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■『千紫万紅 縁』■

草摩一護
【3524】【初瀬・日和】【高校生】
『千紫万紅 縁』


 あなたが歩いていると、白さんとスノードロップに出会いました。
 そして白さんがあなたを見て、ほやっととても穏やかに微笑ましそうに両目を細めました。
 スノードロップもにこにことあなたの後ろを見ています。
 どうしたのかな? と小首を傾げるあなた。
 すると白さんが、
「最近、どのような事がありました?」
 と、聞いてきました。
 あなたは目を瞬かせながら、聞き返します。どうしてですか? と。
 そしたら白さんは優しい声でそう問う理由を教えてくれました。
「あなたの後ろに花の精がいるのです。ですから、あなたとその花の精との出会いはどのような出会いだったのかな? と、興味を持ちまして」
「でし♪」
 そしてあなたは白さんとスノードロップに多分、これだろうな、という事をお喋りするのでした。



 ++ライターより++


 今回は依頼文を読んでくださり、ありがとうございます。
 『千紫万紅 縁』はPLさまの読みたい物語に、花の妖精を絡み合わせて、ほのぼのとするお話、しんみりとするお話、色んなお話を書いてみたいと想います。

 プレイングはシチュエーションノベルと書き方は同じです。
 PLさまが読みたいと想われる物語の【起承転結】もしくはお話半ばまでのあらすじ、お話のきっかけのような物をプレイング欄に書き込めるだけ書いておいてください。あとはそのお話に見合う花の妖精を絡め合わせて、PLさまが考えてくださったお話に色をつけたいと想います。
 また、最初から花にまつわる物語でも結構です。^^

【PCさまの身に起こっている事は現在進行形でお願いします!!! その上で起承転結、もしくはお話半ばまでで書いてもらいたいプレイングをお書きくださいませ。】

 尚、NPCの設定にまつわる内容のお話はお控えください。
 それでは失礼します。

『千紫万紅 縁 ― ハナモモの物語 ―』


 くすくすくす。
 どんな子なんだろうねー、クマ君を連れて行くのは?
 クマ君はどんな子がいいの?
 幼い子どもがいい?
 幼稚園児くらい。
 ああ、でも幼稚園児だと振り回されて遊ばれちゃうかな?
 大変だ。
 女子高生なんてどう?
 大事に部屋に飾ってくれるよ。
 おじさん、なんかが買っちゃうかも。
 最近のおじさんはかわいいモノ好きの人がいるから。
 おばあさんが孫にプレゼントするのもいいよね。
 おじいさんでも。
 優しい人に買われるといいね、クマ君。
 え? ボク?
 ボクの希望?
 そだね。
 ボクとしてはカップルに買われるといいかもね、君が。
 だってボクの花言葉は……



 ――――――――――――――――――
【Begin Story】


 困ったなー。
 初瀬日和は財布の中身と睨めっこして顔を歪めた。
 ショーウインドウの向こうでちょこんと座っているクマのぬいぐるみはどうしても欲しいのに、しかし哀しいかな財布の中身は真冬だった。
「どうしたのよ、日和。そんな所で小学生みたいに固まって」
 明るい声が日和の肩を叩いた。
 振り返ると中学時代に仲が良かったの柏木ゆきのが居た。
「ゆきのちゃん。久しぶり」
「ん、久しぶりだね。それよりもどしたの?」
「うん、ちょこっと、このぬいぐるみが欲しくって」
「ぬいぐるみ?」
 どれどれと彼女が日和の隣から覗く。
「へぇー、かわいいぬいぐるみだね」
「でしょう」
 日和は嬉しそうに言った。
「このクマ君は気分は、パイロットなのかな?」
「そうだと想うよ。飛行機乗りさんがするゴーグルをつけているんですもの」
「じゃあ、名前はリンドバーグだね」
「それだったらマキちゃんでもいいのかしら?」
「女の子だったらね」
「うーん、でも女の子は嫌だな。だからやっぱりこの子は男の子で、リンドバーグ君」
 そう言いながら、うん、と頷いた日和にゆきのは下世話な表情をする。
「何よ、日和、それは? ひょっとして、彼にリンドバーグをプレゼントしようっての?」
「うん。やっぱり、男の子にクマのぬいぐるみなんて変かな?」
「んー、普通はプレゼント、しないかな。男の子にぬいぐるみなんて。だけどまあ、日和だから許されるかな?」
 その言い様に日和は眉根を寄せる。
「あ、なに、今の言い様は?」
「まあ、かわいい子は何をやっても許されるって」
「かわいくなんか無いですぅー」
 あっかんべーをする日和の額をゆきのはでこぴんで弾いた。
「そういうのがかわいいって」
「ぶぅー」
「で、どうするの日和? 買うの、買わないの?」
「うーん、買いたいには買いたいんだけど、お財布の中身が……」
「真冬?」
「うん」
 ゆきのはくすくすと笑った。
「彼氏に強請ったら? って、強請る相手にプレゼントしたいんだっけ。買わせた相手にそれをプレゼントするのも変な話だよね」
「うん。ってか、私は強請ったりしないよ」
「はいはい。ご馳走様。じゃあ、あたしはこれから彼とデートだから。じゃあねー」
 ゆきのは日和に手を振って人込みの中に消えていった。その彼女の後ろ姿を見ながら日和は溜息を吐いた。
「こっちがご馳走様だよ」
 そしてしばらく日和は本当に幼い子どもがそうするようにじぃーっとショーウインドウの向こうのクマのぬいぐるみを眺め、
 彼との待ち合わせ時間になったので泣く泣くそこから立ち去った。



 +++


 くすくすくす。
 君の名前が決まったね。
 君の名前は、リンドバーグのようだよ、クマ君。
 リンドバーグって確か人間の飛行機乗りの名前。
 良い名前じゃないかい、リンドバーグ君。
 んー、でも彼女、お金が無いみたいだね。
 尚且つ、彼氏君に君をプレゼントだって。
 変わってるよね。しないよね、普通。男の子にぬいぐるみをプレゼント。
 天然なのかな?
 くすくすくす。
 でも、ボク、気に入っちゃった。
 ねえ、リンドバーグ君。
 彼女には相応しいと想わないかい、ボクの花言葉が。
 ボクは彼女にするよ。
 くすくすくす。



 +++


 街中の喫茶店。
 そこで彼女と彼は向かい合って座っていた。
 彼がブラックコーヒー。
 日和はアールグレイ。
 2人の真ん中に大きな白磁のお皿。その上にはクッキー。このお店自慢のクッキーだ。
 それを啄ばみながらそれぞれの飲み物を飲んで2人は会話を交わす。
「でね、久しぶりに会ったその子とクマのぬいぐるみに名前を付けたの。リンドバーグって。本当に可愛かったんだから」
「ふーん。だけどどうして買わなかったの、そんなに気に入ったなら?」
「あ、うん。お財布の中身が真冬だったの」
「あー、なるほど。日和はバイトをしてないものな」
「うん。次のお小遣い日まで我慢。売れないといいのだけど」
「そだね」
「そだね、って。なんか素っ気無い」
 日和は小さく頬を膨らませた。
 その彼女の後ろでは花の妖精がくすくすと笑っていた。



 +++


 ふむふむ。
 この彼が日和の彼氏さんか。
 ではでは、この彼氏さんに。えい、ってボクの魔法をね♪



 +++


 日和が歩いていると、前方から背の高い青年と妖精がやってきた。
 その2人を見て、日和はにこりと微笑む。
 青年の方が日和に気付いて柔らかな笑みを浮かべながら頭を下げて、日和もぺこりと頭を下げた。
「こんにちはでし、日和さん」
「ええ、こんにちは、スノーちゃん。それに白さんも」
「ええ、こんにちは、日和さん。先日はどうもお疲れ様でした」
「はい」
「ところで……」
「はい?」
「最近、何か困った事はありませんか?」
「はい?」
 妙に悪戯っぽい笑みを浮かべる白に日和は小首を傾げる。
「あの、困った事って?」
 何やら白は日和の後ろを見つめながらにこにこと妙に悪戯っぽく微笑んでいる。
「例えば恋愛関係で」
「ほえ?」
 さらりと白が言った言葉に日和は頬を真っ赤にした。
「れ、恋愛関係って。いえ、その、上々です。彼とは」
「あははははは。日和さん、お顔が林檎みたいに真っ赤でし♪」
「こら、スノー」
 白はふわふわと飛んでいるスノードロップを軽くたしなめると、日和の背後を見つめながら言った。
「彼、との事もそうかもしれませんし、ひょっとしたら他の男性とも何やら困った事になる可能も無いにもあらずですね」
「え?」
 訳がわからずに目をぱちぱちと瞬かせる日和に白はふむと頷いた。
「わかりました。では、僕とスノーも今日は日和さんと行動を共にさせていただきましょうか?」
「ほえ? 私と一緒にですか?」
「ええ。彼が日和さんの彼氏さんにだけ影響を与えているのでしたら、一行にかまわないのですが、もしも違う男性に影響を与えているのだとしたら、それは困りものですからね」
 ウインクする白にスノードロップもうんうんと頷いた。
「そうでし。そうでし」
「あの、えっと、よくわからないのですが、よろしくお願いします」
 ぺこりと頭を下げた日和に白とスノードロップも頭を下げた。
「さてと、それにしてもこれからどこに行くんでしか?」
 そう小首を傾げるスノードロップに日和はにこりと微笑んだ。
「うん。リンドバーグを迎えに行くの」
「リンドバーグ、でしか?」
「有名な飛行機乗りの名前ですよ。それとバンドの名前としても有名かな?」
「あっ、まあやさんはリンドバーグ好きでしよ♪」
 三人は顔を見合わせてくすくすと笑った。
「ちょっと前に雑貨屋さんで飛行機乗りさんのゴーグルをつけたクマのぬいぐるみを見つけて、あ、いいな、と想ったんですけど、お財布の中身が真冬だから買えなくって、それで今日までお預けだったんですけど、昨日、チェロの先生に紹介してもらったオーケストラの演奏会に参加してアルバイトをしたんです。そのお金でこれからリンドバーグを見受けしに」
「なるほど。やっぱり、大事な人へのプレゼントは自分で得たお金でするのが一番ですからね」
「でしでし。では、行きましょうでし♪」
 そして3人で雑貨屋に行く。
 でもショーウインドウの向こうでちょこんと座ってるハリネズミのぬいぐるみを見て、日和は固まった。
「ハリネズミさんしかいないでしね?」
「………多分、売れちゃったのよ、スノーちゃん」
 日和はしゅんとした声を出した。
「でもお店の人に聞いてみないとわからないのでは?」
 何だか白は妙ににこにこと悪戯っぽく笑っている。日和の後ろを見ながら。
 そんな白を見て、スノードロップも同じように日和の後ろを見て、むぅーっと眉根を寄せる。
 そんな2人の様子にもショックのばかり気付かない日和はお店の中に入っていく。
「いらっしゃいませー」
「あの、こんにちは。えっと、そこのショーウインドウのところに飾ってあった、今ハリネズミちゃんが座ってる場所に座ってたリンドバーグ、えっと、クマのぬいぐるみは?」
 しどろもどろに言う日和に店員はああ、と頷く。
「そのぬいぐるみなら、今さっき男の子が買っていきましたよ。ガールフレンドにプレゼントするんだって、リボンまでつけて」
 店員は他のぬいぐるみを日和に勧めてくるが、日和は狙っていたぬいぐるみが無かったショックでそんな気にもなれなくって、だから彼女は、作り笑顔でやんわりとそれを断って、お店の外に出た。
「やっぱり無かったんでしか?」
「うん」
「それは残念でしねー」
「うん」
 ショックそうな日和の頭を手で撫でるスノードロップ。
 しかしそんな日和の後ろを見ながら白はにこにこと微笑んでいる。まるで悪戯っ子みたいに。
「さてと、では行きましょうか、日和さん」
 そしてそんな事を言う。
「へ? 行くって、どこにですか?」
「ぬいぐるみの所へ」
「え? え? どういう事ですか、白さん」
「行けば、わかります」
 白は日和に微笑み、そして店の中に視線を向けて、にこりと微笑む。
「さあ、日和さん、彼氏君の所へ行きましょう」
「へ? え? それはどういう……」
「ですから行けばわかりますよ。さあ、早く」
 優しく微笑む白に背中を押されて携帯電話を取り出して、それを開くと、その瞬間に電話がかかってきた。
 液晶画面に映し出されたのは彼氏の名前だ。
「あれ?」
「さあ、出ないと、日和さん」
「はい」
 そして日和は電話に出て、会う約束をした。



 +++


 日和から離れて、雑貨屋に戻ったそれは、今度はハリネズミのぬいぐるみに話し掛けていたが、白の視線にびくりとして、
 そして、「あまりお悪戯(おいた)をしてはいけませんよ」と白に言われてそれはえへへへと頭を掻いた。
 そうして携帯電話を切った日和と白たちが移動をし始めたので、それはくすくすと笑いながら、その後を追った。



 +++


 待ち合わせの公園に行って、日和は目を瞬かせた。
 だって彼があの雑貨屋さんの店員に聞いたそっくりの包み紙に覆われて、リボンをつけた物体を持っていたのだから。
「えっと……買ったの、あなただったの?」
「はい? 何を言ってるんだよ?」
「えっと、だからね、私も今行ってきたの、そのぬいぐるみを買いに。だけど店員さんに今さっき男の子が買って行ったって」
「ああ、それ、俺」
「みたいだね」
 口許に手をあてて日和はくすくすと笑う。
 そして彼女はずっと悪戯っぽく微笑んでいた白を見た。
「白さんはこうなるってわかっていたんですか?」
 白はにこりと笑いながら頷いた。
「ええ。日和さんの背後にはずっとハナモモの妖精が居ましたから」
「ハナモモ?」
「はい」
 小首を傾げる日和に白は人差し指一本立てて説明をする。
「ハナモモの花言葉は恋の虜。ハナモモの妖精はね、時折こういう悪戯をするんです。自分の気に入ったカップルを見つけるとどちらか一方に魔法をかけて、自分が憑いた方が欲しがってる物を買わせてびっくりしたりする方法でプレゼントさせるって。まあ、時折それで困った事になって、別れてしまうカップルもいたりするので、それで日和さんと行動を共にしていたのですが、もうその心配は無いようですね」
 白はにこりと微笑む。
「まだ、私にそのハナモモの妖精は憑いているのですか?」
「いえ。もう自分の居るべき場所に戻りました。今度はきっと、あのハリネズミのぬいぐるみに惹かれる人を待ってるのでしょう」
 そして白とスノードロップは日和と彼にご馳走様、と言って帰っていった。
 公園に2人きりになった日和と彼は顔を見合わせてくすくすと笑いあう。
 そうして、日和は自分がプレゼントされたぬいぐるみを彼に渡した。
「え、だってこれ、日和にプレゼント」
「うん。でも私があなたにプレゼントしたかったモノだからプレゼントし返すの。あ、でもなんだか変よね。だってあなたが私に買った物をあなたにプレゼントするんだから。うーん、それってなんか失礼かな?」
「うん。多分すごく」
「わわ。そうだよね。うーん、不味いなー」
「多分、これが、白さんが言ってたハナモモの悪戯の困った事、多くのカップルが別れる原因なんだろうな」
「あははは。それは嫌だな。うーん、どうしよう?」
 ぬいぐるみの代金を彼に渡すのもまたいやらしい話だし。
 だからといってこのぬいぐるみは彼に渡したいし。
 日和は頭を抱えた。
 それを見た彼は大声で笑う。
「いいよ。んじゃあ、もらっておく、って言うのもなんだか変だけど、リンドバーグは俺がもらっておくよ」
「うん。じゃあ、そのリンドバーグを買うはずだったお金で、何か奢るよ、私が。今の私は小金持ちだから」
「何だよ、小金持ちって」
 そう笑いながら日和と彼は手を繋いで歩き出した。
「んじゃ、今日は日和に奢ってもらおうか」
「うん、いいよ」



 ― fin ―



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【3524 / 初瀬・日和 / 女性 / 16歳 / 高校生】


【NPC / 白】


【NPC / スノードロップ】


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■         ライター通信          ■
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こんにちは、初瀬日和さま。
いつもありがとうございます。
このたび担当させていただいたライターの草摩一護です。


今回の物語はハナモモの物語。
花言葉に焦点をあわせて物語を書かせていただきました。
お寄せくださったプレイングからこのハナモモが相応しいと想いましたので。
恋の虜、それがハナモモの花言葉であり、このお話ではハナモモの精は悪戯好きの妖精にしてあります。


それでは今回はこの辺で失礼させていただきますね。
ご依頼、本当にありがとうございました。
失礼します。