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■『 千紫万紅  ― 花暦(7、8、9月) ― 』■

草摩一護
【3524】【初瀬・日和】【高校生】
『 千紫万紅  ― 花暦(7、8、9月) ― 』


 9月。病院の廊下。
 あなたが滝山修二の病室から、結城京香の心が引き裂かれるような声にもならない悲鳴のような泣き声を背に出てくると、
 そこでもスノードロップが泣いていた。病院の廊下に蹲って滝のように大粒の涙を流して。
 あなたは一筋の涙を流しながらスノードロップを手の平に乗せて、彼女の涙に濡れた頬に自分の涙に濡れた頬を擦りつけた。
「どうしてでしか? どうして修二さんが死なないといけないんでしかぁ?」
 小さな妖精は人の運命を憂いていた。
 滝山修二は今日死んだ。白血病で。
 そしてたったの三ヶ月しか一緒にいられなかった結城京香は腹の中に彼の子どもを孕んだままそこで泣いていた。
「あなたも大丈夫ですか?」
 白は優しい…そう、この場ではとても哀しすぎるぐらい優しい表情であなたに微笑みかけた。
 あなたは頷く。
 そして今回のこの事は本当に正しかったのかどうかをあなたは白に訪ねた。
 そう、自分たちが見守ってきたこの三ヶ月・・・



 7月。
 7月の花 ラベンダー。
 ラベンダーの花言葉はあなたを待っています、期待、疑い、不信、疑惑、沈黙、私に応えてください、豊香、私に答えてください・・・


 あなたは出逢った。結城京香に。
 彼女はイラストレーターをしながら滝山修二を待っていた。
 結城京香は2年前、自殺をしようとしていた。その彼女を助けた修二は京香と恋仲となり、
 だけど彼の消息は突然途切れてしまった。
 それでも京香は彼を待ち続けていた。
 あなたは白、スノードロップと共に修二を探して、その真実を知った。



 8月。
 8月の花はキスツス 花言葉は私は明日死ぬだろう。


 不吉な花言葉を持つキスツスはあなたたちの前に現れて、滝山修二を探すのをやめさせようとする。
 しかしあなたたちはそのキスツスに打ち勝ち、ついに彼を発見するが………
 そこは病院で、そして滝山修二は………




 9月。
 9月の花はヒマラヤスギ 花言葉はあなたのために生きる。




 そして9月、彼は死に、あなた方が少し目を離した隙に結城京香は………。




 ライターより


 こんにちは。このたびは『 千紫万紅 ― 花暦 ― 』を読んでくださりありがとうございます。
 今回の物語はPLさま方の大切なPCさまたちが三ヶ月に渡って触れ合った男女の悲しき恋物語となります。
 この物語がどう終わるのかは、PLさまがお決めください。


 今回のプレイングは7月に使われるPCさまが何故にこの物語に触れ、そして白とスノードロップに手を貸すのかをお教えください。台詞を一つ入れておいてくださると嬉しいです。

 8月はお任せくださいませ。

 9月。この物語のラストをお書きください。そしてそのラストに相応しいPLさまのPCさまのお言葉を書いてください。
 
 エンディングはですから、今回は集合型になりますが、それぞれ違う形となります。
 それとラストの内容によってはエンディングを『庭園』で迎える形式があります。
 尚、今回の物語は集合型となります。
  
 

『 千紫万紅  ― 花暦(7、8、9月) ― 』


 深夜の雑貨屋【モノクローム・ノクターン】。その店内に並べられた品々は店の主人であるノージュ・ミラフィスが遺跡やなにかから『拾って=助けて』来たものが主で、それらはアンティーク調でまとめられた歳月と森の香りが感じられそうな木造造りの店内の静謐な空気の中でひっそりとそこにいた。
 そう、それらは息を静めてただいつか誰かが迎えに来てくれる予感に身と心を震わせながら、だからその人以外には誰にも見つけられないようにひっそりとこっそりとそこにいる。
 その雑貨屋【モノクローム・ノクターン】においてはこんな噂が実しやかに囁かれている。人によっては妖精の姿が見えると。
 うん、そう。店内には妖精がいた。
 雑貨屋【モノクローム・ノクターン】に住まう数々の品の妖精と、
 それと今夜はそれに付け加えて初瀬・日和(はつせ・ひより)が連れてきたイヅナの末葉(うらは)、
 あとは白の助手のスノードロップの花の妖精であるスノードロップが遊んでいた。
 その日の晩の月は満月だった。
 その月の光のような蒼銀色の髪に縁取られた顔に人懐っこい笑みを浮かべながらノージュは窓際に用意した丸いテーブルに着く日和と白の前に紅茶の入ったカップと皿を静かに置いて、笑みを深くした。
「さあ、彼女は送れてくるそうだから先に深夜のお茶会を始めましょうか?」
「はい」
 微笑むノージュに日和も嬉しそうに微笑む。
 白いテーブルクロスが敷かれたテーブルの真ん中に乗せられた花瓶に生けられた花々も綺麗に咲き綻んでいるが、ホール型の大きなドライフルーツケーキを綺麗に扇形に切り分けて皿に乗せていく少女たちの嬉しそうで楽しそうな笑い声の前では引き立て役に回るしかないようだ。
 そしてお茶会の準備が完全に終わると二人は揃って白を見た。
「白さん、紅茶はあたしが担当で、最高の葉と水を見繕って、カップなんかもちゃんと温めたりして最高の手法で煎れた究極の紅茶なんですよ」
「ドライフルーツケーキは私が。ああ、でも材料に使ったドライフルーツは完全に私の好みにしてしまったので、白さんのお口に合うといいんですけど。うーん、スノードロップちゃんに訊くんだったかな?」
 失敗という感じでこつんと頭を叩いた日和にノージュは横から抱きついて、明るい笑みを浮かべた顔を日和のちょっとびっくりしたような顔に近づけて、歌うように言う。肩もおどけたように軽くすくめて。
「でも、あの小さな身体のどこにあんなにいっぱいに入るのかしら? って不思議に想っちゃうぐらいに何でも好き嫌い無くよく食べるスノードロップちゃんに訊いてもねー」
「ああ、きっと、白さんは何でも食べるでしよ、なんて言っちゃうんでしょうね」
 二人は顔を見合わせあって、雑貨屋【モノクローム・ノクターン】の妖精と一緒に末葉に乗ってきゃっきゃっと騒いでいるスノードロップを見て、くすくすと笑った。
 そんな二人の少女を柔らかに細めた瞳で見ていた白もそれにつられたように口元に軽く握った拳をあててくすっと笑う。
 そしてそんな白に二人はやっぱりまた嬉しそうに笑うのだ。だって今日のお茶会は白を励ますためのものでもあるのだから。
 滝山修二と結城京香、結ばれながらも死というどうしようもないモノに別れさせられてしまった二人の姿にとても寂しそうにしていた…哀しんでいた白を。
「白さんがあたしや日和よりも一番先にあの二人に出会っていたんですよね?」
 ノージュはフォークに刺したドライフルーツケーキの欠片をスノードロップに食べさせながら白を上目遣いで見た。
 今までそれを疑問に想いながらも訊けなかった事だ。それをここで訊く事には気が引けもしないがそれでもこの優しい雰囲気の中ではそれは許されるような気がしたし、やっぱりそれが滝山修二の供養になる気もしたから。
「そうですね。彼と彼女に出会ったのは2年前でした。まだ京香さんが高校生だった頃です」
 胸を片手で叩きながら苦しそうにするスノードロップにスプーンですくった紅茶を飲ませながら日和も白の訥々と語る声に耳を傾けた。
 末葉は甘えるように日和の膝の上で小さな体を丸める。
 白は語る2年前の二人の出会いの物語を。
「二人の出会いは2年前、まだ京香さんが高校生2年生で、それで修二さんが大学の一回生だった頃です。
 その頃の京香さんはちょっとお転婆さんで万引きとかカツアゲ、それにバイクや車の無免許運転なんかをやっていましてね、でも…、ええ、寂しかったんだと想います、彼女は。
 京香さんのご両親はお互いに社会的地位のある方で同時に二人で不倫なされていたらしくって、家には帰ってこなくって、それで京香さんもそんな家には帰りたくないって………それで家には帰らなくって、だけど本当はご両親が大好きで見ていてもらいたいから無茶をやって、って…そんな生活を。
 最初は僕は修二さんと友人だったんです。
 修二さんは趣味で写真をやっておられたんですね。彼の写真はとても綺麗で優しくって、物凄く心地が良くって。
 彼は風景写真を専門に撮っておられて、それで僕と知り合いになったんです。彼の被写体の植物のいくつかを僕が診ていて、その縁で。
 彼と彼女の出会いは偶然でした。
 たまたま僕と修二さんとで歩いていたらそうしたらその視界の先にあった橋から京香さんが飛び降りようとしていて………
 それを目撃した修二さんが京香さんをものすごい勢いで怒って。
 修二さんには京香さんと同い年の妹さんがおられたそうなんですが、ご両親ともども彼が中学生の頃に亡くなられていたんです。だから彼は余計に親身に彼女を怒り、そして誰よりも彼女の辛さをわかって………
 それで二人は。
 それは何も弱い者同士が寄り添って傷を舐めあうとかそういうのではなく、とても純粋な愛の切欠で過程だったんでしょう。
 それから二人はどんどん仲を親密にしていき、両想いになって結婚の約束をした。
 だけどどうやらそのすぐ後だったようですね。彼が自分の運命を知ってしまったのは……。
 ノージュさん。修二さんがここに来たのもきっとその頃なのでしょう。
 そして日和さんの見た絵を京香さんが描かれたのはそれからもう少し後………」
 白は口を閉じて、静かに紅茶を啜った。
 日和は膝の上の末葉の背を摩りながら思い出す、そう、たまたま偶然立ち寄った小さなギャラリーで京香が描いた絵を見た時の事を………。



 ――――――――――――――――――
【Begin tale】

【7月】
 7月の花 ラベンダー。
 ラベンダーの花言葉はあなたを待っています、期待、疑い、不信、疑惑、沈黙、私に応えてください、豊香、私に答えてください・・・



 私が結城京香さんと滝山修二さんの物語に深く関わる切欠となったのは本当に偶然に立ち寄った小さなギャラリーで見た京香さんの描いた絵が理由でした。
 その日は二期考査の最終日で、晴れて試験勉強から解放されて自由の身になった私はほんのちょっとの気まぐれで普段は通らない道を寄り道して通ろうと想ったんです。
 私よりも背の高い向日葵がお辞儀する道を通りながら私は商店街に出た。
 その商店街の一角には地域住民たちが自分達の作品を持ち寄って飾る街角ギャラリーみたいなものがあって、その物珍しさも手伝って私はそのギャラリーの中に足を運んだのです。
 話によればそこはちょっと前までは喫茶店だった場所で、その店の店主が子どもたちと一緒に住むために店をたたんだが、しかしその建物を誰かに売る事もまたは放置するのも忍びなかったのでこれまで世話になった商店街組合にその建物を貸すことにしたのだそうだ。
 その建物自体昭和初期に建てられたその当時ではモダンなデザインの建物でちょっとした価値のある建築物だったりするのでギャラリーを開くのにも適しているらしい。
「そうなんですか。すごいですね」
 そうこの街角ギャラリーが出来るまでの経緯を教えてくれた主婦に私はお礼を述べると、時計とは逆回りにそのギャラリーを鑑賞する事にした。
 ものすごく上手な油絵に、小学生の女の子が作ったテディベア―、どこか昔懐かしい竹とんぼに竹で作った水鉄砲。細かなボトルシップや、ビーズの人形、アジアンノット…そんな数たくさんの品々が並んでいて、
 私はどこか夏休みが終わって2学期が始まった直後の小学校の廊下を思い出した。そう、私が通っていた小学校では2学期の最初には生徒が夏休みに作ってきた自由課題の図工作が職員室前の廊下に並べられて飾られていたものだ。
 それを私は仲の良い友達と手を繋いで放課の度に見て回っていた。
 ここのギャラリーの作品が立ち並ぶ風景はそんな懐かしい思い出を私の胸に呼び起こし、私のこの胸にはふんわりと温かで柔らかい優しいヌクモリが灯った。
 だけどその絵を目にした時、その灯火は大きく揺らぎ、次にか細くなって、だんだんと鎮火していった。
 それほどまでにその絵は哀しかった。
「その絵は今新進気鋭のイラストレーターとして注目を浴びている結城京香って娘が描いたんだよ」
「結城京香さん?」
「そう。小説や童話、児童文学なんかの挿絵をやってるんだってさ。なかなかに美人な娘なんだけど、なんせいくつもの仕事を持ってるから部屋から出れなくってねー。だから私は時たまご飯なんかを作って持っていってあげてさ」
「はあ」
「ああ、でも彼氏はちゃっかりいるみたいだけどね」
「え?」
「ほら、この絵の男の人さ」
「ああ、はい」
 それは言われずともわかった。
 そのキャンバスいっぱいに描かれたラベンダーの花の中に立つ男の人がその絵を描いた結城京香さんにとってものすごく大切な人だというのは。だってその絵はものすごく優しくって愛情に満ちているから。
 だけど・・・



 そう、だけど同時にものすごくそのキャンバスに描かれている彼は物悲しく思えた。
 ―――――見ているだけでその絵に込められた想いに胸が痛くなる。



「どうしたんだい?」
「あ、いえ…ただ……」
「ただ?」
「とても綺麗な絵だけど、ものすごく哀しい絵だなって」
「ああ、うん、そうかもね」
 それまでぺちゃくちゃと喋っていたおばさんが急によそよそしくなって、私から離れていった。
 そして代わりに私の所に来たのは、
「日和さんでしぃー」
「わぁ、スノードロップちゃん。こんにちは」
「こんにちはでし♪」
「ひとりで来たの?」
「うーんと、違うでし。白さんとそれと京香さんと一緒でし♪」
「白さんと、京香さん?」
 京香さん、この絵を描いた人。ああ、それであの人は急に口をつぐんだんだ。
「こんにちは」
 白さんの隣で微笑むその人はとても綺麗だったけど、だけど同時にものすごく儚く見えた。
 そして彼女はちらりと自分の描いたその絵を見ると、その絵の前に居た私ににこりと微笑んで私の前から立ち去っていった。
 その姿はやっぱりどこか空間に溶け込んでいくようで、私には彼女が………
「どうしたんでしか、日和さん?」
「うん、あの結城京香、っていう人がものすごく悲しそうだなって」



 ひょっとしたら・・・



「あの、白さん、ひょっとしたらこの男の人と何かあったんですか、彼女?」
 小首を傾げてそう訊くと、白さんは柔らかに目を細めながら私を見つめ、そして口を開いた。
「日和さんはラベンダーの花言葉が何か知っておられますか?」
「え、いえ、知りません」
「ラベンダーの花言葉はあなたを待っています、期待、疑い、不信、疑惑、沈黙、私に応えてください、豊香、私に答えてください・・・」
「え、まさか・・・」
「そう、この絵に描かれている彼女の恋人の滝山修二さんは今消息不明なんです。彼女の前からいなくなってしまった」
「そんな事って…」
「今日もね、ようやく彼女を部屋から連れ出す事が出来たんです。彼女、いつ修二さんが帰ってくるかわからないからと部屋を動けずにいたので…。外に出られるようになったのは良い傾向ですが、でも彼女を完全に救うにはやはり修二さんを見つけるしかないでしょうね」
 その言葉を聞いた時、私は自然に自分から言い出していた。
「私にも手助けさせてください」
「良いのですか? ひょっとしたら辛い想いをするかもしれませんよ?」
「はい。もし自分だったら…大切な人と一緒にいられなかったらと思ったら…とても放っておけなくて…」
 そうして7月、私は結城京香さんのために滝山修二さんを探す事にした。



 ――――――――――――――――――
【8月】
 8月の花 キスツス。
 キスツスの花言葉は私は明日死ぬだろう。


 花束を持って綾瀬まあやは病院の廊下を歩いていた。
 知人の見舞いであろうか?
 だが看護士の中には彼女の持つ花束を見ておもむろに嫌そうな顔をする者がいた。
 それは彼女が持つ花束が原因であった。彼女が両腕に抱える花束を構成するのはキスツス。その花言葉は『私は明日死ぬだろう』だ。まず到底見舞いの花として考えられない。それを見舞いの花に選んだ彼女は何を考えているのであろうか?
 まあやはこんこんと扉をノックした。
「はい」
 きっちりと3秒後に返された返事。彼女は病室に入り、ベッドの上で手を動かしている彼に眉寝を寄せた。
「呆れた。また写真を撮っていたの?」
 ベッドの上の彼は悪戯が見つかったような顔をする。
「ああ、この病院の人たちを撮っていた」
「どうして?」
「戦友だから」
 そう答えた彼にしかしまあやは即座に突っ込んだ。
「嘘。あなたは戦ってはいないでしょう。投薬治療も何もしていないのだから」
 そう言われた彼はむぅっと眉根を寄せて、そしてまあやから顔を逸らした。
「どうせ死ぬのなら無駄な抵抗をしても同じだろう」
 彼がそう言った瞬間に病室に景気のいい音がした。ぱちんとまあやが彼の頬を叩いたのだ。
「それはここで口にしていい言葉ではないわ。恥ずかしいと思いなさい。あなたにはあなたなりの想いがあって投薬治療を拒否してるんだろうけど、でもあなたの場合はほんの少しでも可能性があるのよ」
「ふん。確かに俺は投薬治療をして、ドナーが現れれば助かるだろう。末期ガンの人に比べれば生きれる可能性は天と地ぐらいの差があるさ。だけどそれが何だって言うんだ。苦しい想いをして、でもドナーが現れなかったらそれはすべてが無駄になるんだ!!! だったら・・・」
「あら、でもあなたの場合は違うでしょう。あなたには結城京香さんが居るでしょう? 彼女と少しでも居る時間が延ばせれば・・・」
 その後のまあやの声は掻き消された。
 彼が手に持っていたカメラを病室の床板に叩き付けたから。
「ふざけるなー。そんな…そんな惨い真似ができるわけがないだろう。その時間は彼女にとっては残酷なだけだ」
「その時間が残酷かどうかはあなたが決めることではないわ、滝山修二さん。それは結城京香さんが決めることよ」
「それは…綾瀬まあや、あんたはどうして俺にかまうんだ? あんたには俺がどうなろうがかまわんだろうが」
「いえ、かまうのよ。あなたがこのまま死ねば、あなたの魂はその狂った音色の果てに世界に不協和音をもたらす。それは【闇の調律師】として見逃せないのでね」
「・・・」
「だから賭けをしましょう」
「賭け?」
「そう、賭け。今、二人の少女があなたを探しているわ。結城京香のために。あなたのためにね。そのあなたを探す行為をこのキスツスの精に妨害させる」まあやがリュートを奏でるとキスツスの精が現れた。「もしもこのキスツスの精が二人に勝ったらあなたの勝ち。その時はどうとでもするといいわ。ものすごく面倒臭くって嫌だけど、あなたが死んで生まれた不協和音をあたしが片しましょう。でも二人がキスツスの精に勝てばあなたには二人の言う事を聞いてもらうわ」



 +


 季節は8月になった。
 私はノージュ・ミラフィスさんと一緒に修二さんを探すけど、でもそれらは全て空振りに終わっていた。
 夕方のだけどちっとも涼しくならない都会の一角にある公園で私とノージュさんは公園のベンチに座って、だれていた。
 私は元々体があまり丈夫ではない。この殺人的な気温の中ではとてもではないが体力が根こそぎ削り落とされるようだった。
 そして半分とはいえ吸血鬼であるノージュさんは尚の事、キツイのだろう。
「地球の温暖化の影響でしょうか?」
「知ってる、日和。本土の都会よりもかえって沖縄の方が涼しいそうよ」
「え、それって本当なんですか?」
「ええ。ほら、都会はアスファルトに覆われていて、高いビルも多いじゃない。だから地熱も下がらないし、風も塞がられるしで温度が高いんだって」
「ああ、沖縄は高い建物とかはあまりないですものね」
 そんな世間話なんかをしながら私たちは体力が回復するまでそうやってベンチでだれていた。
 冷たいアイスクリームかジュースが欲しい。
 クーラーの効いた部屋で静かに読書をするか、チェロを奏でるか…そうしたい。そんな誘惑が私の心を襲う。
 あれ、どうして私は滝山修二さんを探しているんだっけ?
 なんだかそんな風に私の心は白い靄の中に入り込んで、道に迷うな…………
「やっぱり、おかしいわ、日和」
「え、何がですか、ノージュさん?」
「だってあたしの体が回復しないんですもの」
「え?」
「あたしは半分とはいえ吸血鬼。夜の眷属よ。この夜という世界の序曲と言うにも相応しい夕方でもあたしのその夜の眷属としての本能はざわめき、目覚めるはずなのよ。それなのにあたしの体はまったく回復しようとしない。これはひょっとしたら今現在も誰かの攻撃を受けているのかも?」
「え、それは、でも一体誰がどうして?」
「わからない。でもあたしはこれまでずっと滝山修二を探すために能力を扱おうとしても、その場合は上手くその能力を扱えなくって…」
 ノージュさんは首を横に振った。
「それは滝山修二の情報がまったく無いからだとかどうとかって勝手に自分を納得させていたんだけど、だけどひょっとしたらそれは違うのかもしれない。あたしたちは滝山修二を探させんとしている何者かの攻撃を受けているの?」
 あっ、と想った。確かにそうだ。私はさっき何を考えていた? 何を疑問に想っていた? 確かに私は滝山修二さんを探す意味を見失いかけていた。あれほどまでに彼を京香さんのためにも見つけ出してあげたいと強く願ったのに。
 私は口元に軽く握った拳をあてた。
「攻撃、ずっと私たちはされていたんですよね。でもそれは傷つけるというモノではなく、削るというモノで、だったら私たちの体からこんなにも体力を削り取る何らかの攻撃がされていて、それを防げればノージュさんも力を発動できますよね?」
「ええ、多分。できて、日和」
「はい」
 私とノージュさんは表向きはだれてベンチに座っていますという恰好をしながらもそう段取りをつけると、視線と視線とを合わせあって、同時に頷いた。
「「3、2、1、0」」
 そして私たちは同時にベンチから立ち上がって、お互いに背中を合わせあって、それで………
「水を操ります、ノージュさん」
 私の能力は水を操る。大気中の水分を霧状にして、それにより防御壁代わりに水の幕を展開して、そうしてそれは・・・
「魔力が、蘇った。ならば、見えるよ」
 ぞっくと背中に悪寒が走ったような感じがした。ノージュさんの魔力が発動したのだ。
「花粉?」
「花粉、って、ノージュさん?」
「あたしたちを攻撃していたのは花の花粉。それが細菌のようにあたしたちの体に入り込んでそれで、体力を奪い取っていた」
「だけどその花の花粉はどうして私たちを?」
「待って…心が………過去が見えるから…これは、滝山修二、それにまあや?」
 滝山修二さんにまあやさん?
 それはどういう事なのだろうか?
 私は能力を発動させ続けながら、ノージュさんの次なる言葉を待つ。
 ―――――――だけど・・・。
 どくんと夜気が…いえ、夜が脈打った感じがした。
 そしてノージュさんの髪が美しかった蒼銀色から月の色に変わる。
「ノージュさん」
 私は彼女を呼んだ。
「許せない」
「え?」
「そんな自分勝手な想いは許せない」
 だけど私の声は彼女には届かず、そして彼女は夜の空に舞った。



 +


「ノージュさん…」
 彼女が空に舞うと同時に竦みあがっていた夜気は落ち着いた。
 だけどそれで攻撃が途絶えた訳ではなく、私への花粉の攻撃は続いている。一体何が起こっていて、ノージュさんは何を見たのだろうか?
 しかしそれを考える余裕は私には・・・
「あ・・・」
 ふらりと貧血を起こしたように私はその場に片膝をついた。瞬間、能力は消えて、私の周りには濡れた大地と、そして私を襲ってくる花粉。
「いやぁ」
 私は瞼をぎゅっと閉じた。
 しかしその瞬間に私の悲鳴の余韻は美しいピアノの音色によって消された。
 美しい? それを美しいというのかはだけど正直わからない。そう、それはまるで罅だらけだった脆い硝子が崩れ落ちる瞬間に奏でるようなそんな音。
 そしてそのピアノの音色が止んだ時、花粉による攻撃は終わっていた。いや、迎撃されたといった方がいいのだろうか?
「三柴さん?」
「よ、初瀬日和。大丈夫かい?」
「あ、はい。でも、すみません。やっぱり、ダメみたいです。いつも能力を使った後は熱が…」
「ああ、そうか。ちょっと待ってな」
 三柴さんはそう言うと、取り出したMDプレイヤーのイヤホンを私の耳にあてて、プレイボタンを押した。
 イヤホンから流れ出した音色はリュートの音色で、そしてその音色に癒されるかのように体の疲れがみるみるうちに癒えていった。
「師匠の音楽は効くだろう?」
「はい。でも三柴さんの音楽にも救ってもらいました。あの、あの花粉は一体?」
「ああ」
 私がそう訊くと、三柴さんはどこか渋い表情をした。
「あの花粉はキスツスの花粉だ」
「キスツス?」
「そう、キスツス。花言葉は『私は明日死ぬだろう』」
「え?」
「犯人は師匠だよ」
「師匠って、まあやさんですか?」
「ああ。師匠は滝山修二と賭けをしたんだ。あんたら二人が滝山を探す邪魔をキスツスの精にやらせる。もしもキスツスの精が二人を邪魔する事ができなかったらあんたらの勝ちで、滝山修二はあんたら二人の言う事を聞く。でも、あんたらがキスツスの精に負ければ、その時は滝山修二の勝ちって」
 ちょっとよく話が見えない。
「あの一体どういう事なんですか? どうして滝山修二さんは?」
「ああ、彼は白血病なんだ」
「え…」
「だから彼はその現実に絶望し、そして結城京香のために離れる事を決意した…いや、逃げ出したんだろうな」
 私はようやくノージュさんが何を見たのかを理解した。
「あの、それで賭けはどうなったんですか?」
 そう私が訊くと、
「それはもちろん、キスツスの花粉を防いでノージュが事の真相を見た時点であんたらの勝ちだよ。だから俺があんたを助けたんだしな」
 と、にこりと笑った。
「それならよかった。なら、私を案内してください、滝山修二さんの病室に。彼に伝えたい事があります」
 そして私は病院の前まで三柴さんに連れて行ってもらって、そこから屋上までは綾瀬まあやさんに連れて行ってもらった。
 そしてノージュさんと合流する。
「ええ、任せて。って、あ」
「どうしたんですか?」
「公園に忘れ物してきちゃった」
「忘れ物って、その言い方はちょっと」
「日和、それにまあや」
 ノージュさんの私は前に立ち、
「さあ、ノージュさん、伝えましょう。私たちがどうしてここまで来たのかを彼に」
「ええ」
 そして私とノージュさんは白さんとまあやさんに見つめられながら、滝山修二さんの前に立った。



 +


「君達は…」
「こんばんは。滝山修二さん。あたしはあなたと会うのは二回目なんだけどな。ああ、髪の色が諸事情によりちょっと違うんだけどね。この指輪、憶えていない?」
 ノージュさんは彼に首にかけたチェーンに通した指輪を見せた。
「あ」
 どうやら彼は指輪の事を覚えていたようだ。
「そう、雑貨屋【モノクローム・ノクターン】の店主のノージュ・ミラフィスです」
「私は初めましてです。初瀬日和と言います」
 私は彼に頭を下げた。
「どうして、君達はここに?」
 私とノージュさんは顔を見合わせあって、
 それでまず先に私が前に出た。
「あなたと京香さんが住んでいたアパートのすぐ近くの商店街には街角ギャラリーというものがあるんです」
「あ、え、あ、うん」
「そこには一枚の絵が飾られています。キャンバス一面にラベンダーが描かれていて、その中には笑っているあなたが。私がこうしてここに来ようと想ったのはその絵が理由です。その絵はね、とても綺麗なんですが哀しいんですよ? その絵に込められた胸が痛くなるほどの想いのせいで。それは今も京香さんがあなたを好きだと言う想い。一面に描かれたラベンダーの意味、あなたには伝わりますか? ラベンダーの花言葉は『あなたを待っています』です。あなたは本当にこれが彼女にとって一番良いと想いますか? もしもこのままあなたが彼女の前に現れなければ、彼女はずっとあなたに縛られたまま一歩も前に動けなくなります。それはものすごく哀しい事だと思いませんか? 私にも実は経験があるんです。私の場合はとても大切な友達だった。果たせなかった約束に、罪悪感に私の心は縛られて…だけどその友達は人形に宿って私を助けてくれた。それにどれだけ救われたか。修二さん、苦しんでいる京香さんを助けられるのはあなただけです」
 そして私が後ろに下がるのと同時にノージュさんが前に出る。
 ノージュさんは首の後ろに手をまわし、チェーンを外して、そして指輪を手の平の上に乗せて、その手を彼に出した。
「この指輪をもらってください。この子はあなたにもらわれる事を願っているし、あたしもこの指輪はあなたたちに相応しいと想う。輪は廻るわ。たとえ期限付きだったとしてもそれでもその想い出はこれからの彼女を支えてくれる。そしてその支えとなる想い出の証拠としてこの指輪はこれからも彼女の指を飾り続ける。そして環が円を成すようにそれはあなたの幸せでもあるでしょう。あなたに還るでしょう? これからの時間はあなたたちが不幸になるためにあるんじゃなくって、あなたたちが幸せになるためにあるんじゃなくて?」
 そうして彼は私とノージュさんを順に見つめ、
 固い蕾のようだった顔に花が咲き綻んだような笑みを浮かべて、
「ごめん。ありがとう、二人とも」
 ノージュさんの手の平の上に置かれていた指輪を受け取った。
 おそらくその指輪が彼の手に取られた瞬間に、指輪がとてもものすごく綺麗な音色を奏でたのはきっと私の聴き間違いではないだろう。その証拠に修二さんはとても綺麗な顔をしていたのだから。



 ――――――――――――――――――
【9月】
 9月の花 ヒマラヤスギ。
 ヒマラヤスギの花言葉はあなたのために生きる。


 私とノージュさんは滝山修二さんの病室から、結城京香さんの心が引き裂かれるような声にもならない悲鳴のような泣き声を背に病院の廊下から出た。
 廊下ではスノードロップちゃんも泣いていた。病院の廊下に蹲って滝のように大粒の涙を流して。
 私とノージュさんもスノードロップちゃんを二人の手の平の上に乗せて、互いの額を当てながら涙を流した。
「どうしてでしか? どうして修二さんが死なないといけないんでしかぁ?」
 小さな妖精は人の運命を憂いていた。
 滝山修二さんは今日死んだ。白血病で。
 でも彼は確かに京香さんの心に想い出と、そして新たな命を彼女のお腹の中に宿していった。
 だけど………
「大丈夫ですか?」
 そう訊いてくれる白さんは優しい…そう、この場ではとても哀しすぎるぐらい優しい表情で私たちに微笑みかけてくれる。
「はい。ね、日和」
「はい、私も大丈夫です。でも京香さんが…」
「そうね、京香さんがすごく心配なんです」
 私たちは居たたまれない気持ちに苛まれながらも主の居なくなった病室に入った。
 しかしそこに彼女はいなかった。
「そんな、京香さんはどこにいったんでしか?」
 私たちは絶句するしかなかった。
「探そう、日和」
「はい、ノージュさん」
 病室から飛び出そうとした私たち。その私たちの前に・・・



 ちりーん。



 風鈴の音色が聴こえた。
 とても澄んだ透明な音色の………
「この風鈴の音色は最後の彼の声を表しているのだよ、ノージュに日和」
「あなたは?」
「猫さん?」
 猫さんはこくりと頷いた。
 彼さんの事はスノードロップちゃんから聞いている。
「あの、それで修二さんはなんと言ってるんですか?」
 猫さんは私の質問に軽く目を細めた。
「彼女は屋上に居ると」
「屋上ね」
 そう言って病室を飛び出したノージュさんに私もついていく。
 そうして少しノージュさんに遅れて到着した屋上…
 そこでは、あの日の夜に滝山修二さんがそうしていたように京香さんも下を見下ろしていた。
「何をやっているの?」
 厳しい声でノージュさんがそう言う。
「来ないで」
 京香さんは頭を振って、
「来ないで、って、馬鹿な事はやめてください、京香さん」
 泣きながら私は懇願した。
「そん、な…そんな真似をしたら修二さんが哀しみます」
「そうよ、やめなさい。修二が哀しむわよ」
「哀しまないわよ。哀しまない。彼は…彼は私を置いていってしまった…酷い人なんだから」
 その言葉に私もノージュさんも絶句した。
 私たちはもう彼女に何を言えばいいのかわからない。
 だけど、


 ちりーん。


 また風鈴の音色が響いた。
「ならば庭園においで。そこで二人の【想い出】の風鈴を見るがいいだろう」
 いつの間にか私たちの足下にいた猫さん。
 そうして彼は、私たちを庭園へと導いた。
 百花繚乱とも言い例える事ができるぐらいのいくつもの色取り取りの風鈴が青い空をバックに飾られた地、庭園。
 その綺麗な音色の中でしかし、音を発しない真っ黒な風鈴が一つ。
「これは?」
 ショックを受けたようにそう訊く彼女に猫さんは答える。
「想い出の風鈴。滝山修二とあなたとの想い出を封じ込めた風鈴だよ」
 いつの間にかいた今ひとりの少女も口を開く。
「あなたがその想い出を拒絶した瞬間にこの風鈴はこうなりました。元の美しい柄もその音色も失って。だけど……」
 私とノージュさんは顔を見合わせて頷きあう。やるべき事はわかっていた。


「「だけどあなたが想い出を…滝山修二の愛を信じれば、風鈴はまたその美しい音色も柄も取り戻す」」


 そして私とノージュさんは彼女の手に自分達の手を重ね合わせて、風鈴に触れさせた。
 そうして彼女は何を見たのだろうか?
 ぼろぼろと涙を零しながらその場に膝を折って、声をあげた。
 とても哀しい哀しい・・・
 だけどどこかとても安らぎにも満ちたような・・・
 そんな不思議な言葉には言い表せない感情に満ちた泣き声を。
 風鈴に描かれていたのはどこかの風景のようだった。おそらくそれは………。
 私は泣いている京香さんの傍らに両膝をついて、そっと泣いている彼女の背中を叩いた、とんとんと。昔、母が怖い夢を見たと言っては泣いていた私にそうしてくれたように。
「人は、知り合った、関わった人達の想い出の中でも生き続ける事ができるって、私は信じているから…だから、忘れません…出会った人たちの事、みんな…」
 そしてノージュさんもずっと持っていた指輪をスノードロップちゃんと一緒に京香さんの手の平の上に乗せて握らせる。
「想い出に縛り付けてでも、あなたには生きて欲しいと修二は願っている。あなたと、小さな命―自分の生きた証に。京香、あなたは死によって想い出を拒否することしか考えていなかった。だけど修二は死の間際にもあなたの幸せだけを願った。あなたを愛した人の想い出を拒まないで」
 そうして彼女はまた大声をあげて泣き出し、
 二人の想い出の風鈴はそんな彼女を優しく宥めようとするかのように静かに静かに鳴っていた。



 ――――――――――――――――――
【ラスト】


 チェロの発表会。
 私は段上に上る。
 そこから見える招待席にはノージュさんに白さん、それにスノードロップちゃんと、そして・・・
「ようこそ。どうか聴いていってくださいね」
 私は声を出させずに唇だけを動かして、京香さんにそう言った。
 優しく満ち足りた母親の顔をしている彼女は嬉しそうに微笑みながら頷いた。
 私はその日、彼女の前で最高のチェロの音色を響かせた。
 そう、天国にもその音色が届くのを祈りながら。



 ― fin ―


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】



【 3524 / 初瀬・日和(はつせ・ひより) / 女性 / 16歳 /高校生 】


【 2060 / ノージュ・ミラフィス(のーじゅ・みらふぃす) / 女性 / 17歳 / 雑貨屋【モノクローム・ノクターン】の主人 】


【 NPC / 白 】


【 NPC / 風鈴売りの少女 】


【 NPC / 猫 】


【 NPC / スノードロップ 】 


【NPC / 綾瀬・まあや 】



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■         ライター通信          ■
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こんにちは、初瀬・日和様。
こんにちは、ノージュ・ミラフィス様。
いつもありがとうございます。
このたび担当させていただいたライターの草摩一護です。


今回も本当に依頼参加ありがとうございます。
今回は千紫万紅では初の集合型だったのですが、
日和さんノージュさんは性格においても能力においても、またプレイングも本当にお二人とも素晴らしい設定でしたので、
このお二人をコンビにして物語を書き進めていくのは本当に面白く楽しかったですし、
それに会話や二人が一緒にいるというのにも違和感などが一切無かったので、
本当に書き手としてもものすごく気持ち良く物語を書き進める事ができました。
9月の庭園のシーンは実はエンディングシーンとしておひとりおひとりで別々の形で書く予定だったのですが、
お二人のプレイングが本当にぴったりで、これはお二人同時に書いた方がよりこのプレイングの綺麗さを引き出せると想って、
それでこういう形式になったのです。
本当に素敵なプレイングありがとうございました。^^




日和さんのラベンダーの絵、本当にとても素敵だと想いました。
行動理由としても本当にインパクトが強かったですし、
京香の想いとか切なさも表現してくれましたしね。^^
それにこれは日和さんの行動理由、京香の心理描写のみならず、修二を説得するためのモノにもなってくれましたし。
ですから本当にこういう部分でもすごくありがたかったのですよね。
日和さんの絵、ノージュさんの指輪は。^^

それとプレイングにあった『初めて会った地〜』というのは少し形を変えてしまったのですが、
これも本当にありがたかったです。そうか、風鈴の柄はこれにしようと想った時はすごく嬉しくなったのですよ。^^


京香、修二のために奏でる日和さんのチェロの音色は本当にとても綺麗で澄んだ音色だと想います。
だからこそ、京香を癒し、修二のところまで届くだろうと。^^


それでは今回はこの辺で失礼させていただきますね。
本当にありがとうございました。
それでは失礼します。