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■小さな恋人たち■

藤杜錬
【1252】【海原・みなも】【女学生】
ある晴れた休日の昼下がり。
東京近郊にあるベッドタウン。
その街外の小高い丘にある海の見える緑地公園。
その公園の中心部にある噴水の近くの広場で一人の綺麗な黒い髪を持つ歳の頃10歳くらいであろう小柄な少女が、ダンボールで慌てて作ったようなプラカードを手にもって周りにいる人達に声をかけていた。

プラカードには『わたしのだーりんをさがしてください』と大きく書かれていた。
そして少女もまたその場にいる人達にそのプラカードを持ったまま必死に声をかけていた。

「あの……、私のだーりんを探してほしいんです。」

たまたま彼女に捕まった女性が『え?』といった顔で少女の事を見る。

少女はどう見ても小学生、しかし言ってることは『ダーリンを探してほしい』である。
普通の神経の持ち主だったら、驚くだろう。

その女性は少女があまりに真剣に迫ってくるので、その話しかけられたまだ何処か大人になりきっていない雰囲気を持ったその女性は仕方なく話を聞く事にした。

少女が話していることを纏めるとこうなった。
少女の名前は沙紀島絵梨菜(さきじま・えりな)、インターネットで知り合った彼女の恋人とこの公園で待ち合わせているらしい。
しかし彼、瀧川聡(たきがわ・さとる)は約束の時間になっても待ち合わせ場所のこの広場には現れなかったらしい。

彼女は聡とは今まで会った事はなく、今日初めて会う約束をしていたらしい。
そして、彼から公園に来たというメールが携帯に入ったあとずっと音信普通なってしまった、という事だった。
二人とも会うまで直接話さないという約束をしていた為に、まだ声も聞いていないらしい。

この公園は10歳の少女が一人で探すのは広すぎるから絵梨菜は公園の何処かにいるであろう、聡の事を探してほしいと女性に頼んできた。

「で、絵里奈ちゃん、その聡って男の子の写真とか何か姿がわかる物はあるの?」

女性がそう聞くと絵梨菜は嬉しそうに携帯の壁紙にしてある、聡の写真を見せてきた。
壁紙になっている写真に写っているのは、無邪気そうな笑顔を浮かべている、絵梨菜とそう歳は離れていないであろう、少し茶色い髪をして、眼鏡をかけた男の子であった。

「この人が私のだーりんの聡君です、格好いいでしょう?」

そう嬉しそうに話す絵梨菜を見ていると、なんとかしてやりたいと女性は思ってしまう。

「判ったよ、私も探すの手伝ってあげるよ。
間違えない様にその写真を私の携帯に送ってもらえないかな?」

「本当?嬉しい!! それじゃ写真送るね。」

そう言って絵梨菜は女性の携帯に写真を転送する。

「よし終わった、と。
それじゃ少し探してみるよ。絵里奈ちゃんは聡君が来るかもしれないからここにいてくれな。見つかったら君の携帯に連絡を入れるから。」

そう言って女性は立ち上がり歩き出そうとする。
そして少し歩きかけたところで絵梨菜に自分の名前をまだ言っていない事に気がつく。

「あ、私の名前は佐伯隆美(さえき・たかみ)だよ、見つかるといいね。」

「うん、あ、そうだ聡君の携帯も私の写真が壁紙になってるんだって。」

そう嬉しそうに絵梨菜は隆美に話しかけながら見送る。

そして隆美は聡を探すために公園に向かって歩き出し、公園の中にいる筈の友人に連絡を取る為に自分の携帯電話に耳を当てる。

そして絵梨菜は再び近くを歩いている人に声をかける。

公園の中で聡という少年を見つけるために……。


−−−−−−−−−
どうもはじめまして、新人ライターの藤杜錬(ふじもり・れん)です。
初めての依頼募集ということで、かなり緊張しております。
今回の依頼は公園のどこかにいるであろう絵梨菜ちゃんのダーリンの聡君を皆さんが探して絵梨菜ちゃんと無事引き合わせてあげてください。
隆美さんの友人としてでもよし、絵梨菜ちゃんに捕まったでもよし、です。
皆さんが頑張って聡君を見つけ出してあげてください。
個別か共通形式になるかは皆さんのプレイングしだいだと思います。
それから参加人数は大体1〜4人位を考えています。
もし個別対応した時に、お友達と一緒に動きたいという事であればその旨を書いて頂けたらできる限り対応させて頂こうと思います。
それでは皆さんの参加をお待ちしています。
−オープニング−
小さな恋人たち
ある晴れた休日の昼下がり。
東京近郊にあるベッドタウン。
その街外の小高い丘にある海の見える緑地公園。
その公園の中心部にある噴水の近くの広場で一人の綺麗な黒い髪を持つ歳の頃10歳くらいであろう小柄な少女が、ダンボールで慌てて作ったようなプラカードを手にもって周りにいる人達に声をかけていた。

プラカードには『わたしのだーりんをさがしてください』と大きく書かれていた。
そして少女もまたその場にいる人達にそのプラカードを持ったまま必死に声をかけていた。

「あの……、私のだーりんを探してほしいんです。」

たまたま彼女に捕まった女性が『え?』といった顔で少女の事を見る。

少女はどう見ても小学生、しかし言ってることは『ダーリンを探してほしい』である。
普通の神経の持ち主だったら、驚くだろう。

その女性は少女があまりに真剣に迫ってくるので、その話しかけられたまだ何処か大人になりきっていない雰囲気を持ったその女性は仕方なく話を聞く事にした。

少女が話していることを纏めるとこうなった。
少女の名前は沙紀島絵梨菜(さきじま・えりな)、インターネットで知り合った彼女の恋人とこの公園で待ち合わせているらしい。
しかし彼、瀧川聡(たきがわ・さとる)は約束の時間になっても待ち合わせ場所のこの広場には現れなかったらしい。

彼女は聡とは今まで会った事はなく、今日初めて会う約束をしていたらしい。
そして、彼から公園に来たというメールが携帯に入ったあとずっと音信普通なってしまった、という事だった。
二人とも会うまで直接話さないという約束をしていた為に、まだ声も聞いていないらしい。

この公園は10歳の少女が一人で探すのは広すぎるから絵梨菜は公園の何処かにいるであろう、聡の事を探してほしいと女性に頼んできた。

「で、絵里奈ちゃん、その聡って男の子の写真とか何か姿がわかる物はあるの?」

女性がそう聞くと絵梨菜は嬉しそうに携帯の壁紙にしてある、聡の写真を見せてきた。
壁紙になっている写真に写っているのは、無邪気そうな笑顔を浮かべている、絵梨菜とそう歳は離れていないであろう、少し茶色い髪をして、眼鏡をかけた男の子であった。

「この人が私のだーりんの聡君です、格好いいでしょう?」

そう嬉しそうに話す絵梨菜を見ていると、なんとかしてやりたいと女性は思ってしまう。

「判ったよ、私も探すの手伝ってあげるよ。
間違えない様にその写真を私の携帯に送ってもらえないかな?」

「本当?嬉しい!! それじゃ写真送るね。」

そう言って絵梨菜は女性の携帯に写真を転送する。

「よし終わった、と。
それじゃ少し探してみるよ。絵里奈ちゃんは聡君が来るかもしれないからここにいてくれな。見つかったら君の携帯に連絡を入れるから。」

そう言って女性は立ち上がり歩き出そうとする。
そして少し歩きかけたところで絵梨菜に自分の名前をまだ言っていない事に気がつく。

「あ、私の名前は佐伯隆美(さえき・たかみ)だよ、見つかるといいね。」

「うん、あ、そうだ聡君の携帯も私の写真が壁紙になってるんだって。」

そう嬉しそうに絵梨菜は隆美に話しかけながら見送る。

そして隆美は聡を探すために公園に向かって歩き出し、公園の中にいる筈の友人に連絡を取る為に自分の携帯電話に耳を当てる。

そして絵梨菜は再び近くを歩いている人に声をかける。

公園の中で聡という少年を見つけるために……。


<探索開始>

「久しぶりに着たけど、やっぱり海が見えるっていいな……、ってあれ?あの子どうしたんだろう?」

この公園に久しぶりに海が見たくてやって来た海原みなも(うなばら・−)公園の中でプラカードを掲げて人を探しているらしい少女を見つける。
みなもはその様子をぼーっと見ていたが、プラカードに書かれている『わたしのだーりんをさがしてください』の文字が目に入りはっとなる。

『え?ダーリン?っていう事はあの子はボーイフレンドでも探してるのかな?
……ここで助けてあげなきゃ人じゃないよね。』

みなもは心の中でそんな風に思いつつ少女に近づいて声をかける。

「ねぇ、さっきから人を探してるみたいだけど、どうしたの?」

みなもがそう声をかけるとプラカードを持っていた少女、絵梨菜は声のした方に振り返る。

「あの……人を探してるの、私のだーりんなんだけどお姉さん探してくれる?」

絵梨菜が嬉しそうにそうみなもに話しかける。

「あ、うん、いいけど、探すのはあなたの恋人?」

思わずみなもはそう答え聞いてしまう

「うん、そうだよ、聡君って言うんだ、かっこいいんだよ。」

そういって絵梨菜はみなもに紹介する。

「へぇ、この子がいなくなっちゃったんだ?
判った、私がきっと見つけてきてあげるよ。
それじゃ早速行ってくるね。まずは聞き込みからかな。」

そう言って、みなもは聡を探すために聞き込みに入るのであった。

****

そして慌しく駆けて行ったみなもを絵梨菜は見送っていると横から声がかかる。

「お嬢さんお困りの様ですね。
良ければお手伝いしましょうか?」

そう言って絵梨菜に話しかけてきたのは、モーリス・ラジアルであった。
モーリスは先ほどのマリもとの会話を聞いていて、自分の恋愛への積極性からか助けてあげたいと思ったという話を絵梨菜に話す。
その言葉を聞いて、絵梨菜ははちきれんばかりの笑顔を浮かべる。

「あのね、今二人のお姉ちゃんが一緒に探してくれているんだ。
一人は隆美おねえちゃんで周りを見てきてくれるって、それでもう一人はみなもお姉ちゃんで色々な人に聞いて回ってくれるって言ってくれたんだよ。」

自分から話しかけてきてくれた、モーリスに対して嬉しかったのか、捲くし立てる様に話しかける絵梨菜。

「そうですか、そうやって動いてくれてる人がいるのですね。」

そう言って、少し考え込むモーリス。

「それじゃ私は先に動いてくれてる人と連絡とってから、別の方向から探してみる事にしますよ。
だから安心してここで待っていてくださいね、大丈夫きっと見つかりますから。」

そう言って、誰でも思わず見とれてしまいそうになる笑顔を浮かべ、モーリスは歩き出すのであった。

****

「はぁ……ちょっと疲れたよ。」

さすがにずっとプラカードを持っていて疲れたのか、絵梨菜は噴水にそっと腰掛周りを見渡す。
そしてプラカードを足元に置いていると、そっと声が掛かる。

「あの……、ひょっとして、何かお困りですか?」

そっとどこかこの公園の雰囲気と似ているような、ゆったりとした感じでそう絵梨菜に声をかけたのは羽雄東彩芽(はゆさき・あやめ)であった。

「え?」

休んでいた所を話しかけられてちょっと驚いた風に絵梨菜は彩芽の事を見る。
絵梨菜は驚いた顔をしながらも彩芽の優しそうな笑顔を見てほっと安心した様にため息をつく。

「うん、ちょっと私の大事なだーりんを探してたんだ、でもなかなか見つからなくって疲れちゃったから少し休んでたの。」

「あら……、それは大変ね。
もし良ければ私も探すのを手伝ってあげましょうか?」

「え?いいの?
手伝ってもらえたら嬉しいな。」

そう言っている絵梨菜の声は声をずっと出しっぱなしだったせいか、少しかすれ気味であった。
その声を聞いて、彩芽は心配そうに声をかける。

「あら?ずいぶん喉が渇いてるみたいね。
絵梨菜ちゃん何か冷たいものでもどうかしら?」

彩芽がそう薦めると、絵梨菜はぱっと嬉しそうに頷く。

「うん、喉……乾いたな。」

それを聞いて彩芽は辺りを見渡すと暇そうにしているアイスの露店があるのを見つける。

「あそこのアイスのの露店があるから一緒に食べようか?」

そう言って彩芽は絵梨菜の手を取り歩き出した。

****

「ふむ……、この構図だったらここしかないですね。」

モーリスは公園の地図を見ながら、みなもの集めてきてくれた、聞き込み情報を元に場所を絞り込む。

「私の聞いてきた情報で何処にいるかわかるの?
私には少し判らないんだけど……。」

みなもが歩き回ってさまざまな人から話を聞いてきてくれた結果、聡らしい少年がこの公園にその約束の時間に来ていたらしいこと。
そして公園の中に入っていって、一番大きな木々の生えた区画に入って言ったらしい事。
そしてそこから先は誰も見ていない、という事が判った。

「この地図によると、この一番大きい区画から何処にもいけないですね、いけるとすれば絵梨菜さんのいる噴水の前ですから、きっと近道をしようとして何かあったんでしょう。」

そのモーリスの言葉を聞いて、みなもは急に青ざめる。

「な、なにかってなんですか?
なにか大変な事になってしまったとか?」

みなもはいてもたってもいられないといった風にそわそわしだす。

そしてそこへ周囲を探しに行っていた隆美がやってくる。

「どうしたんですか?
なにか聡君の事、判ったんですか?」

青ざめているみなもの様子を見て少しこわごわとモーリスに聞く。
モーリスはそれを聞いて地図の中の一角を指し示す。

「いえ、単にこの区画から聡君が出てきていない可能性が高い、そういう話をしていたんですよ。」

そう話していると隆美の携帯から呼び出し音が鳴り慌てて、隆美は携帯を取る。
電話をかけてきたのは絵梨菜であった。

「あの、彩芽さんがカードで占いをしてくれたんだけど、なんかすごく怖い結果が出たの。
だーりん大丈夫?」

絵梨菜はすごく怯えた声で話してくる。

「あの絵梨菜ちゃん落ち着いて、聡君になにかあったって決まったわけじゃないんだし。その占ってくれた人と代わってくれない?ちょっと話してみたいから。」

隆美は絵梨菜に宥める様に話す。
絵梨菜はそれを聞いて、少し間を置いたあと隣にいる彩芽と代わる。

「あの……初めまして羽雄東彩芽とうもうします。
あのそれで私の、『黒琴呪臨』で占ってみたんですが、『塔』の暗示が出たんです。
不安に陥っていなければいいんだけど、と思いまして……。」

「『塔』ですか?
あの具体的にいうとどういう……?」

隆美が彩芽にそう聞くと彩芽は少し話しにくそうに少し小さな声で絵梨菜に聞こえない様しながら、内容を話してくる。

「『塔』の暗示は不安や怪我などの暗示だと思います。
どこかで聡君が不安になっているのかもしれないと思いまして……。」

その言葉を聞いた隆美はふといやな予感が頭をよぎる。

「判った、情報ありがとう。
こっちも大体あたりはつきそうだから調べてみるよ、絵梨菜ちゃんの事よろしくお願いします。」

「はい、わかりました、よろしくお願いします。
絵梨菜ちゃんの事は私に任せてください。」

「ええ、判ったわ、それじゃ聡君を探しに行ってきます。」

隆美はそう言って携帯を切って今話した事をみなもとモーリスに話す。
そして三人はその聡の行った区画へ向かって歩き出す。

****

アイスキャンデーを食べながら、絵梨菜と彩芽は3人からの報告を待っている。

「だーりん、大丈夫かなぁ?ひどい目にあってないかなぁ?」

心配そうな顔で三人が行った区画に顔を向ける絵梨菜。

「大丈夫よ、占いはあくまで占い、確実な事がわかるわけじゃないんだから、ね?」

そう言って絵梨菜を励ましながらも、どこか不安を隠せない彩芽であった。

****

そして、草木の茂る緑地部分に入って行った三人は彩芽の占いが的中していた事を知る。
ここ数日降っていた雨で、滑りやすくなっていたのか、地面にぽっかりと穴が開いておりその穴の中に写真に写っていた少年、瀧川聡が落ち込んでいた。

穴そのものは深い物ではなく、大人がいれば十分に引き上げる事ができるものだったが、聡は気を失っていた。
穴から助けだし、横に寝かせるとモーリスが聡の様子を確かめる。

「大丈夫、対した事ありません、気絶して少し足をひねったくらいですね。
これくらいなら私の力で直して上げられますよ。」

モーリスが力を使うと聡の表情がだんだん安らかなものになっていき、そっと目をあける。

「あれ?僕…どうしたのかな?」

気がついた聡にみなもが心配そうに声をかける。

「大丈夫?痛い所はない?穴に落ちちゃってたのを助けてあげたんだけど…。」

そう言って、みなもが経緯の説明をする。

「それじゃ、絵梨菜ちゃんが待ってるし早く戻ろうか?」

「え?絵梨菜ちゃんが?それじゃ僕早く行かないと!!」

そう言って聡は絵梨菜の待つ方へ走って行く。

「あ、ちょっと急に走ったら危ないよ。」

そう言って、みなもがその後を追いかけて走って行く。
その様子を、モーリスはやれやれと行った様子で見送る。

「あの様子なら大丈夫そうですね。
これからあの二人も一緒にいたいでしょうから、私たちで一緒にお茶でもどうですか?
隆美さんも暑くてお疲れになったでしょうし。」

どこか安心させる様な微笑を浮かべて隆美に話しかける。
その笑顔に少しドキッとしながら、できる限り落ち着いた様に見せようとしながら隆美は答える。

「そ、そうですね。
…おごってくださるならお付き合い致しますよ。」

そう言ってっ少し悪戯っぽい笑顔で答える隆美。

「その位ならお安い御用です、お嬢様。」

そう少しきざっぽくモーリスが答え、ゆっくりと歩き出す二人であった。

****

がさがさと、茂みの中から聡とみなもが駆け出してくるのを驚いた様に絵梨菜と彩芽は見つめる。

「絵梨菜ちゃんやっと会えたよ……。」

「だーり……聡君、聡君なんだよね?」

「うん、僕が瀧川聡だよ。……沙紀島絵梨菜ちゃんだよね?」

「そうだよ、やっと会えたね、やっぱり私が思っていたよりも格好いいよ。
良かった、やっと会えただーりん。」

「だ、だーりん?」

だーりんと呼ばれて少し困惑しながらもやはり嬉しそうに手を取り合って喜ぶ二人を見て、髪の毛についた木の葉や木の枝を払いながら、みなもは良かったというような安堵の表情を浮かべる。
そして同じ様にそれを見ていた彩芽に声をかける。

「あなたの占い、ばっちり当たっていましたよ。
当たっていては欲しくなかったですけどね。」

「そうですか……。でも大事がなかった様で良かったです。」

同じ様に安堵した様子で答える彩芽。

「そうですね、それは本当に私もそう思います。」

みなもはそう言って嬉しそうにはしゃいでいる二人に目をやる。

「せっかく会えたんです、あの二人はお邪魔虫なしで一緒にいさせてあげませんか?
それからもし良かったら、一緒にお茶でもどうですか?彩芽さんもお疲れでしょうし、私もちょっと疲れましたから。」

「あ、そうですね、それはいいかもしれませんね。それじゃ行きましょうか。」

そう彩芽はみなもに答えると、嬉しそうにしている絵梨菜と聡をそっと振り返り、先に歩き始めているみなもを追いかける。


『二人が幸せでありますように……』と、手に握ったタロットに願いを込めながら


そして公園には一組の少年と少女の笑い声が響いていた。

Fin



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1252  海原・みなも   女   13   中学生
2318  モーリス・ラジアル男  527   ガードナー・医師・調和者
1560  羽雄東・彩芽   女   29   売れない小説家兼モグリの占い師

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■         ライター通信          ■
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どうもこんにちわ、藤杜錬(ふじもり・れん)です。
この度は私の初仕事である『ちいさな恋人たち』にご参加くださりありがとうございます。
初依頼という事もあり勝手が中々判らずご満足して頂ける物が書けたかは自分でもわかりませんが、少しでも楽しんで頂けたら、また皆さんのキャラクターを少しでも表現する事ができていたら、嬉しいです。
もし何か感想や、ここはこうだ、という事があれば、ご意見ご感想お待ちしています。
皆さんも暑い日々が続きますが、無理をして体を壊されぬ様を気を付けください。
それではもしまたご縁があれば、よろしくお願いいたします。