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■怪奇・美青年監禁事件発生!■

紫咲桂麻
【1855】【葉月・政人】【警視庁超常現象対策本部 対超常現象一課】
静けさにスズメの鳴き声が合わさる朝、阿修羅は珍しく交番の前に立って辺りを眺めていた。と、いうより彼にとっては見張りのつもりらしい。
(なんだか今朝は……妙な胸騒ぎがするな。)
この時彼は自分の勘がはずれていることを願った。
しかし彼の願いも次の瞬間、高らかなその音であっけなく崩されてしまったのだ。
ジリリリリ…

「はい、こちら大仏交番……なんだ、おまえか。」
「おまえかはないでしょう無二の親友にむかってさ。」
受話器の向こうでひょうきんな声をあげたのは一応友人としている恵七威だ。
こいつがかけてくるとロクなことがない、そう思った阿修羅はどかっと椅子に腰掛け背をもたれる。
「えー立てこもり事件発生、立てこもり事件発生、女が一人男数人を監禁し建物の中に立てこもり中。警視庁捜査一課敏腕デカ、恵君より応援を要請しまぁす。」
「あのなぁ…んな事件たかが交番勤務の俺が出る幕じゃないだろっ。イタズラなら切るぞ?」
「ちょーっと待ちなさいって。こうやってわざわざキミに連絡してんだからフツーの事件じゃないことはわかってんしょ。霊関係よ霊関係。」
阿修羅は軽くため息をついた。
「…今回はパス。おまえだってムダに顔が広いんだ、他に誰かいるだろ。」
「あーららぁ…いいのかな、六刀巡査部長の大事な部下さんが一人巻き込まれちゃってんだよ?」
部下。この一言で阿修羅は背を少し起こした。交流の少ない自分にとっての部下といえば一人しかいない。
「氷雨……氷雨巡査か?」
「ふふふ。彼女霊が苦手だったっしょ、そこをツかれちゃったようだ。」
阿修羅はしばし沈黙を返す。その沈黙の意味を察した恵は電話の向こうで微笑した。
「オッケー商談成立!あ、今回はいい人に頼むから補佐でいいんだぁ、その人のお手伝い宜しくね。女性がらみだし俺も手伝うから安心してよ。あとは〜ペアを組んでラクに別行動といこうじゃない?すぐに連絡つけるから大仏ビル裏手に集合〜ってなわけでバイナリ〜!」
そういいきると、恵の電話は一定音を立て始めた。

「………ったく…手間のかかる…」
そういいながらも、携帯品を外し身を軽くした阿修羅は急いで交番をとびでていったのだった。