■かわうそ?と愉快な仲間達1■
滝照直樹 |
【2371】【門屋・将紀】【小学生】 |
貴方の机に程よい厚みのある新書のような本が置いている。
内容はというと、織田義明や、長谷茜。かわうそ?……などの誰かと楽しく過ごしているもしくは喧嘩をしている物語。笑いあり涙あり、そう言った手合いだ。
彼らと一緒に過ごした思い出を書き留めたいなら、思い出すがよい。
その本は厚さに関係なく、白紙を埋めていく事だろう。
そう、思い出はいつもあなたの心にあるのだから……。
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★母らしき人を訪ねて東京都?
近頃門屋心理相談所にやってくる美人、加登脇美雪と知り合った門屋将紀。彼女の存在が、いつもは隠していた感情が吹き出してくる。
そう、母親が恋しくなる感情、“寂しさ”だ。
彼女の食事が門屋家に転がり込んできた時の最高のごちそうだったし、なにより、何故あの奇妙な格好の叔父があんな綺麗な人と知り合いなのかも謎。それより、寂しさが支配している。叔父が神聖都学園のスクールカウンセラーになってから、帰宅しても一人というのもこの寂しさに拍車をかける。
「はぁ、母ちゃん」
加登脇美雪がいつもここを訪れる訳もない。
つい最近発売された青いコーラテイストの炭酸を飲みながら、叔父の仕事場にかかっているホワイトボードを見る。そこには叔父独特の汚い文字で加登脇美雪と書かれ、井ヶ田総合病院の記事を見つける。
「ここにあの人がいるんや!」
記事をはぎ取り、しっかり鍵をかけて将紀は出て行ってしまった。
とは言っても、彼は東京の“広さ”を知らない。地図ではかなり小さい様に見えて、入り組んでいる故に広く感じるのだ。地下はダンジョンだし、沿線も複雑。将紀は殆ど通学路か草間興信所付近しか知らない。叔父に付いていって、おそらく神聖都ぐらいはわかるだろうが、あやかし荘は知らない。
「ここ……どこ?」
秋葉原。
昔はトランジスタなどの小さな電子部品を売っている場所だが(科学者は其れで研究するための測定機器を必死に作っていたそうだ)、電化製品とパソコン他、アニメやゲームオタク文化の通りと化している。
将紀にとって此処は大阪のでんでんタウンと同じようなものだろうが規模が違う、気迫が違うのだった。
つい、此処で遊びたくなる彼だが、記事をみて止めた。一刻もあの美人に逢いたいのだ。
マセガキであるが、甘えたいのだった。
そこで、UFOキャッチャーの中で寝ていたあの小麦色が動き出した。
本屋で地図を調べて、何とかルートを割り出す将紀。その通りに行ってみたら……海が見えた。
「違う! こんなところじゃあらへん!」
地図で調べたのは良いが、行き方が逆になってしまったようだ。
もうお小遣いもなく、その場で佇む将紀。
「迷子になったんやなー」
と、ため息をつく。
無計画すぎたなど、色々思い出してしまいそこでしくしく泣く将紀。
「会いたいよう……お母ちゃん」
潮風は彼を撫でるように吹いている。
この、人との距離が遠い世界・東京で彼は一人だった。将紀はへたり込む。しかし、彼に声をかける者はいない。良くて“どうせ、親とはぐれたのだろう”と、親が捜しているはずと思っている訳である。
泣いていた。
近くの海鳥も鳴く。
|Д゚) ようマセガキ。
聞いた覚えのある声がした。
人の言葉を話すのだが、声からして人ではなさそう。
「あ……、ナマモノー!」
将紀はかわうそ?に抱きついて泣いた。
|Д゚) 落ち着く。事情話せ。マセガキ。
「ひっく、マセガキは余計や」
|Д゚)ノ 事実話したまでやで。
「なんか、関西弁がへん」
|Д゚) うっさい。迷子が偉そうにいうな。
「う……、何でしってんねん」
|Д゚)そんな風にへたり込んで泣いていたら分かる。
と、この謎生物に色々言われる将紀。
この際、コレに頼るしかないだろう。いや、信用できるのがこのナマモノとい事が悲しい。
|Д゚#)ぷー! 失敬な!
「加登脇って言うべっぴんさんしっているやろ?」
「あい」
「捜してんねん。あの人に会いたいねん」
「うぃうぃ」
と、落ち着いてかわうそ? に訳を話す。将紀。
かわうそ? は、彼の言いたいことをしっかり聞いていた。
「ナマモノはなかがいいやろ? だから捜してくれへん?」
「うぃ、着いてくる」
かわうそ? は将紀の手を引っ張ってタクシーを止めた。しかしこのタクシー何かが違う。
「……茶色いタクシー? ……運転手がいないやん」
「いらっしゃい。井ヶ田病院ね」
「喋った! って運転手あんたかー!」
「かわうそ?タクシー?」
相変わらず、マイペースなかわうそ?と運転手のかわうそ?
「って、あんたが2匹居るー!? 単一存在とちゃんかー!」
今まで泣いていた将紀はどこから突っこもうか悩むまで元気が出てきた。
|Д゚)ノ かわうそ? が唯一無二の存在とおもうなー(勝ち誇って言うナマモノ2匹)
――|Д゚)……実は前に体得した“謎分裂”しているだけなんだけど。
タクシーの中でバカ騒ぎしながら、将紀は一路加登脇が居る井ヶ田病院に向かうことが出来た。流石、かわうそ?タクシー。道路だけではなく水路も使う。
「濡れないから安心」
――そう言う問題じゃない。
井ヶ田総合病院。
入り口で、加登脇が背伸びしている。もう診療時間も終わり、夕日を眺めてかわうそ?が来るのを待っているのだ。
なんでも、無線から電話回線に乱入し(違法じゃないのか?)で“ |Д゚) 届けたい者がいる”と聞いていたからである。
「大体見当は付きそう」
彼女はエスパーで、近い“未来”も読み止める。殆どがテレパス系とヒーリング系が神の領域で使う。今回は未来予知を使うわけもない。誰が届けられるかもう分かり切っていたのだ。
「しっかり甘えて良いよ。甥っ子ちゃん」
クスリと笑う加登脇。
かわうそ?タクシー?が到着する。するとタクシー自体が消え失せてかわうそ?1体と将紀だけとなった。
「あ……」
将紀はすでにタクシー?やかわうそ?に突っこむことなど忘れている。
「お母ちゃん会いたかった!」
将紀は、目の前の美人医師に向かってかけだし、泣きついたのだ。
「うわーん!」
加登脇は、子供を優しく抱き留めて、頭を撫でて優しくあげた。
|ДT) まくらちゃう。重いー。
と、ベッドでかわうそ?が泣いている。
「良いじゃない。役に立てるのは嬉しいでしょ?」
|Д゚) いじわる。
ナマモノは将紀が泣き疲れ眠っているところ、枕代わりにされているのだ。
彼の不満を聞き流して、早速加登脇は将紀が住む自宅に電話する。
「もしもし、加登脇です。こんにちは。実は……」
電話から、1時間もしないウチに、将紀の保護者が飛んできたのだった。
|Д゚) 解放された。
将紀の冒険はひとまずコレまで。
今はよき夢を……。
End
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【2371 門屋・将紀 8 男 小学生】
|Д゚) NPC通信也―
加登脇「お疲れ様、将紀ちゃん。でも無茶は行けませんからね?」
|Д゚)…… 何か不満そう。
加登脇「そう言う役回りじゃないの?」
|Д゚) ちがうー!
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