■久遠の彼方■
緋烏
【2736】【東雲・飛鳥】【古書肆「しののめ書店」店主】
いつもより濃い霧が立ち込めるまよわしどりの里。
それは里長が眠っているから。
寝ている間はよりいっそう結界が強くなり、迷い込む者を近づけさせないようにする。
しかし、そんな時でも入ってこれる者は少数だが必ずいるのだ。
そして結界を抜け、里に立ち入ったことも気づかず、粛瑛が無意識に垂れ流す妖気に触れ、呑み込まれる。
遠い、遠い、久遠の彼方……
千年もの昔に追いやられた、遠い記憶…
『誰が為に死をも厭わぬか?』