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■獣達の啼く夜■

水貴透子
【1855】【葉月・政人】【警視庁超常現象対策本部 対超常現象一課】
「今回で7件目か」
 桃生 叶は遺体に被せられているビニールシートを捲りながら小さく呟く。
 今回もまるで獣に食い荒らされたような遺体だった。
 ここ3週間で七人もの人間が通り魔にあっている。
 被害者の共通点は全くなく、共通して言えることは毎回、獣に食い荒らされたような遺体だという事。
「叶さん、気合入ってますね」
 名も知らない同僚達が声を潜めて言っている。
「気合も入るさ、この通り魔事件の最初の被害者は彼女の妹だったんだからな」
 年を取ると口が軽くなうというのは本当らしい。
「…すみませんケド、これ以上見ていても無意味なので失礼します」
 そう言って叶はすたすたとどこかへと歩いていった。
 これが普通の刑事課なら許されないのだろうが、叶が所属しているのは無職一課。
 迷宮入りになりそうな事件、迷宮入りになった事件を調べる一課、といえば聞こえはいいが
 簡単に言えば邪魔者を放り込む用なしの一課、というのが事実だ。
「…ふん、里香の仇は必ずとるわ…」
 そう言って叶は調査書をファイルしてある分厚い本を取り出してパラパラと捲る。
「昨日の事件は公園か、今日の夜にでも調べに行こうかしら…」


         ▽ライターより▽
 初めましての方もそうでない方もこんにちは、瀬皇緋澄です。
 このシリーズ…獣達の啼く夜は一応続きモノですが、短編の集まりにする予定です。
 ですから、最初から参加されても途中から参加されても大丈夫…だと思います^^:
獣達の啼く夜〜act1〜

オープニング

「今回で7件目か」
 桃生 叶は遺体に被せられているビニールシートを捲りながら小さく呟く。
 今回もまるで獣に食い荒らされたような遺体だった。
 ここ3週間で七人もの人間が通り魔にあっている。
 被害者の共通点は全くなく、共通して言えることは毎回、獣に食い荒らされたような遺体だという事。
「叶さん、気合入ってますね」
 名も知らない同僚達が声を潜めて言っている。
「気合も入るさ、この通り魔事件の最初の被害者は彼女の妹だったんだからな」
 年を取ると口が軽くなうというのは本当らしい。
「…すみませんケド、これ以上見ていても無意味なので失礼します」
 そう言って叶はすたすたとどこかへと歩いていった。
 これが普通の刑事課なら許されないのだろうが、叶が所属しているのは無職一課。
 迷宮入りになりそうな事件、迷宮入りになった事件を調べる一課、といえば聞こえはいいが
 簡単に言えば邪魔者を放り込む用なしの一課、というのが事実だ。
「…ふん、里香の仇は必ずとるわ…」
 そう言って叶は調査書をファイルしてある分厚い本を取り出してパラパラと捲る。
「昨日の事件は公園か、今日の夜にでも調べに行こうかしら…」

視点⇒葉月・政人


 今、連続通り魔事件が頻繁に起きている。被害者に共通点はなく、どの被害者も獣に食い殺されたような殺され方をしているのだ。
「これは…人間の仕業とは思えませんね」
 警察関係者は事件を解決する事ができないばかりか、被害が増えているので皆が苛立ちを見せている。そんな中、政人はある女性刑事に目が行った。
 射撃練習場のレーンで射撃訓練してる桃生刑事だ。彼女の妹が連続通り魔事件の最初の被害者なのだという事政人も知っていた。
「肩に力が入りすぎてますよ。それと、視線と射線がずれてます。」
 政人が話しかけると驚いたのか肩をビクッと震わせる。
「あなたは?」
「僕は本庁の対超常班の葉月です。連続通り魔事件について担当の貴方に経緯をお聞きしたくて来ました。」
「話す事は何もないわ。事件に進展は何もないんだから」
 そう言って叶は冷たい言葉を投げかける。
「まぁ、そういわずに。休憩場まで行きませんか?コーヒーくらいなら奢りますよ」
 政人は叶にいうと、叶は渋々ながら政人についていくことにした。

「それで?どうせ貴方も知ってるんでしょ?私の妹が犠牲者の一人だって事。それで何か情報を隠してるんじゃないかって探りをいれにきたんでしょう。誰の指示かしら」
 叶は受け取ったコーヒーを口に運びながらきつい口調で言う。
「まさか。もし何かの情報を持っているんだったら射撃の練習なんかしないでしょう」
 政人の言葉に叶は驚いたように目を丸くして目の前の政人を見た。政人はそれを見て苦笑する。恐らく彼女は被害者の身内という事で上層部から色々と言われてきただろう。先ほど自分で言っていた言葉ももしかしたら誰かから言われた言葉なのかもしれない。
「私は今日、夜に今回の犯行現場まで行ってみようと思ってるわ」
「そうですか…僕も行きますよ。もしかしたら遅れるかもしれないので何かあったらこの番号に連絡して下さい。」
 そう言って紙に携帯の番号を書き出し叶に渡す。
「そう、これは私の番号よ」
 叶も政人に携帯番号を書き出して渡した。
「では、また夜にですね」
 そう言って二人は別れた。また夜、といったが政人自身は現われるつもりはなかった。現われるつもりはない、という表現は適切ではないのかもしれない。FZ−00としての自分は現われるつもりだ。最初から強化服を装着しておけばイザという時に対応しやすいからだ。
「さて、夜の為に少し眠っておきますか」


 そして、その夜。
 政人はトップストライダーで夜の闇を駆け抜けていた。恐らくもう叶は現場についているころだろう。
 キッとトップスライダーを急停止してみると、叶が襲われている姿が目に入った。
「桃生刑事!」
 政人はトップスライダーから降りて叶に襲い掛かっている獣を高周波ソードで斬りつける。獣は呻きながら後退した。
「あ、あなたは…」
 特殊強化服を装着している時の政人のことは知らないのだろう。目を丸くして政人を見ている。
「正義の味方、というところですかね」
 政人は叶の問いにそう答えると、ワイヤーガンで獣の動きを封じる。
「今です」
 叶に声をかけるとハッとして、叶は銃を構える。
「肩の力を抜いて。射線を安定させて…貴女なら大丈夫ですよ」
 そう言って肩に入りすぎている力を抜かせるように言う。叶は一回だけ首を縦に振って銃を発砲した。叶が発砲した銃の弾は獣の額を見事に打ち抜いた。
「お見事です」
 ふぅ、と息を吐きながら銃を仕舞う叶に話しかけると「ありがとう」という一言だけ返ってきた。
「お見事だねぇ、おねーさんと、機械のおにーさん?」
 突然、公園のジャングルジムの天辺から声が聞こえた。声のほうに視線をやると一人の少年が座ってこちらを見下ろしている。
「あなたも襲われたの?危ないからこっちに―…」
 叶が少年に近寄ろうとしたのを政人がとめる。
「待ってください、あの少年、先ほどの獣と同じ感じがします」
「よくわかったじゃない。でもあんな出来損ないと一緒にされるのは燗に触るね。それにアイツを作ったのは俺だし。ライオンと人間の遺伝子を混ぜ合わせて作ったんだ」
 上手くできてただろう?と少年は誇るように言ってくる。
「もと、人間?」
「そう、最近アイツ目立ちすぎてたから始末にきたんだけど、その必要はなかったね」
「あなたは…誰ですか?」
 政人が問いかける。
「夜白、十六夜・夜白っていうんだ。警察の犬が、偉そうな物言いをするんじゃないよ。一つ、教えてあげる。これは始まりだよ。次のショーの企画も進んでいるんだ。楽しみに待ってなよ。そのうち招待してあげるから」
 そう言って夜白はすぅっと夜の闇に溶けて消えていった。
「…終わりじゃない?始まり…?桃生刑事…」
「…えぇ、終わりではないというなら終わらせてみせるまでよ」

 二人の呟きは夜の闇に浮かぶ満月のみが聞いていた。


 次の日

「昨日来なかったのね」
 朝一番で政人に叶から電話がきた。
「え?い、いや…僕は…」
「別にいいわ。カッコイイ人に助けてもらったから」
 そう言ってブツンと電話が切れる。政人は複雑そうに笑いながらツーツーと鳴り続ける電話を見ていた。






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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1855/葉月・政人/男性/25歳/警視庁超常現象対策班特殊強化服装着員

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■         ライター通信          ■
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葉月・政人様>

初めまして、今回「獣達の啼く夜」を執筆させていただきました、瀬皇緋澄と申します。
葉月様のような設定は今までに書いた事がなかったので楽しかったです^^
少しでも面白いと思ってくださるとありがたいです^^
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくおねがいします^^

          −瀬皇緋澄