■ひとやすみ。■
朱園ハルヒ |
【3054】【夜都・焔雷】【夜魔/黒猫/無職(フリーター)】 |
いつもは慌しくしている司令室も、今日は穏やかだった。
早畝はナガレとともに備え付けのテレビを見ているし、斎月は自分に与えられたデスクで煙草を咥えながら新聞に目を通している。
槻哉はいつもどおりに中心のデスクに座りながら、パソコンを弄っていた。
今日の特捜部には、仕事が無いらしい。
事件が無いのはいい事なのだが…彼らは暇を持て余しているようにも、見える。
「早畝、お前学校は?」
「創立記念日で休みって、昨日言ったじゃん」
斎月が新聞から顔をのぞかせながらそんなことを言うと、早畝は彼に背を向けたままで、返事を返してくる。
見ているテレビの内容が面白いのか、会話はそのまま途切れた。
「……………」
そこでまた、沈黙が訪れた。
聞こえるのはテレビの音と、槻哉が黙々とキーボードを叩く音のみ。
穏やかだと言えば、穏やかなのだが。
何か、欠落しているような。
それは、その場にいる者たちが全員感じていること。
それだけ、普段が忙しいということだ。今まで、こんな風に時間を過ごしてきたことなど、あまり無かったから。
「たまにはこういう日もあって、いいだろう」
そう言う槻哉も、その手が止まらないのは、落ち着かないから。
秘書が運んできてくれたお茶も、これで三杯目だ。
今日はこのまま、何も起こらずに終わるのだろうか。
そんな事をそれぞれに思いながら、四人はその場を動かずに、いた。
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ひとやすみ。
いつもは慌しくしている司令室も、今日は穏やかだった。
早畝はナガレとともに備え付けのテレビを見ているし、斎月は自分に与えられたデスクで煙草を咥えながら新聞に目を通している。
槻哉はいつもどおりに中心のデスクに座りながら、パソコンを弄っていた。
今日の特捜部には、仕事が無いらしい。
事件が無いのはいい事なのだが…彼らは暇を持て余しているようにも、見える。
「早畝、お前学校は?」
「創立記念日で休みって、昨日言ったじゃん」
斎月が新聞から顔をのぞかせながらそんなことを言うと、早畝は彼に背を向けたままで、返事を返してくる。
見ているテレビの内容が面白いのか、会話はそのまま途切れた。
「……………」
そこでまた、沈黙が訪れた。
聞こえるのはテレビの音と、槻哉が黙々とキーボードを叩く音のみ。
穏やかだと言えば、穏やかなのだが。
何か、欠落しているような。
それは、その場にいる者たちが全員感じていること。
それだけ、普段が忙しいということだ。今まで、こんな風に時間を過ごしてきたことなど、あまり無かったから。
「たまにはこういう日もあって、いいだろう」
そう言う槻哉も、その手が止まらないのは、落ち着かないから。
秘書が運んできてくれたお茶も、これで三杯目だ。
今日はこのまま、何も起こらずに終わるのだろうか。
そんな事をそれぞれに思いながら、四人はその場を動かずに、いた。
「♪」
「…ご機嫌だな」
道を歩く、二人の影があった。
手を繋ぎ、とても楽しそうに鼻歌を唄っているのは――焔雷である。当然、その彼の隣を歩くのは、都築彦であった。
この二人は『セット』で目にすることが、多い。
「都築ぃ、折角だからナガレちゃん誘おうよ」
「そうだな」
偶然にも、目の先には特捜部が入ったビルがあった。それに気がついた焔雷が、指を指しながら都築彦を引っ張っていく。
都築彦は焔雷のいう事には一つも異を唱えることはせずに、頷いて彼に付き合っている。
「こーんにちはっ♪」
バタン、とノックもなしに開け放たれる本部の扉。
「………………」
扉の向こう、暇を持て余している早畝達は焔雷と都築彦の突然の来訪に、言葉なく驚いていた。
「これからお買い物に行くんだけど…ナガレちゃんは忙しいかなぁ?」
焔雷はナガレに目をやりながら、小首を傾げて見せる。そのナガレは早畝の頭の上に乗ったままで、目をパチクリとしていた。
「突然すまない。時間があるのならナガレを借りて行きたいのだが…構わないだろうか?」
焔雷の言葉を代弁するかのように、隣にいた都築彦が槻哉へと向かい、そう言った。
「…見てのとおりなのでね。構わないですよ。…彼さえいいのでしたら」
「俺はいつでもいいぜ。このとおり暇だしな」
槻哉がにこりと笑いながら応えると、ナガレが早畝の頭を蹴り、都築彦の肩の上に飛び乗る。そして焔雷に、にーっ、と笑いかけ、尻尾を振って見せた。
「あーっ駄目だよっ、都築ぃは俺のなんだからッ」
焔雷はナガレが都築彦の肩の上に登ったのが気に入らないらしく、先ほどとは打って変わったかのように、その柳眉を跳ね上げていた。
間に挟まれる形となった都築彦は、何も言わずにいる。
その様子を槻哉や早畝、そして斎月が楽しそうに眺めていた。
「ナガレーお土産買ってきてなー」
「あ、俺にもな」
「…じゃあ、僕にもね」
早畝がそんな事を言うと、斎月も続き、そして気をよくした槻哉まで悪乗りしてくる。それを片隅で見ながらクスクスと笑っているのは、秘書の女性だった。
「……お前らなぁ…」
ナガレは都築彦の肩の上に乗ったままで、ガックリと肩を落としている。
「じゃあ、行ってきまーす♪」
「いってらっしゃい、気をつけて」
周りの空気でまた機嫌を直したらしい焔雷が、元気よく片腕を上げて、残されるメンバーへと言葉をかけると、槻哉がそれに応え、見送ってくれた。
そして3人は焔雷の案内の下、街中へと買い物に出かけるのであった。
「あのね、都築ぃにカッコイイお洋服選びに行くのー♪」
「…なるほど」
人型へと変容を遂げていたナガレに、焔雷が楽しそうにそう言った。
ナガレはそれに、笑って応えてやる。
焔雷はピッタリと、都築彦の腕に自分のそれを絡ませたまま、離れることなく歩いている。そして都築彦も嫌がることなく、穏やかな顔つきをしていた。
ナガレはそんな二人を見て、心底安心したようにため息を吐きながら、微笑んだ。
少しずつであるが、この二人もきちんと良い方向へと関係が進んでいるんだと、確信できたからだ。
焦らなくていい。ゆっくりと時間を大切にしながら、二人でいると言うことを、確実なものにしてもらいたい。
口には出さないが、ナガレはこの二人のことを、できるだけ近くで見守っていきたいと思っているのだ。
「まずはねーあのお店から〜」
焔雷は都築彦の腕を引っ張ると、目についた店へと連れ込んでいく。ナガレはその後をついて歩くといった感じだ。
ついでに、自分の普段着も物色しながら。
焔雷の見立てで、都築彦はヴィジュアル系の服を何着か着せ替えをさせられた。あれやこれやと何度も服を取り替えられ、都築彦自身は着せ替え人形よろしくな状態なのだが、本人は特に嫌がる様子も見せずにいる。逆に楽しんでいる焔雷を見て、彼も同じような気持ちでいるのだろう。
「ねーねーナガレちゃん、これとこれなら、どっちが都築ぃに似合うと思う?」
「…そうだなぁ…俺的にはこっちかな」
ジャケットの下に着るシャツを選びかねていた焔雷が、ナガレに相談してくる。
ナガレも楽しそうにしながら、親身になって焔雷の服選びに協力してやった。
その姿は、まるで『親友』のような光景に見え、傍にいた都築彦が二人にわからないように微笑んでいる。
「じゃーぁ、これとこれっ お買い上げ〜!」
「………焔雷?」
焔雷が選んだ服は、二点。それを当たり前のように会計へと持っていこうとした時に、都築彦が始めて彼を止めた。
「にゃ?」
「…あ、いや…その…」
都築彦はどうやら、財布の中身のことを気にしているようであった。
「買ってもらえって。あいつゴールドカード持ってるみたいだしな」
「……………」
都築彦に『ゴールドカード』と言って、通じるかどうかも解らないのだが、ナガレはそれでも彼の脇を突付きながら悪戯っぽく笑う。
そう言われた都築彦は不思議そうな表情をしていた。
そうこうしているうちに、焔雷は既に会計へと足を運び、ご機嫌で支払いをしていた。…もちろんゴールドカードで。
「はいはーいっ 次いってみよー!」
会計を済ませた焔雷が、服の入った紙袋を大きく掲げて、二人の下へと戻ってきた。そして都築彦の腕を引っ張り、その店を後にする。
「次はねー、あっちのお店〜」
焔雷は本当に楽しそうであった。満面の笑みで都築彦とナガレを案内する。
ナガレは二人の背中を見ながら、彼もまた満足そうな顔をして、買い物に付き合っていた。
「ちょっと、そこの二人〜」
「え?」
3店目に立ち寄った店で、焔雷とナガレに、背後からそんな声が掛けられる。同時に振り向くと、店の店員がにっこりしながら立っていた。
「…何だ?」
ナガレが前に出て、二人をかばう姿勢をとる。
「あ、そんなに警戒しないで〜。キミと後ろの子、すっごく可愛くて目立ってるからさ〜、…これ、着てみない?」
店員はナガレと焔雷に目をやりながらそう言うと、彼らの目の前に、服を差し出した。フリル満載の、ロリータ服である。
…どうやら、二人そろって性別を間違われているらしい。
「……おい、俺達は…」
「はいはーいっ着てみたい! ねね、ナガレちゃん、着てみよう?」
「……………」
ナガレが店員へと訂正の言葉を投げかけようとした時に、背後の焔雷がノリノリのテンションでそう言ってきた。こうなるともう、勧められるままにその服を試着する方向へと話が決まってしまう。
「決まりね、じゃあキミはコレ。後ろの子にはこっち。試着は向こうでね」
「は〜い♪」
胸の辺りに、半ば強制的に渡される服。焔雷には黒のワンピース、ナガレには白のジャンパースカート。
「…………はぁ」
ナガレが軽く、溜息を吐いた。
すると状況を楽しんでいる焔雷を先頭に、ナガレは店員に連れられて、試着室へと運び込まれていくのだった。
取り残される形となった都築彦は、二人を黙って見送ると、窓の外へと視線を送る。
「……………」
目まぐるしく動く、街中。
外の世界に飛び出してから、焔雷とともに様々な所へと足を運んだ。そして色々な事を彼から教わった。まだまだこれからも、学ぶことはあるのだろう。…都築彦の前に、ずっと道筋がある限りは。例えそれが、弱々しい物であっても。
この先がどんなものかも、見当もつかない。焔雷の笑顔を見るたびに、心の奥が締め付けられるような感覚に陥るが、それにはなるべく触れないようにしている。おそらくは、本能で。
喧騒の中、人々は行き交い、そして生きている。
己の手で動かすことが出来るのであれば、今目にしている人々のように生きて行きたいと願ってしまうのは自然のことだ。
「つきぃ〜」
頭の中で様々な考えを巡らせていると、焔雷の弾んだ声が、再び聞こえる。
ゆっくりと振り向くと、そこには可憐な二人の姿があった。
「ね、似合う? 可愛い?」
都築彦が自分を見ていることを確認してから、焔雷はその場でくるん、と一回転してみせた。その頭の上には、黒のヘッドドレスも乗っている。
ナガレはそんな焔雷の後ろで、困ったように笑っていた。
「……こういうのを、可愛いと言うのだろうか」
都築彦は二人を交互に見ながら、ぽつりとそんな事を言った。そして二人の頭を撫でてやると、焔雷のヘッドドレスがずれてしまう。
「あーっ都築ぃ、ダメだよぅ」
「…ああ、すまない」
焔雷が頬を膨らませて、頭に手をやり自分でヘッドドレスを直している。ナガレは二人のやり取りを見ながら、クスクスと笑っていた。
「二人ともよく似合ってるわ。どう? 普段でも着てみたくない?」
店員は満足そうにして焔雷とナガレに声を掛けた。どうやらこのまま商品を売りつけようとしているらしい。最初からそれが目的であったのだろうが…。
「はーいっ じゃあこれもこのままお買い上げ〜♪ 」
「お、おい…本気かよ」
焔雷は気を良くしたままなので、店員の言われるままに片手を元気よくあげてそう言った。その言葉に焦りを見せるのは、ナガレだった。
「…買ってもらうといい。よく似合ってる」
ナガレの言葉を借りるかのように。
都築彦は真顔でナガレにそう言った。
「……焔雷はいいけど、俺はこのままじゃ、マズイだろ…」
「可愛いから、かまわないさ」
「………………」
サラリと、言って返してくる都築彦に、ナガレはアッサリと負けた。
実は彼は、褒められることに慣れてはいないのだ。
『可愛い』という言葉に、珍しく頬を赤らめている。
「あれ? ナガレちゃん、顔赤いよ〜?」
素早く会計を済ませてきた焔雷が、不思議そうな顔で覗き込んでくる。
「…な、なんでもない。会計済んだんだろっ出ようぜ」
「うん」
追求されるのを嫌い、ナガレは焔雷の手を引っ張っていく。
都築彦は二人の後を追いながら、クスクスと笑っていた。
そろそろ買い物にも飽きてきたのか、焔雷がキョロキョロと辺りを見回した。休める場を探しているのだろう。
そんな三人は否応なしに行き交う人の目を引いているようであった。矢鱈と長身で美形の男が、ロリータ服を着ている女の子を二人も連れ歩いているのだ(周りにはそういう風に見えている模様)。目立っても仕方ない。
「あっ、ねーねー二人とも、あそこで一休みしよ〜」
焔雷は何かを見つけたのか、都築彦の袖を引っ張り指を刺した。
それにナガレが目をやると、その先にはオープンカフェがある。
「そうだな、俺も少しだけ疲れたな」
「じゃあ、決まり〜」
ナガレが笑って応えると、焔雷は楽しそうにまた先頭を切った。
そして三人は、その先の喫茶店へと足を向けた。
「…ショートケーキと、チョコレートケーキと、チーズケーキ。それからガトーショコラとブラウニーと…あっアップルパイはね、ホールで。
えっと、都築ぃとナガレちゃんは何にする?」
「己は、モンブラン」
「……俺は…スコーン」
焔雷の注文の多さに圧倒されているのは、ナガレのみのようだった。都築彦はその表情を変えることなく自分の注文をしている。おそらく普段から、この二人は『こう』なのだろう。
ナガレは苦笑しつつ、自分が目を付けたケーキの注文をした。
「全部食べられるのか?」
「うん♪」
焔雷は先に運ばれてきたアイスフルーツティーを、幸せそうに口に運びながらナガレの問いに答える。コーヒーを手にした都築彦は黙ったままで、ゆっくりとそれを口に運んでいた。
ナガレは呆れ顔になりながらも、二人を見ながら自分も目の前に置かれた紅茶に手を伸す。
程なくして、真っ白なテーブルクロスを埋め尽くしてしまうかのように、注文したケーキが次々と運ばれてきた。最初は上機嫌でそれを口にしている焔雷だったが、五つほどケーキを食した後、そのペースが落ち始める。
「……うー…」
「無理をするな、焔雷」
頑張ってフォークを進めようとしている焔雷に、都築彦が背中をさすりながら、そう言う。
ナガレは二杯目の紅茶を飲みつつ、もう限界だと判断し、店員を呼んだ。
「すいません、後は持ち帰りしていいですか」
そのナガレの声色は、いつもと少し違っていた。自分の今の格好を気にしているのか、自然とそんな声が出たらしい。
店員は特に気分を害した様子も見せずに、にっこりと笑って了承してくれた。
「…ナガレちゃん、何だか可愛い声だったね」
「うるさいな」
こくこく、と紅茶で喉を潤しながら、焔雷がそんな事を言う。見ると、都築彦も後を続いて何かを言おうとしていたので、それを止めるかのように、反論をした。
そして、手のつけられなかったアップルパイと、残りのケーキを入れた箱を片手に、三人はカフェを後にする。
「…そろそろ戻るか」
空を見上げれば、夕焼けが広がり始める頃になっていた。
天を仰ぎながらナガレがそう言うと、二人とも頷き帰してきてくれる。焔雷も疲れているようで、都築彦にべったりとくっついたまま、もたれ掛かっている。
「ちょっと、人に酔ったな…近道も兼ねてるし、大通りを外れよう」
ナガレは二人を導くかのように、親指で道を指しながら、歩みを進める。都築彦は焔雷を気遣いながら、彼の後を追って足を進めた。
人の波を避け、大通りを抜け…特捜部を目指してゆっくりと歩いていると、静謐な空間へと行き当たる。ひっそりと社を構えているのは『勝利の神』と呼ばれる、過去に実在した海軍の軍人を御神体とした神社だ。
「……………」
何かを感じ取ったのか、都築彦はその神社に呼ばれるようにして境内へと足を運ぶ。
ナガレに焔雷を任せるようにして。
「…都築彦?」
「都築ぃ?」
ナガレと焔雷は、その都築彦の行動に首をかしげ、遅れをとりながら彼の後を追う。
先に進む都築彦は目に付いたお守りを手にしていた。板切れ状になっているそれにはただ一言、『勝』の文字が。
それに彼は、自嘲気味に、ふ、と笑った。
何に、勝つというのだろうか。
「………己に…」
心でそう問いかけた後、小さく呟きをもらし、そのお守りを元の位置へと戻した。
「…どうした? 都築彦」
すると追いついたナガレ達が、都築彦に声を掛けてくる。
「いや、なんでもない。急にすまなかったな」
彼らに振り返った都築彦は、交互に頭を撫でてやりながら、安心させるためにゆっくりと微笑む。
焔雷はそれで安心を見せていたが、ナガレには何か引っかかるような感じが取れずにいる。それでも深入りはしないほうがいいと思い、何も言わない。
そして三人は、焔雷の提案により都築彦を真ん中にし、手を繋ぎながら、特捜部への帰路を進んでいくのだった。
「お帰り」
本部の扉を開けると、出迎えてくれたのは槻哉だった。
人型の姿を解き、鼬の姿に戻っていたナガレは、彼の肩に飛び乗り、辺りを見回す。
「あれ? 早畝と斎月は?」
「…ああ、君達が出て行った後に早畝が騒ぎ出してね。仕方ないからって斎月が連れ出してしまったよ。もうすぐ戻ると思うけどね」
「ったく、あいつはいつまで経ってもガキなんだからよ…」
槻哉から早畝たちのことを聞いたナガレはそう溢しながら、重い溜息を吐き、カックリと頭を垂れた。
一息ついてから一緒に連れてきた都築彦たちに振り返ると、ソファに腰掛けた彼らに向かい、秘書が『静かにね』と合図を送ってくる。
背凭れに飛び乗り、二人を見下ろすと、焔雷が都築彦にもたれ掛かったまま眠っている。あれだけ歩き回ったのだ、余程疲れたんだろう。
ナガレはその幸せそうな焔雷の寝顔を見ながら、ふ、と笑う。そしてこっそりと都築彦のひざの上に飛び降りると、彼もうとうとしているようであった。
「……しばらく、静かにしたほうがよさそうだね」
槻哉も遠巻きに視線を送りながら、微笑んでいた。
そして秘書が休憩室から毛布を運んでくると…ナガレも都築彦のひざの上で丸くなり、眠ってしまっていた。
クスクスと笑いながら、彼女は優しく彼らに毛布をかけてやる。
楽しい一日を過ごした三人は、その後も早畝たちが出先から戻るまで、その場でゆったりと眠っているのだった。
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登場人物
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【整理番号 : PC名 : 性別 : 年齢 : 職業】
【3054 : 夜都・焔雷 : 男性 : 19歳 : 夜魔/黒猫/無職(フリーター)】
【2775 : 河譚・都築彦 : 男性 : 23歳 : 獣眼―獣心】
【NPC : ナガレ】
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ライター通信
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ライターの桐岬です。今回は『ひとやすみ』へのご参加、ありがとうございました。
夜都・焔雷さま
今回もご参加ありがとうございました。
どうでしょうか、楽しいひと時を過ごせましたか?ナガレはとても楽しかったようです。
嫌々なようでしたが、コスプレ(笑)も嬉しかったみたいですよ。
お持ち帰りになったアップルパイは、帰った後で都築彦さんと一緒に食べたのでしょうか?
少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
ご感想など、お聞かせください。今後の参考にさせていただきます。
今回は本当に有難うございました。
誤字脱字が有りました場合、申し訳有りません。
桐岬 美沖。
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