■おそらくはそれさえも平凡な日々■
西東慶三 |
【0759】【海塚・要】【魔王】 |
個性豊かすぎる教員と学生、異様なほど多くの組織が存在するクラブ活動、
そして、「自由な校風」の一言でそれらをほぼ野放しにしている学長・東郷十三郎。
この状況で、何事も起きない日などあるはずがない。
多少のトラブルや心霊現象は、すでにここでは日常茶飯事と化していた。
それらの騒動に学外の人間が巻き込まれることも、実は決して珍しいことではない。
この物語も、東郷大学ではほんの些細な日常の一コマに過ぎないのである……。
−−−−−
ライターより
・シチュエーションノベルに近い形となりますので、以下のことにご注意下さい。
*シナリオ傾向はプレイングによって変動します。
*ノベルは基本的にPC別となります。
他のPCとご一緒に参加される場合は必ずその旨を明記して下さい。
*プレイングには結果まで書いて下さっても構いませんし、
結果はこちらに任せていただいても結構です。
*これはあくまでゲームノベルですので、プレイングの内容によっては
プレイングの一部がノベルに反映されない場合がございます。
あらかじめご了承下さい。
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萌えとブルマとお姉さんと自称天才美少女呪術師
〜 闇への誘い 〜
海塚要(うみずか・かなめ)は、一人人気のない河原にたたずんでいた。
今回の作戦を実行するには、手っ取り早く、しかもそこそこ使える部下を見つける必要が……あった、というほどではないが、まぁ、何となくそんな気分だったのである。
そして、ここにいれば、それに最適の人材に出会えることを、要は確信していた。
強く力を求め、そしてそれ以上に強く強く愛を求める乾いた魂を持つ男が、まもなくここに現れることを。
ほどなく、その男は姿を現した。
要自身もかなり大柄な方だが、それと比較しても遜色のない体躯。
そのバランスのとれた筋肉のつき加減は、彼が十分なトレーニングを重ねていることを物語っていた。
東郷大学空手部主将・金山武満。
それが、その男の名前であった。
武満がすぐ側まで来るのを待って、要は彼の進路をふさぐように前に出た。
その姿を怪訝そうに見て、武満は大げさに肩をすくめる。
「確かに新春とは言うけど、春にはまだ早いだろ」
なぜ、こんなことを彼が口走ったのか。
もちろん、要を変態だと思ったからである。
では、どうして要が変態だと思われたのか。
それは、彼がブルマを身につけていたからである。
しかも、ブルマをはいているだけでなく、もう一枚を頭にかぶっているのだから、これで変態だと思わない方がおかしい。
「出てくる季節も間違ったようだが、顔を見せる相手も間違ったようだな。
世のため人のため、この俺が成敗してくれる!」
バカにしたようにそう言うと、武満はいきなり要に飛びかかってきた。
打撃ではなく、投げ技で取り押さえるつもりらしい。
それを右に跳んでかわすと、要は武満が向き直るのを待って名乗りを上げた。
「我が輩は魔王……萌えの探求者・ブル魔王である!」
「魔王ときたか! 相手にとって不足なし!!」
そう応じて、右足を引いて身構える武満。
ノリのいい性格なのか、ただ単に相手のペースに巻き込まれるタイプなのかは知らないが、いずれにしても素質有りである。
なんとしても、この男を配下に加えなければ。
そう考えて、要はこう切り出した。
「武満よ! お主、片思いをしておるな?」
「……そ、それがどうしたっ!?」
少しでも彼を知るものなら誰でも知っているはずのことを指摘しただけで、面白いくらいに動揺する武満。
その隙を逃さず、要は闇への誘惑を始める。
「その心の中に萌えはないか? 普段は心の奥底に眠らせている萌えが!」
「い、いきなり何を言って……」
どうやら、これではあまりにも抽象的すぎて、深く考えないタイプの武満にはわからないらしい。
ならば。
「想像するのだ! 武満! ブルマを装備した黒須がお主のデコに指でツンする所を!」
連想する力の乏しい相手に対しては、具体的なイメージを挙げるに限る。
「なっ……!!」
耳まで真っ赤にしながら、数歩後ずさる武満。
もはや相手は完全に腰砕けの状態、あとは一気に押し切ればいい。
要は懐からブルマを取り出すと、それを突きつけてこう叫んだ。
「その萌えの為……さあ被れ!」
「そ、それとこれとどういう関係が……!」
その反論に、すでにほとんど力はない。
「さあ! さあ!! さあさあさあさあっ!!!」
要がなおも強引に押していくと、やがて、武満は震える手でブルマを受け取った。
かくして。
萌えの暗黒面に取り込まれた男が、また一人生まれたのである。
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〜 すでに事件も日常の一部 〜(想司)!
「ブルマ泥棒?」
しのぶの言葉に、水野想司(みずの・そうじ)はそう聞き返した。
「隣の中学校に入ったらしいって、ニュースで見たわ」
新学期早々の嫌なニュースに、しのぶが表情を曇らせる。
「まだ犯人は捕まっていないどころか、どんな人なのかもわからないみたい」
しかし、それもこれも、想司にとっては全てが明々白々であった。
「それはきっと、歪んだ萌えに魂を売った人間の仕業だねっ☆」
きっぱりそう言いきる想司に、しのぶは怪訝そうにこう尋ねてきた。
「ただの変態じゃないの?」
「そうとも言うよっ♪」
「だったら、最初からそう言ってよ……」
あまりにも身も蓋もないやりとりだが、この二人にとってはこれが日常なのである。
ともあれ。
「それにしても、うちの学校は大丈夫なのかな」
話を元に戻して、しのぶは再び不安そうな顔をする。
想司の「萌えセンサー」にいきなり強い反応があったのは、ちょうどその時だった。
「今、強い萌えの暗黒面の力を感じたよっ♪」
「それって、ひょっとして犯人ってこと!?」
今までの話題が話題だっただけに、当然そう反応するしのぶだったが、想司はすぐにそれを否定した。
「そんな小物じゃなくて、もっと大物だよっ☆」
そう。
この当たりの大きさは、こそ泥などでは断じてない。
こそ泥クラスではなく、あえて言うなら魔王クラスの反応である。
「ここは僕が出るしかないっ! マジカル☆ソージー出動だよっ♪」
いてもたってもいられず、想司は直ちにその反応のあった方へと駆けだした。
「ちょ、ちょっと、想司くん!?」
後ろから、置き去りにされたしのぶの抗議の声が聞こえてきたが、それもほんの一瞬のことだった。
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〜 対決! ブル魔王 〜
永遠にも思える時間の後。
「じゃ、最後の質問です」
ついに、宵子がその言葉を口にした。
ようやく、この「恋占いと称する甘酸っぱい無間地獄」から脱出することができるのだ。
そう考えて、風野時音(かぜの・ときね)はほっと胸をなで下ろした。
けれども、最後に残った質問は、これまでにもまして答えにくいものだった。
「時音さんは、お姉さんにオデコをツンしてもらうと萌える?」
これまでの質問の傾向から考えて、「お姉さん」というのが歌姫のことを指しているのはほぼ間違いない。
……が。
「萌える」というという感覚が、時音にはよくわからなかった。
よって、彼にはこの質問に答える術がなかったのである。
目の前では宵子が微笑みながら、そして隣では歌姫が真剣な顔で答えを待っている。
はいと答えるべきか、それともいいえと答えるべきか。
それとも、場がしらけるのを覚悟で、「萌える」というのがどういうことか聞いてみるべきか。
時音は悩んだ。
それこそ、この世界に来てから一、二を争うほどに。
と。
「もちろん萌えるに決まっておろう!!」
その言葉とともに、突然ドアが蹴り開けられる。
とっさに、三人はそちらに目をやって……自分たちの目を疑った。
乱入者の正体は、ブルマをかぶった筋骨隆々の男二人。
「我が輩は萌えの探求者・ブル魔王である!」
呆気にとられる三人に向かって、そのうちの一人が突然熱く、というより暑苦しく語り出した。
「年上のお姉さん! それは稀少極まる神秘の萌え! 何故なら期間限定だからだ!」
また「萌え」という単語が出てくる。この時点ですでに時音には理解不能だ。
「その萌えに気付くお年頃になった頃には、周囲におられるのは同年代の女性やロリっ子、もしくは年上の女性になってしまう!
それはいい! 萌えは広大無辺! そこにすら見出す事は出来よう!
しかし! そこに『お姉さん』はいない! オデコに指でツンしてもらうロマンが無いのだ!」
今度は「オデコをツン」ときた。
気になって歌姫と宵子の方に目をやると、二人とも唖然とした表情を浮かべている。
その様子を見る限りでは、二人とも、相手の話を理解できてはいないのだろう。
それに気づいているのかいないのか、男は時音を指さしてこう吠えた。
「それを入手した貴様を、我輩は萌えの探求者として断固許すわけにはいかんのだ!」
何を言っているのかは全然全くさっぱりちっともわからないが、とにかく敵意があることだけは間違いない。
「なんだかよくわからないけど……とにかく、この二人は僕が守る!!」
そう宣言して、時音は歌姫と宵子をかばうように前に立った。
改めて、敵の戦力を確認する。
ブル魔王と名乗った方の男は、曲がりなりにも魔王と名乗るだけあって、かなりの実力のようである。
しかし、もう一人はあくまで普通の人間で、どうやらあのブルマによって操られているだけのようだ。
ということは、実質、倒すべき敵は一人、ということになる。
だが、それは事態がかえってややこしくなることを意味していた。
ブルマさえどうにかすれば正気に戻るということは、殺さずに済む方法があるということであり、またそうすべきだということでもある。
とはいえ、ブル魔王と戦いながらあのブルマだけを斬るのは非常に難しいし、こちらに守るべき相手がいる以上、例え常人の域に止まっているとはいえ、放っておくのは危険すぎる。
かくなる上は、何とかして二人一度に相手をするしかないか。
そう、時音が覚悟を決めようとした時。
突然、宵子が一歩前に進み出た。
手には、なにやら藁人形のような物が張り付けられた板を持っている。
「こっちは私に任せて下さい」
そう言うや否や、宵子は目にもとまらぬ速さで藁人形の頭部に釘を打ち込んだ。
とたんに、ブル魔王の手下が頭を抑える。
「さあ、今のうちに魔王を!」
「は、はい!」
宵子に言われるままに、時音はブル魔王に斬りかかった。
その光刃を、魔王は光の翼を展開して防ぎ止める。
「さすがは『お姉さん萌え』を手に入れただけのことはあるなっ!」
「何をわけのわからないことをっ!」
反撃してくる魔王の拳をかわしつつ、斬撃を繰り出す時音。
けれども、魔王の光の翼が、その全てをかき消してしまう。
手詰まり感に襲われる時音の視界の片隅で、ブル魔王の部下がゆっくりと立ち上がった。
「効かない?」
驚く宵子に、ブル魔王がこう言い放つ。
「その程度の呪いが今の武満に効くものか!
あのブルマはこのブル魔王が直々に与えた物、そう簡単に抜くことは出来ぬ!」
……が、少なくともさっきまで効いていたことは確かなのだから、決定的なダメージは与えられずとも、足止め程度はできるだろう。
そう考えて、時音と魔王が再び戦いに移る。
ところが、宵子の攻撃力は、二人の想像をだいぶ超えていた。
「それなら、こうしちゃいます!」
宵子のその言葉とともに、武満と呼ばれた男がうめき声を上げてその場に崩れ落ちた。
藁人形を見ると、その四肢の中ほど……ちょうど肘と膝に当たる部分に、深々と釘が突き立てられている。
そのきわめて的確かつえげつない攻撃方法に、時音も、そして魔王も、思わず手が止まった。
「しょ、宵子さん、どうして……」
すがるような目で見上げる武満に、宵子は楽しそうに微笑みかけた。
「武満さん」
本当にこの状況を楽しんでいるのか、それとも笑っているように見えて目はちっとも笑っていないのか。
それは視線の先にいる武満にしかわからないことだが、どちらにしても恐ろしい話である。
しかし、本当に恐ろしいのは、宵子のその次の言葉だった。
「私、変態は嫌いです」
きっぱりはっきり、何の遠慮もない、ストレートな言葉の暴力。
「ノオオオォォォッ! どんな呪いよりもその言葉が深く深く俺を切り裂くっ!!」
見事に精神的にトドメを刺され、武満は号泣しながら床に頭を打ちつけ始めた。
「おのれ! 貴様にはこの萌えがわからんのかっ!?」
自分の「萌え」を守るためか、曲がりなりにも自分の手下である武満を守るためか。
目的は不明ながら、慌てて魔王がフォローに入る。
けれども、宵子はそれすらも一言で切って捨てた。
「ブルマをはいた女の子ならともかく、ブルマをかぶった男はただの変態以外の何者でもありません!
そして、私は『変態萌え』ではありません! 以上です!!」
フォローどころか、しっかり返り討ちにされ、さしもの魔王も一歩退く。
そこへ、そのどさくさにブルマの呪いから解き放たれ、逆ギレした武満が突撃した。
未だ藁人形の四肢には釘が刺さったままにもかかわらず、鬼の形相で魔王に迫る。
「おぉんどりゃあこのタコ魔王っ! よくも俺を騙しやがっ」
「やかましいっ!!」
裏拳一発。
怒りの言葉を最後まで言い終えることすら出来ずに、武満は数百メートルの空の旅へと旅立ってしまった。
「宵子さん! 今の人、宵子さんの知り合いだったんじゃありませんか!?」
時音は今さらながらそう尋ねてみたが、宵子はにっこり笑って首を横に振ったのだった。
「私の知り合いに変態はいないはずですから、少なくとも改心するまでは知らない人です」
ともあれ。
これで、最大の不安材料は消滅したわけである。
「ええい、なぜだっ! なぜ、どいつもこいつも我が輩の理想を理解しようとせんのだ!?」
魔王も、部下を失ったこと……というより、あっさり論破されたことが効いたのか、だいぶ動揺しているらしい。
倒すなら、今しかない。
時音が、一気に魔王の懐に飛び込もうとしたその瞬間。
「それは、キミの理想がわざわざ理解するほどのものじゃないからだよ、要っち☆」
突然、外からまた別の何者かが飛び込んできた。
「想司くん!」
その姿を見て、宵子が嬉しそうな声をあげる。
水野想司(みずの・そうじ)はその声に応えるように一度ポーズを決めると、ブル魔王こと要に向かってこう言った。
「最近、ブル魔王を名乗るようになった故、とうとう萌えの覇権を賭け僕と戦う資格を得たと思ったのにっ♪ がっかりだねっ! 要っち!」
その言葉に、要はムキになってこう反論する。
「なんだと!? 我が輩の理想のどこに欠陥があるというのだっ!」
けれども、想司はあっさりとこう切り返した。
「『萌えとは外見ではない!』そんな初歩的な事すら疎かにするなんてっ☆」
その一言で、要の表情が変わる。
「お姉さん萌えも然り!
年齢が上ならお姉さん? 否!
萌えとは魂の叫び! 『肝心なのは属性であり外見に在らず』!!」
さらに想司がたたみかけると、要は愕然としてこう呟いた。
「そ、そうだったのか……っ!」
これまた、時音にはさっぱりわからない論理ではあるが、魔王が圧倒されているところを見ると、一応わかる人にとっては正当な理屈であるらしい。
なんにせよ、要が精神的ショックを受けている今こそ、彼を撃退するチャンスである。
そう考えて、時音は踏み込むチャンスをうかがった。
だが。
「不足分は想像力でカバーしてこその萌え!
それを忘れた君には僕からの『オデコ(の秘孔)を指でツン』を進呈しようっ♪」
時音が動くより早く、想司が目にもとまらぬ速さで要に飛びかかったのである。
想司の人差し指が、弾丸よりも速いスピードで、要の額にめり込む。
想司が静かに指を引き抜くと、要はそのまま後ろに倒れた。
「死んだ……のか?」
事態にさっぱりついていけない時音を尻目に、想司は歌姫と宵子の方に向かった。
「想司くん、怖かったよぉ」
さっきまでこれっぽっちも怖がってなどいなかったくせに、迫真の演技で宵子が想司に抱きつく。
と、想司が歌姫を手招きして、二人に何事か耳打ちした。
「わかった。ちょっと怖いけど、やってみるね」
そう答えて、宵子が倒れたままの要の方に向かう。
さらに、歌姫もその後ろに続いた。
「歌姫さん! 危険です!!」
時音は二人を――正確には歌姫を止めようとしたが、それより早く、想司が時音の前に立った。
「大丈夫、いいから見ててよっ☆」
「ううっ……」
苦しげに呻きながら、要がどうにか上体を起こす。
歌姫と宵子はそんな要の前にならんで立つと、要の顔を覗き込もうとするように身を乗り出した。
「要くん」
宵子のその言葉に、要は弾かれたように顔を上げる。
軽く微笑みながら、左に立つ宵子は右手の、そして右に立つ歌姫は左の人差し指を立て――。
「あんまりみんなに迷惑かけちゃ……ダ・メ・だ・ぞっ♪」
そう言い終わるのと同時に、二人で要の額を軽くつついた。
「こ、これが……これが、我が輩の探し求めていた萌……ぶべらっ!?」
要が突然吹っ飛んでいったのは、それからちょうど五秒後だった。
一体、何が起こったというのだろう?
時音が説明を求めて想司の方を見ると、想司はきっぱりとこう言いはなったのだった。
「魔王には大気圏突入能力は無いっ♪
だが無駄死ではないっ☆ どっちかといえば犬死だねっ♪」
もちろん、時音にはその答えの意味が全く理解できなかったことは言うまでもない。
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〜 その後 〜
「なぜだ……」
満天の星空に浮かぶ月を見ながら、要はぽつりと呟いた。
「『お姉さん萌え』……せっかく手に入れたと思ったのに……」
おでこに触れた指の感触は、想司に思いっきり額を突かれた感触よりも強く残っている。
それなのに、なぜ。
なぜ、自分はいきなり吹っ飛んでしまったりしたのだろう。
しかも、こんなどことも知れぬ海のど真ん中まで。
「まだ足りぬと言うのか? あれを手に入れるためには、まだまだ萌えの力が足りぬと言うのか?」
何度自問しても、答えはどこからも返ってこない。
ふと横を見ると、巨大なクラゲが、光りながら隣を漂っていた。
この思いっきり力の抜けまくった生き方が、うらやましく思えるような気がしないこともない。
しかし。
そんな生き方は、自分にはできない。
なぜなら、自分は魔王なのだから。
世界に身をゆだねるのではなく、世界を手中に収めるべき存在なのだから。
「なんにせよ、この我が輩にできないことなどあるはずがない!
見ておれ水野想司っ! 今に全ての萌えを手に入れ、貴様を完全に越えてくれるっ!!」
月の光を浴びて輝くクラゲだけが、魔王のその誓いを聞いていた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1219 / 風野・時音 / 男性 / 17 / 時空跳躍者
0759 / 海塚・要 / 男性 / 999 / 魔王
0424 / 水野・想司 / 男性 / 14 / 吸血鬼ハンター(埋葬騎士)
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■ ライター通信 ■
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撓場秀武です。
この度は私のゲームノベルにご参加下さいましてありがとうございました。
また、ノベルの方、大変遅くなってしまって申し訳ございませんでした。
・このノベルの構成について
このノベルは全部で三つのパートで構成されております。
このうち、二つめのパート以外は複数パターンがありますので、もしよろしければ他の方のノベルにも目を通してみていただけると幸いです。
・個別通信(海塚要様)
今回はご参加ありがとうございました。
例によって例のごとく、こんな感じになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
もし何かありましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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