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■チビパンダの花嫁修業?!■

伊佐長哉
【2726】【丘星・斗子】【大学生/能楽師小鼓方の卵】
香の匂いの染み付いた、小さな和雑貨屋店内。
本を読み茶をすする猪坂 晃の前にそれは突然やってきた。
猫程の大きさの、ぬいぐるみのような物体・・・を大事そうに抱えた見知った男。

「頼みますよー、兄貴!」
清秋寺 遥匡が両手を合わせて頭を下げる。
物体・・・遥匡が大切にしている最愛のペット、がお見合いする事になったというのだ。
「それは、めでたい事だね。」
いきなり頭を下げられた晃は半笑いの顔で続けた。
「見合いする相手が居る事が驚きだけど・・・」
失礼な言い草である。
だが遥匡は気にもしていない様子だ。
「なかなか無いチャンスだと思うんです。ただ、彼女にはちょっと不安な所があって・・・」
最愛の彼女に視線を落とす。
遥匡が言うには、彼女は少しばかり、女性らしくない所があるらしい。
少々男勝りな所もあるが、とても良い子だ、だがやはりお見あいするとなれば少しは女性らしい嗜みを身に付けたい・・・
そんな内容の事を熱く語っている。
要はお見合いの日までに、彼女を女性らしく「特訓」して欲しい、という事らしい。
「このお見合い、絶対成功させてやりたいんですっ!御礼は、大した事出来ないんですが・・・」
「男の僕に言われてもなぁ・・・朋夜はこういう事には向かないし・・・って!」
晃の後ろにいた朋夜が彼の頭に物理攻撃を繰り出した。
遥匡は今にも泣き出さんばかりの情けない顔でそれを見ている。
当の彼女は、カウンターの上でお気に入りの笹の葉を盛大に食い散らかしたり、
カウンターで爪研ぎしたりと忙しいようだ。

「色んな突っ込みは取り敢えず置いといて、」
晃は深く溜息をついた。


「チビパンダにおける女性の嗜みって・・・何?」