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■★鶴来理沙の剣術道場■

雛川 遊
【2313】【来城・圭織】【弁護士】
剣神リアイアの巫女、鶴来理沙の剣術道場です。
理沙と一緒に武の道を極めたい人や、必殺技の修行をされたい人は修行をされて汗をかいてみませんか?
剣術道場では修練を積むお手伝いから戦いのアドバイスまで、手広くカバーしています。
なんとなく和みたい人も大歓迎!
ぜひ一度当道場の門をお叩きください。

★鶴来理沙の剣術道場

●ようこそいらっしゃいました! 〜オープニング〜

 はじめまして。
 当道場は剣神リサイアの巫女、鶴来理沙(つるぎ・りさ)の剣術道場になります。
(――――つまりこの私が道場主です!)
 場所はあやかし荘の大部屋を間借りして開いています。が、とある結界の力を用いて道場内に色んな修行の場を出現させたり、古の武術を伝える師範がいたりと、ふつーの道場ではないのです。
 武の道を極めたい人、必殺技の修行をされたい人、なんとなく和みたい人などは、ぜひ当道場の門をお叩きください。ビンボーですががんばりますので!
 あ、それと補足がひとつ。
 ただいま門下生希望者は、随時熱烈大歓迎☆

 それでは、本日も良き修行の一日を!!


●本日の修行、開始です!

「はいっ、たのもー!!」
 ドンドンドン!
 遠慮がないというか威勢がいいというか、朗らかな声で道場の門が叩かれた。
「わ、ど、どなたですかっ?」
 道場主の鶴来理沙はおっかなびっくり扉を開ける。

「初めまして、単純にもっともっと強くなりたい来城圭織です。かおりんって呼んでくれると嬉しいわね」

 ‥‥‥‥‥‥。
 たっぷり10秒ほど理沙は反応できなかった。
 来城 圭織(らいじょう・かおり) のニッコリ笑顔に気圧されたのだ。
 そんな理沙にお構いなしに、真剣な表情を繕うと、人差し指を立てた圭織はむむーと理沙につめよった。
「周りからいつも『おまえ凶暴』『鬼だ』ってよく言われるのよね〜なんかよくわかんないんだけど。もうそんなこと全然ないのに失礼しちゃってものよねまったくか弱い可憐な乙女をなんて思ってるのかしら」
 いえ、周囲の方々の意見は正しいのでは‥‥などとは死んでも言えない立場なので、理沙はただただ頷きを返すしかない。
 そんな理沙にお構いなしに、ちゃきちゃきの江戸っ子らしく、さらに圭織はずずずいっと理沙につめよる。
 当然、理沙はつめよられた分、後ろに下がるしかない。
「でも、強いとか言われるのは好きだし、自分自身もっと強くなりたいと思ってるからここの門下生になりたいと思ったの。宜しくね☆」
「あの‥‥僭越な意見ではありますが、圭織サンはもう十分お強いような気も‥‥いろんな意味で――」
「あんですって!?(ギロッ)」
「は、はいっ! いっぱい修行しちゃって、もっと強くなってくださいねっ!」
「もっとじゃないわ。もっともっともぉ〜っと、強くなるのよ? 強い女は時代の鏡、でしょ?」
「で、ですね‥‥」
「ですねじゃないの! あなたも一緒に強くなるの、わかった!? ほら、はいの返事は?」
 ひ〜ん、誰か助けてぇ〜‥‥!
 などと内心ヘルプミープリーズを絶叫しながら「は、はいっ」と答えて、理沙は今以上に強くなった圭織を想像する。‥‥。

 なにかこわいものをみたので すぐそうぞうをうちけした。


                             ○

「えっと、基本練習ですねっ。自己流で色々とやっていらっしゃるようですけれど」
「正式な方法とかでここの修行方法はよくわかんないから教えてくれると嬉しいわね」
 ニッコリ笑顔に理沙はぶるぶるだ。
 第一印象というものはかくも恐るべき呪縛なのか。
「はい、お! お任せください! それじゃ今、師範代の人を呼んできますから」
「んじゃせっかくだから道場主の理沙さんを希望するわ。お手柔らかに」
 はい? と振り返る理沙。
「あの、いま、なんて‥‥」
「理沙さんがいい☆」
「あ、いえ、我が道場には他にも優秀な師範の方がいっぱいいらっしゃいますから‥‥」
「さあ、理沙さん! 修行の道は険しくってよ!!」
 問答無用で襟首をつかまれると、滝涙の理沙はずるずると道場に引っ張られていった。
「自分の技にキレを出したいって考えてたから。必殺技の前に基本をもう一度改めなくちゃね、って思ってたのよね」
「それでは、基本は打ち込みがいいですね。全てに通じる剣の土台ですものね。まずは握りですけど‥‥」
「こうかしら? ぎゅっと、ね」
「はい、やさしく、それでいてしっかりと搾りこむように、です。あ、もう片手は添えるように、一方の手を支点とすることで先端のコントロールを容易にするんです」
 まずは剣の握りを指導しながら、理沙は圭織の横顔を盗み見た。
 キッと真剣に打ち込んだまっすぐな眼差し。
 ‥‥あ、圭織さんってこんな真剣な表情もするんだ‥‥。
 などとかなり失礼な関心の仕方をする理沙――いや、どちらかというと圭織さん的には毎日が真剣真っ向勝負!! のようにも思われるのだが‥‥うん、世に「言わぬが花」という素晴らしい言葉があることを今日ほど噛みしめたことはない。
「それでは、私に打ち込んでみてくださ――」

       バ ギ イ ィ ィ ! ! !

 凄い音がした。
 自分の頬のすぐ横を何かが掠めたかと思うと、その軌跡を描いた足元の床に剣先をめり込ませた木刀がある。
「あはは、ごめんなさいね。すっぽ抜けちゃった☆」
 サーと自分の血の気の引く音をこのときの理沙は確かに感じた。
 かみさま、わたしは、いきてかえてますか?
「っしゃーッ! 強くなるまでは家に帰らないわよーーっ!!」
 ひーん。
 やるときはやる人、それが圭織らしいと理沙は改めて、その身をもって思い知らされるのであった。


 道場の床にたれて横になった理沙が寝っ転がっていた。どうやら生きて帰れましたっ!(マジ泣き)
 生の喜びをかみしめていると、圭織さんは何かを見つけてキラキラと瞳を輝かせ始めた。
「あー! 温泉発見! ねー、とりあえず修行終わったし温泉入らせてよ、温泉☆」
 といいながら服を勝手に脱がせ始めないでください。あう! 疲れて抵抗が出来ません‥‥。素っ裸にされて今度は温泉に引っ張られていく理沙。
「美味しい食事を用意しておきますから、ごゆっくり」
 送り出す師範代のくのいち村雨汐だが、彼女の気遣いも恨めしい‥‥いえ、嫌いだとかじゃ全然ないんですけど、圭織さん‥‥あうーっ! だからー! ‥‥‥‥。


 この日一日、理沙の泣き声は剣術道場にこだましたという。




【本日の修行、おしまい!】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2313/来城 圭織(らいじょう・かおり)/女性/27歳/弁護士】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、雛川 遊です。
 ゲームノベル『鶴来理沙の剣術道場』にご参加いただきありがとうございました。
 またもやこれほど遅れてしまって‥‥大変に申し訳なく思います。スランプといいますか、どうしても筆が進まない日々が続き。精神的な疲れが溜まっているのかもしれませんが、参加していただいたのにこのような遅延の言い訳にはなりません。ご迷惑をお掛けしたことを謝罪させていただきます。
 あと、性格や扱いなどにもかなりアドリブが入ってしまったような‥‥なにとぞご容赦ください。

 剣術道場はゲームノベルとなります。行動結果次第では、シナリオ表示での説明にも変化があるかもしれません。気軽に楽しく参加できるよう今後も工夫していけたらと思いますので、希望する修行やこんなのあったらいいなぁというイベントがあれば、雛川までご意見をお寄せください。

 それでは、あなたに剣と翼の導きがあらんことを祈りつつ。