■蓬莱綺譚■
緋烏 |
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】 |
ある日のこと、それぞれの家のポストに一通の手紙が届いた。
<草間興信所>
「…誰からだ?」
手紙を開封した草間はへぇ、と関心を示し、その手紙をじっくり読んだ。
【富士の裾野に蓬莱館という温泉があって、昔から浸かると不老長寿がかなうと言われている。面白そうだから行ってみないか? 北城】
「面白そうだが…なんだってアイツこんな手紙でなんて送ってくるんだ??」
それもそうである。
実際善が住んでいるのは興信所のすぐ近く。
わざわざ手紙に認めてくる内容でもない上に、彼の性格からしてこんな事をするのはおかしい。おかし過ぎる。
するとこれはまたいいタイミングで善が事務所に入ってきた。
「ああ、善。お前これなんで――…」
「ああ?オイ、まさかお前の所にも――…?」
「「え!?」」
二人の手紙を見せ合うと、差出人が互いの名前になっているだけで文面は同じなのである。
「…どーゆーこった?」
「わからん。明らかに俺らを招待しようとしてることだけしか…」
「オイ」
「あ?」
「こうなるとさ」
「……同じようなモノが届いてる奴が他にもいる可能性は…ある、な」
「…だな…」
だが考えても仕方がない。
二人は仕方なくそのまま指定された日時に集合場所に向かうことにした…
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