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■★鶴来理沙の剣術道場■

雛川 遊
【3505】【梅・蝶蘭】【中学生】
剣神リアイアの巫女、鶴来理沙の剣術道場です。
理沙と一緒に武の道を極めたい人や、必殺技の修行をされたい人は修行をされて汗をかいてみませんか?
剣術道場では修練を積むお手伝いから戦いのアドバイスまで、手広くカバーしています。
なんとなく和みたい人も大歓迎!
ぜひ一度当道場の門をお叩きください。

★鶴来理沙の剣術道場

●ようこそいらっしゃいました! 〜オープニング〜

 はじめまして。
 当道場は剣神リサイアの巫女、鶴来理沙(つるぎ・りさ)の剣術道場になります。
(――――つまりこの私が道場主です!)
 場所はあやかし荘の大部屋を間借りして開いています。が、とある結界の力を用いて道場内に色んな修行の場を出現させたり、古の武術を伝える師範がいたりと、ふつーの道場ではないのです。
 武の道を極めたい人、必殺技の修行をされたい人、なんとなく和みたい人などは、ぜひ当道場の門をお叩きください。ビンボーですががんばりますので!
 あ、それと補足がひとつ。
 ただいま門下生希望者は、随時熱烈大歓迎です☆

 それでは、本日も良き修行をいけいけごーごー!!


●本日の修行、開始です!

「はじめまして、えっと‥‥蝶蘭さんですか?」
「《でぃえらん》と読まれてください」
 鶴来理沙の目の前に立っている少女は、剣道着に着替えた姿で折り目正しく一礼した。
 背中まである艶やかな黒髪と白磁のような肌が胴着の清廉さに映えて、凛とした印象を醸し出している。
「それでご希望は、剣術の基本でよろしいですね」
 頷きで肯定した 梅 蝶蘭(めい・でぃえらん)は早速、基本形の修行に入る。森羅万象のあらゆる事象・物質を《剣》に変えることができる能力を持つ蝶蘭にとって、剣を学ぶということは自分と向き合うこと。
「それでは一通り《剣の型》を見せていただけますか?」
「剣の型――普段の戦い方のことですか?」
「はいっ。敵を想像して、簡単でいいので、その時の動きを見せていただけたらと思います」
 戦い方、特に剣技にはその人特有のクセがあるのだ。流れ、流派といってもいいかもしれない。
 本格的に技を学んだ人ほどその傾向は顕著で、戦い方の技術の流れを理解せずに教えることは、剣の技術を損ね、百害あって一理なしなどという結果にもなりかねない。基本練習であればなおさら技術の流れを無視できない。
「‥‥ということなんです。戦いの癖は、無意識で身につけている人も大勢いますし。今度ご自分でも意識してみると思わぬ発見があるかもしれませんよ?」
「そうですか――理解しました。では、私の動きはいかがでしたか」
「大丈夫です。大凡つかめましたので、それにそった基本練習を行っていきましょう」
 新しい技の引き出しを増やすよりも、今日の蝶蘭の練習は今彼女が身につけている動きを、より高められるような方向でメニューが組まれることになった。
 にっこりと笑い完成したメニューを差し出して、理沙はようやく指導を始めた。

                             ☆

 一通り基本形の練習を終えた時、理沙が「なぜ強くなりたいのですか?」と訊ねてきた。
「強くなる理由について?」
「はい、ちょっと気になったもので」
 正座しながら汗を拭いていた蝶蘭は、強い意思を込めた瞳を向ける。
「戦闘用の特殊能力を身につけて生まれた以上、力無き人達を守りたいので‥‥」
「そう‥‥立派なこころざしですね」
「あと、せめて根性曲がりの上の弟と、やんちゃな下の弟を言うこと聞かせるぐらいにはなりたいですね。それに」
 苦笑しながらうつむいて、ポツリと呟く。
「‥‥日常生活では、全く役には立たない能力ですから」
「それは違いますっ!!」
 理沙は強く否定した。自分でも意外だったようでハッと驚いて手で口をふさいだが、おずおずと手を下ろすともう一度、はっきりといった。
「‥‥ちがうと、思います。剣は戦うだけのものではありません」
「でも、この能力がどのように役に立つと言うのですか」
 蝶蘭は静かに立ち上がると、手を何もない空間に差し出し――瞬時に手の中に剣を出現させる。

 ――――私の剣は、どこにもあるし、どこにもない。

 「空気」を剣に変えたのだ。
 道場主である理沙の実力を見ようとしている。彼女の意図を察して、理沙も竹刀を構えた。駿足の踏み込みで剣を振り下ろす。
「攻撃的な剣ですね。真っ直ぐで曇りがない。ですが――」
 理沙は手にしていた竹刀を離した。自然体のままで振り下ろされ剣を受け入れる。
 額に紙一重で剣が止まる。
 ――――静寂が道場を支配した。
「‥‥私が振り下ろしていたらどうされるつもりでしたか?」
「あなたは振り下ろしませんから。いえ‥‥この状況では《振り下ろせない》」
 くすりと楽しそうに笑う理沙。それは、理沙であって理沙でない別の何かのような雰囲気。
「もしも戦い一元的なら、力や速さだけで勝負が決まるでしょう。ですが実際の戦いではそうはいかないですよね。なぜなら戦いとは相手と自分との駆け引きゆえ――間合いだったり、呼吸だったり、タイミングだったり――剣の使用法や心理的な駆け引きにおいての《やり取り》が発生しているからです」
 それが剣――剣術です。
 なんだか人が変わったように真摯に話している理沙は、言葉使いまでもどこか堅苦しく、古めかしい口調になっているような感じがした。
「――相手と、自分ですか‥‥」
「ええ。剣の技を極めるとは、相手との間で応酬される無数の起こりうる駆け引きを制すること――相手との適切な距離をつかむことで戦いの主導権をコントロールすること、を意味します」
「それは、相手を倒す事と同義ということ?」
 蝶蘭の問いに、首を振ってみせる理沙。
「‥‥剣術の本質に近づくことにより、技は他の局面に対しても応用が利く――それは日常生活でも同じであるゆえ。実際、達人と呼ばれる者たちにとっては、戦いとは剣を抜く前に決着のついている状態を理想とされている程に、な」
 ――闘争という場にあって、他者を滅するのではなく他者との会話を、今風に言うならコミュニケーションする道を求めることが――剣を秘めた者が為しうる道。
 一瞬だけ、理沙は悲しそうな表情を見せたが、そこまで言うと、ハッと気がついて、ごまかすように真っ赤になりながら笑い飛ばす。
「あ、あははっ! なーんて! ‥‥堅苦しいこといっちゃいましたね、あうぅ‥‥」
「平気よ、気にしていませんから。それより汗をかいたから――」
 超蘭の言葉に、理沙がパンと手を叩く。
「あ、そうだ! 道場のすぐ隣にある中庭、けっこう広くてなんと露天風呂もあるんですよっ!」
「いいですね、露天風呂――温泉か‥‥」
 多少の物事には動じない蝶蘭も、この一言には目を輝かせている。
 こうして、理沙と蝶蘭は露天風呂で汗を流すために、仲良く中庭へと向かっていくのだった。



【本日の修行、おしまい!】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【3505/梅 蝶蘭(めい・でぃえらん)/女性/15歳/中学生】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、雛川 遊です。
 ゲームノベル『鶴来理沙の剣術道場』にご参加いただきありがとうございました。また。ノベル作成が遅れて申し訳ありません。パソコンがトラブルを起こしてしまって‥‥(泣)
 本日の蝶蘭さんはこんな感じの修行となりましたが、少しはお役に立てましたでしょうか? 温泉シーンはもちょっと書きたかったですが今回は練習メインで描写してみました。それにしても超蘭さんある意味スゴイ能力ですね――ウサギを剣に変えて《うさセイバー!!》とか。ロマンかも。えっと、動物虐待?

 さて、剣術道場はゲームノベルとなります。行動結果次第では、シナリオ表示での説明にも変化があるかもしれません。気軽に楽しく参加できるよう今後も工夫していけたらと思いますので、希望する修行やこんなのあったらいいなぁというイベントがあれば、暇川までご意見をお寄せください。

 それでは、あなたに剣と翼の導きがあらんことを祈りつつ。