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■スラム街に咲く花■ |
神無月鎌 |
【0600】【安宅・莞爾】【ハーフサイバー】 |
とあるスラム街。この世界ではスラム街なんて珍しくもないだろう。
復興もちまちまとしており、そこには荒くれ者が集うという。
そんな危険なスラム街に二人の見慣れぬ人影が現れたのは数日前の事。
「カイル。本当にここにあるのでしょうか?」
「あるって言ったのは貴公だろう?それを今更そういうのはらしくないぞ」
「それでも私は不安になってきたのですよ。何分、貴方と一緒なわけですから」
「それは俺をバカにしてるのか?」
「バカにしているだなんてとんでもない。ただ、余計な破壊活動をしないかどうかが心配なだけですよ」
盲目で糸目の少女がからかうようにそう言う。
隣にいる青年は不機嫌なようでムスッとしている。
彼等がここに来たのは他ではない、綺麗な花を探しているのだと言う。
それは、この世界では珍しいもので、白くて綺麗な花であるという。
綺麗な月の夜にしか咲かない白くて小さくて綺麗な花。
それを見れない少女は、カイルと呼ばれる青年にそれを記憶させ
どんな物かというのを見てみたいらしい。
しかしスラム街は広い。
そして数も多い。スラム街はここだけではなく、各地にスラム街は一つや二つまだ残っている。
そんな中を彼等は探し回っているのだと言う。
「大体、夜にならないと見つけるにも話にならないんだろう、マイ?」
「それはそうなんですけどね。でも、もし昼の間に踏まれでもしたら大変じゃないですか」
「だからってアテもなく探すのはどうかと思うぜ?」
「……。適当な人を探して手伝って貰うのはどうでしょう?」
「他人に接触するつもりか?…気は乗らないが」
「それでも二人だけでというのは流石に無茶がありますよ。人が居そうな所へ行きましょう。カイル、先行してくださいね」
マイは淡々とそう言うと、カイルの肩にそっと手を置く。そうでもしないと盲目の彼女は歩けないからだ。
「やれやれ。なんで俺が貴公とこんな事をしなきゃなんないのだか…」
そうぼやく二人の後ろで不気味な目が光る。
「あいつ等、見かけない奴等だな」
「丁度いい獲物だぜ。女の方は売れば高値かもしれねぇ」
「よし、決まりだな。男の方は殺しても構わんだろ」
スラム街に住む荒くれ者達だった。
果たして二人は月夜に咲く花を見つけられるのだろうか…?
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スラム街に咲く花
とあるスラム街。この世界ではスラム街なんて珍しくもないだろう。
復興もちまちまとしており、そこには荒くれ者が集うという。
そんな危険なスラム街に二人の見慣れぬ人影が現れたのは数日前の事。
「カイル。本当にここにあるのでしょうか?」
「あるって言ったのは貴公だろう?それを今更そういうのはらしくないぞ」
「それでも私は不安になってきたのですよ。何分、貴方と一緒なわけですから」
「それは俺をバカにしてるのか?」
「バカにしているだなんてとんでもない。ただ、余計な破壊活動をしないかどうかが心配なだけですよ」
盲目で糸目の少女がからかうようにそう言う。
隣にいる青年は不機嫌なようでムスッとしている。
彼等がここに来たのは他ではない、綺麗な花を探しているのだと言う。
それは、この世界では珍しいもので、白くて綺麗な花であるという。
綺麗な月の夜にしか咲かない白くて小さくて綺麗な花。
それを見れない少女は、カイルと呼ばれる青年にそれを記憶させ
どんな物かというのを見てみたいらしい。
しかしスラム街は広い。
そして数も多い。スラム街はここだけではなく、各地にスラム街は一つや二つまだ残っている。
そんな中を彼等は探し回っているのだと言う。
「大体、夜にならないと見つけるにも話にならないんだろう、マイ?」
「それはそうなんですけどね。でも、もし昼の間に踏まれでもしたら大変じゃないですか」
「だからってアテもなく探すのはどうかと思うぜ?」
「……。適当な人を探して手伝って貰うのはどうでしょう?」
「他人に接触するつもりか?…気は乗らないが」
「それでも二人だけでというのは流石に無茶がありますよ。人が居そうな所へ行きましょう。カイル、先行してくださいね」
マイは淡々とそう言うと、カイルの肩にそっと手を置く。そうでもしないと盲目の彼女は歩けないからだ。
「やれやれ。なんで俺が貴公とこんな事をしなきゃなんないのだか…」
そうぼやく二人の後ろで不気味な目が光る。
「あいつ等、見かけない奴等だな」
「丁度いい獲物だぜ。女の方は売れば高値かもしれねぇ」
「よし、決まりだな。男の方は殺しても構わんだろ」
スラム街に住む荒くれ者達だった。
果たして二人は月夜に咲く花を見つけられるのだろうか…?
「で、頼んでくるのはいいんだけどさ。この広いスラムに一つしかないものをどうやって探すつもりなんだよ?」
「まぁ、地道に…という事になりますね…?」
「いや、地道って言うけどさ…!」
「地道は地道なんだよ」
カイルが安宅・莞爾にデコピンを入れる。子供みたいな容姿をしているものだからカイルも少し接しやすいようだ。
彼にとっての愛情表現なんだろう。
「でも、そんな花を見つけてどうするつもりなの、貴方は?」
「私が探している花は、とても綺麗なものなんです。そしてその綺麗な花は月夜に一度しか咲かない…。私、目が見えないでしょう?だから、
一度でいい、そういう花をこの手で触ってみたいのです」
シャロン・マリアーノに説明するマイ。ただそれだけの為だけにこの広いスラムを歩き回ろうというのだ。
シャロンにとっはあきれたものだろう。
「でもこんな広いスラムを四人でなんて…」
きっと無理だ。
莞爾は心の中でそう思う。スラムは広い。そしてそれはとても廃に埋もれなければならない。
それを盲目の少女がやるというのだ、無理と思わないほうがおかしい。
「で、その花の名前ってどういうのなのかしら?」
「アルフェリアの花です。とても綺麗な、綺麗な花なんです」
「綺麗な花…ねぇ?」
「私は見たことがないので、色とかは分かりませんが…カイル、貴方なら分かると思いますが」
「そこでいきなり俺に振るのかよ」
油断していたようだ。ぼーっとしていたところにカイルに話が飛ぶ。
カイルは面倒くさそうにも、ため息をついて情報を出す。
「アルフェリアの花は薬草とも言われる花だ。そして、その花を煎じて飲めば、彼女の盲目が治るかも知れないっていってな」
「薬草…?そういうものがこのスラムにあるとは思えないのだけど…」
「でもあるという情報をつかんだ。だから俺達はここにいるんだが…まぁ、なかったらなかったでいいんだ。その方が面倒にならん」
「もしかして、君はマイさんの目が治らなくてもいいと思ってるの?」
「後天的なものなら治したいとは思うだろうがな。先天的なものなんだ、つまりは生まれつきだ」
カイルがそう説明する。ぶっきらぼうなもので、少し口調も乱暴だ。
しかし、情報を渡すという事は、それなりに信頼しているという証拠なのかも知れないが…。
四人は花を探し出した。
一人は子供に話を聞いて、一人は辺りを捜索する。
そして一人は情報を纏め、もう一人はだらけている。
そんな時だ。だらけていたカイルが殺気を感知していた。
「おい、囲まれてるぞ」
「え?」
辺りを見回すとならずものが数人…マイ達を取り囲んでいた。
「何時の間に…!」
「流石スラムだわ。こういう事に関しては敏感ねぇ」
「そこの女を渡してもらおうか!」
「どうやらマイさん狙いみたいだね。渡せといわれてすぐに渡す程軟い護衛じゃないからね!」
莞爾がブレードを飛ばす。男のズボンのゴムを掻っ切る。男は恥ずかしそうに座り込む。
それを見た瞬間、周りの男達は少し躊躇いはしたがそれぞれ一斉に襲い掛かっていった。
「莞爾、マイを頼むぞ!」
「言われなくても守るよ!」
「やれやれ、喧嘩は面倒だからあまりしたくなかったのにな」
シャロンんがぼやきながも男をなぎ倒していく。
男も顔負けのその格闘術は荒削りではあるが、かなりの腕前を示している。
「やれやれ、面倒だ。もう一気に使っていいか、マイ?」
「ご自由に。私は戦闘が出来ませんから、そういう事は全て貴方に任せていますでしょう?」
マイがそういうと、カイルはため息をついて指をパチンッと鳴らす。
男達の動きは止まった。しかし、莞爾やシャロン達は動けるようだ。どうやら、マイの能力的に動けているらしい。
「カイル。時を止める時は味方を巻き込んではいけませんよ?」
「ま、そういうな」
「こ、これは?」
「俺の第一の能力。時を止める…ってね」
「今の間に行きましょう。先程有力な情報を掴みました。確かめてみたいのです」
マイがそういうと、莞爾とシャロンはマイとカイルを連れてその場から離れていった。
四人が辿り着いたのは、スラムの広場。
そこはとても広いが、瓦礫の山である。
「本当にこんな所にあるのかい?」
「あるという情報だからあるかも知れないだろ」
「でも、こんな荒れた場所に咲く花なんてあたしでも知らないわよ」
シャロン達がそう話していると、マイがフラフラと一つの瓦礫に近づいた。
その瓦礫の隙間を覗き込んでみると、そこに白い、綺麗な花があった。
そう、もう日は暮れて月夜になっていたのだ。
「綺麗…」
それはまるで妖精でもいそうな白い花びら。月の光を浴びて綺麗に光っている。
「これが、薬草って。少し信じられないわ」
「アルフェリアの花は架空の薬草とも言われているからな。これが本当にアルフェリアの花とは分からないが」
「でっ、これもって帰るの?」
莞爾がたずねると、マイは首を横に振った。
「考えてみたんです。これは、このスラムに咲いたもの。なら、スラムで苦しんでいる人達に使うのが優先されると思うのです」
「また自己犠牲みたいな事を…」
「ですから、この花はここにそっと置いておこうと思います。すみません、護衛を頼んだのに」
マイが申し訳なさそうにいう。そして、二人の手にそっと何かを握らせた。
それはとても蒼い、綺麗な石だった。
「私達が出会えた証として持っていてください。…ではカイル、いきましょうか」
「おい、マイ。行くぞ」
「君達、一体なんで放浪したりして…?」
「私達が私達である証を見つける為、です」
意味深な事を言い残すと、マイはカイルと二人で夜のスラム街に消えて行った。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / クラス】
【0600】/安宅・莞爾/男/12歳/ハーフサイバー
【0645】/シャロン・マリアーノ/女/27歳/エキスパート
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■ ライター通信 ■
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初めまして、神無月鎌です。
この度は私のシナリオ、【スラム街に咲く花】にご参加頂きありがとうございました。
PCノベルというのは初めてだった為、不手際な所とか
納得の行かないような書き方があるかと思います。
そういう部分は遠慮なく申してください。
次からは気をつけながら頑張って作成させて頂きます。
皆様のキャラを書かせて頂き、光栄です。
本当にありがとうございました。
そして、今回は延滞してしまいました、申し訳ありません。
書かせていただけたこと、本当に感謝しております
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