■具現化協奏ファントムギアトルーパー――testee3■
切磋巧実 |
【0158】【ファルナ・新宮】【ゴーレムテイマー】 |
●秋の体験学習
「楽しそうでございますな、お嬢様」
初老の紳士は丸いテーブルに載っているカップへと紅茶を注ぎ、微笑みを浮かべた。ゆったりとした椅子に腰掛けた西洋人形を思わせる少女――鎮芽・グリーペル――は、両手を合わせて満面の笑みで応える。
「ええ☆ だって秋は学園行事が目白押しですのよ♪ 体験学習に体育祭、文化祭もやらなくてはなりませんわね〜それからー」
指折り数えては、遠くを見つめるような表情を浮かべて考え込む。「あ、これも行うべきかしら?」なんて独り言を呟き、数え折る指が増えてゆく様に、初老の紳士は笑う。
「本当に楽しそうで何よりです。この際、あの事はお忘れになられては?」
途端に鎮芽の表情が強張り、冷たい視線を流す。
「‥‥忘れる訳にはいきませんわ!」
「しかし‥‥こうして学園の事も考えられている事ですし‥‥」
「それとこれは別ですわよ」
研ぎ澄まされた瞳に射抜かれ、初老の紳士はこれ以上は口を噤いだ。静寂が室内を包み込んだが、それも短い時間。少女は再び微笑むと何事もなかったように告げる。
「そうですわ☆ 今週は体験学校に致しましょう♪」
「‥‥体験学校、ですか?」
「山の中でカレーを作ったり、テントを作って寝止まりしたりするアレですわ☆」
「‥‥では、あの山に? まだ騒動は公になっておりませぬが」
「人間が気付かないだけですもの、妖機怪は確かにおりますのよ☆ そうですわ! 生徒達に噂を流させましょう♪」
「‥‥では、ファントムギアの輸送も準備いたしましょう」
●学園に捲かれた噂
「ねぇねぇ、来週の体験学習って、あの山でやるんだって」
「あの山って、急に人が倒れたり、お腹が空いてしまうって噂の?」
「え〜っ? 食べても食べても満足できないって話でしょ? 太っちゃったらどうしよう」
「じゃ、夕方のカレーまで何も食べないようにお菓子もってかなきゃ良いじゃん」
「あ、食べ物が無ければ直ぐに消耗して動けなくなるって聞いたよ?」
「なあ、今度の体験学習の山って、超能力少年が出るんだってよ」
「はぁ? 超能力少年?」
「秘めた想いとか隠したい秘密とか何を考えているかとか当てるらしいぜ?」
「あれでしょ? カップルで山に行ったら喧嘩別れするって噂の」
「マジかよ? 俺、星空見ながら告るつもりだったのによ」
「よせよせ、全て曝け出されちまうぜ」
「ガキだろ? 一発殴ればいいじゃんかよ」
「それがさ、幽霊みたいに擦り抜けるんだとよ」
「そりゃ違うね。おまえら話を聞いてないのかよ」
体験学習に望む生徒達の間で、様々な噂が広まっていた。
――麗刻学園。
小学校から高等学校までを対応とした総合学園だ。但し、誰でも入学できる訳でも編入できる訳でもない。この学園の入学条件は『異能力者』である事が必須とされている。
この物語は、霊駆巨兵――ファントムギアトルーパーで戦う生徒と教師達の記録である。
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具現化協奏ファントムギアトルーパー――testee3
――季節は夏から秋へと移り変わった。
夏の暑さを乗り越えれば、僅か数ヶ月の心地良い月日が訪れる。
気温は汗ばむ程の暑さでもなく、陽光が照らす空は穏やかそのものだ。
そんな一時こそ、人は色んな事を考え、この快適な季節を満喫しようとする。
食欲の秋、読書の秋、芸術の秋‥‥。
そして、学園では様々な行事が執り行われる季節。
体育祭、文化祭、林間学校‥‥。
紅葉が彩る山林への坂道を、数台のバスが登って行く――――。
■testee3:林間学校の中で
「さぁ、着いたぞ! さっさと降りた降りた」
バスが目的地であるキャンプ施設に到着すると、藍原和馬教師は車内で寛ぐ生徒達へ発破を掛けた。精悍な風貌に小麦色の肌を照り返す長身の男は、生徒達にも人気が高い。彼の一声でゾロゾロと子供達が降りて来る。同じバスに乗車していた若い女教師が尊敬の眼差しを向けるほど手際が良い。
「藍原先生と一緒で助かります☆ 前の学校では言う事を聞いてくれなくて」
「俺はまぁ、体育しか教えてないし、生徒達も友達位にしか思ってませんよ」
なんて言いながら茶髪をガシガシと掻いて笑うと、視線に場違いなものが映った。隣のバスからゆっくりと姿を見せた少女に、和馬は突風の如く駆け付ける。
「おいおい、何だこの恰好は!?」
ビシッと指差し呆れた調子で注意を促した。刹那、和馬と少女の視界に両腕を広げて割って入ったのは、紺と白に彩られたメイド服に身を包んだ青い髪の少女だ。庇っているのか、男の視線をシャットアウトするかの如く、あどけない風貌を無表情にしたまま、体育教師の揺れる頭の動きに合わせて鏡の如く視界を遮る。より激しく動き度に、彼女のたわわな膨らみが激しく揺れた。思わず視線が注ぐというものだ。
「‥‥何を見ておられるのでございますか?」
「‥‥い、いや別に‥‥それより、確かファルファだったな。って、ファルナ! なにメイド連れて来てるんだ!」
「あら? いけませんか〜?」
柔らかそうに流れるブロンドヘアをふわりと揺らし、円らな緑色に輝く瞳が和馬に向けられた。どうして注意されるのか分からない、そんな表情が愛くるしい風貌に浮かぶ。
「ファルファがわたくしと同行するのは当然じゃありませんの? 護衛メイドですものね〜♪」
「はい、マスター」
護衛メイド・ファルファは、ニッコリと微笑むファルナ・新宮に淡々と応えた。‥‥まぁいい。彼女達と面識がない訳じゃない。共に妖機怪と戦うパイロット同士なのだから。こほん、と咳払いをすると、和馬は改めて問い質す。
「メイドは兎も角だ。ファルナ、この服装は何だ?」
「え? ‥‥可愛らしくありませんか〜?」
少女は視線を下ろし、我が身を包むフリルやレースが施された如何にもお嬢様的なドレスに瞳を流した。不安気な表情を浮かべる主に「とても可愛いです」とファルファがフォローを入れる。これでは2対1、明らかに武が悪い。だが、ここで撤退したら今尚遠くで見つめる女教師を失望させてしまう。戦え和馬! 今がその時だ!!
「そうじゃない! 俺はな、山に行くような恰好じゃないと言いたいんだ!」
静寂が三人と遠くの一人を包み込む。幾ら世間知らずのお嬢様とて、ここまで的を得た事を言われれば返す言葉もあるまい。精悍な風貌に勝利を確信した不敵な笑みが浮かぶ。しかし――――。
「あら? そんなこと仰っていいのですか〜?」
小悪魔っぽく緑色の瞳を細め、ファルナが微笑む。なんだ? 犯人がアリバイを成立させた後に探偵が勝利を確信した時のような微笑みは!? 心なしか、メイドも薄く微笑んでいるようだ。
「藍原先生、あなたの恰好は山に相応しいと仰るのですかーッ!?」
ビシッと細くしなやかな指が男を貫く。和馬は相変わらず黒のスーツ姿だったのである。追い討ちの如く、ファルファが山に適した服装データを羅列してゆく。知っているなら主に注意しろと言いたい所だ。
「そうだ、おまえ達は今回の妖機怪について何か分かった事はあるか?」
体育教師は話題を切り換えた。情報は集めたがそれらしい妖怪が掴めなかったのだ。
「妖機怪、ですか〜?」
緑の瞳を丸く、細身の少女は和馬を見上げると、ニッコリと微笑んで見せた。
「わたくし、林間学校を楽しみに来ましたの☆」
「私はマスターをお守りするだけでございます」
男から深い溜息が洩れる。
「そうか、分かった分かった。いいか、こんな格好だと絶対後悔するからな! ファルファ、ジャージでも用意しといた方がいいぞ」
疲れたような長身の背中が緩やかな坂道を登って行った――――。
●天然爆発! 出現する妖機怪!
「ここにテントを設営してはいかがでしょうか? 視界も開けており、土台もしっかりしているようでございます。炊事場も近いですし、トイレも同様の歩数で向かう事が出来ます」
場所の利点や安全性を淡々と述べ、ファルファは主と同じ班のメンバーに感心されていた。どうやら彼女の意見で設営場所は決定だろう。「おそれいります」と丁寧に頭を垂れると、直ぐに準備へと取り掛かった。そんな中、班の少女が設営に励むファルナへ視線を流す。
「ねぇ、ファルナさん。こんなドレスで大丈夫?」
「何を仰いますの〜? 大丈夫に決まってッ‥‥わ、きゃんッ!」
立ち上がろうとした刹那、金髪の少女はドレスの裾を踏んでしまい、体勢を崩したまま後方へと倒れ込んだ。短い悲鳴と共に柔らかな長髪が宙を舞い、男の声が呻き声をあげる。
「ふぇ?」
うつ伏せに倒れたファルナの身体に、硬い感触が伝わった。半身を起こすと、白いシャツが視界に飛び込んだ。どうやら誰かを下敷きにしたらしい。慌ててメイドが駆けつける中、冷やかすような少女達の黄色い声が吹き荒れる。当の本人は何が起きたのか分からず瞬きを繰り返すばかりだ。
「ファルナさん大ッ胆♪」「でも先生も満更でもないんじゃない?」「大人を押し倒すなんてぇ☆」
「え? え? え?」
「‥‥ってぇな、いい加減に退けろよ」
聞き覚えのある声だ。ゆっくりと視線を上げると、先ほど会ったばかりの精悍な風貌が映る。
「ふぇ? あ、藍原先生〜!? いゃーん☆」
「マスターから離れて下さいませんか? 教師としてこれは許し難い事ですよ」
「逆だろーがッ!! 俺が潰されていたんだ‥‥ッ!?」
真顔のファルファに抗議する和馬は、不意に訪れた異変に素早く視線を研ぎ澄ました。周囲の少女達がバタバタと膝を着き、顔色を曇らせてゆく。くらりと再びファルナが倒れ込んで来たが、そこは素早くメイドが受け止めて保護する。体育教師はポケットを弄り、保存食を取り出した。
「人の精気を吸い取るって感じなのかね? ファルファは平気なのか?」
「‥‥はい、人造生命体でございますから」
「なるほどね。兎に角、食料だ。おまえはファルナに何か食べさせろ! 俺は他の生徒達に配る‥‥っていうか、何か対策して来いよな」
倒れた生徒達へ保存食を食べさせながら、和馬は妖機怪を発見しようと視線を巡らしてゆく。刹那、大地が揺れ、機械的な音が響き渡った。どうやら、霊駆巨兵が動き出したらしい。
「藍原先生〜、これって妖機怪の仕業ですの〜?」
「あぁ、恐らくな」
ファルナは迷った。僅か10分なら敵を見れるが、その為の変身には一瞬とはいえ、裸体を晒さなければならないのだ。教師とはいえ、安易に見せられるものではない。
――どうしましょう‥‥。
すると、不意な倦怠感と激しい空腹感が薄れた。恐らく範囲的な効力であり、戦闘を始めた巨兵によって遠ざけられたのだろう。その時だ――――。
≪何を考えているんだよ? 顔が赤いぞ。裸になりたきゃなりゃいいのに≫
ビクンッと少女の肩が跳ね上がる。視線を流すと、緑の瞳に映ったのは、一人の少年だ。ニヤニヤと口元を歪め、驚愕の色を見せたファルナを窺っていた。直ちにファルファが割って入る。
「マスターに破廉恥な事をッ!」
≪おや? キミの中はこの娘を護りたい想いで一杯だね≫
「それが私の役目ですから」
躊躇い無く腕を向け、メイドは少年へと拳を射出した。緩い反動で青い髪がサラリと揺れる中、放たれた有線式のパンチは、少年を擦り抜けてゆく。
≪残念だね♪≫
「やはり実体を持たない訳かい。ファルナ! ファルファ! 霊駆巨兵を呼ぶぞ!」
「え?」「何を勝手に申しておられるのですか?」
不敵な笑みを浮かべて少年に瞳を研ぎ澄ますと、和馬は懐中時計を取り出した。
――霊波動確認 パイロット照合:藍原和馬
霊駆巨兵ファントムギアトルーパーリフトアップ――――
山が揺れ、山林の中から体育座りをした鋼鉄の機体がセリ上がって来る。
「さぁ、先生に着いて来な!」
和馬が巨兵に向けて駆け出すが、二人の少女は僅かに躊躇を見せた。
「マスター、私達も呼びますか?」
「この際ですわ。先生に敵が見えるなら同乗させて頂きましょう」
敵は一体。僅か10分に賭けるなら、見る事が出来る搭乗者がいた方が得策である。ファルナとファルファは、和馬の後を追い鋼鉄のコックピットへと駆け込んだ。それぞれが三つのシートへ背中を預けた。
「藍原先生には敵が見えるのですね☆」
「あぁ、大きな猿のロボットが見えるぜ!」
「猿‥‥でございますか?」
そう。男の瞳には、少年の背後に潜むメカニカルな猿のシルエットが浮かび上がっている。体育教師は二本の操縦桿を強く握り締めた。青白い光が和馬の手からスティックへと迸ると、巨兵の交差させた両手に数枚の呪符が出現、一気に薙ぎ放つ。刹那、放たれた呪符は四方に分かれ、周囲の木々に張り付いた。少年の声がテレパシーのように響く。
≪ふーん、結界呪を張って逃げられないようにしたんだ♪≫
「後はおまえを倒すだけってことよ! じゅ」
≪獣になるんだ?≫
先に少年の声に行動を言われ、和馬は動揺の色を浮かばせた。ファルナが不安気な表情で体育教師に視線を向ける。
「‥‥どうしましょう〜、全て考えている事を読まれてしまいますの〜」
「恐らく、私のプログラムも読まれるものと推測されます」
「ど、どうするって‥‥超能力を使う妖機怪かよ」
三人の失敗は妖怪のコアを識別できなかった事だ。試しに呪符で狙ってみたが、その軌道はどんなに捻じ曲がらせても命中する事は無かった。それ所か、太く長い豪腕が巨兵を強襲し、何度も強烈な衝撃が強襲し、長いファルナの金髪が悲鳴と共に舞い踊る。
「チッ、護符!!」
何とか意識を集中させた和馬は、鋼鉄の手に護符を出現させる事で、妖機怪の攻撃から機体を守った。しかし、このままでは防戦一方。仲間が来る気配もない。猿のシルエットは一旦飛び退き、体勢を整えた。
≪‥‥あ、これは面白いぞ♪≫
テレパシーがファルナへと届く。
≪お父さんが憎いんだ★ 大人の世界を幼い頃から見せた事を恨んでいるんだ♪≫
ピクンッと金髪の少女は肩を跳ね上げた。脳裏に仕舞い込んでいた筈の汚れた現実が鮮明に過ぎる。
≪今、キミは過去を思い出しているね‥‥キミは≫
「‥‥おやめなさい」
普段のファルナからは想像も出来ないほど凄んだ声が静かに響き渡った。刹那、パンッと衣服が弾け飛び、一瞬だけ一糸纏わぬ姿となるが、瞬時に硬質な骨のようなモノが次々と延び、彼女を覆ってゆく。因みに和馬の隣はファルファが座っており、豊かな彼女の胸に遮られて変身の様子は見えない。
前方に冷たい視線を放ち、金髪の少女はメイドに指示を下す。
「‥‥ファルファ。視界中心へ向けて、攻撃です」
「了解でございます。戦闘モードに移行します‥‥任務‥‥確認‥‥」
巨兵の右手首が折れ、左腕がワイヤーを延ばして射出された。緑色の瞳を研ぎ澄まし、猿のシルエットへ意識を集中させると、折れた右手首から8本の閃光が放たれる。
「和馬先生、続けて下さい‥‥敵を、消去します」
「お、おぅ。呪殺黒狼符ッ!!」
立て続けに放たれた攻撃を躱すのは困難だ。まして、ファルナは哀しみと愛憎の中、完全に感情を消し去り、考えすら読み取れなかったのである。閃光に焼かれ、鉄拳を叩き込まれ、ダメージを蓄積させた所に、呪符が張り付き、中から飛び出した幾つもの黒い獣が猿のシルエットを貫いてゆく。やがて妖機怪は赤い粒子と化して失散するに至ったのである。
「やった‥‥ようだな」
和馬が安堵の息を洩らし、視線を流すと、ファルナがぐったりと倒れていた。
――何があったか知らないが、しっかり休んで残りの体験学習を楽しみなよ。
●夕飯の行方‥‥
「うーん、いい匂いだねぇ♪ 皆、美味いカレー作る為に頑張れよ!」
体育教師は生徒達の慣れない手付きで拵える様子を見回っていた。初等部、中等部と周り、高等部へと足を踏み入れる。そこには、楽しそうにカレーを作るお嬢様とメイドが映った。和馬の視線に気づき、青い髪の少女が野菜を切り続けながら顔を向ける。
「あ、先生‥‥」
「おいおい、野菜切りながら余所見するなって‥‥。この班は固形じゃないカレー粉なんだな」
包丁で野菜を切る小気味良い音を寸分の狂いもなく響かせながら、ファルファが薄く笑う。
「はい。ガラムマサラとクミンを多めに調合しております。コリアンダーとクローブは少々、後はカルダモンにシナモンとローリエを‥‥」
「‥‥まさか、これ自分で調合したった訳かい?」
「左様でございます。マスター、味の方はいかがでございますか?」
ふんふん♪ と鼻歌を奏でながら、楽しそうに鍋を掻き回す金髪の少女。男は元気を取り戻したファルナに穏やかな微笑みを浮かべ、様子を窺う。
なるほど、パイナップルか。酸味が出てスパイシーな味わいとなるだろう。
「えーい♪」
可愛らしい掛け声と共に、ボール山盛りの果肉を一気に鍋へと叩き込んだ。それは誰が見ても明らかに量が多い。次に取り出したのは唐辛子のようだ。
ふむふむ。チリペッパーの代わりに唐辛子を入れて辛さを際立たせるって訳か。
「それ〜♪」
可愛らしい掛け声と共に、ボール山盛りの唐辛子を一気に鍋へと叩き込んだ。これも誰が見ても明らかに量が多いだろう。ご機嫌に掻き回して満面の笑みだ。
「あら? ‥‥マスター、ここのボールにあったハバネロはいかがなさいました?」
「え? ハバネロですか? うーん、見てませんわよ?」
口元に人差し指を当て、暫し考えてからメイドに応えた。
知らないのか? ハバネロを知らないんだな!? 知らずに答えたなファルナ!
「おかしいですね。‥‥まあ、用意すれば済む事です。私がボールに準備いたしますので、適量をお願い致します」
「うん、分かりましたわ♪ あ、藍原先生〜夕飯食べに来て下さいませね☆」
小首を傾げてニッコリと微笑むファルナ。愛くるしい風貌のお嬢様が可愛らしいエプロン姿で笑顔を浮かばせれば、大抵はご機嫌に返すだろう。しかし、和馬の微笑みはぎこちなかった。
「あ、あぁ、初等部から回るから、間に合ったら、な」
その日の夕刻、妖怪騒動にも勝る惨劇が巻き起こったのは言うまでもないだろう――――。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/担当】
【0158/ファルナ・新宮/女性/16歳/高等部学生】
【1533/藍原和馬/男性/920歳/体育教師】
【2885/護衛メイド・ファルファ/女性/4歳/完全自立型メイドゴーレム】
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■ ライター通信 ■
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この度は引き続きの御参加ありがとうございました☆
お久し振りです♪ 切磋巧実です。
今回は参加メンバーが変わらない為、シーンのクローズアップスタイルでお送りしました。
さて、いかがでしたでしょうか? 天然っぽさはこんな感じかなと演出させて頂きました。今回の妖機怪は行動に明記されていなかったので、敢えて描写していません。気になりましたら、他のノベルを参照してみて下さい。
楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
それでは、また出会える事を祈って☆
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