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■〜怪聞奇譚怪奇通り〜■

緋烏
【1855】【葉月・政人】【警視庁超常現象対策本部 対超常現象一課】
 確かにいつもの見慣れた坂を上ったはずだった。

けれど目の前に広がる光景はいつもの坂の上の通りではない。

どこぞの神社の境内らしき場所で、石畳の道の両サイドには数々のテキ屋。

こんな深夜に祭?

「狐狸妖怪の集う場所、坂という結界の中にある怪奇通り。今日は満月に一度の御祭なの」

何処からともなく聞こえた声の主を探すと、妖かしの間をぬって巫女装束姿の女がやってきた。

巫女装束姿で狐の耳と三本の尻尾を生やした女。

「怪奇通りでは皆元の姿に戻るの。本性を見せて今日この場この時だけは誰も争わないって掟に従ってね。

貴方の本性はどんなのかしら?」

女はくすくすと笑った。

「屋台めぐりをするもよし、妖かしと戯れるもよし。妖かしが運営する店ばかりじゃなく

普段は人界で店を開いている店も出店してるから、休憩する時にはそっちで休んでもいいしね」

そういって指差した先にあったのは「翠明堂」「呪禁堂」と書かれた二件の店。

「1件は駄菓子屋、もう1件は本屋だけど店主が好きでお茶を振舞ってるから」

そういうと女は踵を返し、ごゆっくり、と言い残しで人ごみに消えた。