コミュニティトップへ



■目隠しの森〜獣達の啼く夜act2〜■

水貴透子
【2863】【蒼王・翼】【F1レーサー 闇の皇女】
 七人の犠牲者が出て、事件は一瞬の静寂を迎えた。
 ―…八人目の犠牲者は出ない、はずだったのだが…。
 七人目の犠牲者が出てから一週間、八人目の犠牲者が出た―…。
「ぐっ…」
 現場に向かった刑事の一人が遺体を見て、吐き出す。どんなに刑事歴の長い人間でもこの悲惨な現場を見たら吐き出してしまうのも無理はないだろう。
「吐くのは勝手だけど、現場を汚さないでね」
 叶は冷たく男の刑事に言うと、遺体の方へと足を進めた。
 殺され方は今までと同じ獣に食いちぎられたような殺され方。
 こんな異常な犯罪は今までにないため、同一犯と考えてもおかしくはないだろう。
「…だけど―…」
 今までと違うのは被害者が殺された場所。
 今までは人目につくような場所で殺されていたのだが、今回はあまり人が通らない樹海。間違えれば遺体は誰にも発見されない可能性だってあるのだ。
「…なんで今回はこんな場所に…」
 今までと何か違うのだろうか、叶はそう思いながら現場を後にした。



  ライターより

 この「目隠しの森」は前回の獣達の夜の続きになります。
 ですが、読みきりの短編シリーズなので、前回参加されてない方でも話が分かるように書きます。
 これは発注をかけてくださった方のみが登場する個人受注製です。
 発注をいただきましたら精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。
 
 
目隠しの森〜獣達の啼く夜act2〜

オープニング

 七人の犠牲者が出て、事件は一瞬の静寂を迎えた。
 ―…八人目の犠牲者は出ない、はずだったのだが…。
 七人目の犠牲者が出てから一週間、八人目の犠牲者が出た―…。
「ぐっ…」
 現場に向かった刑事の一人が遺体を見て、吐き出す。どんなに刑事歴の長い人間でもこの悲惨な現場を見たら吐き出してしまうのも無理はないだろう。
「吐くのは勝手だけど、現場を汚さないでね」
 叶は冷たく男の刑事に言うと、遺体の方へと足を進めた。
 殺され方は今までと同じ獣に食いちぎられたような殺され方。
 こんな異常な犯罪は今までにないため、同一犯と考えてもおかしくはないだろう。
「…だけど―…」
 今までと違うのは被害者が殺された場所。
 今までは人目につくような場所で殺されていたのだが、今回はあまり人が通らない樹海。間違えれば遺体は誰にも発見されない可能性だってあるのだ。
「…なんで今回はこんな場所に…」
 今までと何か違うのだろうか、叶はそう思いながら現場を後にした。


視点⇒蒼王・翼

 目隠しの森〜獣達の啼く夜act2〜

 公園での一件から一週間、事件は獣が死んだ事によってもう犠牲者はでないはずだった。
 だが、風は翼に伝える。
 事件はまだ何も解決してはいないということを。
「また…犠牲者が出たのか…」
 風の声を聞きながら翼は小さく呟く。翼の現在地はアメリカ、F1シーズンの真っ最中で帰国をすることは不可能に近い。翼はホテルの自室で誰も入らないようにと指示をした後、風の話を聞く。
 今回の事件は人目につかない樹海で起きた事、これは今までの事件とは異なった部分だと翼は思う。今までの七件の事件はどれも公園など、日と目につきやすい場所で犯行が行われていた。
 しかし、今回は下手をすれば一生誰にも遺体が見つからないような樹海の奥深く。遺体が見つかった事も軌跡に近いだろう。
「今回もあの夜白という少年の仕業なのだろうか…?」
 それは疑問系で呟かれたけれど、確信があることだった。こんな異常犯罪は誰にでもできるわけではないし、第一、犯人であるケモノを作り出していたのは夜白という少年なのだから。他にケモノを作り出す人間があれば話は変わってくるが…。
「…ふぅ…」
 翼は目を閉じて、異空間から神剣を取り出す。翼が念じると手のひらに月の光を思わせる神々しい光の粒子が形を成し、神剣へと姿を変えた。
 そして風に十六夜・夜白の居場所を突き止めるように指示をする。風が夜白を探している間に翼は風と感覚を共有をする。こうする事によって風が見たもの、感じた事、風がすることは翼がする事になる。
「見つけた…」
 暫くすると樹海の中で見覚えのある少年を見つける。一週間前に出会った夜白という少年に間違いはない。翼はその場で剣を振り、十六夜・夜白を斬りつける。この状況では夜白は《斬られた》と感じる間もなく死んでいるだろう。翼は夜白が死んでいるのを風に確認をさせてからケモノの捜索を始める。
 夜白から殺した理由は簡単だ。ケモノを倒した後では逃げられてしまう可能性が高い。一週間前はそれで逃げられている。また夜白を逃がせば罪もない人々が犠牲になってしまう感じたからだ。もう一つ理由をあげるなら夜白は不浄な者だと、翼の中の女神の血が騒いだからだろう。
「…っ…」
 前方に妙な気配を感じる。翼、もとい風が目を向ければそこにいたのはやはり異形な存在だった。前のケモノと比べるなら今回は人の原形をとどめていないということだろうか。
「あらぁ…夜白殺してしもうたんか。困るわぁ、せっかくの仲間やのに…」
 ケモノの隣にいる女性がクスクスと笑いながら言う。困る、といいながらも実際は全然困ってそうには見えない。
「風…?いえ、風と一緒に誰かいるな、誰や?」
 キッと実体のない風を女性は睨みながら言う。夜白を仲間と呼んでいるということはこの女性も人間ではないということだろうか。
「まぁええわ、あたしは紫峰堂みちる、説明はいらんかも知れんけど鳥と人間の合成遺伝子生命体や、こっちはあたしの可愛いペットや。鳥と獅子の遺伝子を混ぜたンや」
 そのケモノの口の周りに赤黒く変色したものがついている。今回の犯人は鳥と獅子の合成獣ということだろう。
(今回は夜白は関係なかった…?)
 翼は心の中でそう思う。そして思った後に夜白を殺した要領でケモノを斬りつけた。ドス、と胴と頭が離れ落ちる音がした後にみちるは冷ややかな目でケモノを見ていた。
「あー…また作り直しやんか…。誰かは知らんけど、このままじゃすまさへんよ。夜白のカタキも取りたいさかいにな。それに、イイ事を一つ教えたるわ。敵はあたしらだけやないんやで、…ほな、さいなら」
 そう言ってみちるは背中に出した黒くて大きな翼を羽ばたかせながら樹海から姿を消した。
 夜白に仲間がいた。それは翼も予想外で少々驚かされた。風と感覚を共有する事をやめて、翼はソファに倒れこむようにして座る。
「…流石に疲れたな…」
 ふぅ、と溜め息をつきながら翼は天井を仰ぐ。あの紫峰堂みちるという女性は何かゾクとした。笑ってはいるのに目が笑っていないのだ。まるで爬虫類を思わせるそのみちるはこれからも翼と会う事になるだろう。
 負ける、とは思ってはいない。パッと見た感じでは戦闘能力は遥かに自分の方が高い。だが、あのみちるという女性には戦闘能力を補うだけの残酷さを持ち合わせている。
「…これから、どうなるのかな…」
 翼はそう小さく呟いた。
「それに―…」
 みちるが最後に呟いた「敵はあたしらだけじゃない」という言葉もどこか引っ掛かる。自分達で作り出したケモノの事を言っているのならば遠まわしな言い方などせずにそう言うだろう。
「まだ…他にもいるのか?」
 まだあの言葉の意味を知るものはみちる以外にいない。
 だけど、翼はそう遠くない未来にみちるの呟いた言葉の意味を知る事になる。その意味を知った時の翼がどうするのかは、まだ誰も知らない。


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

2863/蒼王・翼/女性/16歳/F1レーサー兼闇の狩人

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

蒼王・翼様>

いつもお世話になっております、瀬皇緋澄です。
今回は「目隠しの森」に発注をかけてくださいまして、ありがとうございます^^
「目隠しの森」はいかがだったでしょうか?
少しでも面白かったと思ってくださったらありがたいです^^
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくおねがいします^^


         −瀬皇緋澄