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■★鶴来理沙の剣術道場■

雛川 遊
【4134】【明智・竜平】【高校生】
剣神リアイアの巫女、鶴来理沙の剣術道場です。
理沙と一緒に武の道を極めたい人や、必殺技の修行をされたい人は修行をされて汗をかいてみませんか?
剣術道場では修練を積むお手伝いから戦いのアドバイスまで、手広くカバーしています。
なんとなく和みたい人も大歓迎!
ぜひ一度当道場の門をお叩きください。

★鶴来理沙の剣術道場

●ようこそいらっしゃいました! 〜オープニング〜

 はじめまして。
 当道場は剣神リサイアの巫女、鶴来理沙(つるぎ・りさ)の剣術道場になります。
(――――つまりこの私が道場主です!)
 場所はあやかし荘の大部屋を間借りして開いています。が、とある結界の力を用いて道場内に色んな修行の場を出現させたり、古の武術を伝える師範がいたりと、ふつーの道場ではないのです。
 武の道を極めたい人、必殺技の修行をされたい人、なんとなく和みたい人などは、ぜひ当道場の門をお叩きください。ビンボーですががんばりますので!
 あ、それと補足がひとつ。
 ただいま門下生希望者は、随時熱烈大歓迎です☆

 それでは、本日も良き修行の場になりますよーに!


●本日の修行、開始です!


「こんにちはっ! 今日もホント冷えるねっ」
 元気に剣術道場の大扉を開けた 神崎 こずえ(かんざき・こずえ) が、ピタっと手を上げたまま動きを止めた。
 ――――寒さで空気の張りつめた道場に、誰かがいる。

「‥‥こずえ‥‥」

 道場にいた先客が驚いたように振りかえった。
 背の高い黒髪の少年―― 明智 竜平(あけち・りゅうへい) は気まずそうに挨拶する。
「‥‥よう」
「えっ、竜平も来てたのっ?」
「まあな――――何だよ、そんなに見て。俺なんかが来てたらやっぱり嫌か?」
 竜平の存在という思わぬ事態にこずえは巧く対応できず、慌てて否定した。
「そういう意味じゃなくて‥‥」
「だったら早く入ってこいよ。ほら」
 つっけんどに言った後、竜平は後悔したようにこずえから顔を逸らした。
「こずえに黙って通ってたのは‥‥悪かったと思ってる。驚かしたか?」
「あ‥‥‥‥うん、ちょっとびっくりしたかな」
「そ、そうか」
 しばしの気まずい沈黙。
 どうするべきか。
「あ、あの」「こずえ」
 同時に声をかけて言葉をハモらせてしまい、二人はぎこちなく動きを止めた。
 こういう空気は気まずい。本当に、困る。
「それじゃこずえから先に‥‥」
「ううん、竜平からでいいよ」
「いや、俺はいいって」
 青春ですなーとお茶をすすり遠くから眺める理沙に構わず、「だったら‥‥」とこずえは再び話を切り出す。
「竜平がどうしてここにいるの?」
「‥‥あー、ここに通ってれば、そのうち顔を合わせる事もあると思ってたけど‥‥」
 少しだけ言葉を濁して、横目で視線を外す。
「いざ会ってみるとなぜか緊張するな」
「それはこっちのセリフよ‥‥もうっ」
 こずえの拗ねた悪態に、竜平は困ったように苦笑した。だがその瞳は穏やかにこずえを見つめていた。
「こずえは修行、どうするんだ?」
「修行はもちろん真面目に受けるよ。今日も汐さんにメニューを組んでもらいながら、『闇の種』の制御を中心にするね。最近は自分でもかなり掴めてきた気がするんだ」
「汐さんっておまえ‥‥親しそうに名前を呼ぶんだな」
「もちろんよ。だって二人は仲良しさんだもんねー」
 といって丁度お茶を運んできた師範代のくのいち、村雨汐(むらさめ・しお)にギュッと抱きつく。
「キャッ! ――ちょ、ちょっとこずえさん、お茶が‥‥!?」
「で、竜平はどうする気?」
 空気から重かった緊張が解けたことを感じで、竜平はようやく肩の力を抜いた。
「こずえはこずえで修行メニューがあるだろうし、今日は剛陣さんに習うわ。滝でも打ち込みでも耐えるっ‥‥」
「あは。あの滝はきついよね。がんばれっ」
 照れくさそうに背を向けて軽く手を振ると、竜平は道場の奥に足を運んだ。
 道場の片隅には、どんな修行場にも通じる異空間の入り口が出現していて、その向こう側には清涼な空気で包まれた深い森と清流、そして轟音で飛沫を上げる大滝が現れる。
 滝の前では、すでに修練の準備を始めるもう一人の師範代、二刀流の剛陣(ごうじん)がニカッと笑った。
「ハッハッハッ! 気ィ引き締めとけよ坊主。俺の修行は厳しいからな!」
「今日もよろしくお願いしますっ!」
 こうして竜平とこずえの修行の一日は幕を開けた。

                             ☆

「――――ハアッ!!」
 ゴゥン、と地面を揺るがすように岩を砕いたような重低音が響き渡った。
 こずえの目の前には河原で砕け散っている大岩だったモノが半分近く破壊されている。
「‥‥はぁはぁ‥‥まだ、不完全ですが、‥‥完璧に力を取り込めれば‥‥」
 片膝をつきながらこずえは岩の残骸を見上げた。
 汐の無数に放たれたクナイの軌道を見切り、ジャンプで十数メートルを超えた跳躍から回し蹴りで岩を砕く。成功はしたが極度の疲労で体が思うように動かない。
 ストンと音も無く着地した汐が肩に手をかける。
「大丈夫? ‥‥『闇の種』の暴走を押さえながら力だけを自身のモノにして使用しているんです。どれだけの精神力、集中力、体力を必要としますもの‥‥」
「う、ん‥‥そうだ‥‥ね‥‥」
 こずえの体は発熱していて熱くなっていた。意志の力で体を動かそうとする力と『闇の種』の凶暴な力が、コントロールがこずえの体内でせめぎあい加熱しているのだ。発熱自体はたいしたことはないが疲労や消耗度などを考えると身体を休めた方がいい。
「ここで少し休憩をとりまーす」
 理沙の声に修行は休憩時間に入り、こずえはほっとした。汐の勧めもあって木陰に横たわった。
「そっちも大変そうだな」
「――――り、竜平!」
 驚いてがばっと起き上がるこずえ。
「そっちも大変そうだな、こずえ」
「うん、もうクタクタ‥‥竜平はどうなの?」
「あー、死にそうかも」
 竜平が明るく笑った。
 二人はしばらく何も言わずに並んで座る。冷たい風が吹いている。でも、修行後の火照った体には一際気持ちよく感じられた。
 声をかけたのはこずえからだった。
「竜平、あんまり無茶しちゃいやだよ?」
「こずえ?」
「あたしは‥‥竜平がいてくれる事自体が嬉しいんだから」
 だが、竜平は前を向いて静かに答える。
「‥‥こずえは俺がいてくれればって言ってくれる。それは素直に嬉しいんだけど、俺は自分で答えを探したいんだ」
「‥‥竜平‥‥」
「探し続ければ、今よりもっといい答えが見付かるかもしれない。考えなくなったら、もう全部止まっちまう気がするんだよ」
 視線を逸らしながら竜平は吐き出すように言った。
「俺は何度もこずえを泣かせたり、傷付けたりしてきた。もうあんなのは‥‥嫌なんだ‥‥」
 いつも置いていかれて、ただ焦り、もがいて、自分の不甲斐なさを彼女にぶつけるだけの何も出来ない、そんな情けない自分。こんな自分は嫌いを通り越して惨めだ。
 不意に、竜平の顔を柔らかい手が挟み、強引に顔を上げさせた。

 すぐ目の前には、まっすぐなこずえの瞳があった。

 黒くて深い瞳は心まで吸い込むように揺れている。
「これだけは覚えておいてね‥‥妖魔とか怪物とかと戦った後で竜平がいてくれると、また平和なところに帰ってこられたって実感できるの。だから‥‥」
 だから‥‥?
 彼女の瞳の中に映し出されている自分。
 息がかかるような距離でお互いに見つめあう。

「さって、時間が来たら修行再開!」

 手の感触が消えて、こずえは背を向けながら軽やかに走り去っていった。
 そんなこずえの姿に竜平は風のようだと意味もなく思った。


【本日の修行、おしまい!】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【3206/神崎 こずえ(かんざき・こずえ)/女性/16歳/退魔師】
【4134/明智 竜平(あけち・りゅうへい)/男性/16歳/高校生】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、雛川 遊です。
 ゲームノベル『鶴来理沙の剣術道場』にご参加いただきありがとうございました。
 作成が大幅に遅れてしまい申し訳ありませんでした。今年はトラブルとの遭遇率が異常に高いような‥‥(泣)
 剣術道場はゲームノベルとなります。行動結果次第では、シナリオ表示での説明にも変化があるかもしれません。気軽に楽しく参加できるよう今後も工夫していけたらと思います。

 それでは、あなたに剣と翼の導きがあらんことを祈りつつ。

>こずえさん
むー。今回は戦いの修行なのかラブラブの修行なのかどこまでも深〜くお尋ねしたい気分ですねェ。修行のテーマは戦闘? ラブラブ? どうなんですか? 先生気になっちゃうわ〜ん(爆)
>竜平さん
少女漫画みたいにキスしちゃいそうな雰囲気だけれどあくまでスイートに雰囲気だけヨン♪ て感じでしょうか?(爆)今回はラブラブ重視めで〜、て修行はどうした。いやしてますから(再爆)