■とぉりゃんせ■
緋烏 |
【2322】【宇奈月・慎一郎】【召喚師 最近ちょっと錬金術師】 |
とぉりゃんせ とぉりゃんせ
ここは何処の細道じゃ 天神様の細道じゃ
御用のない者 通しゃせん
子供の七つのお祝いに 御札を納めに参ります
行きはよいよい 帰りは怖い
怖いながらも とぉりゃんせ とぉりゃんせ…
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<翠明堂>
「おや、最近あの子を見かけませんね。病気か怪我でもしたんでしょうかねぇ?」
店先でよく屯している小学生たちの中に、いつも見かける顔がいない。
ちょっとした事だが、客がそこまで多いわけでもない駄菓子屋。
いつも来る客の顔やあだ名ぐらい記憶している。
「あの子はどうしたんですか?」
ふと気になったのでいつも一緒にいる筈の子供に尋ねると、急に顔色が変わり、
子供同士でひそひそと話を始めたのだ。
はて?何か拙いことでも聞いてしまったか。
そう思った矢先、子供の一人が親には言うなと言われたけれど…と理由を話してくれたのだ。
「……それは……穏やかではありませんねぇ…」
「―――――」
こそっと耳打ちされた言葉。
”自分たちの目の前で神隠しにあった…”
奥で昼寝をしていたつららがむくりと起き上がった。
子供達が帰った後、翠明はつららにそっと囁いた。
「…つららさん、頼めますか?」
『誘拐の可能性は…ないわなぁ…目の前でかき消えたんやろうし』
「しかし大人は信じていない。一瞬でも目を放した隙があると思っているのでしょうね」
『翠明は子供たちを信じるんやね?』
そう問われると、当たり前ですよ。と言わんばかりにフッと笑う。
『…まぁえぇけど、ウチだけで異界から子供を助け出すんは無理や。人手がいるわ』
「お任せ下さい。ツテをあたってみましょう」
今時珍しい黒電話の受話器を取り、ダイヤルを回す。
「――ああ、どうも。すみませんがちょいと頼まれてくれませんかねぇ?厄介事…なんですが…」
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