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■月夜烏堂異聞録■

緋烏
【2322】【宇奈月・慎一郎】【召喚師 最近ちょっと錬金術師】
月夜に狂った烏がカァと鳴いた夜。
月夜烏堂は店を開ける。
店の戸を開けて月の光が差し込んだ瞬間、いっせに、けれど静かにイキモノ達は囀りだす。「おや、今日も様子見に来たのか」
『当たり前やないの、アンタがそないけったいな商売始めたんやもの。気にもなるわなぁ』
真っ白な猫が足元でニャーと鳴く。
「俺だって好きこのんでこんな商売始めようと思ったわけじゃない。この目がさ。見えちまうんだから仕方がない」
正体を知られたモノは、力を発揮する事が出来ない。
そんな連中の理があるからこそ、亜梨亜の力はこんな時だけ、人にとってとても都合がよいモノなのだ。
『…その見える目が、あんなモンまで惹き寄せるんやろか?』
「あん?」
猫がついっと顎を突き出し方向を示す。
店の外、通りに面した建物の端っこに大きな紙袋。
「……なんだぁ?」
煙草の火を消し、地面に投げ捨て、目を見開いた。
「……!…マジかよ…いくらなんでもこいつは勘弁だ!俺ぁこいつの退治法なんざ知らないぞ!?」
『…今の時代に、よぉこんなモノが残っとったねぇ。嫁金蚕?どこの阿呆がそないけったいなコト教えよったんや』
「…こいつは俺には処理できねぇ。ひさめ、誰かこいつを何とか出来そうな奴呼んできてくれ」


『まかしとき』