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■碇麗香の百合な夜■

よしずみ
【2021】【馬渡・日和】【神聖都学園中等部三年(淫魔)】
 日曜、夜。都内の洒落たバー店内。月刊アトラス編集長碇・麗香(いかり・れいか)はかなり飲んでいた。と言うかほとんど「泥酔」に近い状態だった。
「だからぁ、私だって人恋しい夜もあるのよ! 私もう28よ!?」
 バーテンダーの男性はなんとか笑顔を保ってグラスを拭いていた。麗香の「私だって人恋しい夜もあるのよ!」は、もう3度目だ。
「もうお酒は止めといたほうが良いんじゃないですか?」
 バーテンダーは遠慮がちに言った。
 しかし――
「まぁだ私ぜんぜん酔ってなぁいの!」
 ダダをこねる子供のように言った。大抵の酔っ払いが言うセリフである。
「ふー、なんか暑くなってきちゃった」
 麗香はそう言って胸元のボタンをひとつ、ふたつと外していった。豊満な胸が左右に揺れ、胸の谷間が大きく露出し、バーテンダーは目のやり場に困った。
「次、ジン・ライムね」
「あの、本当にもうお酒は……」
「ジン・ライム!」
 バーテンダーは説得を諦めた。夜遅く、他に客もいない。麗香が気分が悪くなったら自分が介抱すれば良いと思っていた。
「ジン・ライムです」
 コトリ、と置かれたグラス。麗香はそれを一気に飲み干した。
「ふー……暑いわ。上脱いじゃっていいかしら?」
「それは勘弁して下さい、お客様」
 バーテンダーは何とか麗香を止めた。
「つまーんない。私もう帰る! お金置いとくわよ」
 麗香はフラフラと立ち上がった。
「タクシーは呼ばなくていいわよ。歩いて帰るから」
 麗香はよろけながら帰途についた。
 徒歩で自宅に向かう碇麗香。その道中で麗香と遭遇する人々のちょっとエッチな体験とは――。

※1〜5人。女性PCの参加を前提としています。男性PCの参加も一応可能ですが、出番が極端に少なくなる恐れがあります。
碇麗香の百合な夜
○泥酔、碇麗香さん(28)
 日曜、夜。都内の洒落たバー店内。月刊アトラス編集長碇・麗香(いかり・れいか)はかなり飲んでいた。と言うかほとんど「泥酔」に近い状態だった。
「だからぁ、私だって人恋しい夜もあるのよ! 私もう28よ!?」
 バーテンダーの男性はなんとか笑顔を保ってグラスを拭いていた。麗香の「私だって人恋しい夜もあるのよ!」は、もう3度目だ。
「もうお酒は止めといたほうが良いんじゃないですか?」
 バーテンダーは遠慮がちに言った。
 しかし――
「まぁだ私ぜんぜん酔ってなぁいの!」
 ダダをこねる子供のように言った。大抵の酔っ払いが言うセリフである。
「ふー、なんか暑くなってきちゃった」
 麗香はそう言って胸元のボタンをひとつ、ふたつと外していった。豊満な胸が左右に揺れ、胸の谷間が大きく露出し、バーテンダーは目のやり場に困った。
「次、ジン・ライムね」
「あの、本当にもうお酒は……」
「ジン・ライム!」
 バーテンダーは説得を諦めた。夜遅く、他に客もいない。麗香が気分が悪くなったら自分が介抱すれば良いと思っていた。
「ジン・ライムです」
 コトリ、と置かれたグラス。麗香はそれを一気に飲み干した。
「ふー……暑いわ。上脱いじゃっていいかしら?」
「それは勘弁して下さい、お客様」
 バーテンダーは何とか麗香を止めた。
「つまーんない。私もう帰る! お金置いとくわよ」
 麗香はフラフラと立ち上がった。
「タクシーは呼ばなくていいわよ。歩いて帰るから」
 麗香はよろけながら帰途についた。

○馬渡・日和(まわたり・ひより)
 日和がその人影を見たのは夜も遅く、日舞の稽古の帰り道だった。
 桜並木の道、桜吹雪の中をフラフラと歩く女性。女性はガクッと道に片膝をつき、何かブツブツと独り言を言っている。そっと耳をそばだててみた。
「あー……こんなに飲んだの久し振りだわ。なんか……気分悪い……」
 日和は慌てて人影に駆け寄って言った。
「大丈夫ですか? お酒の飲み過ぎですか?」
 クルッと振り向いた女性の顔はビックリするほど色っぽかった。同性の日和がドキッとするほど――。
「誰? あなた」
「あ、あたしは馬渡日和っていいます」
 胸をときめかせながら答えた。このときめきは一体どういう感情なのか――日和にもよく分からなかった。
 麗香は数秒日和の顔を見つめ、
「私は碇麗香、雑誌の編集長やってるの」
 笑顔で言った。
「それで日和ちゃん。私立てないから“おんぶ”してくれない? 家、すぐそこなのよ」
「え……おんぶ、ですか?」
「そう」
 日和は自分の細身の体で麗香をおんぶできるか不安に思った。一方麗香は最初っから、この小柄な女の子に自分をおんぶすることなど出来ない――と計算した上で言っていた。
「あの、あたしあんまり力ないし、おんぶは――」
「私が重いとでも言うの! そう……そんな風に思ってるんだ……」
 落胆した様子の麗香を見るのは耐えられず、日和は慌てて言った。
「お、おんぶします! 家、近いんですね?」
「そうよ〜、すぐ近くだから。ありがと!」
 麗香はゆっくり立ち上がり、「お願いね」と言って日和の背に体を預けた。
 ズシリ。
 麗香の全体重がのしかかり、日和は一歩も動けなかった。
 馬渡日和、15才。28才の女性をおんぶして運ぶ体力はなかった。
「どうしたの〜日和ちゃん?」
 日和は何とか一歩踏みだし――前のめりにドタリとつぶれた。
「キャッ!」
 麗香の小さな悲鳴。
「すみません麗香さん!」
 日和は麗香の下で体を回転させ、あお向けになって謝った。「重かったから」などとは口が裂けても言えない。
 何とか上手い弁解を――と考えるその姿勢、地面に倒れて麗香の下敷きになっている姿勢は、まさに麗香が予定した通りの状態だった。
「あなた、なかなか可愛らしい顔してるのね……」
 麗香の顔が日和に迫って来る。
「え、え? 麗香さん?」
「日和ちゃん、何才?」
「じゅ、15ですけど……」
「そう、胸はまだ未発達だけど……最初見たとき思ったの。食べちゃいたいなぁ……って」
「い、意味が分かんないです!」
「……キス……してもいいかしら?」
 麗香の顔は日和の目の前5センチの所にある。そして、麗香の大きな胸は既に日和の胸を圧迫していた。
「どうなの? 日和ちゃん……」
「あ、あたし――」
 麗香の熱い吐息が唇をくすぐり、微妙に気持ち良かった。女同士――でもこのまま身を預けたらどんな快感を味わえるのか。
 もう……どうなってもいい……。
 日和は目を閉じた。
 麗香に自分の胸元のボタンを外されていくのが分かる。
 キスしたら、その後何をするつもりなんだろう? 
 日和は緊張して口をグッとつぐんだ。
「日和ちゃん、口の力を抜いて」
「は、ハイ……」
 麗香の声に、日和は覚悟して口の力を抜いた。
 ――と、その時。
「何をしてるんですか。天下の公道で!」
 冷静でいて少し大きな声が2人の行為を中断させた。

○銀髪少女と3人で
 麗香が振り返ると、そこには見事な銀髪の少女が立っていた。
「あら、」
 銀髪の少女は驚いた声を上げた。
「男性が女性を襲ってるのかと思ったら、女性が女性を襲ってたんですか。長生きはしてきたけれど、私、そういうのはちょっと……」
「誰よあんた?」
 麗香は行為を中断させられたことに多少の怒りを感じつつ、ぶっきらぼうに尋ねた。
「私はマイ・ブルーメと申します。年はさん……」
 316才だと言っても信用されないだろうと思ったので、
「16才です」
 と300を省いて言った。
「……」
 麗香は思った。この銀髪で豊満な胸の少女、日和と“いいこと”をする仲間に加えたらどうか? 日和はもう“落とした”も同然だ。まだ地面に倒れたまま顔を真っ赤に染めている。
「ちょっとマイちゃん、あなたこの状況を見て“おいしそうだ”って思わない!?」
「おっしゃる意味が分かりませんが……」
 麗香はそっとマイに耳打ちした。
「このあられもない格好で横になってる子、日和ちゃんって言うんだけどもう落ちたも同然なのよ! この子に一緒にイイことするの、この碇麗香様が許可するわよ!」
 マイ・ブルーメはポリポリと頭を掻いて言った。
「碇……麗香様。あなたかなり酔ってますね? お酒の匂いがプンプンするし――察するに、男性にフラれてやけ酒飲んで、それで女の子に手を出そうとしてるんですか?」
 麗香の顔が真っ赤になった。
「な、何を知った風な口を! 勝手に変な想像しないでよね! 私がフラれるなんてことはありえないわよ!」
「そ、そうですか。でも冷静になって下さい。こんな小柄な女の子を押し倒すなんて大人として――」
 麗香はマイを押し倒した。
 ドスン!
「きゃ、な、何するんですか!?」
 マイの上に馬乗りになる麗香。
「日和ちゃん起きて! こっちの女の子が“女の子の良さ”教えてくれるって!」
「ええっ!?」
 驚くマイ。
「女の子の……良さ?」
 日和はムクリと起き上がった。まだ興奮は冷めやらず、顔は赤いままだ。
 立ち上がってマイ・ブルーメを見て一言、
「わ、麗香さん並に巨乳です!」
 言って、マイの頭の方に回った。
「日和ちゃん、この子、マイちゃんにキスしちゃって!」
「はい!」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 私そんな趣味は!」
 必死に逃れようとするマイ。目の前には日和の唇が迫ってくる。完全に酔っ払った麗香はマイの背中に手を伸ばし、ホックとファスナーの場所を探っている。
「ふはは! 剥いちゃえ剥いちゃえ! 脱がしちゃえ! はははは!」
「お客様!」

○真実
「へ?」
 麗香の目の前にバーテンダーの男性がいた。周囲を見渡すと、どう見てもバーの店内。
「何か良い夢を見ていたようですが……もうカンバンなので起こしました。申し訳ありません」
「え……私、寝てた?」
「はい、少々」
「……」
 沈黙すること数秒、麗香は「ふぅ」とため息をつき、財布から万札を2枚取り出した。
「お釣りはいらないわ」
 そう言って立ち上がった。
 コツコツとクツ音を響かせて出口に向かう麗香。その背にバーテンダーの声が。
「お客様!」
「……何?」
「当店は未成年者の立ち入りは禁止となっております」
「それで?」
「忘れ物でございます」
 バーテンダーは紙製のソーサーを2枚麗香に差し出し、麗香は不審げな顔でそれを受け取った。
 2枚のソーサーにはマジックでメッセージがつづられていた。
 1枚目は――
<もう! 危ないところでしたわ! マイ・ブルーメ316才>
 そしてもう1枚。
<今度は今日の続きをお願いします! あたし本気ですからね! 馬渡日和15才>
「ふ……あははっ!」
「お客様?」
 麗香は涙が出るほど笑って、
「また来るわ」
 そう告げた。
「またのご来店、お待ちしております」
 バーテンダーは笑顔で頭を下げた。
 麗香は店のドアを開けた。外では見事な桜吹雪。麗香はその中に踏み込み、やがてその姿は舞い散る桜の中へと消えていった。


おわり。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

2021/馬渡・日和(まわたり・ひより)/女性/15才/神聖都学園中等部三年(淫魔)
0126/マイ・ブルーメ/女性/316才/シスター

NPC 碇・麗香(いかり・れいか)
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■         ライター通信          ■
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 もう少し踏み込んだ百合を書きたかったんですが、理性で抑えました(^^;)。この度はご注文ありがとうございました。感想など頂けると嬉しいです。
 またのご注文をお待ちしております。