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■神の剣 異聞 Invisible Blade 1 邂逅■

滝照直樹
【1305】【白里・焔寿】【神聖都学園生徒/天翼の神子】
 織田義明はなにか違和感を覚えていた。
 平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
 今の状態に満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
 と、独り言。
 一人暮らしをしてから数ヶ月。
 先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
 このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
 さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう?
 神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか? 考え方が異なるから敵対するだろうか?」
 義明はそう思った。
 
 
 数日後……

 毎度の事ながら退魔行を任された義明は、戦いの中で一人の少年と出会った。
 戦いが住んだ後……お互いが見る。
 歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ?」」
 同時に喋った。
 緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……?」
 義明が、“彼”の能力〜一部だが〜を見る……。
「見えるのか? あんたこそ…その刀はなんだ?」
 少年が喋る。
 おそらく義明の神格具現剣「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
 彼が警戒してもおかしくはない……。
  
 この緊張感を打破出来るのは、あなた以外いない。
神の剣 異聞 Invisible Blade 1 邂逅

 織田義明はなにか違和感を覚えていた。
 平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
 今の状態は満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
 と、独り言。
 一人暮らしをしてから数ヶ月。
 先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
 このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
 さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう?
 神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか? 考え方が異なるから敵対するだろうか?」
 義明はそう思った。
 
 
 数日後……

 毎度の事ながら退魔行を任された義明は、あなたと一緒に戦いの中で一人の少年と出会った。
 戦いが住んだ後……お互いが見る。
 歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ?」」
 同時に喋った。
 緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……?」
 義明が、“彼”の能力(一部だが)を見る……。
「見えるのか? あんたこそ…その刀はなんだ?」
 少年が喋る。
 おそらく義明の「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
 彼が警戒してもおかしくはない……。
  
 この緊張感のなかあなたはどうする?


〈白里焔寿〉
 ――たゆたう。
 ――記憶があやふや。
 ――何かが来る

「遅くなってしまいました」
 白里焔寿は、閉館時間ぎりぎりまで図書館にいた。いつの間にか猫は暇だったのか眠っている。ここ最近、彼女はかなりおかしな体験をしている。自分の霊力コントロールが出来ないのか、良く悪霊に襲われる。今までは自分の力で何とか出来たモノの、其れもかなわない状態だ。今まで、チャームとアルシュが危険な目に遭わなかった事は不幸中の幸いであろう。
 あと、問題なのは、たまに自分の記憶がないのだ。中に『何か』がいると薄々分かっているようである。しかし、その『何か』がハッキリしない分、彼女は不安になっていた。
 猫が退屈そうに鳴いた。
「急ぎましょう」
「にゃあ」
 苦笑して、彼女は2匹の入ったゲージを持って、図書館を後にした。

 しかし、彼女は気が付くと、見知らぬ場所に立っていた。
 アルシュがゲージをガタガタ鳴らした事で、意識を取り戻したようだ。
「ま、まただわ……」
 夜のなか、何故彷徨い続けていたのか、分からない焔寿。
 猫たちがゲージから出て、身を震わせる。
「!?」
 周りにハッキリと悪霊が見える。
 悪霊群が彼女を囲んでいたのだ。


「キリがない……この量は尋常じゃないな……」
 織田義明は“水晶”で悪霊を浄化していく。
 この通りは、悪霊のたまり場として浄化を依頼されたものだ。残念はなく自縛霊と成っているため、実力行使と言う事になった。小耳に挟んだ事だが、既にもう1人単独で退魔行をしているという話だ。
「誰だろう? この区域は長谷家の担当だったのでは?」
 と、首を傾げながら義明は刀を振るい、気の弾を飛ばし、徐々に悪霊を消していく。


 衣蒼未刀は黙々と、“未だ見ぬ刀”を振るい、悪霊を消していった。
 ――なにか、強い何かを感じる……。
 彼は想ってその先を急ぐ。
 彼もまた別のところから依頼を受け、其れで食っている身であった。昔の衣蒼家は既にないと言っても良い。今は自分で何かをしていく、それだけであった。


 焔寿は逃げる。今は猫たちが危ないのだ。
「チャーム! アルシュ!」
 と、2匹を抱え、走った。
 悪霊は追いかけてくる。
「ど、どうしよう……」
 真っ暗な空き地。
 しかし、其処は都会の一角であり死角。袋小路だった。
 自分の能力に不安があるため、猫たちに危害が加わる事を恐れ、思い切って使えない。猫は大事な友だちなのだ。
 悪霊が、焔寿に襲いかかってくる。
 結界を張ろうと試みる焔寿。
 ――間に合わない!


 刹那。


 刃が2つ、其れを斬り裂いた。


 透き通っているが日本刀と思われる刀と、光によってきらめく真空の刃。
 それは綺麗に交わり、悪霊を3つに刻み霧散させたのだ。

 1人は知っている人物、織田義明。もう1人は知らない。
 その瞬間は焔寿にとって、死ぬのではと思った時でさえ、とても綺麗なものだと思わせる程であった。
 



〈邂逅〉
「見えるのか!?」
 見知らぬ少年が、義明に言う。
 3人が出会ってから何分経ったのか分からないが、かなり緊張した雰囲気である。争いを好まない焔寿はその緊迫感に耐えられなかった。
 猫たちも震えている。
 声が出せない。
 義明のほうは、相手がどういう感じでいるのかうかがう。義明自身の力の強さに驚いている事が分かったのはほんの数秒。しかし、少年は本気で戦うつもりはないらしい。
「あ……」
 焔寿が声を出した。
 そのとたんに、2人の緊張が解ける。
「「まずは……この人の保護が先だ」」
 同時に言った
 “この人”というのは、白里焔寿の事に他ならない。
 同時に言った事が、その場にいた全員におかしかったのか、
「ふ」
「ぷっ」
「あははは」
 皆が笑い出した。

 義明と少年は“武器”を納刀し、焔寿の側に駆け寄る。
「白里さん大丈夫?」
「……ええ、助かりました。ありがとうございます義明さん」
「知り合いだったのか?」
「ああ、同じ学校なのだよ」
「そうか……」
 と、話をしている。

「俺は織田義明。君は?」
「僕は衣蒼未刀」
「私は白里焔寿です。この子達はチャームとアルシュ、友だちです」
「にゃ〜」
 と、自己紹介をする。
 焔寿はにっこり、2人の手を取った。
「?」
 と、義明。
「な?!」
 いきなり手を取られたので、驚く未刀。
「仲良しで♪」
 にっこり微笑む焔寿。2人を握手させたのだ。
「よろしく」
 義明は2人に微笑んだ。
 未刀は何かを考えたが、直ぐに笑った。
 アルシュは未刀が気になるらしく、じぃっと見ている。
「?」
「にゃ〜」
 未刀はアルシュを抱いてみた。
 猫はゴロゴロ喉を鳴らしている。
「気に入ったみたいですね」
 焔寿は笑った。
 

〈身の上話〉
「どうして、あんたたちは力を持っている?」
 と、言う未刀の疑問に、お互い出生や、力の発現の時などを話していく。
「まあ、そんな厳しい生活を。衣蒼家というのは少し親戚から聞いていました、封印を得意とする退魔の家と」
 と、焔寿は悲しそうに言う。
「外と隔離されての生活、実際おかしいものだ……しかし、僕は自由だ」
 未刀は笑う。
 どうしてそうなったのか、簡単に説明するなか、焔寿は思った。
 ――織田さんと衣蒼さん……環境が正反対なのですね。そして、私と衣蒼さんは似ている。
 と。
 焔寿からすれば幼くして亡くした両親、そして何らかの理由で高校まで行かなかった。その理由は両親を一度になくした精神的ショックなのか、それとも力の所為だったのか不明である。一番の理由は世界を知らない状態で今まで育ってきたことだろう。外の世界に対しての対応能力は彼女にある。なぜなら、自由に生きていたのだから。しかし、衣蒼未刀は違っていた。
 もしかすれば焔寿の家系も過去そう言った恐ろしい事をしていたのだろうか?
 ――退魔の戦いだけ教えられ、そのほかをすっぱり斬り捨てられた機械として。

 意気投合している義明と未刀に、焔寿はこういった。
「いきなり出会って何なのですが……少し相談したい事があるのです」
「どういう事?」
「? 白里?」
 と、彼女は今の状況を分かる限り教えた。
 ――記憶がなくなるときがある
 ――今日みたいに悪霊に襲われやすくなっている。
 ――自分の中に『何か』がいる。
 と、言う事を。

「うーん」
 2人は考えている。
「師匠か……その関係者に聞く方がいいのかなぁ……」
 義明が言った。
「二重人格か、それとも二つの魂が一つの肉体に宿っているのか、色々可能性はあるけど、俺が出来る範囲でならば、何とかしよう」
「……僕も、可能な限り、は」
「ありがとうございます」
 2人の返事に焔寿は安堵し、微笑んだ。

「そうだ、私のお家に来ませんか? ごちそうします」
「ゴチになるよ、白里」
「ありがとう」
 焔寿はにっこり微笑んで2人の手を取り、少し速く歩いていく。
 猫たちが、3人の後をつけていった。
 
 この後、かなりの大きな屋敷に2人が驚く事は言うまでもない(衣蒼家は武家屋敷だが、白里のほうは3階建ての洋館ではなかったろうか?)。



2話に続く

 滝照直樹拝

■登場人物
【1305 白里・焔寿 17 女 神聖都学園生徒・天翼の神子】

【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】


■ライター通信
 滝照直樹です
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 1 邂逅』に参加してくださりありがとうございます。
 時間軸上は、大体『古本屋の姉妹』と同じかその前という感じで書きました(しかし、姉妹さんがこのInvisible blade全4話に出ません)。
 織田義明と衣蒼未刀君と仲良くなっていき、マッタリするも、シリアスに行く方向になるでしょう。2話はのんびりほのぼのです。3話がシリアスと戦闘です。4話はフリープレイングと思って頂ければ。
 もっとも、この2人は“壊す”事か“使う”事が得意としている様な人達なので(義明は一応器用な部類になっておりますが)少し難しい相談だったかも知れませんね。
 衣蒼未刀君の事をもっと知りたい場合、杜野天音ライターの『闇風草子』を参考して下さい。

 では、また続きにお会いしましょう

滝照直樹拝
2005/10/05