、書かれていた。
「…お前なあ…。」
「面白い噂はこの目で確かめたいと思うでしょ。それに上手くいけば事件解決出来ちゃったりして。」
にっこりとさも楽しげに話す雅人に、無量谷は大きく溜息をつき大袈裟に肩を落とした。
「どうせあれだろ俺が貼りに行くんだろ。」
「ボク頭脳担当、いっちゃん労働担当だもーん。」
反論する気も失せる様な雅人の云い方に更に疲れてしまった。無駄な事を聞いた。
他人迄巻き込むなよ迷惑だろとぶつぶつ云い乍ら、無量谷はチラシを片手に外へ出ていった。

「いっちゃんは優しいなあ。」
さも自ら快諾したような云い方をして、雅人はさっきまでのぞいていたパソコンに向き直った。
「企んでる顔…。」
中原碧が、そう云って雅人の机にコーヒーを差し出した。
「ひどいよ碧。ボクはちょっと気になる噂を見に行こうってだけだよ。」
ありがとう、と雅人は煎れたてのコーヒーを一口飲んで、ああ、と思い出した様に続けた。
「お客さんがくると思うから、お茶の用意してくれるかな。」
「知らない人に迷惑はかけちゃダメなのよ…。」
うん、と頷きながら釘を差したが、
「大丈夫。普通の人はこないから。」
苦笑しながらも、やはり雅人の顔は楽しそうに笑っていた。



みんなでいっしょに噂を体験しましょう。
少年の霊に遭遇すると戦闘が発生します。その際、猫が人間に化けている、
羽根を隠している等のPCは実際の姿に戻る可能性があります。
また、プレイングの内容によって多少のケガを負う場合があるかも知れません。

前回ご参加頂いたPCに対しては、碧は「知っている程度」として対応します。
(碧との会話内容や参加回数によって友好度が変わります)

・参加人数
  1〜5人(集合) 複数での参加ご希望の方はその旨お書き添え下さい
・プレイング
  難易度低 1.参加動機、2.少年との戦闘の際の戦術、3.霊に対する考え
  その他言葉使いの補足や服装指定などありましたら御自由にどうぞ