コミュニティトップへ



■スケルトン スティンキー■

追軌真弓
【5338】【美土路・アキラ】【殺し屋】
 昼時の食堂はIO2職員でいっぱいだった。
 別段空腹が満たされれば、いつ食事を取っても良いのだけれど。
 他者と同じ集団に属する事で、何らかの精神的充足を得るという事もあるのだろう。
 そんな事を考えたのは勿論一瞬で、自分はテーブルの上のカレーに意識を集中した。
 カツカレーは少し重かったかな?
「ここ、いい?」
 そう言って目の前の椅子を引いて、男がテーブルにトレイを置いた。
「どうぞ」
 伸び放題の黒髪の下から人懐こい笑みを見せ、男は「じゃ、遠慮なく」と箸を割ってきつねうどんをすすり始めた。
 思い違いでなければ、彼はIO2エージェント・久世隆司――ジーンキャリアとなった今では『ヒトツデ』とも言われる男だ。
 異界の門となる左腕は『ファントム・スレイヴ』と呼ばれるものに置き換えられているという噂だが、長袖のジャケットと手袋に隠された下がどうなっているかは、わからなかった。
 通常ほとんど外部処理にあたっている事の多い彼が、IO2内にいるのは珍しい。
 すぐに丼を空にした久世は、自分のカレーに視線を向けた。
「それうまい? あんまり辛くない?」
「え、まあ。うん」
 久世は更にカレーを食べようか迷っているようで、無精髭の口元を引いて唸っている。
 と、迷っている久世の後ろに銀髪の少年が立った。
 ホスピタルグリーンの病衣、裸足にサンダルを引っ掛けた彼は『ヨツメ』。
 ジーンキャリアのハイブリッド・チャイルド。
 運用されているジーンキャリアの中でも、最も危険な部類に入る『ティターニア計画』成功例。
 しかしヨツメに戦闘時の鋭利な雰囲気は無かった。
「ヒトツデ、各務が呼んでる」
「俺、カレー食べたいんだけどな。急いでんの?」
 ぐいぐいと久世の袖を引っ張っていたヨツメが頷く。
「スティンキーが逃げたから、捕まえろって」
「え!?」
 スティンキー?
 久世は驚き、次いでものすごく嫌そうにヨツメを見上げた。
「俺とヨツバと、ヒトツデで何とかしろって。指揮は任せるからって」
「……あいつ重慶から戻って、人使い荒くなってないか?」
 大きく息を吐いた久世は恨めしそうにそう言って、自分に視線を合わせる。
「良かったら俺の手伝いしてくんない?
それから、そのカレー一口くれると嬉しいんだけど」
スケルトン・スティンキー

 薄暗い闇の中に立ち上がる、更に黒い影を視界に捉えて青年は不敵に微笑んだ。
 髪の合間からのぞく真紅の瞳は冷ややかだったが、その実嗜虐的な光もたたえている。
 探す手間が省けたな。
 端整な顔立ちに浮かんだ微笑みは、既に獲物が事切れた瞬間を予見して満足げだった。
「殺してやる……来い」
 青年を囲む影の輪が一気に狭まった。
 抹殺――魔殺。
 美土路アキラは『魔を殺す』力を、人間の身のままで得た稀有な存在だった。
 もとより備わった異能力で戦うのではなく、修練に修練を重ねた結果として人間の領 域を超えた魔殺集団『美土路』の一員として、幾多の魔を屠ってきた。
 その結果が、美土路の名を頂く現在に繋がっている。
 波のように立ち上がる影に、臆する事無くアキラは腕を突き入れる。
 その腕をなぎ払うと影は残像を引いて横に伸び、分断される。
 背後から迫る影にもアキラは微笑みを崩さないまま、身体を反転させて蹴り上げた。
 蹴りの軌跡を追うように影は裂けてゆく。
 ざわり、と他の影から困惑……いや、恐怖がアキラにも伝わってきた。
 その感覚に肌の下がざわめくような歓喜をアキラは覚える。
 もっと、楽しませろ。お前たちが消える、瞬間を。
 全ての影を闇に返し、アキラは淀んだその場から離れて歩き出した。
 数歩離れただけで、その場はありふれた公園の一角に溶け込む。
 魔はこの世界にありふれているものだ。それを感知できるかは、当人次第だったが。
 取り出した携帯電話にメールが入っていた。
 自宅にあるパソコンから転送されたもので、IO2からの依頼だった。
 何度かIO2の依頼は美土路を通して受けた事があったが、ジーンキャリアと組むのは初めてだ。
 連絡先に指定された相手は久世隆司となっている。
 どこかで聞いたような名前だったが、はっきり思い出せない。
 急な依頼なので、受けるかどうかはアキラの判断に任せられていた。
 詳細は久世に連絡を取らなければわからない。
 どうするか、な……。
 午後はたった今一件依頼された魔を消したので、予定もない。
 アキラは携帯電話から久世に連絡を取った。
 危険とそれ以上の魔殺の歓喜が自分を待つような予感がしたからだった。
 暇くらいはつぶせるよな?


 IO2はこれまでにも訪れた事があったが、指定された先は通称『妖精ラボ』――ティターニア計画の指揮を執る各務雅行直轄の研究室だった。
 そこは初めて行く場所な事もあり、アキラは少し道に迷っていた。
 途中すれ違う研究員に何度か尋ね、ようやくそれらしき一角にたどり着く。
と、ドアの前に白いジャケットを羽織った青年が立っている。
 青年からは神道を用いる者特有の、聖別された清澄な雰囲気が伝わってきた。
俺とは違うな。
 魔に対処する方法は人間によって様々だ。
 まあ、何を使おうが結果が出ればいいさ。
「貴様もここに呼ばれたのか?」
 アキラが話しかけると、青年は「あんたも?」と返してきた。
 やや釣り目の瞳が不機嫌そうに見えたが、それは気分とは関係がないようだった。
 ぶっきらぼうな口調だが、存外に他者にはそれなりの敬意を持って接する人間らしい。
「さっさと中に入ろう」
「ああ」
 青年を促してアキラはドアを開けた。
 中には黒とピンクが鮮やかな印象の青年と、身体に添うラインのパワードプロテクターに身を包んだ男女三人がいた。
 椅子の上で膝を抱えている少女と、その傍らには良く似た印象の少年が立っている。
 銀髪に褐色の肌を持つ、ハイブリッド・チャイルド。
 ティターニア計画で生み出されたジーンキャリア、ヨツバとヨツメだった。
 額に『第三の目』を顕現させた彼らは、ジーンキャリアの中でも特異な能力――未来予見、空間跳躍能力を持つという。
 ヨツバのプロテクターは両腕の部分にカヴァーがついておらず、むき出しの腕が褐色の肌を見せていた。
「妖精研てここでいいのか? クゼって奴に呼ばれたんだが」
 アキラの言葉に、
「美土路アキラくん? 久世は俺ね」
 伸び放題の髪の下に無精髭を伸ばした男が答えた。
 その顔を見て、アキラは思い出す。
 IO2エージェント・久世隆司――ジーンキャリアとなった今では『ヒトツデ』とも言われる男だ。
 異界の門となる左腕は『ファントム・スレイヴ』と呼ばれるものに置き換えられているという噂だが、それを確かめた訳ではない。
 アキラとの隣に立った青年が控えめに切り出した。
「……物部真言です。詳しい話はともかく、現場についてからって聞いたんだけど?」
 それを受けて、 ピンクのメッシュが入った黒髪を立てた青年が声を上げる。
 レザーパンツ、ブーツ、シャツに至るまで黒で統一され、ピンクのルージュと、耳や胸元・腕に付けられたシルバーのアクセサリーが目を引く。
 ピンキーでパンキッシュか。
「ボクは御守殿黒酒ね。ヨロシク〜」
 愛想良く黒酒が言った。
 しかし、その声の裏に含むものがあるとアキラは感じた。
 IO2に関係するからには、何らかの能力を持っているはずだ。
 真言とは異なる存在の気配を感じる。どちらかと言えば、魔に属する方のものだ。
「それじゃ、説明するか」
 アキラの思考をよそに、全員が席に着いたところで久世は閉鎖された実験棟の見取り図を広げた。


 今回は逃げ出した魔法生物・スティンキーを捕獲、もしくは抹消しなければならない。
 逃げ込んだ場所はすでに特定され、各務によって封鎖されている。
 探索に向かう先は実験棟の一部だが、隣接の極低温実験室が壊れ、現在マイナス17度程度まで気温が下がっているという話だった。
 アキラとヨツバは頭まで覆うパワードプロテクターに身体を包み、呼気が白く煙る実験棟の中を歩いていた。
 補正された視界をゴーグル越しに見ながら、二人は霜の結晶化した階段を探りながら歩みを進める。
 スティンキーの特性――実体化と霧散を繰り返しているが、実体化する際に鋭い硫黄臭を発し、
 恐怖・嫉妬・怒りなどの『負の感情』を糧に成長するという。
 直接スティンキーに触れると、増幅された自分自身の『負の感情』に飲まれてしまうというので、黒酒によって全身を密閉できるスーツの使用を提案された。
 アキラも普段は素手での格闘を基本としているのだが、今回はトンファーを手にしている。
 妖精研でアキラはヨツバを連れて行く事に難色を示した。
 見た目はほぼアキラと同じ年頃に見えるヨツバだったが、精神状態は小学生程度まで退行しているというのだ。
「判断能力は七歳程度だが、ヨツバの戦闘能力に問題はない。行けるよ」
 久世はそう呑気に答えたが、子供がどう戦うというのか。
「子供の世話なんてしちゃいられない。足手まといなら、俺一人で出る」
 苛立ちを滲ませてアキラが言うと、ずっと黙っていたヨツバが口を開いた。
「ヒトデ。私、何をしたらいいの?」
 たどたどしい口調は自我が芽生え始めた子供のものだった。 
 久世が苦笑して「ヒトツデだろ」と訂正した。
「ヨツバはこの人と一緒に、黒い毛玉を斬って来い。な?」
「ヨツメと一緒に行きたい」
 ヨツバはもう一人のジーンキャリアの名前を口にした。
 ヨツバは以前の作戦で面識のあった黒酒と既に出ている。
「俺がその子と一緒に出ようか?」
 パワードプロテクターに着替えた真言が言った。
「いや、物部君は俺と組んでくれ。これでも最善と思われる組み合わせなんだ」
 それを久世はやんわりと遮り、アキラはヨツバと組む事になった。
 スーツの内部は保温され、息苦しさを除けば行動に支障はない。
『スティンキーとは接触したか?』
 一定時間ごとに久世が通信回線を開いてくるが、今の所出現の兆候も見えない。
「いや。まだだ」
 久世は真言と、ヨツバはアキラと組んでいる。
 他の場所を探索している二組もまだスティンキーと接触していないようだ。
『ヨツバはどうしてる?』
「時々天井を見上げてる。本当に使い物になるのか?」
『無意識に未来予見能力を使ってるんだ。ヨツバの視線の先に注意すると良い』
 マスクに隠れたヨツバの額には、第三の目が既に開いているのだろうか。
「……向こうに、もうすぐ出るよ」
 パシッ、という音が間断なく響き、冷気の白い霧の向こうに黒いものが弾んで現われた。
 スティンキーか!
 ヨツバが両手にナイフを引き出すよりも早く、アキラが反応してスティンキーにトンファーを叩き付ける。
 まだ実体化が完全ではなかったのか、スティンキーの姿は再び霧の中に消えてしまった。
 数秒後、今度はごく近い場所に再び黒いものが現われる。
 ……何だ? 数が増えて……?
 逃げたのは三体と聞いていた。そのうちの二体がここにいるのか?
 ヨツバのナイフが一体に突き立てられ、霞んで消える。
 それに続くようにアキラもトンファーを振るうのだが、手ごたえを感じた瞬間スティンキーは分裂し、それぞれが活動を始める。
「おい! こいつら増えるぞ!?」
『わかった。すぐにこちらも合流する。君はスティンキーを吸い込まないように』
 久世の言葉に唇を噛み締め、アキラは目の前のスティンキーが弾む様に唇を噛んだ。
 美土路の体技が通じないというのか?
 今はトンファーを使っているので切り裂くというよりも叩き潰す形にはなっていたが、例え暗器を通してもこの能力は有効の筈だった。
 スティンキーが確認できるだけでも五体に増えている。
 それが徐々に、アキラとヨツバを取り囲むように距離を縮めて出現を繰り返す。
 マスクの中でアキラは舌打ちした。
 確実に斬った手応えがあるのに、スティンキーは霧散せず数を増やして再生する。
 と、そこに銃声が響いた。
「ヨツバ!」
 マスクで中が見えないが、声からしてヨツメらしい。
 ヨツメの弾丸が一体に被弾し、スティンキーは弾け飛んだ。
 銃にはスティンキーに効果をもたらすという魔弾がこめられている。
 着弾と同時にスティンキーの体組織を三次元に固定、この世界の影響を受ける状態にして破壊するという、IO2オカルティック・サイエンティストの試作品だった。
 そこにキャリーバッグを手にした者がもう一人現われる。 
「何でこんな事になってるんだ!?」
 こっちは黒酒か。
 どうやら一匹捕まえたらしいな。
「切ったそばから分裂してキリがない!!」
 ヨツバは両手に持ったナイフをスティンキーに付き立て、交差させるように黒い毛玉に切りつけている。未来予見応力を使っているのか、その動作に無駄はない。
 が、それ以上にスティンキーの分裂するスピードが勝っていた。
 ヨツメの魔弾も最初は効果があったが、スティンキーの多さに狙いが定まらず、徐々に弱体化してきた。
 黒酒は『血の契約』によって得たデーモン、ピンキー・ファージを使ってスティンキーの封じ込めに成功したようだ。
 しかし混戦中のこの場ではピンキー・ファージをスティンキーに向けても、拾い上げる感覚の多さに集中力が続かないらしい。
「おい! スティンキーは吸い込んでないな!?」
 振り返ると久世と真言らしき二人が駆けて来た。
「物部君は祓いの言葉を美土路君の暗器に! ヨツメはヨツバのマスクをとってやれ」
「スティンキーがまだこの場にいるのにか?」
 アキラの疑問に久世が答える。
「……ヨツバはスティンキーの影響を受けない」
「何故?」
「この子は今、虚ろだからさ。美土路君は気がついたろ? 恐怖や憎悪、負の感情がほとんどない」
 ヨツバは放心したように虚ろな瞳で一同を見渡した。
 たった今まで、ナイフを振り回していたとは思えない程、紫の瞳は三つとも静かだった。
 清浄祓(しょうじょうのはらい)を真言が唱え、瞬時に場の雰囲気が変わる。

 ――清浄 地清浄 内外清浄 六根清浄
心性清浄にして 諸々の汚穢不浄なし
我身は六根清浄なるが故に天地の神と同体なり
諸々の法は影の像に随ふが如く為す処行ふ処 
清く浄ければ所願成就福寿窮りなし
最尊無上の霊宝 吾今具足して意清浄なり……

 むき出しのヨツバの顔の近くに出現したスティンキーを、アキラのトンファーが捉える。
 打ち付ける瞬間、確実な手ごたえが返ってきた。
 今度は一撃でスティンキーが霧散した。
 続けざまにアキラのトンファーが他のスティンキーにも振り下ろされ、全ての存在が消え去ってゆく。
 あっけない程の終了だった。 
「迂闊だった。君の暗器も対魔処置しておくんだったな」
 アキラの使っていたトンファーは、長く美土路の暗殺器として使われるうちにそれ自体に魔を取り込み、触れた瞬間にスティンキーを増殖させてしまったようだった。
「さっき『スティンキー以上のもの』とか言ってなかったか?」
 黒酒がふと思い出したようにヨツメに聞いた。
「……一度は予見が消えた。でも、まだ完全に見えなくなった訳じゃない」
「不確定の未来か」
 久世が渋い表情でヨツメを見ている。
 一方、黒酒は困惑したように言葉を続けた。
「さっきからさァ、すごいヤバそうな感じが消えないんだよねェ」
「御守殿君、デーモンとの同化を解け!」
 叫びながら、久世はヨツメとヨツバをかばうように両手で抱きしめ、しゃがみこんだ。
 その腕にはパワードプロテクターを通しても、複雑な魔方陣・魔力を帯びるとされる天使言語が光を放って浮き上がっている。
「な、に……」
 とっさに言われた通り黒酒は同化を解いたらしい。
「物部君は詠唱続けて! 美土路君は俺たちの上の空間を斬れ!」
 ヨツメとヨツバが見上げる上の空間に、一点の黒い染みが見えた。
 それはどろりと垂れ下がる滴の連なりのように、ジーンキャリアたちの上に伸びてくる。
 不定形に姿を変える黒い影の先端は、幾つもに分かれて人間の手のように何かを掴もうとうごめいていた。
「……せ、えッッ!!」
 裂帛の気合いを込めて、アキラはそれをなぎ払う。
 二つに分かれた影の触手は、次の瞬間形を失って消えてしまった。 
 そして、完全にその場の雰囲気は普段アキラたちが感じるものと同じに戻った。
「今の、なんだった?」
 いや何かが見えた。
 アキラは早くこのマスクを取り払ってしまいたいと思った。
 胃の辺りがむかむかする。
 何かに影響されたのか? 俺が?
「今のは、『神降ろし』だったのか?」
 真言が久世に尋ねる。
 神をこの世界に呼び降ろす行為。それが偶然にも発動したというのか。
 本当に、偶然だろうか?
「さあ。俺はまだ神なんて見た事もないから、何とも言えないよ」
 黒酒が皮肉を込めて久世に言った。
「その神サマをこの世界に引っ張り出すのが、ティターニア計画だっていう噂じゃない?」
 知りすぎれば多分、ヨツバと同じように『調整』されてしまうのだろう。
「まあ、深入りしない方がいいな」
 釘を刺すように久世がそう言い、一同はその場を離れた。


 同時刻、IO2の別の実験棟では数名の研究員がモニターに現われた反応を報告していた。
「虚数空間を確認、その後0.73秒後に反応反転、2秒間実体化しましたが霧散しました」
 モニターに映る閉鎖空間の3D展開図に、波状のグラフが重ねられる。
 それはたった今アキラたちがいた場所だった。
「反応から既知の『虚神』第2433号と認定しました」
 淡々と研究員は報告を続ける。
 それを受ける男も、特に驚きもせず指示を出す。
「引き続き封鎖空間とジーンキャリアの状態変化を追跡、今回参加した人間にも変化がないか20日間フォローしろ」
 報告には『神』という単語が含まれているにも関わらず、扱いは代替の利くモルモットと同じように何の感慨も示さない。
 彼にとっては、神すらも実験対象でしかない。
 それが各務雅行――ティターニア計画の現責任者だった。
 デスクから離れ、各務は煙草の吸える場所まで移動した。
例え各務がその場で喫煙しても咎める者はいないだろうが、それでは居心地が悪い。
 しばらく通路を歩き、喫煙コーナーまで来てようやく各務は白衣の懐から煙草を取り出して咥える。
 が、火は付けず、思考に沈んで一人呟いた。
「……ジーンキャリアと人間の組み合わせが問題なのか? いや、やはりヨツバの能力、か……」
 
(終)


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

【 0596 / 御守殿・黒酒 / 男性 / 18歳 / デーモン使いの何でも屋(探査と暗殺)】
【 4441 / 物部・真言 / 男性 / 24歳 / フリーアルバイター 】
【 5338 / 美土路・アキラ / 男性 / 20歳 / 殺し屋 】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

美土路アキラ様

お待たせしました。初めましてのご参加、ありがとうございます!
美土路様は今回唯一武器を使われていましたので、それが逆にスティンキーを分裂する結果になってしまいました。
とはいえこれが失敗という結果ではなく、『虚神』と呼ばれる存在を斬る事が出来ました。
美土路の技には神をも斬る力を秘めているように思います。
少しでも楽しんでもらえると嬉しいです。
御注文ありがとうございました!