■狛鬼使い〜狗神憑き〜■
緋烏 |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
「どーしたんだ、草間。俺に連絡遣すなんて珍しいな」
連絡を受けて指定された公園に姿を現したのは善だった。
「いや…ちぃとばかし厄介な依頼が入ってな…お前の分野だと思うんで、悪いが力を貸して欲しい」
いまいち気乗りしない様子の草間に善は怪訝そうに顔をしかめ、依頼書に目を通した。
「………おい…なんで狗神関連の仕事なんて引き受けたんだ」
「…スマン、できれば関わりたくなかったんだが…事情があってな…手を貸してくれるか?」
「…依頼書見せておいて手を貸すもクソもないだろうが。胸糞悪ぃが…受けてやるよ。だが、俺だけじゃ手が足りない。助手が欲しい。それぐらい手配してくれ」
「わかってる、恩にきるよ」
すれ違いざまに善の肩を軽く叩き、助手が見つかったら連絡を入れると言って草間は事務所に戻っていった。
「…しかし…今の時代に狗神を作る奴がいるとはな…」
不機嫌そうな顔のまま、善は煙草の火をつけ紫煙を吐いた。
【調査依頼書】
『都内均衡で多発している野犬に関する被害報告の中に、幾つか不可解な事件が含まれており、調べた結果それらは狗神による犯行と判明。依頼人からの通達により、狗神とその術者を捕獲せよとの事。なお、場合によっては狗神とその術者を始末することも考慮に入れておくべし』
「…狗神を操ることがどれほど大きな代償を払うことになるのか…わかってるのか…?」
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