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■hunting dogs ―高額賞金首捕獲■

文ふやか
【3359】【リオン・ベルティーニ】【喫茶店店主兼国連配下暗殺者】

――プロローグ

 始終眠そうな顔をした男と評される深町・加門は、言葉通り始終眠たいのである。
 改造車のビートルは不機嫌にモーターを回している。この時期、エンジンを止めるなんてバカのやることだ。暑くてかなわない……加門は癖気のぼさぼさ頭をかいた。ひょろりと長は足はハンドルの上。
 クラッキーは新宿、赤坂、六本木と飲み歩いている。銃を保持したボディーガードが六名。ヤクの売人だったから、生きて捕獲しなければならない。――そういう規則があるのだ。

 ポット・ハンティング、と加門のライセンスを出している場所は銘打っている。
 英語のできる相棒によれば、数撃ちゃ当たれという意味だと聞いている。
 無茶苦茶な時代になったものだと、加門はかすかに子供の頃のベッコウ飴の味を思い起こす。それも一寸のこと。
 クラッキーの首を狙っているのは、加門だけだろうか。

 ――next
 huntingdog01 高額賞金首捕獲

――プロローグ

 始終眠そうな顔をした男と評される深町・加門は、言葉通り始終眠たいのである。
 改造車のビートルは不機嫌にモーターを回している。この時期、エンジンを止めるなんてバカのやることだ。暑くてかなわない……加門は癖気のぼさぼさ頭をかいた。ひょろりと長は足はハンドルの上。
 クラッキーは新宿、赤坂、六本木と飲み歩いている。銃を保持したボディーガードが六名。ヤクの売人だったから、生きて捕獲しなければならない。――そういう規則があるのだ。

 ポット・ハンティング、と加門のライセンスを出している場所は銘打っている。
 英語のできる相棒によれば、数撃ちゃ当たれという意味だと聞いている。
 無茶苦茶な時代になったものだと、加門はかすかに子供の頃のベッコウ飴の味を思い起こす。それも一寸のこと。
 クラッキーの首を狙っているのは、加門だけだろうか。


 ――エピソード
 
 クラッキーは今まで巡っていた店とは違う、ひどく寂れたバーへ入って行った。
 深町・加門はビートルをゆっくりと停め、ボディーガードの人数をどうさばくか計算しつつ煙草を窓から車の外へ落とした。
 ハンドルに覆いかぶさるようにして、フロントガラス越しに朽ちかけた看板や外れそうなドアを睨みつける。クラッキーの賞金は三十七万、捕獲時に多少店の物を壊したとして、器物破損の料金を引かれたとしても、三十万は手元に残る。

 コンコン、と車がノックされる。加門は驚いて視線を道路側に面する窓へ上げた。
「喫煙者のマナーは守りなさい」
 開けたままの窓から、加門の捨てた煙草を摘んだ手が出てくる。加門は細長く形のいい指から煙草を取り、無言で窓の外の人物を見上げた。ブルーグレーの細身のスーツを着た、眼鏡をかけた長髪の外人が一人、鶺鴒のように小首をかしげて立っている。
 加門はただ顔をしかめて煙草の吸殻を受け取り、もういっぱいになっている灰皿にそれを押し込んだ。
「あんた、街の清掃係さん?」
 一応問う。
 軽口に聞こえたのか、そうではないのか、ともかく外人の男はおだやかに笑んで、冷えた缶コーヒーを一本加門に差し出した。加門は無言でそれを受け取り、フロントガラスを一瞥してからその男に言った。
「同業者か?」
「キミの職業は、賞金稼ぎかな」
「なんの用だ」
 口調が鋭くなる。男はくすくす笑って、片手を振った。
「別に賞金を横取りしようなんて思っていないよ。ただ――クラッキーはあまり好きではない」
「組織の人間か、あんたは」
「違うな。薬を扱う悪人は、許せないと言えばいいか」
 ふうん、と少し怪訝な顔で加門は鼻を鳴らした。フロントガラスの向こうで、白い影が店の中に消える。
「……いまの、なんだ」
 加門が短く訊くと、男はすぐに後ろへ飛び退いた。素早くドアを開け、肩を並べて店へと歩き出す。
「俺は深町・加門、察しの通りだ」
「私はケーナズ・ルクセンブルクです」
 ケーナズと加門は寂れたバーの出入り口で立ち止まった。中から、物音がする。
 加門が色めき立った。
「ちっ、あっちが同業者か」
 加門がドアノブに手をかけたのを、ケーナズが制する。
「罠の可能性は」
「かまうか」
 言い切り、加門は乱暴にドアを開けた。
 
 店の中は、割れたガラスが飛び散り男が数名倒れていた。ドアを背にしている長身の白い影の男が、クラッキーを縄でしばっているところだった。加門が「ちっ」と舌打ちをする。
 そして白い影はケーナズと加門を振り返り、その流れで胸から拳銃を出した。タン、床を蹴る音がして、加門が白い影の右手を蹴り上げる。拳銃が床へガタンと落ち、加門は続けざまに鳩尾に拳を入れた。
 加門のカンフーのような動きに、ケーナズは面白くなって手を叩いた。
「面白い技を使うんだな、深町くん」
 ケーナズは落ちた拳銃を拾った。古いワルサー社の自動拳銃だった。それから、片膝をついている白い影に声をかける。
「キミは?」
 縄でしばってあるクラッキーに、加門が手錠をかける。そして加門も、白い影に訊いた。
「なんなんだ、お前は」
 白い影の人物は、白衣を着た男だった。頭を覆うようにバンダナをつけている。ケーナズと同じように金髪だった。
「それはこっちの台詞だよ、いきなり、なんなんだ」
 痛みから立ち直れないのか、情けない声で言った。加門は鼻で笑い
「いきなり銃口向けられてみろ」
 怒声交じりで言った。ケーナズは加門を落ち着かせるように、手で制しながら訊いた。
「猟犬(賞金稼ぎ)か? キミ」
「……なんだ。クラッキーの取引相手じゃないのか」
「そういう誤解か」
 白い影はリオン・ベルティーニと名乗り、賞金稼ぎは本業ではないと話した。
 
 そこへ、一台の車が到着する。
 開いたドアから、黒服の男が二人無遠慮に入ってきた。ケーナズが身構える。その後ろに、品のいいスーツを着た男も続く。すぐに三人は異変に気付き、ボディーガードであろう黒服の男がパイソンを抜いた。
 ケーナズが動く。瞬いた瞬間に、ボディーガードの男の目の前に移動した。コメカミに肘鉄を入れ、隣の男の腹に膝を食らわす。一瞬にして二人の男はその場にうずくまり、無防備な頬骨の出た身ぎれいな男が、一人その場に立ち尽くした。
「ケーナズ」
 加門が呼んだので、ケーナズは三人の男へ向けていた意識を加門へ向けた。
「そいつはまだいい」
「なにがです?」
「賞金のかかった顔じゃないってことさ」
 男が一目散に逃げて行く。開け放たれたドアから、黒光りするベンツが見えた。その男は転がり込むように車へ乗り、車は急発進して行ってしまった。
「キミって人は、賞金がかかってないと悪人を捕まえないのか」
 呆れ声でケーナズが苦笑する。
 加門は又もとの眠そうな顔に戻り、クラッキーの身体を足の先で突きながら答えた。
「クラッキーをぶちこむ。取引き相手が浮かぶ、賞金がかかる。どうせ、捕まえるんなら金もらわにゃ損だろ」
 ケーナズはわからないと頭を振った。
 そこへリオンが、加門に文句を言う。
「捕まえたのは俺だ、8、1、1でどう?」
「バカ言え。これは、俺の獲物だ」
 加門は即刻却下して、クラッキーの首根っこを捕まえて歩き出した。
「なあ、ケーナズ」
「なんです」
「今のあれ、捕まえるときにゃ正義の味方のお前も来るか」
 ケーナズは少し考えて、深町・加門が悪党には思えなかったので、ふふりと笑ってから答えた。
「呼んでもらえればね」
 加門はかすかに口許を持ち上げて笑うと「そうか」と呟いた。
 並んで外へ出た二人の間に割って入って、リオンは抗議した。
「俺にも分け前くださいよ、クレジットカード割れちゃったんだよ」
「知るか」
 短く切り捨てる加門の後に、ケーナズが笑いながら続けた。
「1割ぐらいあげたらどうだ。私の働き分ということで」
 リオンは口の中で「つーかクラッキー捕まえたのも本当は俺なんじゃねえのかよ」と愚痴っている。
 加門が面倒そうに答えた。
「あーぁ、わかったわかった」
 
 リオンはガソリンが一滴もないらしく、加門の車に乗り込もうとしたところを加門に咎められていた。
 ケーナズは変な賞金稼ぎを微笑ましく思いながら、愛車カレラGTへ乗り込んだ。
 
 
 ――エピソード2
 
 迷惑をこうむっている。翌日から、リオンはそう言わざるを得なくなった。
 例えば、始終ついてくる影だとか。突然襲い来る暴漢だとか。偶然か故意にか足元に落ちてきた植木鉢だとか。
 そんなことを大したことがないと、言えなくもない。が、やはりそういった輩は邪魔なものだ。
 リオンはディアブロを軽やかに走らせながら、追ってくる者が一体どういう経由でリオンを襲うのか、調査をしなければならないと実感していた。明らかに敵意を持った存在は排除しなくてはならない。
 リリリリリ、携帯電話が鳴る。知らない番号に顔をしかめながら、リオンは電話に出た。
「もしもし、バカか」
 聞いたことのある声だった。
「バカはないでしょうよ、加門さん」
「襲いくる不幸は体験済みか」
 少し笑みの含まれた声で訊かれた。深町・加門は特殊能力を持っていないようだった。人数の多い暴漢に囲まれたら、一たまりもないだろう。拳銃を持っているわけでもなく、身一つで戦う男のようだ。
「それより、どうして電話番号を?」
「賞金稼ぎってのは情報商売でもあるんでね」
「それじゃあ、やっぱりあの連中は昨晩の」
「手早く説明する。逃がした男は警視吉岡、ヤクザ崩れの組織ジャッカルと癒着。クラッキーは警察に引き渡される前に射殺される。でだ」
「つまり、ジャッカルは吉岡を見た俺達を消したいと」
「ドンピシャさ」
 リオンはかすかに笑んで、バックミラーで尾行を続けるバンを見た。
「ケーナズと連絡を取った。東京湾の倉庫へ奴等を集めるそうだ」
 電話口の声に顔をしかめ、リオンは答えた。
「どうしてそんなことを?」
 加門はめんどくさそうに言った。
「ケーナズの旦那の指示さ。奴の能力が、見れるかもしれねえぜ」
 それからすぐ、電話は切れた。

 ケーナズは窓の外をちらりと見た。
 反対車線を逆走する形で銀メタリックのディアブロがやってきた。ちらりと横目にすると、またバンダナを巻いた白衣姿のリオンが目に入る。ディアブロの後ろには、ビートルというよりカナブンと言った方が正しい、緑色の車が走っていた。
 一番加速に適しているカレラGTを先に促し、二つの車はカレラの後ろへ入った。すぐに倉庫が見えてくる。
 ケーナズは高速でハンドルを切り、倉庫前に向かった。キキキキとタイヤとアスファルトのすれる音がする。窓を開けて後ろを見ると、白いバンと黒いボルボ、それが三台ずつケーナズを追いかけていた。
「六台か」
 カレラGTを停めたのは、倉庫の並ぶ海沿いの一角だった。それぞれの車が停まり、追っ手の車も停まった。挟むように逆サイドにも車が停まる。ケーナズと加門、そしてリオンが降りると、車から拳銃を片手に持った男達がぞろぞろと降りてきた。
 加門が眠そうに目を瞬かせてから、のんびり言った。
「ケーナズの旦那はあっち、俺達はこっち」
 前からの敵にケーナズを当て、後ろの敵にリオンと加門を当たることになった。
 ケーナズはゆっくりと片手を目の位置まで持ち上げて、眼鏡を取った。
「伊達眼鏡か?」
 気付いたリオンが訊いたので、ケーナズは笑顔で答えた。
「見えすぎはよくないですから」
 眼鏡は自制につけている。本当の能力は、取ったときにわかる。ケーナズは意味深長に微笑んで、駆け出そうとしている加門へ言った。
「一瞬で終わらせますよ」
 加門は聞いていたのかいなかったのか、何も言わなかった。
 
 ピンと張った空気の中で、誰も動けなくなる。一瞬跳躍したかに見えたケーナズは、その場所とはまったく違う場所に現れ、そして武器を持った男達を昏倒させていった。軽く肩を触るような手つきで、ケーナズは消えては現れそして消え、拳銃を手に持った全ての男と運転席に残っている数名の意識を軽々と奪った。
 動けなくなったのすら、ケーナズの能力なのだろう。
 加門は唖然としてケーナズの追えない身体を目で追っていた。リオンは、こういった能力を見ることに慣れているのか、そんなに驚いている様子ではない。手を頭の後ろで組んで、ひゅぅいと口笛を鳴らしたりしている。
 そして本当に数秒間を数える間に全てが終わり、ケーナズはスーツの襟を正しながら黒いカレラGTの前に立っていた。

 リオンと加門は身軽に五名の男達のサブマシンガンを避けるようにしていた。リオンが撃ちこむ。爆音と硝煙があがる。いつもそのタイミングを逃さず、加門が突っ込んでいく。長い足が頭に打ち下ろされ、同じ瞬間に右手で頭を薙がれる。
 またリオンが二人の男を撃つ。
 撃たれた男がゆらゆらと立っているところへ、加門が横顔を蹴り上げた。

 ――エピソード3

「しかし、やってもやってもキリがないのでは?」
「その通り」
 深夜のファミレスである。客はいない。加門に負けず劣らず眠たそうな顔をしたウェイトレスが一人だけいた。
 ケーナズが眼鏡を上げながら言い、オムライスを口に入れた加門が答えた。
 リオンはビーフシチューを持て余し気味に口へ運びながら、白衣の中へ手を入れて、ぴらっと写真を取り出した。
「なんだそりゃ」
 リオンの前に座っている加門が写真を摘む。マジマジと見つめると、加門の隣に座っているケーナズも写真を覗き込んだ。
 もぐもぐと口を動かしながら加門が言う。
「こりゃあ……」
「飲み込んでからしゃべりなさい」
 ケーナズがもっともな注意をする。加門は押し黙り、もぐもぐと租借をした。
 写真には、拳銃を構えたボディーガードと吉岡が映っている。加門は口の中の物を飲み込んだのか、ようやく口を開いた。
「取引に使えそうなネタじゃあねえぜ、クラッキーとの取引現場ならともかく、俺達がぶっ潰しちまったわけだからな」
 加門の手からケーナズが写真を取り上げる。伊達眼鏡が深夜のあけっぴろげな蛍光灯の光を反射して、きらりと光った。
「なんだあ? どうした」
 口では興味を見せているものの、我関せずで加門はオムライスを口へ放り込んだ。
 ケーナズがリオンと目を合わせる。
「バッチだ、これがきっとジャッカルのバッチなんでしょう」
 ケーナズの言葉に、もごもごしっ放しの加門はケーナズの手元を覗き込んだ。しかし、バッチらしきものは確認できるものの、それにどんな印が入っているかなんてわからない。これでは証拠として価値がないではないか。
 しかしリオンは得意げに笑う。
「入ってきた瞬間を激写しといたってわけです。なかなかよく撮れてるでしょ」
「だから」
 文句を言いかけた加門を遮って、ケーナズが言った。
「引き伸ばせばバッチが出るな」
「銃を持ってる奴と警視が一緒じゃあ、見栄えが悪ですよ」
 二人とも満足気に笑った。
 加門一人が、煮え切らぬ様子でオムライスを平らげた。
 リオンがうんうんとうなずきながら言う。
「この写真を持って、さっきのザコから聞き出した情報の本拠地に乗り込んで、ボスに直談判しましょう。さっきの様子だと、吉岡は保身のためにジャッカルを使っているわけでしょ。だったら、ボスにこいつでも突きつければ」
 こいつ、とリオンは右手でピストルを作ってみせた。
「物騒ですがしょうがないな」
 ケーナズも頭を縦に振った。しかし加門だけが、膨れた腹をさすりながら
「気が乗らねえなあ」
 などと無責任なことを呟いている。
 
 気配が動いた。ピンコンピンコンとファミレスのドアが鳴っている。
 一瞬ケーナズがリオンと加門を見やった。ケーナズがソファーから滑り降りるのと同時に、リオンと加門も身体を机の下に滑り込ませた。机の足を引っぱって、ガタンと横倒しにする。
 突然の銃声。
 ガガガガガガガ、サブマシンガンの音がする。ファミレスの机が弾を防いでいた。
 リオンが拳銃を引き抜きダウン、と爆音がして机の影から乱入者の肩を撃ち抜いた。硝煙の匂いが立ち込めている。ケーナズと加門が目を合わせるが速いか、ケーナズは瞬間移動とやらで一人の男の後ろから、頭に両手を叩きつける。そこへ加門が走りこみ、三人目の男のサブマシンガンを片手で押さえながら、加門は片足をするどく上へ蹴り出して男の顎を強打した。
 リオンが意識を失いかけている男の一人のむなぐらを掴み、しゃがみ込みながら訊いた。
「やっぱりおたく等、吉岡の命令で動いてるのか」
「簡単にしゃべると思うなよ」
 けっ、と男が吐く。
 加門はその男の近くまでとぼとぼ行き、持ち上がっている上半身の横っ腹を無駄に長い足で蹴った。
「吐く気になったか」
「吉岡は大事な取引相手だ、守ってやれと」
 語り出した男にケーナズが苦笑をする。加門は、苦笑の意味を巧く汲めずただ眠たそうな顔のまま頭をかいた。
 
 
 全員車の中だった。
 夜八時を回ったところだ。武器はリオンが用意した。ケーナズは「一つもいらない」と言った。仕方がないので、加門は小型爆弾を数種類と手榴弾を数個手に取り、匕首も持った。
 本拠地へ乗り込もうという算段だった。
 隠れたりしない。GTカレラに続きディアブロ、そして古びたビートルが六階建ての建物の前に停まった。
 パン、という銃声がして、ケーナズが軽く手をかざす。サイコバリアーとやらのせいで、ケーナズに銃火器類は効かない。それを合図に全員が中へ飛び込んだ。ケーナズが前方の二人を手早く昏倒させるのに続き、リオンが見える範囲の敵を射殺していく。加門は一番後方で、残っている雑魚共を右手で薙ぎ、足を器用に回して倒していった。
 階段を上ると、前と後ろから挟まれる。
「進め」
 加門が叫ぶと、ケーナズは後ろを気にすることなく前方の敵を瞬殺していった。加門は小型爆弾を壁に設置し、体制を低くして階段を上がった。三階への階段を上りきったところで、遠隔操作のスイッチで爆弾が爆発し、後ろの敵が吹き飛んでいく。
 リオンがひゅぅぃと口笛を鳴らした。
 ケーナズの見えない動きをぬうように、リオンが男達を狙って撃つ。洩れてきた奴等を加門があしらう。行き過ぎる壁に爆弾を仕掛けては、爆破させる。
 そうして、三人はボスがいるであろう部屋に辿り着いた。
 扉を蹴破って中へ入ると、難しい顔をした小さく丸い男が三人を睨みつけていた。
「どういうことだ、死にたいのか」
 まず頭領であろう男は言った。しかし、三人とも曖昧に笑ってみせただけだ。
 一瞬のあと、ケーナズが頭領の後ろに回り首に手をかけた。続いて、リオンが旧式のワルサーを頭領の頭に狙いをつけて突きつける。
「吉岡の件から手を引け」
 頭をボリボリかきながら、加門が他人事のような口調で言う。
「じゃなきゃ、天国逝きに駆け込んでもらう」
 それから少しして、吉岡からは手を引くと頭領は苦い顔で承諾した。
 ケーナズは腕を頭領から離し、歩き出しながら笑った。
「これ以上私達に手出しをするようなら、手段は選びませんよ」
 ジャッカルのビルは半壊状態だった。
 ケーナズが「眠たいですね」と言うと、リオンは同意を示したが、加門は一番眠たそうな顔をしているというのに「そうか?」と疑問符で返した。

 ――end


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1481/ケーナズ・ルクセンブルク/男性/25/製薬会社研究員(諜報員)】
【3359/リオン・ベルティーニ/男性/24/喫茶店店主兼国連配下暗殺者】

【NPC/深町・加門(ふかまち・かもん)/男性/28/賞金稼ぎ】

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■         ライター通信          ■
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「hunting dog―高額賞金首」にご参加ありがとうございます。
ライターの文ふやかです。
戦闘中心のお話でしたが、いかがだったでしょうか。
では、次にお会いできることを願っております。

 リオン・ベルティーニさま
 
 毎度どうも! ご参加ありがとうございます。
 若干踏んだり蹴ったりな状況で申し訳ありません。今後、リオンさまの射撃以外の特殊技能を活かせればと思います。。
 少しでもご希望に添えていれば幸いです。
 ご意見がありましたら、お気軽にお寄せください。
 
 文ふやか


※追記※
今回不備がありましたので、再納品させていただきました。